セブルス=スネイプの啓蒙的生活   作:亜希羅

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 前回は、評価、お気に入り、ここ好き、誤字報告、ありがとうございました。

 活動報告でも言いましたけど、感想欄で皆さん、帝王様復活失敗を予想されてて草。まあ、約束された未来ですもんね。

 というわけで、続きです。

 ぶっちゃけ今回は、前座みたいなもんですがね。


【14】復活、闇の帝王

 

 次にセブルスが気が付いた時には、彼は動けなくなっていた。

 

 しりもちをつくような格好で座らされ、背中を適当な墓石に押さえつけられ、そのままロープで縛り付けられているらしい。腕は後ろ手に組まされている。

 

 口はふさがれてないが、ロープそのものに魔法封じがされているらしい。右の手甲に仕込んだ杖はそのままだが、無言呪文の解放呪文(エマンシパレ)がきかないのだから。

 

 セブルスが顔を上げると、ハアハアと息を荒げて震える男がこちらを見下ろしてきている。ちょうど、縛り終えたところだったらしい。タイミングが悪い。残念ながら、男は黒いローブにフードを深々と被っているので、顔は見えない。

 

 だが、その吐息に混じるかすかな声音は、確かに聞き覚えがあった。ペティグリューだ。

 

 「生きていたのかね。しぶといものだ」

 

 言いながらセブルスは少し視線を動かすと、少し離れたところで同様に墓石に縛り付けられてぐったりするディゴリーが見えた。どういう状況かさっぱりわからない。

 

 そのままペティグリューは踵を返す。・・・恩を仇で返すとは、よほど早死にしたいらしい。

 

 セブルスはそのまま周囲を見回す。セブルスからほど近い場所に落ちている赤ん坊ほどの布の塊は何やらもぞもぞとうごめいている。

 

 嗅ぎ覚えのある腐臭に、セブルスは軽く眉を動かした。なるほど、話が見えてきた。

 

 この墓地も見覚えがある。そうだ、リトルハングルトンの墓地だ。というか、位置的にセブルスが縛り付けられているのがトム=リドルの墓なのでは?

 

 今更だが、トム=リドルが住んでいたという館、通称リドルの館にはいまだに住民が一人いたらしい。ハリーが追加調査してきて判明したことだ。庭師のフランク=ブライスという男は、戦争で足を痛め、極度の人嫌いをこじらせているらしい。(加えてヴォルデモートの仕業と思われるトム=リドルSr.殺害の冤罪をかぶせられて、少し前まで服役していたらしい)

 

 無人のリドルの館の管理人をやっているらしいが、あの屋敷はヴォルデモートが身をひそめるには最適だから、巻き込まれて危害を加えられる可能性が高い、とマルフォイ家に頼んで記憶を消して別の場所に引っ越させた。今頃は、魔法使いが所有する(そうとは知らないだろうが)別の不動産の管理を行っていることだろう。

 

 それはともかく、続けて視線を滑らせると、セブルスの動きを監視するかのように、毒々しい大蛇が一匹、こちらを睨み据えていた。

 

 少しでもおかしな真似をしたら、どうなるかわかってるか?とでもいうかのように、大蛇はシュルシュルと地を這って、ぐったりしているディゴリーの太ももに頭を寄せ、口を開く。

 

 鋭い牙からは間違いなく毒が分泌しているのだろう、ポタリっと牙から垂れた緑がかった滴がディゴリーのズボンを濡らす。

 

 やむなくセブルスは体から力を抜いた。抵抗はしない、という無言のアピールだ。

 

 ゼイゼイというペティグリューの荒い呼吸音が戻ってきた。ずるずるという何かを引きずる音もする。

 

 首をひねってそちらを見やると、ペティグリューは巨大な石製の大鍋を押してきていた。膝を抱えた大人が楽々収まりそうなくらいには大きい。中には何やら液体がなみなみと満たされており、ペティグリューが押すたびに、ぴしゃぴしゃとこぼれている。

 

 大鍋を押して定位置においてから液体を入れろ、あるいは最初から(セブルスを来させる前に)定位置に用意しておけ、とセブルスは思った。ペティグリューは時々要領が悪い。

 

 そのまま大鍋の前に立ったペティグリューはごそごそと作業をしだす。鍋に火をつけ、煮立たせる。液体そのものが燃えているような、奇怪な光景だ。

 

 おそらく、あの液体もまた何らかの魔法薬なのだろう。気になる。

 

 ランランと目を輝かせて、食い入るようにセブルスは目の前の光景を眺めた。

 

 色と沸騰中の反応から、セブルスが知る魔法薬のいずれにも該当しない。おそらくは、オリジナル。どういうレシピで調合したのか、気になって仕方がない。

 

 ・・・自身の状況を棚上げして、そういうことに目を向けるあたり、セブルスもたいがい魔法薬馬鹿である。危機的状況?どうせ、死んでも夢としてやり直す程度だ。たいした問題はない。(メイソン一家始め友人たちが巻き込まれたなら目の色を変えるくせに、自身の問題になると途端に危機感が欠落する)

