セブルス=スネイプの啓蒙的生活   作:亜希羅

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 評価、お気に入り、しおり、誤字報告、ありがとうございました。

 皆さんのおかげで!続きが!続きができたじゃあ、ないですかあ!(敵対時のアルフレート調で)

 メイソン一家については、前回で一区切り。あと3話で第1楽章を締めることとなります。

 ハリーお父さんと、ハリー息子って名前の被り、どうにかした方がええやろか?(ボソッ)




 あとがきには、そろそろみんな飽きてそうな、UFOエンドもあるよ!


【7】セブルス=スネイプ、指輪を壊す

 さて、帰宅後のセブルスはやはり、隠者のような生活をしていた。

 

 「本当、先輩はリリー=ポ、あ、メイソンでしたっけ?とにかく、彼女に甘いんですから!」

 

 セブルスの唐突な長期留守にプリプリと怒るレギュラスは、それでもそれ以上何か言うことはなかった。

 

 結局セブルスが決めて行動に移したということで、口を挟もうとはしないと決めたらしい。

 

 加えて、リリーから届いた謝罪とお礼の手紙に、今更か!と言いつつも、若干態度を軟化させることにしたらしい。

 

 

 

 

 

 さて、以前記述したと思うが、セブルスは魔法薬学の研究のほかに、モグリの闇払いのようなこともしている。

 

 不動産に不法に居座る、有害なゴーストや魔法生物などの駆除をしているのだ。

 

 魔法省の闇払いは、この手のことを頼むと金はかかる癖に失敗したり、そもそも難癖付けて引き受けてくれなかったりするのだ。

 

 父上の頃よりも、人材の性質低下が激しい、ダンブルドアのせいだ、とルシウスは嘆いている。

 

 

 

 

 

 ホグワーツの“闇の魔術に対する防衛術”の教授は、教員名簿にかかった呪いのせいで年変わりするため、年によって授業内容にばらつきがある上、そもそも教員の性質がよくない。

 

 なお、OWL試験(普通魔法レベル試験のこと。通称フクロウ)やNEWT試験(滅茶苦茶疲れる魔法テストのこと。通称イモリ)のある学年は、他の教授が持ち回りで対策講座を実施している。(少なくともセブルスが在学していた頃はそうしていた)

 

 その教員の抜擢をするのは、校長であるダンブルドアの役目で、教員名簿に呪いを受けたのも、ダンブルドアの代の出来事である。(元々は、教員採用に落とされたヴォルデモート卿の腹いせらしい)

 

 なぜ、さっさと解呪しないのだろうか?解呪できないならできないで、とりあえず名簿に適当に別人(死人なり、ヴォルデモート卿本人の名前なり)の名前だけ置いて、実務は別人にさせればいいと思うのだが。

 

 “闇の魔術に対する防衛術”の教授がよくなければ、それを教わる生徒もろくに知識が備わらず、結果、そちらへ進むもの(つまり闇払い)の性質低下もしていく、という悪循環に陥っているのだ。

 

 これはセブルスの持論だが、危険物に対抗するなら、それに対する知識も必要になる。にもかかわらず、それを勉強しているだけで闇の魔法使い扱いを受ければ、最初はそのつもりはなくとも、最終的には、そちらに向かってしまうこともあるだろうに。

 

 ・・・もっとも、セブルスはそれだけでは飽き足らず、もっと実践的な闇の魔術(俗に悪質な呪いともいう)を調べ回って、同じくヴォルデモート卿に魅せられていたエイブリーやマルシベールともつるんで、教師の目の届かないところで同窓の仇討も兼ねて、グリフィンドールの連中にかけていた。

 

 だからなのだろうか、ダンブルドアによって大勢の生徒の前で呼び止められ、「闇に振り回されてはいかんぞ」云々と言い放たれてしまった。彼に悪気はなかっただろう。善意があったにしては悪質であったが。

 

 ダンブルドアのお墨付きの、闇の魔法使い候補ということで、あの連中が調子に乗っても無理はなかった。

 

 あの後に例の事件が起こり、セブルスは退学を決意したのだ。

 

 ・・・自分の心を満たすものを、彼は力――闇の魔術に求めてしまった。

 

 今なら理解できるのだ。そんなものを得たところで、満たされるものなど、何一つ、ありはしない。

 

 脳に瞳を得たところで、満たされなかったように。

 

