セブルス=スネイプの啓蒙的生活   作:亜希羅

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 前回は、評価、お気に入り、しおり、ここ好き、誤字報告、ありがとうございました。

 さて、今回から一応『秘密の部屋』編をやってきます。バジリスクとのバトルは書いてて楽しかったです♪

 原作が全7巻(呪いの子とかファンタビとかいろいろ外伝もありますけど)の大長編ですので、書きたいところだけやってくスタイルです。



 Q.2巻の時の先生方、無能すぎん?魔法生物飼育学教授辺りなら、バジリスクに気が付いてもよかったんちゃう?

 A.あの年、ロックハートさんが仕事邪魔してたし、あの分なら無能ぶりにさらによその教授の仕事増やしてたんとちゃう?
 秘密の部屋とそこにおる怪物のことなんて考えとる間がなかったんや!


 ↑という邪推のもと、第3楽章を執筆しましたので、念頭に置いといてください。


 2021.06.12.追記

 ゴーストと校長の関係当たりの記述でちょっと文章的におかしな部分があると指摘を受けたので、直しました。また何か違和感を感じたら、ご指摘いただけると幸いです。


【第3楽章】秘密の部屋と森の蜘蛛
【1】ロックハート襲来、からの秘密の部屋の開放


 

 あいつ、挽肉にしていいかな?遺志はいらん。ドロップアイテムもいらん。頼むから死んでくれ。挽肉になって死んでくれ。

 

 新学期が始まってから、セブルスはたびたびそう思った。

 

 「やあMissメアリー!本日のお菓子もおいしそうだ!」

 

 「こんにちは、ロックハート様。こちらはセブルス様のお茶請けになりますので」

 

 「スネイプ先生一人じゃ食べられないだろう!それにずいぶん大きくて重そうだ!よかったらお持ちしようかな?私の浮遊呪文なら、そのバスケットも軽々さ!」

 

 「・・・先日、そのようにおっしゃられて、ブラウニーを飾り付け用のクリームとベリー類ともども粉々につぶされたと思いましたが?」

 

 変わらぬ淡々調子のはずなのにメアリーの声が一段と冷たく、硬い声に聞こえるのはセブルスの気のせいではあるまい。

 

 「今度は大丈夫さ!この間は少し調子が悪かったんだ!今度こそ大丈夫だとも!私を信じたまえ!」

 

 厨房で作った菓子の入ったバスケットを抱えるメアリーに絡むギルデロイ=ロックハートを見ながら、セブルスは今すぐ獣狩りの斧で首をちょん切ってやりたい衝動を必死に堪えていた。今殺すと後が面倒になる。

 

 斧は堪えたが、ガラシャの拳で背後から殴り倒した。

 

 ご自慢の輝くようなスマイルから床にめり込み、鼻血を床に広げて意識を虚無の国のサイン会に旅立たせたロックハートをしり目に、セブルスはどこかほっとした様子のメアリーを無言で連れて、地下牢へ向かう。顔は見られていない。目撃者もいない。誰がやったかは特定できないはずだ。

 

 ・・・あの日のメアリーは見てられなかった。

 

 申し訳ありません、セブルス様、とどこか泣きそうにも見える様子で、グシャグシャのブラウニーの残骸に汚れたバスケットを抱えていたメアリーを、気にするなと頭をなでて必死に慰めたのだ。

 

 これからしばらくは、作った菓子の運搬はハウスエルフに依頼するように言いつけようと、セブルスは思った。

 

 またロックハートの被害に遭えば、メアリーは落ち込み、セブルスも茶菓子が食べられない。泣きっ面に蜂どころのレベルではない大損害だ。

 

 メアリーを泣かせるなど、万死どころか億死にも値する。生かしてやっているだけロックハートはありがたいと思うべきだ。

 

 ちらっと角を曲がるとき、まだ鼻血の海に奴が沈んでいるのを確認し、セブルスは内心で毒づいた。

 

 何でこんな奴を正規採用した!ダンブルドア!

