大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
夜
「……はあ」
俺は一つ大きなため息をつき、噴水の縁に腰をかける。先程まで行われた晩餐会で腹は確かに膨れているが、心は怒りに燃えている。その理由は、晩餐会にて聞かされた「俺達を異世界へ召喚した理由」があまりにも自分勝手な物だったからだ。
「エヒト神とやらから神託があったから、俺達に戦えだと? それも、年端もいかない高校生達に戦えだって? ふざけてるのか……?」
人間族という物が危機に瀕しているのは理解できた。助けて欲しいのも納得した。だが、神とやらの言うことを聞いた途端に行動に移し、何の疑いもなく俺達に告げるその姿は間違いなく異常であった。
当然、俺と愛子先生は反発した。子供を戦わせるなど納得出来るはずがない。今すぐ元の世界に帰せと。
しかし、「我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」と言われてしまったのだ。
更に、俺が苛ついている理由はもう一つある。
「それに光輝……あのバカ、戦争するのがどんな事なのか本当に分かってるのか!?」
そう、光輝の事だった。彼が正義感に溢れており、困っている人は見捨てられない性格なのは知っていた。だが、俺達はこれから戦争に駆り出されるかもしれないというのに彼は簡単に「世界も皆も救ってみせる!!」と言った。
言ってしまったのだ。他の生徒達が絶望している最中に、クラスの中心人物が、である。
結局、他の生徒達も次々と賛同。愛子先生の静止を聞こうともせず、俺達は戦争をすることになってしまった。
その後、俺達は戦争に参加するということで、戦闘訓練を受けるためにこの聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】へ移動した。
そこではハイリヒ王国の支配者が教皇より立場が下だということを理解し、俺の気持ちは余計に下へ下へと向かっている。
「戦争なんだぞ。誰かが死ぬかもしれないんだぞ! それなのに、何でそう簡単に戦争に行きますと言えるんだ……!」
噴水の縁を思いっきり殴りつけると、縁が歪んだ形に変形してしまった。しかし、俺の怒りは収まらない。顔の醜い手術跡を隠そうともせず、ひたすらにやり場のない怒りをぶつけ続けた。
どのぐらいそうしていただろう。
噴水が完全に壊れた所で俺は、近くに誰かが俺のことを見ていることに気がついた。
「誰だっ」
「た、猛さん……?」
「……香織、か」
怯えた表情で俺を見る香織。俺は思わず頭を抱えて頭を振った。
が、それも一瞬のこと。俺は猛然とその場を離れ、その風圧で首から下を第二の皮膚で覆わせてから香織を抱えて地面に転がった。
「え、え?」
「くそ、奇襲かっ」
俺は香織を地面に置くと振り返り、殺意を感じる真後ろを睨みつけた。
そこには、サラサラと光の粒子となってこの世から消え去った噴水と、“殺意をたっぷりと充填した銀翼を持つ銀髪碧眼の美女”が宙に浮いていた。
美女は白を基調としたドレス甲冑のようなものを纏っている。ノースリーブの膝下まであるワンピースのドレスに、腕と足、そして頭に金属製の防具を身に付け、腰から両サイドに金属プレートを吊るしていた。どう見ても戦闘服である。
俺は尚も飛来する銀羽を引き寄せてから回避をしつつ、サイクロンから仮面を取り出して被り、クラッシャーを取り付けて女に問う。
「何者だ?」
「ノイントと申します。〝神の使徒〟として、主の盤上より不要な駒を排除します」
「神の使徒、だと?」
「エヒト様にとって邪魔だと思われる〝イレギュラー〟に対し、神罰を与え主の盤上より不要な駒を排除する。それが〝神の使徒〟です」
つまり、彼女はショッカーでいう首領が邪魔だと思った者を排除するために送る怪人という事だ。その事を十全に理解した俺は、香織に向かって指示を飛ばす。
「香織、今すぐ逃げろ」
「で、でも」
「早くっ!!」
「ッ、わ、分かりましたっ」
ベルトの左右に備え付けられたブースターを起動させ、香織が走り去ったことを確認してから俺は跳び上がった。
ノイントと同じ高さまで昇り、俺はホバリングしながらノイントを睨みつける。
「貴様が誰なのかは知らない。知ろうとも思えない。だが、大切な生徒達に危険が及ぶ可能性があるならば、俺は貴様を倒す!」
「貴方の抵抗。無駄だと分かってもらいましょう。──駆逐します」
風が俺に集束する。タイフーンの風車が回転し、俺の全身に力が湧き上がってくる。
対するノイントは銀翼をはためかせた。すると、殺意をたっぷり乗せた銀羽の魔弾が俺目がけて飛来する。
最低限の動きで銀羽をある程度回避した俺はフルブースト。バレルロールで最後の銀羽を回避し、すぐさま加速。一気にノイントの懐へ潜り込んだ。
ノイントが手に持つ大剣を振るう隙を与えずに俺は彼女の顔面を渾身のストレートパンチで殴りつける。血飛沫が上がり、仮面に血糊が付着した。
後方へ吹き飛んだノイントは無理やりといった様子で態勢を立て直すと、銀羽を宙にばら撒いて其れ等を前方に集め、巨大な魔法陣を形成した。
「〝劫火浪〟」
途端、炎の大津波が俺を襲う。
タイフーンを限界まで回転させて炎の大津波に突っ込み、俺は紅蓮に染まった世界の中で正確にノイントの位置を把握すると、一気にブースターの出力を上げて加速した。
炎の大津波を抜けたすぐ先にあるのはノイントの胸元。目を見開いたノイントに構わず、俺は炎に覆われた右足をノイントの心臓目がけて突き出した。
──ライダーキック
バッタの能力を得た脚力によって放たれた蹴り技は、ノイントの胸元を難なく貫通して心臓を確かに蹴り潰した。
足を抜くために左足でノイントの顔を蹴り飛ばし、宙返りして彼女を見やれば、何があったのが分からないといった表情で堕ちていくノイントの姿が目に入った。
随分とアッサリ倒すことが出来たものの、俺は彼女の戦闘能力を危険視した。ノータイムで発射されていた銀羽には命中した物質を分解する能力があり、直撃すればひとたまりもなかった。
また、あれだけの炎の大津波を簡単に出せるということは他の攻撃も尋常ではない範囲と破壊力で繰り出すことが可能なのだろう。
心底恐ろしい。俺はそう思うのだった。
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翌日
次の日から早速訓練と座学が始まった。
