セブルス=スネイプの啓蒙的生活   作:亜希羅

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 相変わらず文章は書けません。

 でも完結させたいという気持ちはあるので、ちょっと手直しして外伝を上げなおします。

 あけましておめでとうございます。


【インテルメッツォ3】狩人と人形掌編集

 今はメアリーと呼ばれる彼女は人形である。

 

 慕っている狩人様であるセブルス様のご要望で、ホグワーツという魔法の学校にやってきた。

 

 ホグワーツは広い。9月に入ると、がらんとした校舎内が大勢の生徒でひしめき合うようになった。

 

 けれど、メアリーは変わらない。

 

 セブルス様の食事やお茶請けのお菓子を作る。9月に入ると、授業のお手伝いもするようになった。

 

 と言っても、書類を届けたり、授業の準備と片付け、生徒たちの手元を見て、危なそうなら注意したりアドバイスを送ったりする程度だ。

 

 セブルス様の魔法薬の調合も手伝うことがあったので、メアリーもレシピ自体は記憶できているのだ。

 

 さて、これは、そんな彼女と愛する狩人様のホグワーツにおける日常の一幕である。

 

 

 

 

 

[ポモーナ=スプラウトの場合]

 

※第2楽章2以降、セブルス教員生活1年目中。

 

 「こんにちは、スプラウト様」

 

 「あら、こんにちは、メアリー」

 

 温室でブボチューバーの膿を絞っていたスプラウトは、聞こえてきた淡々調子のゆったりした声音に顔をあげる。

 

 ボンネットの隙間から見える銀髪と、羽織ったショールを揺らす、白皙の美女。ただし、その指先は人形らしい球体関節である。

 

 歩いてしゃべる、自立活動をする人形。

 

 スプラウトもホグワーツで教師をして長いが、こんな魔道具は初めて見た。

 

 セブルスはこの人形を大事にしているらしく、時折廊下の片隅などでボンネット越しに頭を撫でているのを見かける。

 

 人形の方も、人間であれば頬を染めていそうな、ホワホワした空気を醸し出していた。

 

 不愛想で何を考えているかいまひとつわからないセブルス(おまけに学生であった頃は、スプラウトの教え子たちを魔法の実験台にしていたともいうし)はともかく、この人形についてはスプラウトは気に入っていた。

 

 表情こそ変えることはないが、無垢そのものという言葉は、話していると日頃の疲れが癒されるような気もする。

 

 「また、何か薬草が入用なの?」

 

 「はい。先日、補習としてふくれ薬の再調合が行われましたので、いくつか在庫がなくなった材料があります」

 

 搾り取った膿の処理をしながら尋ねるスプラウトに、メアリーはうなずいてメモ用紙を片手に淡々と語る。

 

 ふんふんとうなずき、スプラウトは急ぎ保管庫に取って返し、言われたものを取って戻ってきた。液状のものは保存魔法のかかったクリスタル瓶に詰めているし、花や薬草はドライフラワーにしておいてある。もちろん、品種や部位によって、その保存方法は様々だ。

 

 薬草学を極めるということは、植物の育て方のみならず、有用な部分、不要な部分、有害な部分をピックアップし、それぞれの対処方法も万全にするということに他ならない。

 

 「では、失礼します」

 

 受け取ったものをポシェットにしまったメアリーはぺこりと頭を下げ、そのまま温室を出て行く。

 

 ・・・あっちは、地下牢教室とは別の方向だったと思うが?

 

 他にも何か用事があるのだろうか?と、スプラウトは首をかしげる。

 

 「メアリー!どこに行くの?」

 

 「地下牢教室に戻ります」

 

 振り向いて小首をかしげながら答えるメアリーに、スプラウトは悟った。

 

 この子、新入生と一緒で、学校の構造を覚えきれてないのだ。

 

 「そっちじゃ校庭に出るわよ。私もちょうど医務室に用があるところなのよ。途中まで一緒に行きましょう」

 

 ハッフルパフは仲間思いである。そして、面倒見のいい生徒が多い。その寮監のスプラウトもそうだ。

 

 ちなみに、スプラウトの用というのは、箒の訓練で落下し、骨折した生徒の様子を見に行くことだ。

 

