気が付いたら直すようにはしているのですが、勢いで書いているので、気が付かないことが多々あります。
おまけに、ルビを使うようになったら単語が丸々抜けていることがあるようです。気が付いたら自分でも直すようにはしていますので、ひらにご容赦を。
というわけで、新章スタートです。
【1】セブルス=スネイプは、再会を果たす①
シリウス=ブラックの、アズカバンへの投獄が報道された。
冷静になって考えてみれば、あの後先考えない馬鹿犬の、ジェームズ狂いを、封殺するにはアズカバンはうってつけだろう、とセブルスは静かに思案する。
ヤーナムでの濃すぎる日々に記憶と人間性が摩耗され、挙句上位者となったといえど、セブルスの優秀な部類に入る脳みそ(瞳付き)には、シリウスの所業はしかと刻み込まれている。
特に、目障りなセブルスが、いくら仕返しのために周囲を嗅ぎまわっていたとはいえ、人狼であるルーピンのいる『叫びの屋敷』に満月の晩に行くよう唆すのは、どうかと思う。
それは、ルーピンを友人ではなく、便利な凶器だと遠回しに宣言したようなものだ。人狼化しているルーピンに理性などなく、目についた生き物を殺しにかかる習性があると知っているならば、なおのこと。自分の手を汚さずに、理性のないルーピンにやらせようとするあたりも、気に入らない。
結局のところ、あの男は対象が違うだけで、性根の部分はまごうことなき差別主義(スリザリンに対する)の、優位主義者でしかないのだ。あくまで、セブルスの観点から見た話だが、さほど間違ってないだろう。
能力は優秀だが、思い込みも激しく、暴走癖もある。
それが、闇の帝王に大の親友が殺されたら、どういった行動に出る?脳の中に瞳どころか、自動爆発呪文発生器でも搭載してそうな男が、である。
決まっている。仇討、だ。それも、周囲への被害など、まったく顧みず、自らの感情赴くままに動き回って。
力量差や他の優先順位など、丸無視だ。否、あの男の中で最優先は、死した親友なのだ。生きて、苦境に立たされそうな親友の妻とその息子など、どうでもいいに違いない。(おそらく、本人が聞こうものなら否定するだろうが、信用できない)
闇の帝王本人が死んでいるならば、ポッター夫妻の隠れ家を密告した輩がいるだろうから、そちらを狙ったか。
そこまで考えたセブルスは、ふと思いつく。
あのジェームズ偏執狂の、スリザリンと闇の魔法使い差別主義者が、闇の帝王に首を垂れるか?ジェームズ=ポッターが結婚して、相手にしてくれなくなったことからの嫉妬とやっかみが動機としてなくはないだろうが、(実際、レギュラスでさえ、そう思っているようだった)いささかおかしくないか。
あの男ならば、嫉妬したとしても当てつけに闇の陣営に走るどころか、逆にうざいくらいジェームズ=ポッターに絡んでいくに違いない。
当てつけを行うという、高度な駆け引きもしない、ひたすら直情型の馬鹿なのだ。よく言えば、犬のように忠実である。なまじ、能力が伴うから面倒くさいことになる。
ふむ。ここで、少し発想を逆転させてみようと、セブルスは思いつく。
発想の逆転というのは、よくやる。魔法薬の調合がうまくいかなかったりした時とか。
実は、ポッター夫妻の居所を密告したのはピーター=ペティグリューの方で、それに気が付いたシリウスが追い詰めるが、ペティグリューはシリウスを裏切り者呼ばわりした後、爆発呪文でマグルを虐殺して、何らかの偽装で逃げおおせた。
案外筋は通るかもしれない。
例の馬鹿ども4人組の中では、ジェームズ=ポッターとシリウス=ブラックが飛びぬけていたが、それについていけるだけあって、他二人も地頭は悪くなかったのだ。
セブルスとしては、ペティグリューに対しては、同情と確執と軽蔑が3分の1ずつ入り混じった、何とも言い難い感じを持っていた。関わってこないならば、別にどうでもいいのだが。
何というか、あの気弱さは、まかり間違えば自身がいじめられっ子になりかねない感じだった。寄らば大樹の下、である。その大樹が、ポッターとシリウスだった。そんなところだろう。
わからんでもないのだが、セブルスは知っている。連中に絡まれ、セブルスが甚振られている時を見る、ペティグリューの目だ。
あれは、弱者を侮る目だ。猫になぶられ、必死に逃げようとするネズミを、馬鹿な奴と嘲る目だ。セブルスの被害妄想と言えばそうかもしれないが、とにかく、セブルスにはそう感じられたものだ。
コイツとも相いれない。コイツは、何かあってポッターとシリウスが失脚する羽目になったら、自分は被害者ぶって平気な顔をして二人を切り捨てるに違いない。