 

 そんなセブルスをよそに、布の塊から聞こえた冷たく甲高い声に促され、ペティグリューはその布から何かを引っ張り出して抱き上げた。

 

 それは、一言で言えば赤ん坊のようなものだった。だが、セブルスはあんなに醜い生き物は見たことがない、と思った。あれに比べればヤーナムをうろつく獣など数千倍かわいらしく思える。かわいらしさのあまりに殺して遺志を強奪したくなるくらいには。

 

 老いた赤子、ゴースの遺子?あれと比べるのはゴースの遺子に失礼だ。奴はどこかはかなく美しく、とてつもなく強かった。あれと比べるなどとんでもない!

 

 一瞬、ペティグリューは嫌悪感に満ちた顔をしたが、やむなく赤ん坊を大鍋に沈める。

 

 なるほど。そういうやり方か。

 

 一つ納得するセブルスをしり目に、続けてペティグリューはひぃひぃとすすり泣きながらも杖をふるって呪文らしき文言を詠唱しだす。

 

 父親の骨。その言葉にこたえるように、セブルスが縛り付けられる墓の近くの地面が割れて、埋められていたものが砂のような粒子と化して飛んでいく。

 

 それを見たセブルスは、一瞬憐れむようなまなざしをした。あれでは中身の確認はできないが、たぶんセブルスが細工をしたままだろうと思われる。

 

 そんなセブルスを置き去りに、ペティグリューはさらに動く。

 

 しもべの肉。そう言いながら、ペティグリューは取り出したガラス瓶の栓を開け、中身のどす黒い肉片(ちょうど手首の形に見えた)を鍋の中に落とし、続けて銀色のナイフを自らの指が欠けている方の手首にあてがった。

 

 そういえば、思い切りはいい方だったな。でなければ、追ってきたシリウスを逆にハメ返すなんてことはできないだろう。などとセブルスが思うと同時に、ペティグリューが絶叫を上げた。

 

 ぼちゃんッと、それが鍋の中に落ちる。一瞬の赤はすぐに液体そのものの色へと変わった。

 

 漂ってきた血の臭いに、セブルスは眉一つ動かさない。嗅ぎなれたものだし、むしろ少し物足りない、と思ってしまったほどだ。

 

 ひんひんと犬がねだるようなか細い鳴き声を上げながら、ペティグリューがセブルスの前に立った。その手に握られているのは銀色のナイフ。血は何か適当に拭ったのだろうか?直後、ペティグリューは言いながらナイフを振り下ろす。仇の血、と。

 

 次の瞬間、セブルスはさすがに小さく呻いて歯を食いしばる。

 

 鋭い痛みのせいだ。

 

 右の二の腕の中ほどが、焼け付くように痛い。この感触には覚えがある。ナイフのような刃物で刺されたのだ。

 

 ちょうど、嫉妬に狂ったアデーラが、ナイフでそうしようとしたように。

 

 そこからしたたり落ちた血液を、ペティグリューはガラス瓶で受け止めた。

 

 「・・・一応忠告しておこう。やめておきたまえ。私の血など使えば、ろくでもないことになるぞ」

 

 セブルスが低い声で言った忠告はもちろん無視された。ペティグリューはそのまま素早く大鍋の元に戻り、ガラス瓶の中の血液をその中に注ぎ込んだ。

 

 大鍋の中身が赤から白へと変じ――そのまま腐ったようなどす黒さへと変貌した。

 

 「え?」

 

 ペティグリューが実に間の抜けた声を上げた。こんな色になるはずがない、と言わんばかりに。

 

 だが、それよりも濛々たる蒸気のせいで鍋の中身が見えなくなり、ペティグリューはもんどりうって転がった。

 

 さて、どうなることやら。

 

 セブルスが見守る中、蒸気の膜が割れる。大鍋の縁をまたいで歩み出た男が淡々と言った。

 

 『ローブを着せろ』

 

 慌てて転がるように飛び出したペティグリューは、地面に落ちていた布の塊――実はローブであったらしい――をひっつかみ、男に頭からかぶせる。

 

 かくて、ヴォルデモートは戻ってきた。

 

 

 

 

 

 できれば、自分をまきこまないでもらいたかった、とセブルスは思ったが、そもそも帝王の腸をぶちまけたのはセブルスの方が先だった。どのみち巻き込まれていただろう、と考えなおした。

 

 今頃ホグワーツではどうしているだろうか。自主練習をしていたハリーJr.たちの真ん前で起こったことだったので、自分がいなくなったことが意図的なことではないとわかってはもらえるだろうが。

 

 ともあれ、今は目の前のヴォルデモートである。

 

 ヴォルデモートは自分の肉体を撫でたり眺めたりしている。おおよそ13年ぶりの肉体であれば、ゴースト以下の残骸状態とは少々勝手が違ってくるだろう。

 