 マダム・ポンフリーを信用していないというわけではないが、かわいい教え子の様子くらい見ておきたい。

 

 「ありがとうございます。お願いします」

 

 ぺこりと再びメアリーが頭を下げる。

 

 なるほど。これは頭を撫でたくなる気持ちがわかる。

 

 昨今の子供はされて当然という生意気なところがあったりする。そういう生徒は、ぜひ彼女を見習ってもらいたいものだ。

 

 ふっくらした魔女は、人形を連れて歩き出した。もちろん、温室の施錠は忘れずに。

 

 

 

 

 

 ついてない。

 

 どうして、今日に限ってこうなるのだ。

 

 こみあげてくる吐き気をこらえながら、スプラウトは歩いていた。足取りも少しおぼつかない気がする。

 

 夜中のホグワーツだ。ほとんど真っ暗がりで、窓から差し込む月明かりが頼りの廊下を、スプラウトはひた進んでいた。

 

 今日はクリスマスパーティーだった。

 

 で。羽目を外して、少々飲み過ぎた。

 

 普段は自制しているし、そもそも平日は酒など飲まない。こういう翌日が休日の時やお祝い事に飲むのだ。

 

 だが、今日はうっかり加減を間違えた。

 

 寝たらベッドの上で戻しそうなので、どうにかするべくこうして移動している。

 

 ようやく目当ての扉の前についた。

 

 「ホラス、今大丈夫かしら?」

 

 とんとんとノックすると、しばらくして、パタパタという軽い足音とともに扉が開かれる。

 

 「こんばんは、スプラウト様。どういったご用件でしょうか?」

 

 顔を出したのはメアリーだ。部屋の中の灯りのせいで逆光だが、普段つけているショールを外し、腕まくりしてエプロンをしている。何か料理をしていたのだろうか?

 

 「あら、ホラスは・・・」

 

 と言いかけて、スプラウトは思い当たった。

 

 確か、今日はスラグホーンは友人のクリスマスパーティーに招待されたとかで留守にしており、セブルスが代理をしているのだった。

 

 「ごめんなさいね、ホラスはいないんだったわね。

 じゃあ、セブルスにお願いしてもいいかしら。

 酔い覚ましの薬はないかしら?あるようだったら、分けていただきたいんだけど・・・」

 

 「確認してまいります。少々お待ちください」

 

 軽く頭を下げてから、メアリーは踵を返した。

 

 ややあって、再び扉が開かれる。

 

 「準備に少し時間がかかるそうなので、中でお待ちください」

 

 と、扉を大きく開けてくれる。

 

 ありがたい。真冬のホグワーツは防寒魔法をかけていても、手足が冷えていけない。

 

 「おかけになってお待ちください」

 

 促されて、スプラウトは応接用らしいソファセットに腰かけさせてもらった。

 

 そのままメアリーは踵を返し、簡易キッチンに立った。

 

 ・・・何を作っているのだろう?美味しそうな匂いだ。

 

 スプラウトは見た目から察しが付くだろうが、食いしん坊なのだ。薬草の世話以外の趣味に料理が挙がるほどだ。

 

 ここで、別の扉が開いてセブルスが入ってきた。

 

 「酔い覚ましでしたら、医務室に在庫があるのでは?」

 

 開口一番に前置きもへったくれもなく、不愛想に言い放ってきたセブルスに、スプラウトは苦笑した。

 

 「そうよね。私も行ってみたんだけど・・・」

 

 ここで、スプラウトはため息をついて、目を伏せた。

 

 「ハグリッドとシビルが全部使い切ってたらしくて」

 

 続けたスプラウトに、セブルスは無言だった。ただ、その黒い目が、呆れたように明後日の方向に向けられただけだ。

 

 まあ、あの二人がこういう時に医務室の在庫の酔い覚ましを使い切ることはよくあることだ。

 

 スプラウトには、すでに日常茶飯事のことだが、目の前の男には気に入らないことなのだろう。

 

 「医務室のものは生徒も使う・・・というより、そちらがメインだったと思いましたが?」

 

 「まあまあ。中には、生徒はあまり使わないものも置いてるのよ」

 

 呆れた調子で言ったセブルスに、スプラウトは苦笑した。

 

 羽目を外すのも、人生には必要なことだ。

 