 

 

 

 

 とにかく。

 

 その日、セブルスは珍しくルシウス経由で入った依頼で、とある廃屋を訪れていた。

 

 そこは、かつてはスリザリンの子孫となるゴーント家が住んでいたとされる邸宅だそうだ。

 

 ゴーント家の最後の者――モーフィン=ゴーントがアズカバンで獄中死してからは打ち捨てられていたそうで、流れ流れてマルフォイ家がその不動産を管理することになったそうだ。

 

 問題は、その不動産に面白半分で入り込んだマグルが、発狂の挙句殺し合いをして死亡という事故物件のような様相を呈したことだった。

 

 悪質なゴーストや、魔法生物が住み着いているのかと思いきや、そのような様相もないわけで。

 

 これは取り壊すにしても、業者に危害が加えられては困ると、最近ブラック系列の不動産でモグリの闇払いをやっているセブルスのことを聞きつけたルシウスが、声をかけてきたというわけである。

 

 いつもの狩人スタイル――枯れ羽帽子に防疫マスク、漆黒のインバネスコートというスタイルで、セブルスは旧ゴーント家を見上げる。

 

 すっかりさびれ、窓は砕けて壁はボロボロ、傾いた屋根には雑草が芽吹いている部分すらある。邸宅というより、ボロ小屋、と言った方が正しいだろう。

 

 腐った床板を踏み抜かないように気を付けながら、セブルスは玄関を押し開けた。

 

 入ると同時に、シューシューという蛇のような声が聞こえた。水を通すように微妙に濁った声は、ホグワーツでも聞いたゴーストの声の特徴だ。

 

 反射的にセブルスは、獣狩りの短銃を引き抜き、声のする方に銃口を向けた。

 

 白く透き通る、壮年の男のゴーストがとびかかってくるのと、セブルスが引き金を引くのはほぼ同時だった。

 

 セブルスの持つ狩人の武器の前に、ゴーストであることなど無意味だ。

 

 廃城カインハーストをうろついていた数多の亡霊たちは、首の有無に関わらず、セブルスによって蹴散らされた。その前に散々彼をめった刺しにしたのだが。

 

 そしてそれは、ヤーナムの外でも例外ではない。

 

 襲い掛かってきた、蛇語らしき奇妙な言葉をしゃべるゴーストは、セブルスの水銀弾に、はじかれるように叩き落された。

 

 苦痛にもがきながらも、戸惑った様子のゴーストに、セブルスはそのまま素早く近寄り、その腹に右手を突き入れた。

 

 ゴーストだろうが、狩人の内臓攻撃の前では無意味である。

 

 そして、セブルスは銀色の血にまみれた臓物を引き抜いた。

 

 そのまま、ゴーストは、白っぽい煙のように霧散して、消えてしまった。

 

 右手の臓物も消えたため、セブルスは軽く右手を振ってから、建物の奥に目を向ける。

 

 廃屋は薄暗く、よく見えない。

 

 無言呪文の発光呪文(ルーモス)で、腰の携帯ランタンに明かりを灯し、セブルスは改めて廃屋の奥に向かって歩き出した。

 

 その妙な不快感を感じたのは、屋敷の一番奥、不自然にはがれた床板付近だった。ざわざわと、耳の裏で何事かささやかれるような、不快感だ。

 

 何か、ある。

 

 周囲を見れば、飛び散った血や、荒れた様子などから、この辺りでマグルが錯乱して殺し合いを始めたらしい。

 

 近寄って目を凝らせば、床板の隙間に何かがある。

 

 セブルスは、そこに手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 「今戻った」

 

 「お帰りなさい、先輩」

 

 「お帰りなさい、狩人様」

 

 それからしばらく後、セブルスは依頼完了の報を持たせたフクロウをマルフォイ邸に飛ばし、そのまま“葬送の工房”に帰宅していた。

 

 インバネスコートを脱いでコート掛けにかけ、普段なら一人掛けのソファに腰かけるところを、そうはせずに黒檀のデスクについて、ポケットから取り出したものを無造作にその上にばらまいた。

 

 それは、指輪だったのだろうか。くすんだ銀色の、古びた質感のそれは、真っ二つに割れており、左右対称のアーチになって、転がっている。宝石付きの指輪だったのか、アーチの端には台座の痕跡があった。痕跡だけだ。あるべき宝石はそこにはない。