 妙だな、とセブルスは内心で独り言ちた。そろそろ細工が効果を発揮するだろうし、そうでなくともセブルスの血を取り込んだならば、なにがしか異常があるはずというのに。あるいは。

 

 ヴォルデモートは取り出した杖でペティグリューを痛めつけ、その左腕の“闇の印”を引っ張り出すと、その印に触れる。ペティグリューが悲鳴を上げたが、無視した。

 

 そのままヴォルデモートは残忍な笑みを浮かべる。

 

 そうして、彼は墓石の間を行ったり来たりしながら、勝ち誇ったようにセブルスを見下ろした。

 

 『セブルス=スネイプ、貴様は今、俺様の父の遺骸の上にいるのだ』

 

 知っている、とセブルスは閉心術で覆い隠した内面でひそかにつぶやいた。去年暴いたのだから。

 

 そのままヴォルデモートは自身の出生について演説し始めた。

 

 母親が魔女とわかり、彼女を捨てて両親の元に戻った父親のこと。残された母はヴォルデモートとなる少年を生み、少年は復讐を誓って、父親をその手にかけたのだ、と。

 

 『俺様が家族の歴史を語るとは・・・なんと俺様も感傷的になったものよ・・・しかし見ろ、スネイプ!俺様の真の家族が帰ってきたぞ!』

 

 家族というが、貴公、家族の定義について知っているのかね?私の知るそれとはまるで違うと思うのだが?

 

 セブルスが内心でそう皮肉に思っていた時だった。

 

 墓石の影から、イチイの木陰から、あらゆる暗がりから魔法使いたちが“姿現し”してきたのだ。全員黒いローブと仮面をつけている。

 

 信じられないものを見るようにわずかに身を震わせた黒ローブたちは、一斉にひれ伏し、ご主人様、と声を唱和させながらヴォルデモートのローブの裾に口づけた。

 

 なんでもいいからこの茶番劇は早く終わらないだろうか、とセブルスがぼんやり思っていると、ヴォルデモートは怒声を張り上げだした。

 

 要約すれば、お前らよくも13年間のうのうとしてたな?どうせ俺様が死んでたと思ったんだろ?違うか?俺様が大変な時によくも助けに来なかったな、ということらしい。

 

 許しを乞うて平伏する死喰い人の一人を磔の呪文(クルーシオ)で痛めつけたヴォルデモートは、裏切り者だがこいつは俺様を助けてくれたぞ、とペティグリューの血まみれの手首に杖を一振りして、銀色の義手を与えた。

 

 感謝感激とばかりに、ペティグリューは義手の性能を確かめるべく少し動かしてから、再び平伏してヴォルデモートのローブの裾に口づける。

 

 そうして、ヴォルデモートは怒りと失望に満ちた演説を再開した。

 

 俺様が何も知らないと思ったら大間違いだと言わんばかりに、一人一人の名前を呼んで、ここ数年の活動内容などを言い放っている。

 

 だが、やはりその人数は少ない。当然だ、セブルスが“闇の印”を消した死喰い人はかなりいる。レギュラスはもちろん、マルフォイ夫妻にエイブリー。彼らはもちろん、この場にはいない。

 

 アズカバンに収容されているレストレンジ夫妻など、来たくても来れないものもいるわけで。

 

 『そぅれ』

 

 ここで、ヴォルデモートはわざとらしくセブルスの名前を口に出した。

 

 『セブルス=スネイプが、わざわざ俺様の復活パーティーに駆け付けてくれたぞ。俺様の賓客だな』

 

 ヴォルデモートの揶揄するような言葉に、しかし死喰い人たちはどこか戸惑った様子だった。

 

 ホグワーツの魔法薬学教授を、なぜここに?帝王とどんな関係が?というかのように。

 

 そうしているうちに、死喰い人の一人から質問が飛ぶ。どうやってこの奇跡(のような復活)を成し遂げたのか、と。

 

 それを尋ねられたヴォルデモートはローブの裾を大仰に翻して墓石の間を行き来しながら、語りだした。

 

 

 

 

 

 すべての始まりは13年前のハロウィーンの夜。ポッター家を襲撃したヴォルデモートに奇襲をかけたセブルス。立ちはだかる死喰い人を皆殺し、ヴォルデモートの腸を引き抜き、その肉体を灰燼へと帰した。

 

 ここで、死喰い人から、まさか!という声が上がり、もれなくヴォルデモートによる磔の呪文(クルーシオ)の餌食になった。

 

 どうも死喰い人たちも日刊預言者新聞のいい加減な記事を鵜呑みにしているものが多いらしく、どこか戸惑った様子でセブルスをちらちらとみている。不死鳥の騎士団のメンバーならともかく、セブルスは戦士としては無名に等しいのだ。しかも、著名な実績は魔法薬学がメインと来ているわけで。

 

 話をヴォルデモートの演説内容に戻す。

 

 味わったことのない苦痛と屈辱。ポッター家で生まれたという闇の帝王に比肩する力を持つ者によるものならばまだ納得はできた。

 