 ・・・もっとも、ハグリッドとシビルは、もう少し控えてもいいような気もする。

 

 まあ、昔もスプラウトは小言を言っていたのだが、常に聞き流されてしまい、最近では言うだけ無駄、いつものこととあきらめるようになってしまったのだが。

 

 ともあれ、無言でセブルスが差し出してきたゴブレットの中身を、スプラウトは「ごめんなさいね」と言って、ありがたく頂戴した。

 

 ミントのようなすっとした香りに、腹腔の中を苦しめるむかむかが潮が引くように消えていくような気がする。

 

 「あら、これ、ずいぶんと飲みやすいわね?」

 

 と、思わずスプラウトは目を瞠った。

 

 今までの酔い覚ましは、もっとミントの香りが強烈でともすれば咽そうなほどの冷涼感を感じるのだが、それがない。ほんのりした甘さと、ぱちぱちはじけるような炭酸感は、従来の酔い覚ましにないものだ。

 

 「ああ、少し既存のものを改良しました。もっとも、これはその分、長期保存ができませんので、そこが改善点になりますな」

 

 ツンとそっぽを向くセブルスに、スプラウトは軽く笑みをこぼした。

 

 突然やってきた自分のために、長期保存に向かない薬を、わざわざ調合してくれたのだ。

 

 学生の頃は何を考えてるかわからない、小汚く根暗で陰湿そうな男だったが、こういうところもあるのか。あるいは、ホグワーツを出てから身につけたことなのか。それはスプラウトにはわからないが、いい傾向だ。

 

 「セブルス様、夜食が出来上がりました」

 

 ここでメアリーが話しかけてきた。

 

 「ああ、いただこう」

 

 「あら、何を作ったの?」

 

 「牛肉とポルチーニ*1のリゾットです。

 ・・・酔いの方はもう大丈夫なのですか?」

 

 小首をかしげながら問いかけるメアリーに、スプラウトはいけないいけないと表情を引き締める。

 

 酔いがさめたら小腹がすいてきた。だからいつまで経っても痩せないのだ。つい物欲しげな顔をしてしまったのだろう。

 

 いい大人なのだ。これ以上二人の邪魔をするわけにはいかない。

 

 「ええ、もう大丈夫。ごめんなさいね、そろそろお暇するわ」

 

 「・・・よろしければ、召し上がっていかれますかな?

 メアリー、ポモーナの分はあるか?」

 

 「はい」

 

 立ち上がろうとするスプラウトを押しとどめ、セブルスは言った。

 

 頷いてメアリーは踵を返し、ややあって、さらとスプーンを持ってきた。

 

 盛り付けられているのは、リゾットだ。上に振りかけられた緑色のは、パセリだろうか。

 

 「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 笑顔でスプーンを手に取り、スプラウトはそれを口にした。

 

 「おいしい・・・」

 

 一口食べてスプラウトはうっとりつぶやく。

 

 リゾットは、ライスを油になじませ、スープでアルデンテになるまで炊いたイタリアの料理だ。具として、戻した乾燥ポルチーニと、牛肉、玉ねぎを加えられているらしい。

 

 スプラウトも何度かリゾットは作ったことがあるが、この具の取り合わせで作ったことはなかった。

 

 「ライスがモチモチで、炒めた牛肉とポルチーニの香りがよくあってるわ・・・。

 お酒の締めにぴったり!」

 

 なんと罪深い味か!これはだめだ。一度食べ始めたら小腹が空いたどころではなくなってしまう!

 

 スプラウト自身も、時々夜食を手掛けるが・・・これは酒の締めにぴったりだ!

