サイレントヒル2編はもうちょっと続きます。
冗談でアンケートとってみたら、めちゃくちゃ食いつきがよくて、ちょっと困惑しています。
そして、UFOよりむしろ、犬の方が気になるんですか・・・。
まあ、そっちも書いてみたんですけどね。
それでよかったら、あとがきの方に載せておきます。
UFOエンディングは次回の方にしときますので。
だが、そんな二人の元へ飛び込んできた人間がいた。
「大きな音がしたから、何かと思っちゃった!」
プライマリーに入学するかしないかぐらいの、幼い少女だ。金髪をポニーテールにした少女は、きょろきょろと周囲を見回している。
「ジェイムスってば、どこに行っちゃったのかしら」
「ローラ?」
「リリー!ジェイムスを見てない?
メアリーからの手紙を預かってるの!ちゃんと渡そうって思ってたけど、ジェイムスってば、いじわるばっかりだから、渡せなくて」
ぷうっと頬を膨らませる少女、ローラに、リリーはどう答えたものか言いあぐねているらしい。
死んだというのは簡単だろうが、そこで癇癪を起されると、セブルスとしては面倒である。
ゆえに、セブルスは最も手っ取り早い行動に出た。
「
セブルスの右手から放たれた白光は、ローラの頭に命中するや、少女はその場に倒れこんだ。
「スネイプ!」
「いくら彼女にとってこの街が無害と言っても、子供を廃墟でうろつかせるわけにもいかん。
メアリーという女もジェイムス=サンダーランドもいなくなったなら、これが一番穏当だ」
リリーの非難する声をよそに、セブルスはローラの服のポケットからクシャクシャの手紙を封筒ごと抜き取り、浮遊呪文でトルーカ湖の湖面に飛ばした。
そうして、セブルスはローラを背中に背負う。
「町に着いたら、警察に届けるとしよう。きっと騒ぎになっていることだろう」
「ハリーがね。あなたの格好じゃ、誘拐犯だと思われるわよ」
「そうしてくれ。手間が省ける」
「もう!」
しれっと言ったセブルスに、リリーはむくれる。
「ねえ、そう言えば、ヤーナムってどんなところだったの?」
「・・・君に話すようなことではない。私もあまり思い出したくないのでな」
「Mr.ブラックには話したのに?」
「あまり愉快な話ではないのだ。闇の魔法にも劣る、悍ましい話だ。
誇り高い不死鳥の騎士団員には、さぞかし不快な話だろう」
と、セブルスは淡々と話す。
リリーは不満そうにしているが、あきらめがついたのか、ヤーナムのことについて聞くのはやめてくれた。
「そういえば、君はなぜジュニアを守ろうと?あのような経緯であれば、不思議に思えてな」
ふと尋ねたセブルスに、リリーは黙り込んだ。
「答えたくないなら」
「笑ってくれたのよ」
セブルスの言葉をさえぎって、リリーは答えた。まぶしい宝物を見るような、眼差しだった。
「私は・・・あの子の祖父母を殺して父親に寄生する身勝手な女で・・・その時はそう思っていたのに。耐えきれなくて、あの子を殺して私も死のうと杖を振り上げたこともあるのに、あの子は・・・ジュニアは、そんな私を見て、笑ってくれたのよ」
ジワリッと目の端に涙をにじませて、リリーは微笑みながら語った。
「その時、決めたの。この子は・・・この子だけは、何があっても守ろうって」
「・・・そうか」
クシャクシャに顔を歪めて微笑むリリーに、セブルスは短く言うと、コートの懐からハンカチを取り出して、リリーに差し出した。
「拭きたまえ。泣き顔では、ハリーが心配する」
「・・・ありがとう」
短く言って、リリーはハンカチを受け取った。
ようやく、区切りがついたような気がした。セブルスも、リリーも。和解はしていないが、落としどころを定めあえた、というところだろうか。
それがよいか悪いかは、当事者にしかわからないだろうが。