 だが、セブルスの存在は、ヴォルデモートにとっては誤算どころではない完全な予想外だったのだ。

 

 不老不死を求めてその探求の成果を自らに施していなければ(おそらくは分霊箱のことか。家族と称した死喰い人たちにも秘しているのだ)、完全に死んでいた。だが、その代償は大きかった。もっとも弱い生き物よりもなお弱弱しい存在になり果てたヴォルデモートは、存在維持に全力を注ぐしかなかった。蘇生に必要な魔法は杖が使えなければ実行できなかったのだから。

 

 森に身を隠し、いつか来るであろう死喰い人たちを待ち続けた。きっと、自分を助けに来てくれる、と。・・・予想に反し、誰も来なかったのだが。(ここでひざまずく死喰い人たちが恐怖したか身を震わせた)

 

 そこで、ヴォルデモートは自らに残されたたった一つの能力、憑依を用いた。動物に憑依することはできたが、それらは魔法を使うには適しておらず、しかも憑依対象である動物の命を縮めるので長続きしない。

 

 そんなヴォルデモートに降ってわいたチャンス。それが4年前のこと。そう、彼が身をひそめるアルバニアの森に、クィリナス=クィレルが訪れたのだ。愚かな騙されやすい若造を意のままにするなど、ヴォルデモートにとっては簡単なことだった。さらに、クィレルはホグワーツの教師である。賢者の石を求めるヴォルデモートの手足にはうってつけだった。

 

 かくして、イギリスに舞い戻ったヴォルデモートはそのまま賢者の石の強奪をもくろむが、またしてもそれは失敗に終わった。他でもない、セブルス=スネイプによって。

 

 クィレルはヴォルデモートが憑依を解くなり、死んだ。・・・なお、ヴォルデモートは一度たりとも、クィレルを名前で呼ばなかった。失敗に終わった計画の手ごまなど、名前を呼ぶ価値もないと言わんばかりに。

 

 元の隠れ家に戻ったヴォルデモートは、もう二度と復活できないのでは?と恐れたらしい。すっかり助けが来ることもあきらめきっていた。

 

 そんなヴォルデモートのもとにやってきたのが、ペティグリューだった。

 

 かつての友に追い立てられ、魔法省に捕まりそうになったのを這う這うの体で逃げ出し、追い詰められたネズミが最後にすがったのがゴースト以下のご主人様だったわけである。

 

 さらに、ペティグリューは手土産を持ってきた。バーサ=ジョーキンズという女役人を。

 

 アルバニアの森にほど近い旅籠で、ペティグリューはバーサに正体を見抜かれたが、ここぞとばかりに彼は機転を利かせた。バーサをうまいこと丸め込んで旅籠から連れ出し、隙を見てねじ伏せ、ヴォルデモートのところに連れてきたのだ。

 

 かくして、バーサはヴォルデモートの貴重な情報源となった。ヴォルデモート曰く「ほんのわずかに説得しただけ」とのことだが、忘却術を破るために相当強引な手も使ったようで、用が済んだバーサは身も心も再起不能に陥り、もれなく処分された。

 

 そうして、ヴォルデモートは動き出した。

 

 ペティグリューの手を借りて、未熟で虚弱とはいえ長旅に耐えうる肉体をひとまず構築し、とりあえずの復活を目指した。

 

 不老不死ではなく、死ぬ前と同じ肉体での、ひとまずの復活で妥協したのである。

 

 必要な材料は3つ。

 

 一つは父親の骨。言わずもがな、リトルハングルトンのこの墓地にある。

 

 一つは(しもべ)の肉。一番最初の段階ではペティグリューのもののみを使う予定だったが、より忠実で強力な力を持つ者のそれが手に入ったので、それも加える。

 

 一つは仇の血。すなわち、セブルス=スネイプのそれである。最初、ペティグリューは適当な、ヴォルデモートを憎む魔法使いのものを使おうとしたらしいが、もちろんヴォルデモートは却下した。

 

 ヴォルデモートは妥協の復活と言えど、それでも以前以上の力を欲したのだ。セブルスの血を使えば、その力の一部を得られる。予言を打ち破る、予定調和を破壊する神秘の力が。

 

 ばかばかしく忌まわしい予言に、もう二度と振り回されぬように。

 

 だが、セブルスを手に入れるのは至難の業だ。うかつに正面に立とうものならどうなるかは、13年前の出来事が証明しているし、ペティグリューですらボコボコに殴られたのだ。そんな男からどうやって血をかすめ取るというのか。

 

 さらに難儀なのが、セブルスがホグワーツに身を置いてしまっていることだった。ダンブルドアは失脚したが、ホグワーツは部外者が軽々と入り込める場所ではない。

 

 三大魔法学校対抗試合(トライウィザードトーナメント)が開催されているならば、まだつけ入る隙もあったが、もろもろの見直しのために中止になっている。

 

 そこでバーサ=ジョーキンズからの情報である。それによって判明した存在、レストレンジ夫妻に並ぶほど忠実な死喰い人――バーテミウス=クラウチJr.を手駒に加えようとしたのだ。