 

 

 

 

 

 さて、ハリー=メイソンJr.並びに、ドラコ=マルフォイ、及びセブルス=スネイプ魔法薬学正規教授2年目のホグワーツが始まった。

 

 今年はさすがに例の4階廊下の仕掛けは撤去されたらしく、それについての言及はなかった。

 

 ただし、“闇の魔術に対する防衛術”の新任教授である、ギルデロイ=ロックハートを除く。

 

 正直、セブルスは、これってどうなの?とリリー=メイソンより、ホグワーツから届けられた教科書リストを見て、めまいがした。

 

 これで何をどう教われと?セブルスも教科書として載っている書籍にはちらちらと目を通してみたが、冒険譚としては面白かった。だが、教科書としては何一つ成立していないように思う。(そのくせ人気書籍ということで馬鹿高い)

 

 セブルスたちが在学頃も、あの科目の教師はポンポン変わっていたが、ここまで金食い虫な教材指定をしてきた教授はいなかったように思う。貧困家庭などは、きっと大変なことだろう。

 

 今更ながら、ハリー=メイソンJr.は後遺症もなく無事意識を回復させ、マルフォイ家が費用を出してセブルスが作った魔法薬によって傷跡一つ残さず治癒した。

 

 この世の終わりという顔で病室にお見舞いに来たハリーJr.を轢かされた運転手(ドビーの魔法でハリーJr.を見えなくされていたのだ)を始め、他保険会社や警察などのこまごましたこともすべてルシウスを筆頭としたマルフォイ家がハリー=メイソンの要請の下、きっちり後始末をした。

 

 メイソン一家以外のマグルの人間はすべて記憶と記録を改ざんし、事故自体なかったこととしたのだ(運転手に至っては被害者でしかなかったわけで。ドビーは彼の都合は考えなかったらしい)。病院の方もジュニアが退院と同時に改ざんされた。

 

 守れなくてごめんね!と抱きしめるヘザーと、ドビーがすまないと涙目で謝るドラコに、ヘザーやドラコのせいじゃないでしょ?気にしてないよ!とにっこり笑ったハリーJr.のやり取りもあった。

 

 よかったよかった、と一同が涙ぐんだのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 なお、正史であれば、ドビーの妨害によって列車に乗り遅れたハリー=ポッターとロン=ウィーズリーの二人が、空飛ぶフォードアングリアで暴れ柳に突っ込むという大惨事をやらかすのだが、そもそもドビーはマルフォイ家をクビになって、頭の中に響く湿った導きの音に夢中になっている(ついでに、マルフォイ家で経験した記憶も綺麗に消されている)ので、そんなことは起こっていない。

 

 ハリー=メイソンJr.は、今年もドラコ=マルフォイと仲良く列車に乗れたし、コンパートメントでハーマイオニー=グレンジャーと顔を合わせ、ハーマイオニーのロックハート談議に、二人して少々げんなりした程度だ。

 

 

 

 

 

 さて、今年はまた面倒なことになったものだ。セブルスは正直、面倒でたまらなかった。

 

 完全に失念気味だった分霊箱探しもせねばならないのに、さらに探し物が追加された。

 

 ルシウスがうっかり紛失させた闇のアイテムである。

 

 ルシウスが言うには、それはホグワーツにあるサラザール=スリザリンが残した『秘密の部屋』を開けるためのアイテムなのだとか。

 

 見た目は黒い革表紙の日記帳だ、とも。

 

 ・・・見た目には何の変哲もない、というのがまた難易度を上げてくる。これが見るからに怪しそうなアイテムなら、教職員の権限で没収することができるのだが。

 

 

 

 

 

 で、そんな生徒の監督、授業の実施、分霊箱探し、というミッションに、さらに追加でミッションが加わったのが、今年である。

 

 おかしい。勤務3年目の新米に毛が生えたような教授がこんなに激務だなんて、おかしくはないか?

