セブルス=スネイプの啓蒙的生活   作:亜希羅

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とりあえず2話分だけ。
ハリポタ原作を読んだのが大分昔なので、矛盾もだいぶあるかもしれませんが、笑ってお見逃しください。


【第0楽章】予言の子が生まれるまで
【1】セブルス=スネイプは、先輩と再会する


 大学の勉強に必要な、材料や学用品の関係でダイアゴン横丁に出入りしていたら、見知らぬ輩に絡まれた、とスネイプは当初思ったのものだ。

 

 「セブルス=スネイプ!元気そうだな!」

 

 肩を掴まれ、呼びとめられ、振り返ったスネイプは眉を寄せた。

 

 はて?こんなプラチナブロンドを撫でつけた美丈夫、知り合いにいただろうか?

 

 記憶を辿ってみるが、如何せんヤーナムでの日々が濃すぎて、ホグワーツの思い出がその分摩耗してしまっている。

 

 魔法薬学に関しても、得意分野であったにもかかわらず、忘れている部分がかなりあり、自分で驚嘆したのだ。何でこんな簡単なことまで忘れているのだ!と。

 

 もっとも、少し復習すれば簡単に思い出せたのだが。

 

 「? どうした?」

 

 「・・・あの」

 

 怪訝そうにする美丈夫に、あなたは誰かと問い返そうとして、はたとセブルスは思い出す。あの苦労を一身に詰め込んだような広い額は、確かに見覚えがある。

 

 「ルシウス先輩?」

 

 やっと出てきたその名前に、相手――ルシウス=マルフォイは安堵したように笑みを浮かべる。

 

 「久しいな。ホグワーツを退学してから、その後の足取りが全くつかめなかったから、心配していたんだぞ」

 

 「その節は、ご心配をおかけしました」

 

 ルシウスの言葉に、セブルスは頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 ルシウス=マルフォイは、セブルスをかわいがってくれたし、グリフィンドールから虐められていた彼を、それとなくかばってくれた、同じスリザリンの先輩である。

 

 純血の名門であるマルフォイ家の次期当主であるため、頼りすぎるわけにはいかないが、利害関係が一致すれば力を借りるのもやぶさかではない。それがセブルスから見たルシウス=マルフォイである。

 

 

 

 

 

 

 「今まで何をしていたのだ?」

 

 「・・・退学してからは、少々早目ではありましたが、世界一周(グランドツアー)にいってまして。数か月ほど前に帰国して、身辺を整理してからは、ケンブリッジの魔法薬学部に籍を置いています」

 

 ルシウスの問いかけに、セブルスはざっくりと、ここまでの経緯を語った。

 

 嘘は言ってない。事実全てでもないが。

 

 

 

 

 

 

 もっとも、ヤーナムやらサイレントヒルやら上位者やら神やらのことを話したところで、どこまで受け入れてもらえるか。

 

 人間は自分の常識の埒外の世界は基本的に受け入れないのだ。

 

 それは例え、魔法族であろうと。魔法でもあり得ないものは、受け入れない。

 

 あんな土地の話、闇の魔術のことを調べまわっていた自分さえ、聞いたことがなかったのだから。

 

 ゆえに、セブルスは詳しく語らなかった。聞かせるようなことでもないだろう。今のセブルスならばうんざりしてまたかと流せるが、常人からしてみれば、どこまで行っても腐臭と冒涜しかない、悍ましい悪夢なのだから。

 

 

 

 

 

 

 「世界一周(グランドツアー)・・・!

 

 どうりで、雰囲気が変わったわけだな・・・」

 

 ルシウスの眼差しが、しげしげとセブルスに注がれる。

 

 

 

 

 

 

 実際、セブルスの容姿は、ホグワーツに在学していた頃とは大きく異なった。

 

 服装はマグルのもの、というより、ヤーナムで手に入れた狩装束を、消臭呪文で匂い消しし(何しろ獣や化物の返り血をたっぷり吸っていた)、枯れ羽帽子と防疫マスクの頭装備を除いた格好だ。

 

 黒いインバネスコートは、魔法族のものというには近代的すぎ、マグルのものというには古めかしかった。

 