 

 だが、目論見は外れた。せっかく助けたクラウチJr.はよりにもよってヴォルデモートの目の前で自殺。この役立たずめ!と激怒したヴォルデモートは、その際に“服従”させたクラウチ氏を動かして、どうにかホグワーツへのつなぎを取ろうとした。トンクスを出頭させ、どうにかセブルスにポートキーを押し付けようと目論ませたのだ。

 

 結果としてこの目論見は失敗した。そればかりか、功を焦ったばかりに手足にしていたクラウチ氏まで失い、魔法省には存在を嗅ぎつけられた・・・かと思われた

 

 追い詰められそうだったヴォルデモートを救ったのは、死んだはずのクラウチJr.だった。

 

 クラウチJr.はヴォルデモートも知らない古い闇の魔術によって、その身を不死身にし、さらには自身が支配する異世界を構築。そこにヴォルデモートとペティグリューを匿ったのだ。

 

 最初こそ半信半疑であったが、やがて首を切り裂いて死んだはずのクラウチJr.がその姿を現し、ヴォルデモートの死の呪文を受けようと平然として見せたため、やむなく事実と受け入れた。

 

 そして、ヴォルデモートは思考を切り替えた。クラウチJr.は聖母の降臨だのと胡散臭いことを言っていたし、ご主人様を差し置いて不死身になっていた(後でこの地位を引き渡すとか言っていたが、聖母とやらにこの闇の帝王が傅くなど冗談ではない)が、その忠誠心は変わらなかった。

 

 ヴォルデモートはこれを利用することにした。不死身となったクラウチJr.に命じ、その体から肉身の一部を切り取り、保管しておく。これを復活の儀式に利用することで、クラウチJr.を不死身にした恐るべき魔術儀式の魔力の一部がヴォルデモートにも恩恵を与えることになるのだから。

 

 それを聞いたセブルスは、馬鹿だ馬鹿がいた、と呆れた目をした。

 

 危惧していた事態が、現実味を帯びてきた。ヴォルデモートは自身では気が付いていないが、人間の薄皮をかぶっているだけだ。

 

 まあ、セブルスにとっては大したことではない。殺す対象が人から化け物に変わるだけだ。何も問題はない。化け物を狩るなど、狩人にとってはいつものことなのだから。

 

 そうして、クラウチJr.にセブルスの捕縛を命じたものの、彼もまた失敗。そればかりか突如として新たな潜伏先としていた異世界が崩壊し、ヴォルデモートはペティグリューともども通常世界に放り出された。

 

 だが、転んでもただでは起きないのがヴォルデモートであり、スリザリンの後継者である。

 

 ヴォルデモートは、異世界に引きずり込まれる前にクラウチ氏に二つのことを命じていた。一つは先述の通り、トンクスに接触して彼女にポートキーを持たせてセブルスにそれを押し付けること。

 

 そしてもう一つ。

 

 『改めて紹介しようではないか』

 

 仰々しく腕を横へ伸ばし、ヴォルデモートは芝居がかったしぐさと残忍な笑みを浮かべたまま、セブルスが縛られている墓石とは別の墓石に視線を向けた。

 

 『俺様の親愛なる賓客、その二人目だ。セドリック=ディゴリーだ。

 ホグワーツからわざわざ、セブルス=スネイプに俺様の復活パーティーの招待状を届けてくれたのだ』

 

 ビクッとディゴリーの体が震えた。いつ起きたのか、うつむいていただけで、気を失ってはいなかったらしい。のろのろと顔を上げかけたが、その顔色は死人よりもなお青ざめており、すぐさま唇をかんでうつむいてしまった。

 

 ヴォルデモートは語る。

 

 魔法省のエイモス=ディゴリーのことをクラウチ氏によって調べ上げ、異世界からの脱出後、帰宅途中の彼をペティグリューによって不意打ちで“服従”させる。その後は彼の奥方と合わせて人質に取り、息子のセドリックに命じてセブルスにポートキーを押し付けさせたのだ。

 

 セドリック=ディゴリーがここしばらく様子がおかしかったのは、そういうことだったのだ。両親を人質に取られ、セブルスと天秤にかけさせられた。セドリックは選んだ。両親の命を。セブルスを帝王に差し出すことによって。

 

 よくある話だ、とセブルスは内心で独り言ちる。13年前のハロウィーンまでは、誰もかれもがそうしていた。一見善良に見えても人質などの脅迫で闇の陣営に屈したものだってそれなりにいたのだ。

 

 かくして、セブルスはここにいる。ヴォルデモートの、両腕の届く、すぐそばに。

 

 ・・・ヴォルデモートは知らないだろう。ヴォルデモートの両腕が届くということは、セブルスの仕掛け武器もまた彼に届くということなのだ。あるいは知っていてもたいしたことではないとみているか。

 

 ともあれ。

 

 13年という月日を経て、こうして二人はようやく、生身の肉体同士で対峙したのである。

 