まあ、セブルスからしてみれば、ペティグリューがどうなろうが、それこそ知ったことではないのだが。
いずれにせよ、シリウスはアズカバンへ。
(推測が正しいなら)ペティグリューも満足には動き回れないだろう。
まあ、関わり合いになるのは御免被る、とセブルスは思考を打ち切った。
真偽を確かめに実家へ行ったレギュラスは、まだ戻ってきていない。
* * *
さて、シリウス投獄の凶報から数日後。
狩道具の手入れをしていたセブルスは、リンッと書斎に響き渡った鐘の音色に、眉を跳ね上げた。
またか、と言わんばかりに。
この日は、聖杯に潜って、久方ぶりに白痴の蜘蛛ロマをズタズタにしていた。
あの蜘蛛は、聖杯ダンジョンの狭さも相まって、面倒なのだ。しかし、得られた血晶石はスタマイとデメリットもそこそこで、苦労には見合った代価ではあった。
面倒くさい、とセブルスは机の引き出しから、銃口に鐘の付いた小さな拳銃を取り出した。“共鳴破りの空砲”である。
その鐘のついた銃口を天に向け、引き金を引く。途端に耳障りな轟音が轟き、涼やかな音色は打ち消された。
フンッと一つ鼻を鳴らし、セブルスは銃口を下ろす。
が、直後にドシンッと工房に張り巡らせている結界が揺れた。
この揺れ方には覚えがある。以前、レギュラスの危機を知らせに来たハウスエルフ、クリーチャーが、結界を力任せに破ろうとした時と同じなのだ。
まさか、と“共鳴破りの空砲”を置いて工房の外に出てみれば、大きな目玉を怒りの形相に釣り上げたクリーチャーが、ブツブツ言いながら結界を破ろうとしている。
「何をしているのだね?」
「セブルス=スネイプ様!あの無礼な小娘を何とかしていただけないでしょうか!」
セブルスが問いかけるなり、前置きも減ったくれもなく、ハウスエルフ特有のキンキン声でクリーチャーが喚いた。
「あの小娘め!マグルの汚らわしい血筋の持ち主のくせに、よりにもよって坊ちゃまに!!」
「は?」
怒り心頭というクリーチャーはブツブツ言うや、セブルスにパッと飛びついてパチンッと指を鳴らす。
とっさのことで、さしもの百戦錬磨の狩人たるセブルスも、反応が遅れてしまったのだ。
バチンっと、ゴムがはじけるような音を立てて、セブルスはとっさにたたらを踏む。
“姿くらまし”で強制的に連れてこられたらしい。
事情説明もなしにこれである。何があったかよほど腹に据えかねていたのだろうが、やられたセブルスとしてはたまったものではない。
主人であるレギュラスに、一言文句をつけねばと思っていたのだが、次の瞬間、状況を認識するや、絶句した。
そこは、薄汚い宿の一室らしい。魔法界の物件らしく、例によって古めかしい。(魔法界のものは基本的にかなり長く使われる。
そして、途方に暮れた様子のレギュラスがベッドに座り、その正面に持ってきた椅子に赤ん坊を抱いて座るのは。
リリー、と呼びそうになって、セブルスは唇をかんだ。
啓蒙と冒涜に身を浸し、殺戮に明け暮れ、暴言で彼女を貶した己に、彼女の名を呼ぶ資格など、ありはしない。
見まごうものか。あの見事な赤毛と、エメラルドのような緑の双眸。恋い焦がれた、美貌の女性だ。以前会った(というより、見かけたというべきか)時より、くたびれたようにも見えた。ついでに言うと、こわばった顔をしていて、ピリピリと周囲を警戒するように、絶えず窓とドアに視線をやっている。
「坊ちゃま!お連れしました!」
「ご苦労様、クリーチャー。突然ですみません、先輩」
「・・・どういうことだ。説明しろ。私は突然連れてこられただけだ」
セブルスが腕組みして不機嫌に言い放つと、途端にレギュラスは「クリーチャー!」と怒鳴った。
ピョンッと、クリーチャーがびくつくように飛び跳ねる。
「静かに!」
途端にリリーがそれを叱責した。できる限り小声で、気配どころか呼吸すら殺そうとしているような彼女に、セブルスは眉をしかめる。
腕の中の赤子はと言えば、母親の神経質さを感じ取ってか、今にも大泣きしそうにぐずっていた。
どういう状況なのか、よくわからない。確実なのは…リリーは、誰かに追われているらしい。
右腕の手甲に仕込む杖を使い、無言呪文で
これは、セブルスが学生の時分に作り上げたオリジナルの呪文だ。周囲に雑音を聞こえさせ、盗み聞きを防止する――いわゆる盗聴防止呪文だ。
セブルスには敵がいた。彼らから身を守るために、否応なしに研鑽する必要があったのだ。ゆえに、いくつかオリジナルの呪文も作り上げた。もっとも、その敵も優秀だったので、すぐさま真似されてオリジナルの優位性を失ってしまったのだが。