 

 フンッと一つ鼻を鳴らし、セブルスは右手を軽く振って、無言呪文による呼び寄せ呪文(アクシオ)で本を数冊手元に引き寄せた。

 

 もともとこの家は、“狩人の夢”の狩工房をモデルにしており、書斎をかねたリビングはそれが最も顕著だった。

 

 すなわち、壁一面がぎっしりと本で埋まっているのだ。本はヤーナムから持ち帰った医療教会の資料もあれば、魔法薬学関連の著書もあるし、マグルの医学書や、闇の魔術関連のものや、はたまたサイレントヒルからの呪術や、降神術関連の書籍と、多岐にわたる。

 

 ちなみに、セブルスがいま目を通しているのは、闇の魔術関連の書籍と、魔法界の歴史書である。

 

 「先輩?どうしたんです、それ。指輪、ですか?」

 

 「ああ。今日、旧ゴーントの邸宅の掃除を頼まれたんだが、そこで拾った。

 

 分霊箱(ホークラックス)になってたから、壊した」

 

 しれっと、晩飯の献立を報告するような、さも当たり前の口調で言ったセブルスに、レギュラスは一瞬呆けた顔をした。脳の処理能力が追い付いてなかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 なお、セブルスは単純に壊した、と言ったが、正確には嵌めたらどうなるかな、という好奇心に突き動かされて、指輪を指にはめてしまい、呪いで呪死。夢としてやり直したのだ。

 

 指輪の台座の石は、その時に破裂するように壊れた。欠片も残らなかった。血の遺志を大量に取り込んだ狩人が、大量に背負うだろう遺志――魂と記憶を読み取ろうとした結果、さすがの“蘇りの石”も容量オーバーしてしまったらしい。

 

 復活後、落としてしまった指輪は即座に、ノコギリ鉈で真っ二つにした。

 

 使い道のなさそうな呪いのアイテムなど、アイテム欄を圧迫するだけの害悪だ。コレクション癖のある他の狩人なら、保管箱の肥やしにすることも考えたかもしれないが、同居人に被害があっては困ると早々に壊した。

 

 明らかに嵌めたらやばそうと思っても嵌めたのは、狩人あるあるだろう。

 

 どうせ死んでも、遺志を落っことすだけで、それも回収できるんだし。

 

 閉鎖されているビルゲンワースにだってズンズン踏み込むし、行っちゃダメとさんざん言われた、狩人の悪夢の奥深くにずかずか踏み込み、感心されない死体漁りで時計塔のマリアをたたき起こし、隠された秘密そのものだろうゴースの死骸から出てきた遺子を張っ倒した。

 

 『秘密は甘いものだ。だからこそ、恐ろしい死が必要になる。愚かな好奇を、忘れるようなね・・・』

 

 時計塔のマリアはそう言っていたが、探求の学び舎たるビルゲンワースにもまた源流があるであろう狩人に、好奇心を忘れろとは、とんだ無理難題である。

 

 

 

 

 

 ややあって、レギュラスは言葉にならない声でパクパクと口を開け閉めしながら、セブルスの座るデスクに駆け寄り、かぶりつくようにその身を乗り出す。

 

 「先輩?!何を当たり前のように?!」

 

 「私が分霊箱(ホークラックス)を壊せるのは、知っているだろう。まして、隠し場所が場所だ。ほぼ間違いなく、その持ち主は“闇の帝王”だろう」

 

 言って、セブルスは書籍から目を上げもせずに、舌打ち交じりに本を閉じて次の書籍に取り掛かる。

 

 「場所? ああ、ゴーント家、ですよね?スリザリンの末裔で、没落した・・・っ!」

 

 ハッとした様子で、レギュラスが息をのんだ。

 

 「“闇の帝王”は、スリザリンの末裔として名高い。

 

 加えて、すでに分霊箱(ホークラックス)を作っていたという前歴もある。

 

 奴が作っていたのが、お前が奪取したあれ一つとは限らないということだ」

 

 加えて、これは声に出さなかったが、以前のセブルスがヴォルデモートを倒した時の手ごたえのなさも、これならば説明がつくのだ。

 

 「そんな・・・いいえ、確かに、あいつなら十分考えられます。

 

 分霊箱(ホークラックス)の複数作成なんて・・・。

 

