大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
職員に連れられてギルドの応接室に通された俺達。不貞腐れ気味の恵里を宥めるハジメとシアに、怯えるミュウの面倒を見ている香織とユエ。事情聴取を受けている俺と敬介と言う割とカオスな空間になっている。
ちなみにブタ男とレガニドは無事に目を覚ましたらしい。二人とも男の象徴だけは戻らなかったらしいが。
「……はい、事情聴取は以上になります。向こうの事情聴取が終わるまで何とも言えませんが、私個人の意見としては貴方方は無罪だと思ってます。あの男、前もギルド内で問題を起こして色々と疎まれてるんですよ」
俺達の事情聴取を担当したのは、秘書長のドットと呼ばれた男だ。彼はメガネをクイッとさせながら、恵里が焼いた男達の素性を教えてくれた。
「太った男の方は、人身売買で巨額の富を得ていると言う噂が前々からあるんです。証拠がないので逮捕は出来てませんが、愛玩奴隷として人気の兎人族や高値の付く海人族を引き渡せと言った辺り、噂は本当なのでしょう」
「成程。敬介、これは……」
「十中八九はそうでしょうね」
おそらくショッカーの関連人物。すぐに決めつけるのは良くないが、その可能性は捨て切れない。
フューレンに大きいショッカーの基地がある以上、その辺の人間が関係者である可能性が大いにある。警戒を強めた方が良いだろう。
「ああ、忘れる所でした。身分証明のために全員分のステータスプレートを預かっても宜しいですか?」
「ステータスプレートを?」
「ああ、それなら」
「敬介、待て」
しまった、油断していた。
この中でステータスプレートを持っているのは俺、ハジメ、香織。そして素振りからして敬介も持っている。一方でユエ、シア、ミュウは持っていない。
全員分のステータスプレートをこの場で発行すると言う手はあるが、隠蔽を施していないステータスプレートを見たら、それはそれで大問題になり兼ねないだろう。
特に敬介のステータス。彼はおそらく、ステータスプレートの隠蔽機能を知らない。手渡すまでに何かやってたらすぐにバレてしまうだろうし、かと言ってそのまま渡したらステータスプレートを見た瞬間に卒倒する可能性もある。
とは言え、このまま身分証明を渋っているとまた厄介事が増えると思われる。早急に何とかした方が身のためだ。
うむむ、と悩む。すると、不意に服の裾を引っ張る者が。
「猛さん、キャサリンさんから貰った手紙は?」
「……ああ!」
そうか、その手があったか。ギルドで厄介事があった時に出せと言われた手紙。これの出番が早速やって来た。
「知り合いのギルド職員さんから、困ったらギルドのお偉方に見せろと言われた手紙があります。これで身分証明になるかは分かりませんが……」
「知り合いのギルド職員ですか? ……拝見します」
訝しがりながらも手紙を受け取ったドット。それを流し読みしていくうちに、彼の目がギョッと見開かれていった。何が書いてあるのだろうか。
そして、俺達の顔と手紙の間で視線を何度も彷徨わせながら手紙の内容をくり返し読み込む。目を皿のようにして手紙を読む姿から、どうも手紙の真贋を見極めているようだ。やがて、ドットは手紙を折りたたむと丁寧に便箋に入れ直し、俺達に視線を戻した。
「この手紙が本当なら確かな身分証明になりますが……この手紙が差出人本人のものか私一人では少々判断が付きかねます。支部長に確認を取りますから少しこの部屋で待っていてもらえますか? そうお時間は取らせません。十分、十五分くらいで済みます」
予想外の反応である。この手紙一枚で支部長の確認を仰ぐとは、キャサリンさん何者だ?
困惑しながらも頷くと、ドットは手紙を持ったまま颯爽と部屋を後にした。
やがて、きっかり十分が経過した時である。部屋の扉をコンコンとノックする音が鳴った。俺が応えると、一拍置いた後に扉が開かれる。
そこから現れたのは、金髪をオールバックにした鋭い目付きの三十代後半くらいの男性と先ほどのドットだった。
「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。猛君、香織君、ハジメ君、ユエ君、シア君で良いかな? 後の二人は……」
「敬介だ。こっちの海人族はミュウ」
「敬介君にミュウ君か。これからよろしく頼むよ」
「ええ、こちらこそ」
握手を求めて来たイルワさんに応えながら会釈する。
「身分証明はあれで良いですかね?」
「ああ、先生が問題のある人物ではないと書いているからね。あの人の人を見る目は確かだ。わざわざ手紙を持たせるほどだし、この手紙を以て君達の身分証明とさせてもらうよ」
ほっ。一安心した。
隠蔽を施した俺のステータスプレートは兎も角、敬介のステータスはとてもそのままでは見せられない。取り敢えずの急場しのぎではあったが何とかなって良かった……。
「わざわざお手数をお掛けさせてしまい申し訳ありません。身分証明が出来たなら良かった」
「ご丁寧にどうも。手紙に書いてある通り、君はとても礼儀正しい人間だね。他の皆も同様だ。これでトラブル気質なのは解せないが……」
目立つしなぁ。特に女性陣。全員が絶世の美女と言っても全く差し支えない。
装備だって人目を惹く。仮面ライダーになったら、それだけで騒がれてしまうぐらいには。
「色々あるんですよ……あはは」
「そうか。まあ、その辺りは追々聞かせてもらおうかな。それよりも君達に、今回の件を不問とする代わりに頼みたい事がある」
「依頼、ですか」
空気が変わる。どうやら、彼がわざわざやって来たのはこの件を話すためらしい。
今回、それなりに周りに迷惑を掛けてしまった。素気無く断るのは憚られる。