まず、集まった俺達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達や俺に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
メルドは豪放磊落という文字をそのまま人にしたような人物だ。「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告する程であり、俺達からすればとても接しやすい人物である。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
どうやらこの銀色のプレートはステータスプレートという物らしい。
その後、メルドがアーティファクトとは何かを説明していたが、俺はそれを全て聞き流して如何にも“指を刺して血を垂らせ”と言いたげな針に自分の指を刺し、血をプレートに垂らした。
すると、プレートに描かれている魔法陣が一瞬淡く輝いた。
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本郷猛 27歳 男 レベル:90
天職:風の使者
筋力:15000
体力:13000
耐性:13000
敏捷:19000
魔力:100
魔耐:100
技能:変身[+仮面自動生成]・改造人間・徒手空拳・剣術・人工筋肉活性化・脚力強化・風属性適性・風力吸収[+身体能力強化]・物理耐性・毒耐性・天歩[+空力][+瞬光]・纏風[+常時発動]・薬物生成[+合成][+調合]・手術[+執刀]・気配感知・暗視・限界突破・言語理解
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表記された。いつの間にか、俺は仮面をわざわざ手動で取り出さなくても自動で生成されるようになったらしい。昨晩にノイントの攻撃を躱しながら仮面を取り出した苦労は二度とやらなくて良いということだ。
〝纏風〟というのは読んで字のごとく、俺の身体に風を纏わせることだ。どうやら俺の場合は常時発動しているらしいので、例え密室に閉じ込められたとしても変身を解除したり、風を受けられない場所だと変身不可能という状況にはならないはずだ。とても助かる技能である。
〝薬物生成〟は生物学を学んでいたので活用は出来るだろうし、〝手術〟は後輩の風見志郎を改造人間にした時の知識があるので問題ない。人工筋肉云々は勝手に発動してくれる技能だろう。
ただ、〝天歩〟と〝空力〟と〝瞬光〟と〝限界突破〟はどんな技能なのか分からなかったので後々聞くことにしようと俺は決めた。
「よし、確認出来たな? 出来たなら一度俺に報告しにきてくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」
メルドの呼び掛けに、早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは……
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
メルドの称賛に照れたように頭を掻く光輝。が、俺は彼のステータスに関して何か思うことはなかった。俺自身のステータスが先に表記されていたこともあるが、何より光輝が改造人間ではないという事実があるので俺のステータスを超えることは有り得ないだろうと思っていたのである。
その後も次々と生徒達がメルドにステータスプレートを見せに行き、彼に褒められるという光景を眺めていた。やがて俺の出番が来たので、ステータスプレートをメルドに渡す。
メルドは俺のステータスプレートを見つめると、笑顔のまま「うん?」と固まった。ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。
「どうした?」
「え、ああ。どうやらステータスプレートが壊れていたらしいから、新しい物を持ってこようかと思ってな」
「いや、壊れてないはずだ。俺は人間ではないし、ステータスが高くても不自然ではない」
「そ、そんな訳ないだろう。この世界ではステータスが200を超えていれば超一流と呼ばれるんだぞ。魔力と魔耐以外は全て10000超えなど、俺は見たことがない」
ちなみにメルドのステータスは平均が300前後であり、レベルは62である。どうやらこのステータス値でこの世界ではトップクラスの強さを誇るらしい。現に、メルドは騎士団どころか世界最強の名を頂いてる程だと言う。
彼の常識からすれば、俺のステータスは異常以外の何物でもないのだろう。
だが、事実は事実である。俺は一つため息をつき、メルドにこんな提案をした。
「なら、ステータスチェックが終わったら俺と一対一で模擬戦をするのはどうだ? それなら白黒つけられるだろう」
「……そう、だな。そうしよう。後は坊主だけだからすぐに終わるさ」
その坊主というのはハジメの事である。ハジメは何故か額に脂汗を浮かべながらステータスプレートをメルドに手渡した。
メルドは、ハジメのステータスプレートを見て俺の時と同じように硬直する。その硬直が中々取れず、俺は訝しがってハジメのステータスプレートを覗き込んだ。
そこには……
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南雲ハジメ 16歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
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俺が見た中でも、最低値のステータスがズラリと並んでいた。
本郷さんのステータスはとりあえずの物です。改造人間としての力はなるべく記入していませんが、脚力のみバッタの改造人間なら自由自在に強化する事も可能だろうということで技能を追加しています。
その他の技能がある理由は大概は語られている……はず。耐性については改造人間なら可能だろうというテキトーな理由です。
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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香織&シア
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ユエ&ティオ
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雫