 

 ふと正面に座るセブルスの方を見ると、眉間のしわを緩めながら彼ももそもそとリゾットを食べていた。

 

 それを見やるメアリーも、頬を染めていそうな、ホワホワした空気を漂わせている。

 

 ダメねえ、やっぱり遠慮しとくんだったわ。

 

 居心地悪い気分になったスプラウトは、早めにリゾットを食べ切り、部屋を辞した。

 

 

 

 

 

 数日後、リゾットのお礼を兼ねて、スプラウトはメアリーに少し遅めのクリスマスプレゼントを渡した。

 

 ドライハーブ(魔法界製)のポプリは保存魔法をかけているので、長持ちする。香水のように自己主張はせず、持ち主についた臭いを吸い取り、代わりに微かな芳香を放つ。

 

 この人形は魔法薬の調合現場や調理場に出入りするという。断じて彼女は臭くはないが、やはり女性たるもの匂いには気を使うだろう。

 

 特に、好きな男の前では。

 

 

 

 

 

[ミネルバ=マクゴナガルの場合~リーマス=ルーピンを添えて~]

 

※第4楽章、ルーピン先生赴任中。

 

 夕刻である。公明正大にして厳格なるミネルバ=マクゴナガルは、デスクの上で羽ペンをペン立てに置きなおし、ぐっと背伸びした。ボキボキッと関節の鳴る、実に不健康な音がした。

 

 書類用にかけていたトレードマークの縞模様眼鏡をはずし、眉間を指先でもみほぐし、時計を確認すれば、もう夕食の時間だった。

 

 一度マクゴナガルは鏡の前に立ち、軽く化粧を直す。水商売の女ではないのだ、バチバチに濃くはしていない。かといって、手を抜くとみすぼらしいと舐められる。程よく行うのがコツだ。・・・また小じわが増えているような気がする。化粧水を新しくした方がいいだろうか?

 

 眼鏡を持ったのを確認(大広間で、急にフクロウが来ることもある。手紙の確認には眼鏡は不可欠だ)し、マクゴナガルは自室を後にする。

 

 そうして、向かった大広間。

 

 マクゴナガルはいつもきっちり同じ時間に食事をとるようにしている。遅刻なんてありえない。教師とは生徒たちの人生の見本とならねばならない。きっちりかっちり、時間を守るのは当たり前、である。

 

 そうして定位置の椅子に掛けたところで、現れた夕食に手を付ける。

 

 野菜たっぷりのコンソメスープは、少々疲れ気味の胃の腑には優しい。

 

 もちろん、マクゴナガルは平日の飲酒はしない。疲れ気味なのは、校長代理の職務をこなしていたからだ。

 

 これでも、去年の終盤よりはだいぶ楽なのだ。何しろ、去年はロから始まる思い出す価値もない詐欺師のせいで、補習がたっぷり、終盤はダンブルドアが停職になったので、そこに彼の業務がのしかかると来たのだから。(あれに関して、止められなかった自分に文句を言う権利はないとマクゴナガルは思っている)

 

 それに比べて、今年は楽だ。リーマス=ルーピンは生徒たちからの人気も上々。授業カリキュラムも問題なし、補習の必要もなしと来ている。人格面も問題なく、他の教師たちともやっていけている。これで人狼でさえなければ、来年も引き続き採用としたいのに!

 

 そんなルーピンは、少し離れたところで隣に座るセブルスに何か話しかけているが、適当な相槌でいなされている。

 

 マクゴナガルはそれを微妙な気分で横目で見る。

 

 多分、ルーピンは謝ったし、僕たちもう友達!と気楽な気分でいるのだろう。

 

 対し、セブルスは、関わるのが面倒くさい、という態度を前面に出している。

 

 学生時代のお前らは敵だ!というとげとげしさを前面に出した態度ではない分マシかもしれない。ああいうのは周囲にいるだけでいたたまれなくなる。

 

 セブルスが周囲に気をつかっているのか、あるいはルーピンなど心底どうでもいいと思っているかは定かではない。だが、彼が変わったのは確かだろう。マクゴナガルの見立てが間違っていないならば、きっといい方向に。

 

 けれど、と彼女は思う。彼には地雷がある。というか、できてしまったというべきか。

 

 そして、時々何も知らない余人はそれを平然と踏みつけるのだ。

 

 ちょうど、今のルーピンのように。

 

 「ところで、スネイプ。君、豚肉嫌いだったかい?」

 

 ルーピンの言葉に、マクゴナガルは我知らずビクッと肩を震わせた。

 

 セブルスと豚。その取り合わせに、いやな予感がしないはずがない。

 

 ああ、忘れもしない、4年前。セブルスが赴任してきて間もなく、何気なく話を振ったスラグホーンが涙目になり、それからしばらく豚肉を拒否する生徒が続出し、かく言うマクゴナガル自身もしばらく豚肉は食べたくなくなった。

