大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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使徒侵攻自体はここでケッチャコ……決着でします。


第四十二話 吹き荒ぶ風

終わったようだ。ハジメの方は。

 

気配が一つ途絶えたので、ハジメは無茶をした反動で気絶したのだろう。声の調子もかなり弱々しかったので、相当の手傷を負ったと見える。

 

この数の神の使徒を相手に、彼も良く戦ってくれた。初見の強力な相手だったはずだが、それでも数十体撃破してるのだから大金星だ。

 

もう、無能と呼ばれてバカにされるハジメは存在しない。

 

 

「さて、此方もそろそろ終わらせるとしようか」

 

残りは五体。ついさっきまで殲滅していた神の使徒とは違い、白金の光を纏っている。一般の使徒とは段違いの力を保持しているようだ。

 

多分、平常時は二倍程度の力。其処へ更にバフを乗せており、全ステータスがおそらくは六万を超えている。

 

「第一の使徒エーアスト。神敵に断罪を」

「第二の使徒ツヴァイト。神敵に断罪を」

「第三の使徒ドリット。神敵に断罪を」

「第四の使徒フィーアト。神敵に断罪を」

「第五の使徒フィンフト。神敵に断罪を」

 

だが、それだけだ。

 

どんなに強くても。どれだけの力を持っていようとも。君達には一つ、決定的な物が欠けている。

 

欠けている限り、俺には勝てない。ハジメにも、シアにも、誰にも。人間には勝てやしない。

 

経験を糧にして成長を続ける人間に、経験をそもそも得ないでその場に留まり続ける神の使徒が勝つ道理なんぞ、何処にもないのだ。

 

「大自然が遣わした正義の使者仮面ライダーが相手になろう」

 

風車が回り、この戦闘で蓄積した風力エネルギーが解放された。

 

複眼が光り、全身から蒸気が立ち昇り、筋肉が膨張していく。理性を保ったままの状態で発揮できる限界の寸前まで、己の力が引き出されていく。

 

「十秒だ」

「……何ですって?」

「十秒で貴様らを片付ける。これ以上時間を掛けてはいられないのでな」

「冗談を。幾ら強大な力を持つイレギュラーでも、真の神の使徒相手ではその夢は実現しません」

「これまでの戦いから、今の貴方の力のデータを完全に回収し、共有しました。そのために幾万の使徒が犠牲になりましたが、それも必要経費と言う物でしょう」

「貴方に勝ち目はありません。我々は我が主直々に力を与えられた真の神の使徒」

「地に這い蹲りなさい」

 

言ってくれるじゃないか。

 

今回の戦闘で使っているのは徒手空拳と銃術。後はベルトのブースターぐらいだ。

 

残されているのは加速装置。これまでの戦闘データを収集しているなら、加速装置込みでの俺の力もある程度は把握しているに違いない。まあ、今回に限っては稼働時間を優先してるので加速装置の出力は絞ってるが。

 

だが、甘いのだ。データに縋ってる間は、俺に触れる事は不可能。

 

そもそも、魔法まで使って力を出している俺の姿を奴らは見た事がない。

 

「甘い。貴様らのデータとやらには、まだズレがある」

 

ブースター起動。加速装置オン。人工筋肉活性化。

 

そして……

 

「〝覇潰〟」

 

自身の能力値を三倍に引き上げる〝限界突破〟の上位互換である〝覇潰〟。これを使用すれば、自身の全ての能力値を五倍に引き上げられる。

 

これでも全力には程遠いが、戦闘の早急な終結をするためにも使用を決意した。

 

〝縮地〟と〝空力〟を駆使して一歩を踏み出す。

 

ドパアン!

 

「き、きえっ」

「ライダーチョップ」

 

ガードすら許さない一撃。咄嗟に振り翳したであろう大剣を易々と貫き、手刀はたった一発で使徒の身体を真っ二つに寸断した。

 

残りは四体。白金の輝きを一層強くしているが、その努力はすぐに泡と化す。

 

音の無い踏み込みで距離を詰めて後ろに回り、呆気に取られている使徒の頸椎をバキリとへし折った。念の為に心臓にも拳を放って確実に命を絶ち、地面に向かって蹴り捨てる事で処理。

 

あと三体。

 

「くっ、〝聖絶〟!」

「障壁が役に立つとでも思ってるのか?」

 

展開された障壁を肘鉄で粉砕。更に右足を釘の様に打ち込み、遥か彼方まで吹き飛ばす。

 