 作った数だけ人を殺し、魂を引き裂くっていうのに、そんな邪法中の邪法を、複数回行うなんて・・・やはり、奴は恐ろしい魔法使いです」

 

 ブツブツ言いながら、レギュラスはデスクの前を檻の中のクマがそうするように、うろうろ行き来しながら言った。

 

 「ブラックに伝わる歴史書の中でも、分霊箱(ホークラックス)を作成した魔法使いの記録は残っています。最大3つ、というのが記録に残っていました」

 

 「そんなに単純なものかね?あのヴォルデモートが、たかだか3つで満足するような男には、私には到底思えないがね」

 

 「もっと作ったと?」

 

 「今までの分霊箱(ホークラックス)からしてな。どうも、そんな気がしてな」

 

 「ええっと、スリザリンのロケットと、その小汚い指輪、ですよね?」

 

 「・・・これは死の秘宝の一つ、“蘇りの石”――正確には、その残骸だ。分霊箱(ホークラックス)ごと壊してしまったからな」

 

 「死の秘宝?!詩人ビートルの!実在していたんですか!」

 

 驚くレギュラスに、セブルスは軽く頷いて見せた。

 

 詩人ビートルによる、死の秘宝。魔法界のものなら、誰でも一度は聞いたことのあるおとぎ話だろう。

 

 詳しくは省くが、全部で3つ。ニワトコの杖、透明マント、そして、セブルスが持ち帰った、指輪――正確には、その台座に収まっていた、蘇りの石である。

 

 蘇り、というが、死者そのものを蘇らせることはできず、精々生前の姿を幽霊よろしく呼び出すくらいである。触れ合うことはできず、本当に姿を呼び出すだけなのだ。

 

 その前に石が砕けてしまったので(セブルスのせいで)、真偽は定かではないが。

 

 

 

 

 

 死者蘇生など、言い伝えや真偽定かでない禁呪含めて、総じて嘘っぱちの集大成、不可能の証左である。

 

 サイレントヒルにも、死者蘇生の儀式が伝わっており、セブルスも先日再訪した際にそれを調べてみたが、眉唾物だと思っている。

 

 あの、“神”を崇める“教団”の巣食う、サイレントヒルである。

 

 よしんば、儀式で死者蘇生が成功したとしても、甦ったそれは、生前とは程遠い何か(それこそ人間ですらない)になっている可能性が高いだろう。

 

 なお、セブルスはちゃっかりサイレントヒルから儀式に使う素材(黒の杯、白の液体、赤の経典など)を持ち出している。

 

 使いはしない。調べるだけだ。好奇心は、狩人の源流の一つである。

 

 

 

 

 

 大分、昔――ヤーナムの記憶のせいでかなり摩耗してしまっている昔の記憶の中に、それはあった。

 

 まだ父がセブルスに暴力をふるうこともせず、昼の工場働きで夜は酒を飲んでさっさと寝ていたころ。

 

 物心ついたばかりのセブルスに、母が寝物語として詩人ビートルの“死の秘宝”について聞かせてくれたのだ。

 

 ロマンと冒険好きな男の子の例にもれず、セブルスは寝ぼけ眼ながら恐ろしさと同じくらい、ワクワクしたものだ。

 

 そして、その話の最後に母は必ず、こう付け加えていた。

 

 『この話は、本当の話なのよ。どこかに必ず、“死の秘宝”はあるの』と。

 

 夢物語、とセブルス自身は思っていた。だが、母の言の正しさは、ホグワーツに入学した後に、よりにもよって天敵によって証明されてしまったのだ。

 

 ポッター家に伝わる透明マントは、市販品のすぐさま効力の失われる安物ではない、永続性のあるものだった。

 

 おそらくだが、あれこそが“死”すらも欺いて見せた、本物の透明マントなのだろう。

 

 

 

 

 

 なお、その正当な継承者は、そのマントを夜中の校内探検やいたずらにもっぱら用いていた。

 

 開発者を始め、ポッター家の祖先が見れば、「そんなことのために残したものじゃない!」と嘆きそうな話である。

 

 

 

 

 

 さらなる余談となるが、現在、その透明マントは、ポッター家の生き残りとなるリリー達の手元にはない。

 

 リリー=メイソンが、メイソンに名を改める前に赤子のジュニア(当時の名はハリー=ポッター)を連れて、ほぼ身一つの逃避行に出たのは、セブルスも知るところである。

 