湖の傍らにある、霧深い廃墟のような街。サイレントヒルを背に、話しながら二人はゆっくりと歩いて行った。
ある程度離れたところで、拾ったゴミに
セブルスもリリーも“姿くらまし”は使えるのだが、ローラがいる現状でそれを使うのは、よくない。何度も記すようだが、“姿くらまし”は失敗時のリスクが大きいのだ。
転移してきたのは、リリーにとっては我が家に当たるメイソン宅の前だった。
ポートキーを解除するセブルスをよそに、震える手で扉を押し開け、「ただいま」と小さく言ったリリーに、どたどたと騒がしい足音が向かってきた。
「リリー!」
「ママァ!」
「お帰りなさい!母さん!」
ハリー、ジュニア、シェリルの順で抱き着かれ、リリーは戸惑ったような顔を一瞬するが、すぐに顔をくしゃくしゃにゆがめて、自由な手で、ハリーの背を、ジュニアとシェリルの頭を順々に撫でていく。
「ええ。ごめんなさいね、みんな」
それを、セブルスは静かに見つめていた。
よかった。リリーは、すでに彼女の居場所をしかと見つけていた。
早晩、彼女は秘密を打ち明けるだろう。そして、それが受け入れられたら、彼女は二度とサイレントヒルへ向かうことはなくなるに違いない。
・・・それがほんの少し、寂しかった。
家が一段と恋しくなる。
「ありがとう、セブルス。おかげで助かった」
「大したことではない。ところで、ハリー。少々頼みがあるんだが」
「何だい・・・その子は?」
「サイレントヒルで会った」
「あの町で?!」
ギョッとするハリー。セブルスも気持ちは痛いほどわかる。
あの町の異常性を理解している人間からしてみると、幼女があんなところを一人でうろうろなんてとんでもない!という気持ちが湧き上がってくるのだから。
・・・ヤーナムの白いリボンの少女を思い出した。豚殺すべし、慈悲はない。
なお、いまだにローラはセブルスの背中である。起きられると面倒なので、無言呪文の
幼女に対する扱いではないが、リリーはセブルスの話と家に帰ることだけに意識を向けていたので、呪文の詠唱がなかったのもあって気が付かなかったのである。
・・・この男、自分とその周囲以外は基本的にどうでもいいのだ。
まして相手は幼女とはいえ、出会ったばかりの、クソ生意気な言動の持ち主である。
痛めつけたり、殺しにかかってない、単に気絶させているだけである、問題はないというあたり、価値観が破綻してしまっている。
なお、この辺りの異常性は、まだ周囲にはかろうじて周知されていない。(敵には容赦しないというのは、十分周知されているだろうが)
・・・ハリーは若干感づいている節があるが。
「・・・わかった。この辺りで拾ったことにして、警察に届けてくるよ」
「頼む」
そう言ったセブルスからローラを受け取ったハリーは溜息をついた。
「ママ、おなかすいた」
「ジュニア、ママもつかれてるはずよ。今日はデリバリーにしましょ」
「今日『も』デリバリーでしょ?ボク、ママのシチューが食べたい・・・」
「ありがとう、シェリル。ごめんね、ジュニア。シチューはまた今度にしてくれないかしら?・・・大事なお話もあるから、ね?」
リリーにじゃれつくジュニアとシェリルをよそに、ハリーは次の瞬間何かに気が付いたように、一歩踏み出し、3人をかばうように体当たりの要領で突き飛ばしていた。
パンっという銃声の後、びしりっと背後で何かが固い音を立てる。外れた銃弾が、家の壁に当たった音だ。
「ハリー?!」
「子供たちを頼む!」
とっさにローラをリリーに押し付けるように渡し、素早く立ち上がるや家族の盾になるように踏み出したハリーは、次の瞬間蒼褪めた。
「聖女を渡せ!」
「シェリル=メイソン!間違いない!アレッサの生まれ変わりだ!」
「捕らえろ!」
物陰から飛び出してきた男たちに、セブルスはとっさに獣狩りの短銃の銃口を向ける。