 銀色の手甲のついたグローブと同じ色の脚甲のついたブーツもいささか浮いているが、闇の陣営が暗躍しまくるこの時世だ。多少毛色の変わった格好をしていようと問題はあるまい。

 

 ついでに、上位者になった影響か、髪はベトついた油気が抜けてサラサラになっており、背中の中ほどまで伸びているそれを首の後ろでゆるくくくっている。

 

 ・・・これはルシウスは気が付かなかったのだが、セブルスの瞳もまた、かつてと異なっていた。

 

 卑屈に歪みながらも英知を宿すオブシディアンをしていた瞳は、今は底知れない深淵と光加減次第では群青や瑠璃色にも見える、まるで宇宙のような色に変わっていた。

 

 もっとも、一見すると黒のままなので、誰も気が付いたことはなかったのだが。

 

 

 

 

 

 

 「いろいろ、あって、学びましたので・・・」

 

 セブルスはやんわりと言葉を濁すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 何しろ、あの悍ましい悪夢の旅のさなかで習得できたものは、マグルの武器であるはずの銃と仕掛け武器の扱いと、化物の殺し方、修羅場の潜り抜け方、あとは化け物の種類に関する知識くらいである。

 

 魔法界についての知識など、まったくもって無習得である。

 

 

 

 

 

 

 「立ち話もなんだな。この後、空いているかね?」

 

 ルシウスの言葉に、セブルスは少し視線を伏せる。

 

 家には人形――モデルにちなんでメアリーと名付けた忠実なる家人がいるが、彼女には“使者”を通じて遅くなる連絡を入れ、久しくルシウスと話すことにした。

 

 いくらセブルスが魔法界の片隅で生き、死など夢からの目覚め程度にしか意味を成さない上位者といえど、友人付き合いは大切だろう。

 

 魔法界の近況を知る良い機会にもなる。

 

 

 

 

 

 

 ルシウスに続いて、パブ『漏れ鍋』の特等席に腰かけながら、ふと、セブルスは思った。

 

 ・・・そういえば、彼の闇の帝王は、死を超越することを謳い文句にしていなかったか?己の中身、うちに流れる蒼褪めた血のことを、彼が知ればどうなる?

 

 取り立てて誰かに話すつもりはなかったが、これは伏せておくに越したことはない。

 

 元々閉心術は得意であったが、さらに磨きがかかりそうだとセブルスは思った。

 

 ・・・もっとも、今のセブルスを誰かが“開心”しようものなら、あまりの冒涜ぶりと啓蒙の高い記憶の数々に、発狂待ったなしであろうが。

 

 

 

 

 

 

 軽い食事をとりながら、二人は近況について話した。

 

 ルシウスは実家の事業を継いでおり、荘園の管理やらで忙しくしている。

 

 加えて、“死喰い人”の活動にも従事しているらしい。もっとも、表立って戦闘や破壊はせず、資金提供や裏工作を買って出ているらしい。

 

 ・・・なお、これらのことはセブルスが、ルシウスの言葉の端々から察したことであり、ルシウスがはっきりと説明したわけではない。

 

 壁に耳あり、障子に目あり。東洋の故人は、うまいことを言ったものである。

 

 どこに“死喰い人”や闇の陣営、あるいはその逆――不死鳥の騎士団や光の陣営のスパイが潜んでいるか、わかったものではない。

 

 セブルスはといえば、大学での課題や研究についてぽつぽつと語り、例の冒涜的な世界一周(グランドツアー)については、合間合間の移動中に見かけた、珍しいこと――けして冒涜的でない、マグルの風習やアジア圏の魔法界の人々について語った。

 

 そうして、話が一段落ついたところでお開きとなり、二人は別れた。

 

 周囲には分からないように、連絡先を交換して。

 

 近いうちに、ルシウスのフクロウは、セブルスの家――“葬送の工房”を見つけることだろう。

 

 もっとも、セブルスはフクロウを持ってないので、返信はできない。

 

 加えて、今の時世では、フクロウ便は、第3者に捕まえて中身を見られても構わない通信だと大声で宣言するようなものである。

 

 ・・・実は、セブルスは、次元を超越できる(つまりどこにでも現れられる)夢の使者の使役ができるので、彼らに手紙を届けてもらうこともできるのだが、ルシウスにどう説明したものか。