 

 急ぎ、マクゴナガルが横やりを入れるより早く、事態は進展する。

 

 「豚は許さん、絶対にだ」

 

 夕食のメインメニューにしていた鶏肉のグリル・オレンジソースがけに、フォークをガスリと突き立て、唸るようにセブルスが言った。普段の無表情ながらも殺気立ったその言葉に、低学年のものたちが何事かと一斉に振り返ってくる。

 

 「ゆ、許さないって、何かあったのかい?大げさじゃないか?たかが豚に」

 

 「奴らは家畜ではない。汚物の一種だ。豚は死ね。許さん。絶対にだ」

 

 ちょっと引いた様子のルーピンだが、おざなりな相槌以外で返ってきたセブルスの反応に、よせばいいものを果敢にツッコミを入れていく。

 

 セブルスは語った。いつものねっとりした声で、淡々調子に、しかしどこか恨みがましく殺気立った様子で。

 

 ホグワーツを退学してしばらく後のことだ。とある町中に少女がいたそうだ。出かけた父を探しに行った母を待つ、健気な少女。

 

 だが、その頼みで父母を探しに行ったセブルスはほどなくして、二人が亡くなっているのを見つける。だが、セブルスは本当のことは言えず、少女は帰らぬ――帰るはずのない父母を一人で待つしかない。

 

 一人では心細そうだった少女を見かねたセブルスは、このままでは危うかろう、人がいる教会に行けばいいとそこまでの道を教えたのだ。

 

 だが、少女はいつまでたってもそこに来ない。

 

 探しに行ったセブルスは見つけた。少女が地下水道にいた人食い豚に食われてしまったのを。襲われたのを撃退したら、その胃の腑から見つけた、血まみれの白いリボンを。

 

 「そういえば、ルーピン。貴公の夕食はローストポークでしたかな?」

 

 マスタードソースのかかったそれを見やりながら、セブルスは言った。

 

 うっかり聞いてしまったものたちが絶句して、カトラリーを持ったまま硬直しているのを歯牙にもかけずに。

 

 「実に美味そうですな。きっといい餌を食べてきた豚なのでしょうな」

 

 言うと、セブルスは鶏肉の最後のひとかけらを口に放り込み、カトラリーをおいて席を立つ。

 

 「メアリー。食後のお茶は部屋で飲む」

 

 「はい」

 

 そのまま人形を連れて大広間を出て行った。

 

 きっちりトドメを刺すのを忘れぬあたり、さすがというかなんというか。

 

 やっぱり、セブルスはルーピンのこと確実に好いていないのだろう。

 

 マクゴナガルは、自室に置いていた胃薬の残りを思い返しながら決めた。明日から胃薬も食事の時は持っていこう。

 

 

 

 

 

 それからしばらく、豚肉が大量に残されるようになり、ハウスエルフたちが首をかしげるようになるのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

[とあるハッフルパフ生の場合]

 

※第3楽章3以前、ハグリッド更迭前。(“秘密の部屋”騒動があるから、第2楽章くらいかな?細かくは決めてません)

 

 今日は休日。特に予定ははいっていない。課題も片付いている。そして天気はいい。

 

 つまり、絶好の昼寝日和ということだ。

 

 お気に入りの木陰に向かおうとして、彼は足を止めた。誰かいる。

 

 そこでムウっと彼は眉間にしわを寄せた。

 

 なかなか人の来ない穴場と思っていたのに。

 

 誰だろう、とのぞき込んであっと声をあげそうになった。

 

 スースーと安らかな寝息を立てるのは、白皙の美女だ。ただし、その手元は球体関節。そう、セブルス=スネイプ教授の持っているという、あの人形だ。

 

 バスケットを抱えて廊下をうろうろしているところを、彼も見たことがある。

 

 図書館の前をうろうろしてて、彼が勉強を終えて出てきてもまだうろうろしてて、あ、もしかして迷子かな?と思ったら、猫をくっつけたフィルチが飛んできて「また貴様か!ぐずぐずするんじゃない!」と怒声をあげながら、連れて行く。

 

 ちなみに、迷子の人形をフィルチやその飼い猫が連れて行くのは、よくあることになっている。

 

 迷子の人形がいると、フィルチは生徒の粗探しどころではなくなるため、実は非常に助かっているというのは余談だ。

 

 フィルチに絡まれると、間に合うはずの授業も間に合わなかったりするので。

 

 その人形が、木に背中を持たせかけて、スカートに隠れた足をくの字に折り、すやすやと居眠りしている。

 

 それだけでなく。

 

 その膝の上に、ハグリッドの飼っている真っ黒なボアハウンドが頭をのせて、スピスピと鼻を鳴らしながら眠り、すぐそばでフィルチの飼い猫が丸まっている。

 

 え?何なのこれ?