獣の頑強さの前に、銃は牽制武器であり、能動的な盾にしかならないが、ごく普通の人間が相手ならば、一撃で十分な致命傷を与えられる。
その一撃は、まず一人に命中し、他の面々をたじろがせる。まさか、怪しい身なりとはいえ、来客らしき男が、銃を持っているとは思わなかったに違いない。
「ハリー!」
セブルスがインバネスコートの袖を一振りして、投げ渡したのは仕込み杖だ。
その白銀の鋭い切っ先は、レイピアとしても使えるが、変形すればワイヤーでつながった金属の節のある鞭のようにもなる。
ろくに強化してないので獣相手には少々威力が心もとないが、ごく普通の人間、それもマグル相手ならこれで十分だろう。
さすがに変形したら扱いは難しいだろうが、鉄パイプで化け物を滅多打ちにできるハリーには、変形前なら十分扱えるだろうと思い渡したのだ。
受け取ったハリーは普段の穏やかな視線を一転させるや、鋭い目つきで男たちめがけて仕込み杖で切りかかった。黄金の右足で、蹴飛ばすのも忘れない。
やはり、彼はマグルの物書きにしてはポテンシャルが異常すぎる。
リリーはといえば、何が何だかと戸惑った様子ながらも、鉄火場の経験持ちは伊達ではなく、子供たちのこともあって
セブルスはといえば、さっさと取り出したノコギリ鉈で、他の銃やらナイフやらで武装する男たちに切りかかっていた。
あらかた殺し終えた二人は、平然と家に戻ってきた。死体はセブルスが浮遊呪文でとりあえず家脇のガレージに入れ、血痕は
リリーはもの言いたげな目をしつつも、結局何も言わなかった。サイレントヒルでの出来事や、ハリーの様子から何か思うところがあったのだろう。
「見てみろ」
死体を漁っていた(ヤーナムではいつものことである)セブルスが、一人の男の懐から、分厚い本を引っ張り出した。(例によって血で汚れているが、いつものことだった)
その表紙に描かれている3つの円環を囲むように、大きな二重の円環が記されている魔法陣に、ハリーもセブルスも、見覚えがあった。
「まさか、“教団”の手のものか?!
いや、聖女とか言ってたな・・・シェリルのことがばれたのか?!」
「おそらく」
セブルスは短く頷くと、怯え切った様子でリリーにしがみつくシェリルに目を向けた。
「聖女?ねえ、何のことなの?
スネイプ、私にハリーを紹介してくれた時、『少々訳ありだが』って言ってたわよね?どういうことなの?」
困惑した様子で尋ねてくるリリーに、ハリーはぐっと息を詰めるが、間もなくあきらめたように目を伏せた。
「わかった。最初から話すよ」
場所を移し、メイソン宅のリビングで一通りの話を聞き終えたリリーは「そういうことだったのね・・・」うなずいた。
子供たちは大人の難しい話は、よくわかってないらしく、ジュニアとシェリルは途中からそれぞれおもちゃで遊び始めていた。
なお、こんな状態なので、ローラは仕方なくセブルスの手によって魔法で警官の気をそらしている間に交番の前に置き去りにされてきた。
残念ながら、メイソン一家に彼女の面倒を見る余裕はないし、セブルスも面倒は御免だったのだ。
五体満足ならば、後は自分で何とかしろというのが、セブルスの持論である。
「シェリル、いらっしゃい」
「うん」
そうして、リリーは呪文で近寄ってきたシェリルの髪を赤毛に変える。
「? ママ、何したの?」
「ごめんね、シェリル。パパとお揃いの髪の色、魔法で変えたわ。
その代わり、ママとお揃いよ」
「ママと?」
「そうよ」
うなずいてから、リリーは顔を上げる。
「ひとまずこれなら、多少は誤魔化せるはず。シェリルは黒髪の女の子ですもの。
万が一、“教団”に魔法使いがいた場合も考えて、マグルのお店で毛染めも買ってきた方がいいわね。
そうして、彼女はにっこり笑う。