 

 馴れるとあれらもなかなかかわいいのだが、パッと見た限り不気味でしかない。言葉はわからないし。実際、最初セブルスも話しかけるのに勇気が要った。

 

 下手をすれば、新手の闇側の魔法生物と判断されて駆除されそうで怖い。

 

 まあ、ルシウスから手紙が来たら、またその時に考えよう。

 

 

 

 

 

 

 “姿現し”で“葬送の工房”から程よく離れた場所に現れ、セブルスは歩き出す。

 

 黒いインバネスコートと長い黒髪を翻して背筋を伸ばして闊歩するさまは、実に堂々としていた。猫背は、狩人になった際に、矯正した。正しい姿勢で武器を構えないとうまく力が入らないからだ。ちなみに、彼は一見すると手ぶらである。

 

 おそらく店側からは、縮呪文で買ってきたものをしまっているように見えているのだろうが、実際のところは血の遺志に変換して収納しているだけだ。

 

 大量のアイテムやら武器やら狩装束やらを、必要や趣味に応じてヤーナムでは使い分けていたものだ。

 

 上位者になった今も、それらはセブルスが呼吸同然にできる技能となっている。

 

 ・・・なお、今も仕掛け武器と銃火器は持ち歩いている。今装備しているのは最初からのパートナーであるノコギリ鉈と、威力が素晴らしい爆発金槌。銃火器の方は、獣狩りの短銃と、カインハースト謹製のエヴェリンである。

 

 

 

 

 

 

 「今戻った」

 

 「お帰りなさいませ。セブルス様」

 

 スカートをつまんで恭しく一礼する人形、メアリーにうなずいて、セブルスは買ってきたものをインバネスコートの懐から取り出す――ように見せながら、血の遺志から実体に再転換する。

 

 ぶっちゃけると周囲に人がいない今、コートから取り出したように見せかける必要はないのだが、もはや癖になっているので、仕方がない。

 

 取り出されたそれを、メアリーは丁寧に持ち上げ、片づけていく。

 

 薬品の材料は、地下の保管庫へ。

 

 食品は、台所へ。(彼は上位者であるので食事の必要もないのだが、味覚は感じる。今は食事は娯楽に近い)

 

 他のものは、主であるセブルスに確認を取りながら、片づけて行った。

 

 セブルス本人はといえば、インバネスコートをコート掛けに掛けるや、お気に入りの一人掛けのソファにかけて、新しく出たばかりの魔法薬学の論文に目を通し始めた。

 

 でなければ、理論の実践、あるいは新しく組み立てるために、地下の魔法薬の工房に立てこもるか、狩道具の手入れをする、でなければ聖杯ダンジョンに潜るというのが、大学に通う以外のここ最近の彼のルーチンワークである。

 

 如何にイギリスに戻ってまともな生活を試みようと、一度狩りと血に酔い、その愉悦を知ってしまった身の上である。

 

 定期的に狩りに出て、腕前を錆びつかせないようにしているのだ。その方が、自衛にもなるし何かといい。

 

 ついでに血晶石も手に入る。親の顔よりも3デブを見た記憶の方が強い、というのは言い過ぎか。

 

 9kv8xiyi・・・聖杯を受領したまえよ・・・。

 

 

 

 

 

 

 数日後、セブルスはまたしても、知り合いと係わることになる。

 

 ・・・ただし、彼は例のごとく、とっさに彼のこと――親愛なるレギュラス=ブラックのことを思い出せなかったのは、言うまでもない。

 




【魔法界の通貨】

 イギリス魔法界を流通する通貨。

 銅貨がクヌート、銀貨がシックル、金貨がガリオン。

 明けぬ夜も、暮れぬ日もない魔法界では、金銀は普通に価値あるものである。

 先立つものは、いかなる時も必要なのだ。



 ブラボ風テキスト。無理くり絞り出しました。

外伝(ポッター家周辺惨殺現場、予言、シリウス裁判関連のあれこれについて。ブラボ要素はほぼ皆無)を読んでみたいですか?

  • もちろん!すぐに!
  • サイレントヒル2編の後で!
  • 第1楽章終了後で
  • むしろプリンス家関連の話の方がいい
  • 興味ないです
  • その他!
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