 

 

 

 

 長々とした事情説明という名の演説を終えたヴォルデモートが最初にやったのは、セブルスに向かって杖を上げることだった。

 

 放たれた磔の呪文(クルーシオ)に、セブルスはさすがに喉の奥で悲鳴を上げたが、歯を食いしばって絶叫だけはこらえた。

 

 痛みなど、今更だ。ヤーナムにいたころを思い出せ。獣狩りの群衆に囲まれて袋叩きにされた。足を滑らせて高所から落下死した。忌々しい犬にのしかかられて生きたまま臓腑をむさぼられた。啓蒙ごと脳髄をすすられたこともあれば、全身の血液が槍と化して内側から肉身を引き裂くこともあった。あれらと比べればたいしたことではない。

 

 痛みなど当たり前だ。無視しろ。狩るべき敵を見据えろ。でなければ自分が狩られる。

 

 ヤーナムに来て間もなかったころは、攻撃される度にギャアギャア悲鳴を上げ、痛みにもだえ苦しんだので、敵を倒すどころではなかった。攻撃は避ける。ガンパリィでいなす。痛みなど二の次だ。攻撃しろ。相手を殺し返せ。そう学習するのに、さほど時間はかからなかった。

 

 やがて痛みの嵐が去る。

 

 噛みしめていた奥歯の力を緩め、セブルスはふーっと深々と息をついた。両腕が自由であれば、額の脂汗をぬぐいたかった。

 

 だが、悲鳴もできるだけこらえたとはいえ、はたで見ればそれは十分苦痛にさいなまれているようには見えたことだろう。

 

 『見たか。この男がただの一度でも俺様より強かったなどと考えるのが、なんと愚かしいことだったのかを』

 

 どこか満足げにも聞こえる声音で、ヴォルデモートが語る。

 

 『しかし、誰の心にも絶対に間違いがないようにしておきたい。セブルス=スネイプが俺様を降したのは単なる幸運であり、不意打ち頼りの卑劣なる手段があってこそのものだ。

 今ここで、お前たち全員の前でこ奴を殺すことで、俺様の力を示そう。

 今度は正々堂々真正面から戦おうではないか。

 そうすれば、どちらが強いのかお前たちの心に一点の疑いも残るまい。

 もう少し待て、ナギニ』

 

 一同から少し離れたところにいた大蛇は、ヴォルデモートの呼び声にこたえるように草むらにその姿を消す。

 

 『さあ、縄目を解け、ワームテール。

 古式ゆかしい決闘といこうではないか』

 

 ヴォルデモートの号令に、ペティグリューがのそのそとセブルスの縛られる墓石に近づいた。授けられたばかりの銀の義手の一振りで、セブルスを戒める縄を断ち切る。

 

 ブツリっと縄目がちぎれる音を立てると同時に、セブルスが立ち上がる。

 

 直後。ゾンッという肉の裂ける音と、ペティグリューの悲鳴がこだました。

 

 「耳障りな雑音生成は終わったかね?

 では、そろそろこちらも自由にさせてもらおう。

 さっさと終わらせねば夕食に間に合わんからな」

 

 磔の呪文(クルーシオ)で痛めつけられたことなどへでもないというかのように、まっすぐに立ったセブルスの足元で、ペティグリューが転げまわりながら悲鳴を垂れ流していた。

 

 その左目には細長いが刃物が突き立っていた。スローイングナイフだ。毒メスを使わないのは、ネズミ相手にはもったいなすぎるからだ。

 

 左目を押さえながらのたうち回るペティグリューを一顧だにせずに、セブルスは動く。

 

 どこから取り出したのか、枯れ羽帽子を深くかぶり、鼻から下を防疫マスクで覆う。

 

 軽く広げた両腕には別々の武器を携える。右手には銃槍。左手には獣狩りの散弾銃。

 

 「では始めよう」

 

 死喰い人たちには、枯れ羽帽子の隙間から見える黒い瞳が奇妙な銀光を放ったようにも見えた。

 

 だが、ブッと誰かが噴き出すのを合図にしたように、次第にくすくすという忍び笑いから喜劇を見るような馬鹿笑いに変わっていった。

 

 ヴォルデモートは決闘といったというのに、目の前の男はわざわざマグルの武器を取り出して見せたのだ。

 

 笑わないのはヴォルデモートただ一人だった。

 

 死喰い人たちはそれに誰も気が付かない。・・・唯一気が付くだろうペティグリューはいまだに悶絶して転げまわっている。

 

 ディゴリーはといえば、恐る恐る顔を上げるや、ぎょっとしたようにセブルスを見やっている。無理もないだろう。怖いところはあっても(比較的)まともな教師と評価されていたセブルスの、異常な側面が露になりつつあったのだから。

 

 リベンジ、あるいはリターンマッチ。ヴォルデモートにとってはそうだろう。

 

 だが、セブルスにとっては違う。狩り損ねた獣がいたから、確実にとどめを刺す。追い打ち。そんなところだ。

 

 『セブルス=スネイプ、決闘の作法は知っているだろうな?