「さあ、ご飯を食べたら引っ越しの準備よ!ハリー、ジュニア、シェリル、手伝ってちょうだい!」
「・・・何も言わないのかい?」
恐る恐る尋ね返すハリーに、リリーは苦笑して首を振った。
「ハリー、後で話すけど、私も決していい人間じゃないの。むしろ、娘を守ろうとして、アレッサって子の願いをかなえようと頑張ったあなたの方が尊敬できるわ」
「・・・ありがとう、リリー。君に出会えて、本当によかった。それから、お帰り」
「ええ。ただいま、ハリー」
ニコリとリリーは微笑んだ。
それを見届け、セブルスは壁から背を離した。
「では、そろそろ私はお暇させてもらおう。死体は私が処分しておこう。構わないかね?」
「ええ。手間暇かけさせてごめんなさいね、スネイプ。
一段落ついたら、忠誠の術に立ち会ってもらえないかしら?」
「“秘密の守り人”ならば引き受けよう。・・・いいのかね?」
セブルスは問いかけた。
かつて、リリーは前夫のジェームズ=ポッターとともに、この魔法に頼った。
子供の命を狙ってくるであろう、“闇の帝王”からその身を隠すために。だが、呪文は破られた。
“秘密の守り人”を受けたであろう、人物が裏切ったがために。
「ええ。
前の時は、ピーターに頼んだって後から聞かされて。何度も大丈夫かってジェームズには尋ねたんだけど」
リリーの口から出た名前に、セブルスは軽く眉をひそめる。
本当に、なぜその人選にしたのやら。シリウスかリーマスでは駄目であったのだろうか。
「忠誠の術?“秘密の守り人”?」
「生きた人間に秘密を封じ“秘密の守人”とする魔法だ。
秘密を持つ当人か、守人が漏らさない限り、封じた秘密が外部に漏れることはない。つまり、守人から秘密を教えられていない人間は、“秘密”の間近にいてもその存在に気付くことはないのだ。
秘密を知るには守人から直接教えてもらう必要があり、守人でなければ秘密を知っていても他の人間に秘密を明かすことはできないのだ。
この場合は、引っ越し先の家の場所を“秘密”とし、私と、君たち家族以外は立ち入れなくするということだな」
怪訝そうなハリーに、セブルスは説明した。
「だが、この魔法とて、万能ではない。守り人の意思一つで、秘密は秘密でなくなる。
かつて、Mrs.メイソンはこの魔法で守られているはずの家に住んでいたにもかかわらず、闇の魔法使いの襲撃を受けたのでな」
その言葉に、リリーは視線を落とした。
「ペティグリューを恨んでいるかね?」
「・・・あの当時はね。
でも、考えてみれば、一生遊んで暮らせる財産を持っていたジェームズやシリウスはともかく、ピーターは働かなくちゃいけなかったと思うの。
ご両親とか、扶養家族がいたと思うのに、この上ジェームズやシリウスに面倒を押し付けられて、そのくせ無報酬だったらと思うと、ね。そういう話は一切聞かなかったの。
例えば、“秘密の守り人”をやってもらう代わりに、ご両親は確実に保護するとか、危なくない仕事を紹介するとか、いくらでもやりようがあったと思うのに。
私のように、縁を切ってマグル界に逃がすなんてこともできなかったと思うし。
もしかしたら、人質に取られて言うことを聞かされてたらと思うと・・・強くは非難できないわ。怒ってはいるけどね」
ほんの少し、セブルスは瞠目した。
彼が知っていたころのリリーであれば、烈火のごとく怒り、強くペティグリューを非難しただろうに、今はむしろ同情すらしているようだった。
・・・サイレントヒルに行ったことで、何事か変わったか、あるいは3年という時間で彼女も色々考えることがあったのかもしれない。
「・・・そうか」
ゆえに、セブルスはそこで話を打ち切った。
ペティグリューとは相容れないだろうが、リリーがあまり怒ってないというなら、こちらに危害を加えてこない限り、放置しておくとしよう。