 

 とはいえ、仕事は仕事である。

 

 セブルスはまだマシだろう。狩人の実質底なしの体力に、メアリーや夢の使者の補助があるのだから。

 

 マクゴナガルなど、どうしているのだろう?彼女こそ真の凄腕教師であるに違いない。

 

 そして、今年はこれに加えて、ロックハートの業務妨害と彼の授業が役に立たないことによる、5年生(フクロウ対策)7年生(イモリ対策)の補習の徹底が追加された。教科書内容からして、完全に役に立たないのは明らかで、急遽去年のクィレルの用意した補習用テキストを手配する羽目になった。(つまらないだけで、クィレルの授業内容は十分ためになったためだ。授業自体は極めて真っ当だったのだ)

 

 ロックハートに業務妨害の自覚はないのだろう。自分だったらうんたらかんたら、あの薬はああでこうで、ああいうときに効く!と始業前にやって来て、自慢とすでに分かっている理論と自慢と自己愛とうっとうしさを調合鍋に放り込んで煮詰めたような大演説をかましていくのだ。

 

 ・・・おかげで、今年は入学したての一年が、授業前に泣きだして授業にならなかった。セブルスは自分の顔を鏡で確認していないからわからないが、それはそれはひどい顔をしていたらしい。

 

 授業妨害だけでも相当なものだが、廊下を歩くメアリーを呼び止めて、ああでもないこうでもないと自慢して、挙句に彼女の運んでいるもの(菓子はまだマシで授業用の教材などもあったりする)にちょっかいをかけて台無しにしていくのが、さらに癪に障る。

 

 人形というのに、本物の女性にそうするように・・・というか、あれは絶対セクハラだ。やたらいやらしい手つきでメアリーを撫でようと・・・何様のつもりだ。

 

 いっそ内臓を引きずり出して、廊下をグロ装飾してやろうかと思案するのが、すでに片手の指で数えられる範囲を超えてしまっている。

 

 手加減したガラシャの拳など、逆にフラストレーションがたまるだけだ。

 

 もう一度記そう。何でこんな奴を正規採用した!ダンブルドア!

 

 

 

 

 

 で、日記やら分霊箱やら授業の片手間に探し回っていたが、つい、セブルスはやらかした。

 

 今年はいよいよ待望の2年生、クィディッチに参加できる!と期待に胸を膨らませたドラコとハリーJr.がスリザリンのチームに応募。

 

 体格的問題もあって、ハリーJr.がシーカー、ドラコがビーターとして採用されることとなった。

 

 ルシウス=マルフォイ氏も息子とその親友のチームでの活躍を応援し、最新の箒をチームに寄付してくれた。(おそらく、ハリーJr.に対する詫びという意味合いが強い)

 

 そこまではいいだろう。

 

 二人が早くチームに馴染むように、という初の練習日に、セブルスはうっかりグリフィンドールの先約というのを忘れて、スリザリンチームに練習許可を出してしまったのだ。

 

 ブッキングを起こしてしまったのだ。

 

 「セブルス様、本日はグリフィンドールの練習日ではなかったでしょうか?」

 

 あ。

 

 首をかしげながらのメアリーの指摘に、慌ててセブルスが訓練場に駆けつけてきたときには、ひと騒動起こっていた。

 

 「誰もお前の意見なんか求めていない!『穢れた血』め!」

 

 スリザリンチームの一人が、何らかのもめごとに割っていったらしい、ハーマイオニー=グレンジャーに向かって、そう吐き捨てていた。

 

 ブチっと、セブルスの中で何かが切れた。

 

 

 

 

 

 何のこと?と首をかしげているハリーJr.とハーマイオニー自身のほか、野次馬の数名の学生が怪訝そうにしているのをよそに、ドラコは苦虫を咬んだような顔をしており(彼はメイソン一家との交流の結果、純血貴族としては穏便になっているのだ)、なんてことを!といきり立った数名の生徒たち。