 互いに礼をす』

 

 ヴォルデモートがすべていうより早く、セブルスは左手の散弾銃を持ち上げて引き金を引いていた。

 

 散弾と化した水銀弾は距離減衰もあって、ヴォルデモートの防護呪文(プロテゴ)に防がれてしまったが、そのすきにセブルスは少し離れたところにある木陰に飛び込む。

 

 太ももに輸血液入りのシリンジを刺して体力を補填し、獣血の丸薬を飲み干す。

 

 『見るがいい!あれがセブルス=スネイプの戦い方だ!狩りなどと称して、正面から戦いもせぬ、惨めで卑劣なる臆病者よ!

 決闘の作法も知らぬとはな!それとも、不意打ちでなければ戦うことも怖いというか?』

 

 せせら笑うヴォルデモートの声に、追従するように死喰い人たちが笑う。

 

 ヴォルデモートは忘れていないだろうか?13年前、ポッター家の外で待機していた死喰い人たちを皆殺したのは誰なのか?

 

 「・・・だから奴らに、呪いの声を」

 

 低く、そのおぞましい詠唱がセブルスの唇をつく。詠唱というよりもむしろ、呪詛というべきか。この世のすべてを呪わんばかりの忌まわしい声音で、それは紡がれる。

 

 実は詠唱はいらないのだが、あえてセブルスは唱えた。秘儀の触媒にしている漁村の住民の頭蓋に秘められた、過酷な仕打ちをより正確に呼び起こすために。

 

 「赤子の赤子、ずっと先の赤子まで。奴らに報いを。

 呪うもの呪うもの、我らとともに哭いておくれ。彼らとともに哭いておくれ」

 

 ゆるりとセブルスは木陰から身を現した。持ち上げられた右手には銃槍はなく、代わりに黒い光の塊がある。一抱えはあるそれは、一目見ただけでひどい不安に襲われるほど、おぞましいものだった。

 

 「さあ、呪詛を」

 

 その言葉とともに、セブルスは大きく振りかぶって黒い光を死喰い人たち目がけて投げつけていた。

 

 だが、ヴォルデモートの方が判断が早かった。

 

 『行け』

 

 彼はとっさに杖を一振りして、死喰い人たちを三人ほど宙に持ち上げると、そのまま黒い光目がけて飛ばしたのだ。

 

 「我が君?!」

 

 「お許しをぉぉぉ!」

 

 「ぎゃああああっ!!」

 

 悲鳴を上げながら吹き飛ぶ彼らは黒い光に命中した。

 

 まず彼らの脳内に奇怪なる光景が飛び込んできた。無数の人影だ。ただの人間ではない。魚と人を足してから醜悪さとおぞましさを乗算したような、不気味な存在だ。魔法界にも半魚人(マーマン)はいるが、住んでいる世界が異なるような不気味さだった。

 

 彼らは頭蓋を掻っ捌かれ、ぐちゃぐちゃの脳みそを露出させ、あるいは目玉を失った眼窩から血の涙をこぼしながら、幽鬼のように心もとない足取りで、死喰い人たちに群がる。

 

 痛い痛い痛い。苦しい苦しい苦しい。なぜこんな目に?何故?何故?何故?そんなことをささやきながら。

 

 憎んでやる憎んでやる。恨んでやる恨んでやる。呪ってやる呪ってやる。

 

 憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる憎んでやる憎んでやる恨んでやる恨んでやる呪ってやる呪ってやる。

 

 憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪憎憎恨恨呪呪!!!!!

 

 理解の許容量を超えた呪詛を精神に流し込まれた彼らは、黒い光の爆発とともに吹き飛ぶように地面に転がった。その首から上は爆発したように粉々になっている。

 

 秘儀の名前は“呪詛溜まり”。蹂躙された漁村の住民の頭蓋を触媒とする秘儀だ。その頭蓋には過酷な仕打ちの痕が無数に見て取れる。だからこそ、それは呪詛の溜まりとなったのだ。生きとし生けるものすべてに、その呪詛をふりまくほどに。

 

 死喰い人たちが悲鳴を上げるのをよそに、セブルスは取り出した銃槍を振りかざし、そのまま帝王目がけて切りかかる。鋭い切っ先をヴォルデモート目がけて、何度も突き出した。

 

 銃槍の利点はそのリーチの長さ。刺突攻撃を連打できることと、変形後は両手がふさがっていても銃撃ができることだ。

 

 ヴォルデモートは後退しながら杖を振って、もの飛ばしで石やら小枝やらをセブルスにぶつけてくる。やむなくセブルスはその回避のために、攻撃を中断するしかない。

 

 セブルスは舌打ちした。さすがは闇の帝王、判断が早い。お得意の死の呪文が隙にしかならない、と判断するや、的確な嫌がらせでの足止めに切り替えてきた。

 

 セブルスを身動きできない状態にしてから、改めて死の呪文をたたき込むつもりだろう。

 