皆に一応確認のアイコンタクトを取ると、全員頷いてくれたので、俺はイルワさんに続きを話すように促した。
「ありがとう。さて、今回の依頼内容だが、そこに書いてある通り、行方不明者の捜索だ。北の山脈地帯の調査依頼を受けた冒険者一行が予定を過ぎても戻ってこなかったため、冒険者の一人の実家が捜索願を出した、というものだ」
「冒険者……と言うよりかは貴族のお坊ちゃんですかね? この依頼書を見る感じだと」
「その通りだよ。名前はウィルと言う。彼は冒険者に憧れ、半ば強引にパーティーに参加して依頼達成に向かったんだけど……」
「行方不明に?」
「ああ」
何でもウィルは、貴族は肌に合わないとして昔から冒険者に憧れていたらしい。
しかし、彼に冒険者の資質はなかったようだ。そこでイルワさんは、彼に現実を知ってもらうために、少々危険のある依頼を受けたパーティーに加えさせたと言う。
だが、その結果は最悪の形で返って来た。
ウィルの父親と個人的な付き合いがあり、かつウィルには懐かれていたと言うイルワさん。そんな彼の心労は計り知れない物がある。
「頼む。どんな形であれ、ウィル達の痕跡を見つけてもらいたい……」
行方不明者の捜索は、時間が経てば経つほど困難になる。ウィル達が行方不明になってから既に数日が経過しているそうなので、タイムリミットは近いだろう。
依頼を受けたいのは山々だ。救える可能性があるなら、俺は引き受けたい。
だが……ショッカーの方を野放しにも出来ん。
すぐにでも「引き受けます!」と言いたいのだが、そうも行かないので頭を抱えた。
「あの……先生。僕のパーティーで行方不明者捜索の依頼を受けましょうか?」
と、悩みに悩んでも回答が出ずにお手上げだった状態の俺であったが、そこへ救いの手を差し伸べる人物が現れた。そう、ハジメである。
「基地を潰すのは大変にになるかもですけど、僕達三人と先生とで分担作業すれば良いんじゃないですかね? 先生と敬介さんならきっと基地を……」
「今はこうするしかない、か」
お互いに大きな負担を掛ける事になるだろう。だが、今はこれしかない。より多くの人の命を救う為にはこれしかないのだ。
「報酬は弾ませてもらうよ? 依頼書の金額はもちろんだが、私からも色をつけよう。ギルドランクの昇格もする。君達の実力なら一気に〝黒〟にしても良い」
「いや、お金はそんなに困ってないけど……代わりにこんな事はお願い出来ます?」
尚も悩んでいた俺に声を掛けたイルワさんの話した内容を聞き、すかさず提案をする事にする。
「シアとユエのステータスプレートの作成及び、其処に表記された内容の他言無用の確約です。それともし可能なら、これから先僕らが厄介事に巻き込まれた際に味方してくれるとありがたいのですが」
「ふむ。一つ目は兎も角、二つ目の要求は……」
「依頼達成の後に詳しく話しますが、僕達は少々特異な存在です。これから先、絶対に教会やら裏世界の組織やらに敵視されるでしょう。その際に、伝手があれば便利だなと思いまして」
「敵視されるのが確実なのかい? ふむ、個人的にも君達の秘密が気になって来たな。キャサリン先生が気に入っているくらいだから悪い人間ではないと思うが……」
お互いギリギリのラインでの交渉。俺達は依頼を受けるなら分散を強いられるし、イルワさんはそう簡単には納得出来ない要求を叩き付けられている状況である。
これ以上の譲歩は出来ないので、この要求を可能な限り呑んでくれないのであれば、依頼を断ると言う選択肢も考えねばならない。
やがて考えが纏まったのだろう。考える素振りをしていたイルワさんは顔を上げた。
「犯罪に加担するような倫理にもとる行為・要求には絶対に応えられない。君達が要望を伝える度に詳細を聞かせてもらい、私自身が判断する。だが、できる限り君達の味方になることは約束しよう……これ以上は譲歩できない。どうかな」
ほっ。何度目かの一安心。
「ええ、これ以上は望みません。それじゃあ、依頼受諾の手続きを……」
急いで手続きの準備を進める。一刻も早く、行動に移りたい。
俺の心中をある程度は読み取ったのか、イルワさんは手早く依頼受諾の手続きを開始。同時に、支度金や北の山脈地帯の麓にある湖畔の町への紹介状、件の冒険者達が引き受けた調査依頼の資料を受け取った。
プランはこうだ。
ハジメ、恵里、ユエは北の山脈へ向かい、行方不明者の身柄か痕跡を発見。完了次第、フューレンへと帰って来る。そして彼らが北の山脈へ出向いている間に、残った俺達はフューレンのショッカー基地を壊滅させる。
大幅に計画が狂ってしまったし、滅茶苦茶にキツいスケジュールになってしまうが、これが今はベスト。そう信じる事にした。
「行くぞ」
「ええ」
最後にイルワさんに一礼し、俺達はギルドの外へ出る。
暫しの別れになるが、彼らならきっと上手くやって行ける。そう信じ、俺は黙ってサムズアップをしてから北の山脈へと向かったハジメの背を見送ると、後は振り返る事なく進みだした。
ショッカーを打ち滅ぼすために。
ここで猛パーティーとハジメパーティーが別行動します。ハジメが向かったのは、幸利や隼人が居るあの場所です。
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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香織&シア
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ユエ&ティオ
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雫