ついでに、周辺察知呪文も使い、周囲に敵意を持った存在がいないかも確かめる。
「ひとまずこれで、盗み聞きは防止できるだろう。それで?なぜ私はここに?」
再び腕組みし、宿の壁に背を預ける。
頭装備――枯れ羽帽子と防疫マスク、仕掛け武器と銃、それらは血の遺志として収納してあるので、万が一の事態が起こっても、セブルスは問題ない。
問題なのは、目の前の男女だろう。
“
間違っても、昼日中の町中を無防備に歩き回っていい取り合わせではない。
「・・・実は、実家に戻って、兄のことをいろいろ調べて回っていた時に、押しかけられたんです。
兄が、ジェームズ=ポッターと一緒に、実家に遊びに来させていたみたいで」
言いながら、レギュラスは横目でポッター母子を見やる。冷たい目だった。
彼からしてみれば、彼女は尊敬する先輩を切り捨てて、スリザリン差別主義者のポッターに走った、尻軽のマグル出身の女でしかないのだ。
セブルスが気にかけているから、貶さないだけだ。
おまけにこんな面倒にレギュラスを巻き込んだ。冷たい目で見ない方がどうかしている。
「グリモールドプレイス12番地の方には入れられませんよ。
兄もいなく、駄眼鏡もいない、何の後ろ盾もないマグル女を入れようものなら、ただでさえも弱っている母に、どんな負担を強いることになるか・・・」
ため息交じりにそう言ったレギュラスに、セブルスは察してしまった。
「・・・ご母堂のお加減は、あまりよろしくないようだな」
「ええ。先日の報道で、さらに負担がかかったようで。
父が亡くなってから、僕のこともあって、気力だけで踏ん張っていたところに、今回の騒動です。倒れなかっただけで、十分ですよ」
そう言って、レギュラスはじろりっと、ポッター母子を睨みつける。よくも弱った病人のいるところに、無遠慮に押しかけてくれたな、と言わんばかりにだ。
「・・・ご、御免なさい。シリウスなら、手を貸してくれると思って」
「兄はブラックから勘当されています。お伺いになってないんですか?」
「グリフィンドール出身で、マグルを擁護して、“不死鳥の騎士団”に所属しているから?ひどいわ!」
「ちがいます。兄が在学中、どれだけ他の純血貴族に迷惑をかけて回ったかご存じないんですか?
低学年の頃ならまだしも、時期になろうと就活もせずに、やることは闇の魔法使いというレッテルを張りつけて、スリザリン生をいびることだけ。
ブラックの名を嫌っているくせにその脛をかじってくると、権利だけ享受して義務を放棄していました。
ノブレス・オブリージュってご存じですか?
あなたにはわからないかもしれませんがね、お嬢さん。僕たち、ブラックの者は!魔法界の純血貴族は!聖28家は!富める者として、下々にその手を差し伸べ、守り、導く責務があるんです。兄もその教育は受けたはずというのに」
「だからって、マグルを迫害していいなんて!」
「違います。それを言っているのは、闇の帝王と一部の過激派だけです。
彼が現れる前の、純血貴族のスタンスは、マグルと魔法族の住みわけです。
実際、今も穏健派の連中は、そうあるべきだと言ってますよ。
あんたたちのように、口先ではマグル擁護だの、グリフィンドール優位のダンブルドア万歳なんておためごかしを言ってる連中が気に入らない・・・いいえ、連中こそ魔法界の害になると判断したものが、闇の帝王に手を貸しているだけです」
「そんなこと!」
話題がずれてきている。
二人の言い合いに、セブルスは若干うんざりした。
啓蒙高い上位者としては、マグルがどうの、魔法界がこうの、闇の帝王だの、はっきり言ってどうでもいいのだが。
どうせ挽肉にしてしまえば、みんな同じだ。闇の帝王にしろ、ダンブルドアにしろ、脳に瞳もなければ、血肉と糞尿が詰まった革袋で、武器を当てれば間違いなく殺せるというのだ。何も問題はない。
かなり猟奇的な思考回路だが、これでもかなり大人しい方である。その気になればもっと冒涜的なことも思案できるし、何より。
何より、すぐそばにいる二人に向けて、武器を振り上げようという思考には、至ってないのだから。
狩人としては、かなり大人しく真面な部類に入るだろうと、セブルスは自分ではそう思っている。
他世界の狩人をちらほら見たからわかる。
連中は、フレンドリーファイア一つで中指を立てて、下手をすれば闇霊として入り直して、襲撃をかけてくる。これはセブルスもそうするから、わからんでもない。
問題はもっと別で、深刻な部類だ。
ファッションセンスが奇抜過ぎて、理解不能である。装備品が神父の狩装束に枯れ羽帽子とかのちゃんぽん取り合わせとかならまだマシ。
