後種まきの段階です。
世界は正常に動いていた。しかし、あるものの発言で全てがくるっていく。
「慈しみの心を持って相対[あいたい]すれば、必ず心を開いてくれます」
「はい」
「もしも心を開いてなくても大丈夫です。全ては、柔と剛、ゴリ押しにあるのです」
「はい」
「わかりましたね、インデックス」
「わかりました、お母様」
全ては此処から始まる。
1:インデックス
「当麻さん」
「はい、なんでせうか?」
「貴方の食事事情を解消しましょう」
「はい?」
「イギリス正教より、保護者への保護を指示しておきます」
「大事になってません?」
「これは当然の処置でございます」
ここはとある魔術の禁書目録の主な舞台、学園都市。
そしてこの場所で行われる痛快バトルアクションを、全身全霊で体験する青年の家に
彼女はいる。
「大げさすぎだろ……」
いや、大げさではない。
色々話はあるけれど、この学園都市は230万の人口と8割を学生が占めている名実ともに学園都市だ。
この都市に住んでいる学生は、親元を離れ寮に住むことになっている。
これで判明すると思うが、お金の問題が発生する。
そんなわけで資金問題を解決するのは、奨学金という給料制度だ。
現在日本の実質借金の奨学金ではなく、完全無料の奨学金だ。
理由は簡単で、能力開発のために脳をいじったり電極刺したりという実験を行い、
それによる人生を歪曲云々の契約賃みたいなものだ。
「そうなのですか?」
「俺はそう思ってる。でも、パソコンで調べた限りじゃ違ったぜ」
表向きはこうだが、パソコンなどでちゃんと調べるとこの資金は開発された人間に
備わる異能の投資金なのだ。
つまり、価値がない人間ほど最低限の生命活動を維持できる資金を渡され、
逆に高位能力者だと能力上昇やいざという時のための先鋒突撃の任を渡される【責任】の対価だとか。
「当麻さんは無能力者なんですよね?」
「そうだぞー異能は壊せても、範囲は右手だけ。
作れないから価値もないんだとよ、とほほ」
「素晴らしいお方がいるのに、なんてもったいない。
私専門の護衛になりませんか?」
「私目にはもったいないでございますです」
「そんなに魅力ありませんか? これでも毎日頑張ってるんですよ?」
「腕を取らないで、胸を当てないで、上目遣いはやめてくれー」
この世界線のインデックスは、なんと中学生くらいなのだ。
つまり成長途中かつ徐々に性徴してきている為、青年である上条当麻にとって非常に毒なのだ。
「そもそも当麻さんは私(の首輪)を犯したのです。
つまり私は当麻さんのモノ、いつでもどうぞ♪」
このインデックス、成長している分無駄に知識が豊富で、想像力も豊富なのだ。
いま彼女の頭の中では、英国の首輪が壊され上条に鎖付きの首輪をつけられてペットの様に扱われているという妄想劇が―――。
「いや俺こんなことしねぇから!?」
「昨今TVでみる草食系男子ですね、えいっ」
あ、押し倒した。
「な、なな、インデックスさん?」
「そんなに意気地なしだと、私も我慢できませんよ?」
「や、やめてくれ(なんか今日もぐいぐい来るぞ!?)」
なんとも煽情的なんだろうか。小学生のようで幼児のような我儘なお子様が、
年月が経ち中学生特有の大人と子供の狭間にある色気が、青年のいろんなものを刺激する。
実際青年は、いろいろはちきれそうだ。
あ、胸に指を這わせて、口元まできた。
もともとかわいかったのが、妖艶で美しくなったものだからその魔性の笑みは、
青年の理性をがりがりと削ったものだろう。
「今日こそ、私と―――」
ピンポーン、ガチャ
「不純異性交遊として、国会に提出するぞ?」
このお色気要素に、邪魔が入ってしまった。
玄関鳴らして入り込んでくるお邪魔ムシ。
その人間は、本当はイケメンハンサムなのだが、上条にまたがっている女子は彼の内面が好きらしい。