 

 「口を慎むがいい。それは我らがスリザリンに、その『穢れた血』の片親を持つ者がいると認識した上での発言かね?」

 

 ねっとりした、普段よりも幾分も低い声に、全員が総毛立った。

 

 「嘆かわしいことだ。スリザリンとは、何よりも結束と仲間内への情愛にあふれていると認識していたのは、私の勘違いだったかな?」

 

 生徒の間を縫って現れたセブルスに、全員が黙り込んだ。

 

 辛うじて、セブルスは上位者としての気配は抑え込んでいたが、その怒りまでは抑え込み切れていない。

 

 特に、自身の失言とトラウマの要因となった、禁句中の禁句を聞くことになった、今は。

 

 「スリザリンから5点減点。罰則として、訓練場の使用をグリフィンドールに引き渡すよう命ずる」

 

 「で、でも先生」

 

 「二度も同じことを言わせる気かね?実に啓蒙低いことだ。さらなる減点・罰則をお望みかね?」

 

 スリザリンチームのキャプテン、マーカス=フリントが何事か言いかけたが、セブルスは頑として譲らなかった。

 

 「私はその言葉が、大嫌いだ。

 

 身から出た錆だ。覚えておくがいい。一度でも口にした言葉は取り消せないのだ。二度と。けして。何があろうとも」

 

 セブルスに冷たい目で睥睨された一同が、一斉に黙り込む。

 

 「・・・我が寮のものが失礼した。同じ寮生として、深く謝罪する」

 

 真っ先に頭を下げたのはドラコだった。

 

 「ドラコ?」

 

 「後で説明する。とにかく、今日は練習できないなら、他の教室で筋トレなど、ですよね?」

 

 不思議そうなハリーJr.(彼はあの言葉の意味を知らないのだ)に言って、ドラコはフリントを見上げた。

 

 フリントは不満そうにしていたが、教授自らの言葉に、やがて項垂れるように力なく頷くと、練習場から背を向けた。

 

 他のスリザリン生たちも、仕方なさそうに背を向けた。

 

 まったく、とセブルスも背を向ける。

 

 本来は、練習試合や、他ミニゲームなどを提案することで仲裁しようと思っていたが、まさかこんな不快な気分を味わうことになろうとは。

 

 

 

 

 

 なお、セブルスが仲裁に入ったため、ロックハートの授業によって放たれたピクシー妖精によってお古の杖を折られ、スペロテープで止めているロナルド=ウィーズリーがナメクジ嘔吐の呪いの逆噴射をせずに済んだのだが・・・それは余談である。

 

 

 

 

 

 さて、日付変わってハロウィーンである。

 

 今年も、ホグワーツでは甘ったるい香りが城内を占拠しにかかっており、いい加減慣れるべきなのだろうが、セブルスは胸焼けしそうなそれに顔をしかめていた。

 

 そんなセブルスは、珍しくとある人物に呼び止められ、空き教室で彼に向き直っていた。

 

 「何用でしょうか?ニコラス卿」

 

 『そう呼んでくれるのはあなたぐらいですよ、スネイプ教授』

 

 にこにこと笑うのは、白い半透明な人影――ゴーストである。

 

 セブルスの目の前にいるのは、“ほとんど首なしニック”の渾名のある、グリフィンドールの寮付きゴーストである。

 

 本人としては、生前同様にニコラス=ド=ミムジー=ポーピントン卿と呼んでほしいらしいが、いかんせん長すぎるうえ、“ほとんど首なしニック”の名前の響きと親しみやすさが相まって、そちらでばかり呼ばれている。

 

 なお、ほとんど首なしというのは、このニコラス卿の首は、皮一枚でつながっており、耳を掴んで引っ張ろうものなら、蝶番のようにパカパカと動くことに由来する。

 