全裸に金のアルデオとか、厳つい男性なのに人形ちゃんの服とか、全裸にメンシスの檻とか。(そしてそんな珍妙な格好をしている奴ほど、レベルも高くて仕掛け武器の扱いもたけている)
いくらセブルスが脳に瞳を宿していても、理解したくないものはある。多分、理解できてしまったら、全身から槍が生えて、死ぬ。
話がそれた。
「・・・それで?なぜ、二人してここに?私はなぜここに呼ばれたのだ?」
うんざりしているのを隠しもせずに改めて尋ねたセブルスに、気を取り直したらしいレギュラスが答える。
「彼女が訪ねてきたとき、ちょうど僕が実家から出ようとした時で、正体を見抜かれました。僕のことを言いふらされても困ると思いまして。
・・・彼女は、とにかく『追われている、助けてくれ』しか言いませんし。
先輩を呼んだのは、彼女をそちらの家にお連れしていいかという確認のためです。
例の鐘を持っていたそうなので、それを使ってお呼びしようと思ったら、今回に限って不発に終わってしまったそうですし」
「あれは、貴公の仕業か・・・」
先ほどの、“共鳴する小さな鐘”を鳴らした犯人が判明し、セブルスは溜息をつく。
レギュラスには、あれらの品の効用について説明していた。で、リリーの持っていたそれを使って、セブルスを呼ぼうとしたというところだろう。
そうして、セブルスは改めてリリーを見やった。
確かに、いつまでもこのノクターンと思しき安宿の一室にこもるのはよくない。
いつ奇襲を受けるか、誰がやってくるか、冷や冷やする。レギュラスも、リリーも、セブルスは失いたくないのだから。
そんなリリーは、どこか戸惑ったようにセブルスを、チラチラと見ている。
「・・・ええっと、もしかして・・・セ・・・スネイプ?」
おずおずと尋ねてきたリリーに、スネイプは視線を外して静かにうなずいた。
ルシウス=マルフォイや、レギュラスは一目でそうだとわかってくれたというのに、彼女は分からなかったらしい。セブルスとレギュラスの会話から、やっとわかったというところだろうか。
ヤーナムの終わらない獣狩りの夜を延々ループし続け、狩人として延々闘い続け、その過程で血の遺志やら啓蒙やら輸血液やら三本目のへその緒やらを取り込みまくったセブルスが、かつてとはほとんど容姿が異なっていることを、彼は自覚してなかった。
服装でさえ、魔法界のものとも、マグルのものとも、微妙にずれているのだ。ヤーナムファッションは機能性重視である。たまに返り血で真っ赤になるが、動き回ってたらそのうちとれる。魔法だってある。
ヤーナムで手に入った服装も、いくつかは魔法界よりの服もあるが、セブルスはこのインバネスコートタイプの狩装束が一番気に入っているので、これを愛用しているのだ。繰り返しのせいで、予備もたんまりとある。
本来ならば、陰気な育ち過ぎたコウモリとすら揶揄されてもおかしくない男も、地獄のヤーナムを経れば、脳に瞳を抱えて一流のモツ抜き技能を持つ、上位者狩人にクラスチェンジできるのだ。
それがいいか悪いかはまた別として。
続く
【ハウスエルフの服】
ハウスエルフたちが身にまとう衣服。枕カバーやタオルなどを体に合わせている。魔法で洗浄・修繕をしているので継ぎ目はなく、清潔である。
ハウスエルフは衣服をまとわない。衣服をあてがわれるのは、無能と嘲られ、解雇を意味する侮辱である。
館と主人たちの生活の安寧維持に矜持を持つハウスエルフにとって、主たちからの労いと感謝の言葉こそ、金銀にも勝る何よりの褒章である。
外伝(ポッター家周辺惨殺現場、予言、シリウス裁判関連のあれこれについて。ブラボ要素はほぼ皆無)を読んでみたいですか?
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もちろん!すぐに!
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サイレントヒル2編の後で!
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第1楽章終了後で
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むしろプリンス家関連の話の方がいい
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興味ないです
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その他!