 彼女がポッター家からかろうじて持ち出せたのは、自身の杖、グリンゴッツの金庫の鍵を一つ(ポッター家は複数金庫を持っていた)、わずかな現金といくばくかの身の回りの品、そして身につけていた呪い無効の指輪と、セブルスを呼ぶことの出来る鐘、以上である。

 

 つまり、透明マントはない。

 

 メイソン一家がイギリスに腰を据えてからも、ハリー=メイソンとの文通は続いているが、そこにリリーが手紙を交えてくることもあり、その時にセブルスはふと、あのマントがあれば隠れることもできたのでは?と尋ねてみたのだ。

 

 リリーからの返信はこうだった。

 

 ジェームズ=ポッターがダンブルドアに、勝手に貸し出していた。自分は後からそれを聞かされ、今の状態で何を考えてるのだ、すぐに返却させろと文句を言ったが、楽観視(「“忠誠の術”があるから大丈夫!」「リリーは心配性だなあ。僕が守るって!」など)されて聞き入れてもらえなかった。

 

 結論として、透明マントはダンブルドアの手元にあることになる。・・・おそらく。

 

 

 

 

 

 「・・・わかりました」

 

 グッとレギュラスが顔を上げた。何事か決意しているような表情だった。

 

 「他の分霊箱(ホークラックス)について何か手掛かりがないか、探ってみます。

 

 あいつがいる限り、僕はずっと怯えなければいけませんし、またクリーチャーのようなハウスエルフが虐待され続け、同じことの繰り返しになるでしょうから」

 

 そうして、レギュラスはニコッと笑う。

 

 「先輩も、そうしようとしてるんですよね?メイソン一家のために」

 

 「・・・わかっているなら訊くな」

 

 むっすりとセブルスは答えた。

 

 そう、セブルスは分霊箱(ホークラックス)のことを洗い直すべく、古い書籍を漁っていたのだ。

 

 「個人的には、わざわざ“死の秘宝”を分霊箱(ホークラックス)にしたのには、理由があるのではないか、あるいはあのロケットも、何がしかのこだわりの結果ではないかと思っている。

 

 自分の魂の容れ物なのだ。“闇の帝王”の性格ならば、その辺のガラクタを適当に分霊箱(ホークラックス)にするのはありえないだろう」

 

 「あのロケットは、確か、ホグワーツ創始者の一人、サラザール=スリザリンのロケットです。

 

 創始者の所縁の品は、各地でその縁者や末裔に受け継がれているはずですが・・・まさか?!」

 

 視線をさまよわせていたレギュラスは、最後のところでハッと顔をこわばらせた。

 

 セブルスは、無言で一つ頷いた。

 

 他の品も、分霊箱(ホークラックス)にされている可能性がある、ということだ。

 

 「見つけたら、手を出さずに私のところに連絡をくれ。

 

 ハウスエルフでも破壊不可の品でも、私なら壊せる」

 

 「わかりました。

 

 “闇の帝王”でしたら、配下の死喰い人や、所縁の地を当たったほうがいいかもしれませんね。何がしか魔法の罠も仕掛けられているでしょうし。

 

 レオ=ノワールの伝手をいくつか当たってみます」

 

 大きく頷いて、レギュラスはリビングを出て行った。

 

 

 

 

 

 なお、レオ=ノワールというのは、レギュラスの偽名である。

 

 彼は現在、亡き父オリオン=ブラックから事業の後継を任された、レオ=ノワールと名乗っているのだ。

 

 ノワールは、大昔のブラックの末席が国外に出て国籍を移した後にとある国において名乗りだした名前だ。つまりは、一応ブラックの血縁であるので、オリオン=ブラックが目をかけてもおかしくない、というお題目ができる、というわけだ。

 

 長男は勘当され、次男は失踪という形で後継者を失ったブラック家の後継ぎとなるべく、養子に迎えられた、という設定で通しているのだ。

 

 ブラック家の血縁者なので、容姿が似通っていても、不思議ではないという理屈も成立する。

 

 

 

 

 

 必ず、君たちを自由にする。

 

 憂いなく、この国で堂々と暮らせるようにしてみせる。

 

 強く、セブルスは誓った。

 

 そうして、彼は再び書籍に目を落とし始めた。

 

 

 

 