そうして、セブルスはガレージの死体を
「・・・どうするんだい?」
「ハリー、覚えておくといい」
それを不気味そうにひきつった顔で眺めていたハリーに、セブルスは言った。
「イギリス魔法界の暗部に当たる、ノクターン横丁では、違法だが便利な魔法薬や魔法道具も横行している。
私は作りはしないが、魔法麻薬や永続変身用の薬、延命薬、他数種類の魔法道具には、一部、人体パーツを使用するのだ。
もれなく、法で禁じられているが、どこにでもルールブレイカーはいる。
ゆえに、死体にもそれなりに需要はあるのだ」
「・・・治安が悪いわりにノクターンに死体がないのって、そういう理由だったの?」
「推測が入り混じっているがね。
魔法で消すとどうしても魔力の痕跡が残ってしまうからな。聡い魔法使いは勘づくだろう。
死体処理は、やはり専門家に任せるのが一番だろう」
嫌悪感の強い顔をするリリーに、セブルスは肩をすくめて見せた。
なお、セブルスはこの手のことをすでに学生時代に知っていた。
加えて言うなら、セブルスが死体を持ち帰るのは、ノクターンに流すためではなく、自分の実験材料(魔法薬作りではなく、聖杯ダンジョンの儀式素材に流用できないか、試行錯誤のための実験)にするためである。
さすがの彼も、それを馬鹿正直に口にするほど、愚かではないつもりだ。
そうして、今度こそセブルスはメイソン宅を後にした。
後日、引っ越しが完了したメイソン一家に招かれ、セブルスは“秘密の守り人”となった。
なんと、彼らの新たな家はアメリカ国外――イギリスとなったのだ。
リリーやセブルスから聞いて興味を持っていたハリーの提案だったらしい。リリー自身も、3年も経てば大丈夫と思ったらしく、採用となったのだ。
念のため、リリーは娘と一緒に髪の色を金髪にし、簡単な幻覚魔法が付与された眼鏡(度の入ってない伊達眼鏡)をかけて変装して生活することにしたらしい。
そして、ハリーと子供たちにはリリーお手製のお守りが持たされ、守りも万全にされたうえで、さらに金髪となったシェリルは身元を誤魔化すために、ヘザーと偽名を名乗ることになった。
これでひとまず大丈夫だろう。
また何かあったら、鐘で呼んでくれと言って、セブルスは帰宅し、今度こそ普段通りの生活に戻った。
シェリル、改め、ヘザーが自身の運命と対峙するのは、この12年後のこととなる。
続く
【エンディング:犬~ヤーナムエディション~】
※かなり未来のお話で、しかもIF設定。おそらく、このシリーズでここに行きつくことはないでしょうが、大体6巻「謎のプリンス」のクライマックス辺りを想定していただければ。
セブルスは天文台の階段を駆け上っていた。
いやな、予感がする。とてつもない、予感が。
そして、駆け上ったところで、足を止めた。
倒れ伏したダンブルドア。白目をむいて、泡を吹いて、黒く干からびた片手をむき出しにしている彼の前に、それはいた。
ふわふわの白い毛並みに、すらりとした四肢の、4つ足の獣・・・犬だった。
頭部と足元、尻尾と胸元以外の毛は綺麗に刈られた、いわゆるスタンダードプードル姿ながら、それはたたずんでいた。
口元には、ダンブルドアから奪ったらしい杖が咥えられている。
ついでに、たんこぶを頭にこさえて、縛り倒されて猿轡までかまされたヴォルデモート卿も、その近くに転がされて、ムームー唸り声をあげていた。
バカな。
セブルスは青ざめて、唇を震わせて後ずさりながら呻いた。
「オマエノシワザ、ダタノカ」
バキンッと杖をかみ砕いた犬は一声、おんッと吠えると、ドヤ顔するかのように大きく胸をそらして見せた。
がっくりと、セブルスは膝をついた。脳についた瞳が、これで終わりだとささやいてきている。嗚呼、もう、これで終わりなのだ。