 悪くない。とはいえ、されるがままでいるわけにもいかない。

 

 そのままヴォルデモートが呪いの光弾を乱射してくるのを、セブルスは高速移動呪文を発動して、回避しながら間合いを詰める。

 

 いくつかの呪いは獣狩りの散弾銃の銃撃で叩き落しながら、再び帝王の前で銃槍を振りかぶった。

 

 「『血の浄化を』。やれ、セドリック」

 

 セブルスは唐突なヴォルデモートの言葉に、枯れ羽帽子の下で眉を寄せた。何のことだ?まあ、いい。さっさと帝王を殺して、ディゴリーを連れてホグワーツに

 

 次の瞬間、そんなセブルスの思考を緑色の光弾が強制的に黙らせた。

 

 まったく警戒していなかった方から飛んできた死の呪文(アバダケダブラ)は、セブルスに命中した。

 

 そのままセブルスは崩れ落ちる。銃槍と獣狩りの散弾銃が地面に固い音を立てて転がり、セブルスは物言わぬ屍と化した。

 

 死の呪文を放ったのは、セドリック=ディゴリーだ。その足元をナギニが這いずっていた。

 

 ヴォルデモートは復活後の決闘ももちろん、どう戦うか計画を立てていた。

 

 セブルスが潔く正面から魔法使いらしく決闘をするならば実力を持って潰すし、そうでなくまたしても不意打ちなどをしてくるならばこちらも相応の対応をしよう、と。

 

 戦闘の片手間にナギニに命じ、セドリック=ディゴリーの縄を解いてやり、あとは以前分霊箱経由で仕掛けていたキーワードで、服従の呪文を発動させる。

 

 まさか自分が不意打ちされないと思っていたのだろうか、この中途半端な自称:狩人とやらは!

 

 『まさか教え子の手にかかるとはな!哀れなことだ!

 貴様はせっかく、俺様が直々に決闘してやろうという慈悲を与えてやったというのに、それを拒んだのだ!

 ならば、13年前の無礼のツケを、その身をもってあがなわせるのも当然覚悟できていたであろう!』

 

 勝者の高笑いを響かせるヴォルデモートに、最初からすべてが計画づくめだったのだ、やはりこのお方は別格だと、畏怖に身を震わせる死喰い人たちが一斉に平伏した。

 

 

 

 

 

 続く





 【銀の義手】

 復活の儀式において自身の手首を切り落としたペティグリューに、ヴォルデモート卿が与えた義手。

 月光をそのまま凝縮したようなそれは、元あったように手首にぴったりとはまり、元の手以上の力と利便性をペティグリューに与える。

 ペティグリューはこれをもって、ヴォルデモート卿にますますの忠誠心を捧げることを決める。

 多少痛い目を見ても、このお方ならばペティグリューに必ず酬いを与えてくださると、この義手が証明してくれたのだから。





Q.復活の儀式中、ペティグリューが僕の肉パートで、加えたガラス瓶の中身は何ですか?

A.バーティ=クラウチJr.の手首です。バーティは21の秘跡による異世界で不死身になった反動で、手首を切っても新しく生やすことができました。でも、セブルスさんに終わらされた後、生やした手首は効果切れでなくなってしまいました。バーティ本来の死体に手首がなかったのは、そういうことです。



Q.なんでクラウチJr.の手首と合わせてペティグリューの手首も入れたんですか?

A.クラウチJr.が化け物化け物してるのはすでに分かってますから、ちゃんとした人間要素も入れておこう、と帝王様が保険で命じました。たぶん、隠し味程度のつもりでした。父親の遺体への細工も、セブルスさんの事情も、帝王様が知るわけねえだろ!いい加減にしろ!



Q.帝王様の演説、本人のセリフにしてもよかったのでは?

A.ぶっちゃけ、あの厨二口調で長台詞をしゃべらせるのは苦行に近いので、勘弁してください。原作読み直しながら書くだけでも、結構しんどかったんです。



Q.セブルスさんがトム=リドルSr.の遺体にやった細工って何ですか?

A.次回やりますので、この場では割愛させてください。



Q.セブルスさん、あっさり死にすぎでは?(パート2)

A.カメラ外という名の死角から飛んできた即死攻撃を、狩人様が避けられるわけないだろ!いい加減にしろ!



例のあの人(笑)「不意打ちだから負けたんだもん!決闘だったら負けないもん!
 さあ!お辞儀をするのだスネイ」

セブルスさん「却下する」




 次回の投稿予定は、未定です。

 内容は、VS闇の帝王第3ラウンドの後半戦。全身が痒くてたまらない湿疹(?)疑惑の帝王様を添えてお送りいたします。復活大成功?皆さん、ガスコイン神父を思い出してください。戦闘後半、彼はどうなりました?そういうことです。

 あんた、何かおかしいのかい?それとも、勘がいいのかな?

 お待ちかね!スプラッタ劇場開幕ですぞ!お楽しみに!

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