 よほど下手くそな奴が、錆びて切れ味の悪い斧でやったのだろう、とセブルスは思っている。自分ならそんなヘマはしない。獣狩りの斧で一撃である。

 

 『実は・・・教授はご存じでしょうか?ゴーストキラーのうわさを』

 

 「ゴーストキラー・・・ですか?」

 

 物騒な名前に、セブルスは眉間にしわを寄せつつ訊き返した。

 

 彼の脳にある瞳が、ちょっと聞くのはやめた方がいいかも、と囁いてきたが、ここで中座するわけにもいかないので、セブルスは話を促した。

 

 『今、各地のゴーストたちの間で噂になっているんですよ。指定されてない不動産に不法滞在すると、黒ずくめにノコギリを持った男がやって来て、完全消滅させられると』

 

 自分のことだな、とセブルスは即座に悟った。

 

 『“首無し狩り”主催のポドモア卿も、不安にされていて。メンバーのうち何名かが永久欠番になられたのだとか』

 

 そういえば、首を投げてくる悪質な奴がいたから、教会の石鎚でそれをぺしゃんこにしたな、とも思いだす。

 

 「・・・それがどうかしましたかな?」

 

 『スネイプ教授は、確か、マルフォイ家と親交があったとお伺いしています。

 

 例のゴーストキラーが出る不動産は、ブラックやマルフォイ傘下のものらしくて。

 

 何か、ご存じないでしょうか?』

 

 「・・・知っていたとして、なぜお聞きになりたいと?」

 

 普段のセブルスなら知らぬふりをしているところであったが、ほんの気まぐれとわずかな好奇心で、思わず訊き返してしまった。

 

 『ゴーストを消滅させられるということは、それに干渉できるということです。

 

 つまり・・・私の、この』

 

 ここで、ニコラス卿は右耳をグイっと引っ張り、中途半端な蝶番状態の首を見せびらかすように言い放った。

 

 『中途半端な首も、何とかしていただけるのでは、と』

 

 やめとけ、ゴーストだというのに激痛で悶え苦しむことになるぞ。

 

 セブルスはそう言いそうになったのをぐっとこらえた。

 

 セブルスの攻撃は、ゴーストにも確かにダメージを与えられるが、同時に苦痛をも与えるのだ。

 

 何より、ゴーストの中途半端につながっている部分を完全に切り離すなど、セブルスでさえやったことがない。大体殺るからには絶対殺す、が狩人である。一度攻撃を加えたら、少なくともセブルスは絶対殺しきるようにしていたため、ゴーストのその後の経過など、わかるはずもなかった。

 

 加えて、ゴーストは歴代校長に忠実にしているのだ。たとえ反抗的であったとしても、その命令に逆らいきれることはできず(おそらく、城に滞在するにあたってそういう魔法の契約を結んでいるのだろう)、校長の目耳として、城内を巡回しているのだ。

 

 つまり、うかつに仏心を出そうものなら、セブルスの秘密がダンブルドアに筒抜けになる。

 

 そして、セブルスに彼の望みを聞いてやる義理もないわけで。

 

 「申し訳ありませんが、私にも心当たりはありませんな」

 

 『そうですか・・・残念です・・・』

 

 しらっと惚けたセブルスに、しょんぼりと首を戻したニコラス卿は項垂れながら、壁抜けして出て行った。

 

 

 

 

 

 なお、彼の絶命日パーティーに、ハリー=メイソンJr.やネビル=ロングボトム、彼らの友人が招かれるということはなかった。

 

 そして、ゆえにこそ、発見が遅れてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 それを最初に発見したのは、2年生にもなったというのに、いまだに動き回る階段に振り回されて、迷子の常習犯となっているネビル=ロングボトムだった。

 

 ハロウィーンパーティーの会場である大広間にたどり着けず、迷った挙句のことだったらしい。

 

 その光景に絶句して茫然としているネビルをよそに、パーティーから一足早く引き上げてきた学生の群れが、続けてそれを発見し、騒然となった。

 