そして蹴る際に生まれた反動を移動エネルギーへ変換して宙返りと半分捻り。真後ろから強襲を仕掛けようとしていた使徒の方をクルリと向く。

 

――ライダー反転キック

 

不意を突かれる形となったため、使徒は何の反応も出来ずに蹴りを真面に受けた。

 

「そ、そんなっ。ありえ――」

「終わりだ」

 

消し飛んだ使徒を呆然と見つめる最後の使徒。確か、エーアストと名乗っていたか。

 

まあ、名前なんてどうでも良い。今から滅びゆく神の傀儡人形の名前なんぞ、いちいち覚えるつもりは最初から無い。

 

エーアストの両腕を掴み、横へ幾度も回転をしながら天へと上がっていく。

 

そして天へ昇る度にエーアストを上に上にと持ち上げていき、発生した竜巻と共に彼女を彼方へと投げ捨てた。

 

猛烈な回転によってエーアストの四肢が千切れていく。手、足、首。全てが胴体の元を去り、それぞれ違う場所へと吹き飛ばされ、そのまま地面にグチャア! と凄まじい粉砕音を立てて叩き付けられた。

 

――ライダーきりもみシュート

 

敵、殲滅。任務完遂。

 

終わった。出鱈目な数ではあったが、皆の協力もあり無事に全滅させられた。

 

「……戻るか」

 

眼下の町を見れば、ボロボロではあったが人々の悲鳴は聞こえなくなっている。香織達が頑張ってくれたのだろう。

 

そう言えば、ハジメは疲労から倒れたんだった。早く様子を見に行った方が良いだろうか……。

 

『せ、先生、聞こえてる? 聞こえてたら返事して!』

「恵里か? どうしたんだ、急にハジメの無線使って」

『ハジメがっ、ハジメの左目が潰れてる!』

 

……何だって!?

 

左目が潰れてると言ったのか、今。最後の通信の時、彼から微塵もそんな様子は感じられなかったのだが……え、ウソだろ?

 

だとしたら、ハジメは左目が一切見えない状態で複数体の使徒と殴り合ってたのか?

 

「恵里、香織は近くに居るのか?」

『香織が回復魔法を魔力切れになるまで使ってくれて、それでもダメで……!』

「そうか、本格的にマズいな……」

 

目の潰れ方にもよるだろうが、最上級レベルの癒術師であっても治せないとなれば、それは相当に深い傷だ。

 

早急に手立てを打たねばならない。

 

恵里達の気配を探し当てて向かいつつ、脳を全力で回転させて策を練る。

 

酷い潰れ方をしているのは確実。摘出を行い、かつ義眼か代わりの目を見つけて移植しなければならないだろう。

 

出血も相当だと考えられるため、義眼を製作するにしても代わりの目を見つけるにしても早くしないといけない。

 

地上には仰向けに寝かされているハジメ。その周りに香織達。

 

成程、恵里が言ってた通り、ハジメの左目はメチャクチャに潰れてしまっている。出血も酷い。生きてるのが不思議なぐらいの潰れ方だ。

 

彼は仮面を付けていたはず。それでも目が潰される程の一撃を受けたと言う事になる。

 

改めて、神の使徒の持つ力は普通に見たら強大なんだと認識させられた。

 

俺は……仕方がない。身体から違うのだから。

 

「先生、ハジメはっ」

「すぐに手術だ。このままだと死んでしまう」

 

思ってたよりも状態が悪い。義眼を作る時間が勿体無いと思えるぐらい酷い状態だ。

 

代わりの目は……緊急事態だししょうがない。その辺に転がってる神の使徒の残骸から頂戴するとしよう。

 

「香織、すぐに外泊セットを出してくれ。そこで手術をする。それとシア。お前は肉体の損傷が比較的軽い敵の遺体を持って来てくれ。目を摘出して移植する」

「はいですぅ! すぐに持ってきますね!」

「恵里、ユエ、心配だろうが信じてくれ。必ずハジメを救ってみせるからな」

「……うん。絶対、絶対に助けてね」

「んっ」

 

強靭な肉体をハジメが持っているとしても、タイムリミットは迫っている。時間にして一日が限界だろう。

 

使徒の目がハジメの身体に定着するかは分からないが、つべこべ言わずにやるしかない。義眼を作っていたら、製作最中に彼があの世へ逝く。

 

ハジメを救うためにも。そして、恵里とユエの笑顔を守るためにも。俺は久方振りの手術の準備を始めるのだった。




設定集の方を少し更新しました。色々ツッコまれるのは承知の上です……

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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