 

 思わず男子生徒が硬直していると、猫が徐に頭を上げてこちらを振り返る。

 

 その赤い目の奥で、瞳孔が見開かれて真っ黒になる。

 

 彼はそれを見たことがあった。このあと数秒もせずにフィルチが飛んでくるのだ、と。

 

 その目が無言で語ることを彼は悟る。

 

 いい気分なのに、邪魔する気か?

 

 しませんしません。好きなだけ寝ててください!

 

 ぶんぶんと勢いよく彼は首を振ると、足音を立てないように、それでいてできるだけ足早に、その場を後にした。

 

 それをにらみつけるように見ていたミセス・ノリスはややあって、くあっと大きくあくびすると再び自身の毛皮の中に頭を埋もれさせるように丸まった。

 

 別に、この人形のためなんかじゃない。昼寝の邪魔をされたのが不快なだけだ。とでもいうかのように。

 

 

 

 

 

 「おや、ミセス・ノリス・・・仕方ないな・・・フン・・・別に、貴様が風邪を引いてもわしは構いはせんがな!」

 

 

 

 

 

 「お帰り、メアリー・・・そのコートは、Mr.フィルチのものではなかったか?」

 

 「目が覚めたらかけてありました。洗ってお返しします」

 

 

 

 

 

続く

 

*1
ヨーロッパで出回っているキノコ。日本でも乾燥したものが出回っている




 スプラウトの話はずいぶん昔に考え付けてたんですが、あれだけじゃ短いだろうな、とほかいろいろ足しました。本編にぶち込むには短すぎるので。

 ちなみに、猫って瞳孔が広がった時が警戒とか威嚇しているときなんですよ。細いときがリラックスしているときなんです。





Q.セブルスさん、豚のことうっかり話してたんですか?

A.セブルスさんの食卓に豚肉だけは出てこないので、スラグホーンが訊いてみたら文中みたいな話をセブルスさんが話してくれました。
 さすがに、ルーピンさんに対してみたいなトドメはさしてないのですが、知らない人にしてみれば、十分ですよね。
 第2楽章で、マクゴナガルがセブルスさんのヤーナム談議にげんなりしているという描写がありましたが、あんな感じでうかつに話を振ったら、地雷みたいなヤベエ話をされることがあったんですよ。

 ちなみに、セブルスさんは基本的にヤーナム云々の話はツッコミ入れられたら面倒なので、しません。豚の話も、ヤーナムとか獣の病とかについてはぼかして説明しています。





Q.あの男子生徒は誰ですか?

A.特に決めてません。モブ生徒Aです。ぶっちゃけ、寮も適当なのです。





Q.メアリー、いつファング(ハグリッドのボアハウンド)と仲良くなったんです?

A.仲良くなったというか、メアリーのお昼寝場所にファングもやってきてお昼寝しているだけです。ファングからしてみたらお昼寝仲間ってだけです。
 ちなみに、ハグリッドはメアリーのことは坊主憎けりゃで、セブルスさんを嫌っている延長で好いていません。





Q.Q&Aの内容は本編でやりなさい。

A.それができないからQ&Aという形で補足してるんですよ?
 あと、豚骨ラーメンのような文章が気に食わないなら、自分で書いたらいいんじゃないですかね?
 私だって自分が読みたいものを読みたいように書いてるんです。気に食わないなら自分で書きましょうね。
 所詮無料投稿サイトの二次創作です。お金取ってるわけでもない趣味の文章なんですから、いやなら読まなけりゃいいと思うんです。
 ・・・他人がどう思おうと、そう開き直って書ける強い心が欲しいです。
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