 

続く




【壊れた指輪】

 台座にあるべき石が砕けている古ぼけた指輪。

 内側に、C.Peverellと刻まれたその指輪は、スリザリンの末裔、ゴーント家が長きにわたり受け継いできた。

 誇りは血とともに淀み、指輪は失われ、再び持つべきものの手に収まった時、指輪は指輪でありながら、闇の帝王の魂の断片を秘める器となった。

 台座の石など、指輪の今の主にとっては、何の意味もない。





 ちょっと短いけど、今回はここまで。

 ちなみに、このシリーズの時間軸では、原作主人公ことハリー=ポッター改めハリー=メイソンJr.君は、分霊箱になってない。当然、蛇語もしゃべれない。

 お母さんの愛の魔法がかかってないし、ヴォルデモートはリリーさんに手を出す前に、セブルスさんにモツ抜きされて肉体消失しちゃったからね。しょうがないね。





 さらに蛇足。

 この頃は、無印サイレントヒルから5年後に当たります。

 つまり、こう。

-5年 無印サイレントヒル(セブルスさんはヤーナムを出た直後、啓蒙高い世界一周中)

-4年 セブルスさんが帰国。ポッター夫妻の結婚&ハリーJr.の誕生

-3年 運命のハロウィーン。ヴォルデモート卿によるポッター家襲撃事件。生き残ったポッター母子はセブルスさんの伝手を通じて、海外、メイソン家へ。

第1楽章4~6時点 サイレントヒル2、及び教団員によるシェリル襲撃。



 第1楽章4~6時点で、シェリル5歳、ハリーJr.4歳ということになります。

 サイレントヒル3は、ハリーJr.が魔法学校6年生時点でスタートかな!

 でも、その前にサイレントヒル4が来るかもね!サンダーランド夫妻行方不明から10年でサイレントヒル4が来るらしいから。





 お待たせ♡





【エンディング:UFO~ヤーナムエディション~】

 リリーは目を瞬かせた

 いくら悪戯好きのジェームズでも、こんなのありかしら?

 「やあ!リリー!迎えに来たよ!」

 ビカビカと輝く銀色の円盤状の乗り物――アンアイデンティファイ・フライング・オブジェクト、略称UFOから降りてきたジェームズが、丸眼鏡の奥で茶目っ気たっぷりにぱちんとウィンクして見せる。

 ・・・なお、リリーは夫に夢中で、夫がその周囲に銀色の頭でっかちの子供ほどの生き物――いわゆるグレイを連れているのには、気が付いていなかった。

 確かに、彼女は彼を探しに来たのだけれど。

 まあ、いいか。会えたんだし。

 混乱気味の彼女の脳みそは、たやすく思考を放棄した。

 「ジェームズ!」

 とりあえずリリーは、彼に駆け寄ろうとした。

 だが、次の瞬間、銀色の円盤に、青白いいくつもの光弾が降り注ぎ、それを穴だらけにして爆破、破壊した。

 わけのわからない悲鳴を上げながら吹っ飛ぶグレイたちと、黒髪を縮れ毛パーマにしながら吹き飛んできたジェームズに、リリーは目を点にながらも、どうにか駆け寄って抱き起す。

 「知らんのかね?宇宙は、空にある」

 ドヤ顔でわけのわからないことを言いながら出てきたのは、セブルス。彼は名状しがたい奇怪で巨大な存在の肩に立っていた。

 触手をより合わせて作ったような奇妙な翼に、ぬめるような青みがかった肌の――シルエット的に女性だろうか?そしてイソギンチャクのような頭部は4つに割れてて、宇宙色の双眸をこちらに向けてきている。

 見捨てられた上位者、星の娘エーブリエタースである。

 それを認識した瞬間、リリーも悟る。

 ああ!宇宙って、空にあったのね!

 無言のまま、セブルスはそこで右手は天に、左手を地面と水平にする――いわゆる“交信”のポーズをとる。

 リリーもそれに倣た。

 逃げ回るグレイたちと、目を回したままひっくり返っているジェームズは一顧だにせずに。

 宇宙よ!やがてこそ、舌を噛み、語り明かそう。

 明かし語ろう・・・新しい思索、超次元を!






 冗談でやってみたUFOエンド。多分、二度とやらない。

 あとはみんなで、サイレントヒルの歌を歌いましょう♪
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