 そこは、3階女子トイレのすぐそばの廊下だった。

 

 消灯までの城内は、大体は魔法式の照明が付けられているのだが、その日はハロウィーンということで、古式ゆかしい松明が灯されていた。

 

 その炎に照らされるのは、ペンキで書き殴ったらしい・・・一見すると血文字にも見える赤い文字だった。

 

 『秘密の部屋は開かれたり

 

 継承者の敵よ、気をつけよ』

 

 そう記された文章のすぐそばで、フィルチの飼い猫であるMrs.ノリスが松明に照らされた雑巾のごとく石化しているのが発見された。

 

 生徒の引率でそれを発見したセブルスは、遅かったか、と内心で臍をかんだ。今更であったが。

 

 

 

 

 

 飼い猫の石化に嘆き、ネビルを犯人扱いして詰め寄るフィルチを、やってきたダンブルドア他数名の教授が押さえ込み、その場は解散となった。

 

 ・・・これが、今年度を支配する、陰鬱な空気の開始の瞬間であった。

 

 

 

 

 

 その後、大雨の中で行われたクィディッチ、グリフィンドールVSスリザリンの試合で、スリザリンはラフプレーをしつつも、グリフィンドールをものの見事に打ち負かして見せた。

 

 勝てばよかろうが、クィディッチにおけるスリザリンのモットーである。

 

 もっとも、スニッチをつかみ取ったハリーJr.は、これに関しては少しモノ申したげにしていた。

 

 なお、ドビーは(以下略)なので、別にブラッジャーが狂った挙句、シーカーをつけ狙ってその腕の骨をへし折り、ロックハートが治癒魔法に失敗して骨抜きするなんてこともなかった。

 

 

 

 

 

 ・・・ただし、その夜、今度は生徒の犠牲者が出てしまったのだ。

 

 被害者は、グリフィンドールで有名なカメラ小僧の新入生、コリン=クリービー少年で、好奇心のあまり校内探検に繰り出してしまった所を被害に遭ってしまったのだろう、廊下の真ん中でカメラを構えたポーズのまま、石化しているところを発見された。

 

 発見したのは、夜間巡回の教授の一人で、医務室に運ばれたクリービー少年のカメラをダンブルドアが確認してみればフィルムが焼き切れているという、異常事態が発覚した。

 

 いよいよもって、信憑性が出てきたのだ。

 

 “スリザリンの継承者”が、“秘密の部屋”を開け、その中の怪物を解き放ったのだ、と。

 

 

 

 

 

 ハーマイオニー=グレンジャーが、朝食の席でスリザリンのテーブルに突撃し、ドラコ=マルフォイに、「あなたが“スリザリンの継承者”って本当なの?」と剛速球の問いかけをしたのは、翌日のことだった。

 

 

 

 

 

続く

 




【金のスニッチ】

 魔法界のスポーツ、クィディッチに使われるボールの一つ。

 シーカーが狙うそのボールは、掴めば150点を自チームにもたらし、試合終了となる。

 元は、希少で保護された鳥、ゴールデン・スニジェットの代わりに用いられたという。

 スニッチを求めるは、クィディッチ選手の(ほまれ)であるのだ。



 Q.メアリーにMissが付くっておかしくない?

 A.一応調べたんですが、ファーストネームにMissをつけても、大丈夫なようです。(適当にざっと調べた程度ですので、ソースもあいまいなのですが)
 メアリーってファミリーネームもありませんし人形ですから、そもそもMiss表記が適当かってところが出てきます。
 違和感を覚えられても、またばかやってるぜ、くらいに見逃してくださいな。



 次回の投稿は、来週!内容は、ハリーJr.&ドラコ&ハーマイオニー始動!秘密の部屋を解き明かせ!そして決闘クラブ開催。いけません、ロックハート様!あなたはまだ、自分が詐欺師と告白しておりませぬ!
 お楽しみに!
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