「それだけは勘弁してくれよ、先生」
「むーなんでいっつも邪魔するかなぁ」
「当然。子供が子供を作ってどうするんだい? 必然ながら、今日も勉強をしようじゃないか」
「「はーい、先生」」
先生こと、アウレオルス=イザード。
彼は輪廻転生者だ。閻魔大王に100000年回帰の記念で、特別に転生させてもらったのだ。
その転生先は、アウレオルス=イザード。
彼になった彼は、インデックスを拾い上げ勉学と共に、母の愛と慈愛を学ぶため孤児院へ預けた。
アウレオルスは、最初こそインデックスと周囲を敵に回したが、精神の安定と頭脳の安定的な使用と今後における将来性に先手を打って投資したため、その辣腕ぶりを買われた。あまりの栄転と評価に、驚愕しながらも周囲と紲を結び、色々あって学園都市に来た。
学園都市に来たのは、首輪を壊すため上条当麻に会うのが目的なためだ。
色々年月は経過してしまったが、結局4000冊は覚えてしまった彼女を、
色々するために青年の元で過ごさせてもらうことにしたのだ。
彼自身は三沢塾を何故か上場させて、取締役社長を他者へ譲り自身は会長としての身分を確立している。
「いやー、先生が俺に土下座してきたときは驚いたなぁ」
「あの時はすまなかった」
「やめてくれよ、むしろおれのほうが感謝すべきなのにさ」
先生が土下座した後やったのは、経済支援だ。
上条当麻が原石かつキーパーソンなのはわかっていたので、来る日のためにいろいろ融通したのだ。
それでも清貧癖がついた青年の食事事情は、改善されるわけがなかったんだが。
「では、今日もヨハネのペンの制御方法を学ぼうか」
この世界線は、彼が思ういい世界になれたのだろうか。
2:お前の愛を数えろ
「子供作りたい」
「だ、ダメに決まってるでしょう!?」
「既成事実作っちゃえば、当麻さんはもう逃げられません!」
「英国式であれど、あなたは日本人に嫁ぐのですよ!?
日本の女性への法律防御は米国のフェミニズムを超えるのです!」
「それでも私は、当麻さんと一緒に生きたい。私の【女】がうずくの」
「ダメです。せめて、16歳になってからにしてください」
ある日、彼女はミリ薄のゴムが入った箱や錠剤の入った箱を握りしめて、
神崎火織と対峙していた。
場所は近くにある公園。真昼間のくせに、住人がほとんど学生なのもあって人気がしないが、口に出していけない言葉を全体の内6割強を占めながら激論をぶちかます。
「ねえ、ステイルもそう思うでしょう?」
「何故僕に振るんだ。一個人として言うならば、インデックスが思うようにすればいいと思う」
「じゃあ―――」
「でも、ちゃんと手順を踏むんだ。この国の婚姻年齢は、男は18、女性は16。
上条は16歳だ。後二年まつんだ」
「う……ぐ……」
お腹が痛いわけでもないのに、お腹をさすって我慢する。
「愛がほしい……」
「火織、インデックスのメンタルヘルス、頼んだ」
「わかりました」
ヤンデレになりそうなインデックスを、なんとかマジカルパワードカナミンにくぎ付けにすることで色々な問題を片付けることに成功した。
しかし問題はこれで終わることはない。
「ねえ、そこの金髪さん、愛って何?」
「うぇ!? あ、ああ、あ、愛!? 相手を慮ることかな!?」
「それだけ?それじゃ、相手は振り向いてくれないと思うんだけど」
「じゃあ、実力行使力を発揮すればいいんだゾ☆」
「どうするの?」
「えーそりゃぁ、逃げられない様に社会的にも物理的にも封じ込めて、既成事実かな」
「だよね!! やっぱりそうするしかないよね! ついでに自分も首輪か何かで、
縛られている表現すれば、叙情的にもにげられないよね!」
「うんうん、理解力高くていいゾ~これ☆」
金髪のちゃんねーこと、食蜂操祈。
レベル5の超能力者だ。心理掌握というもので、読み方はメンタルアウトとのこと。
人間の血液や血漿、神経伝達物質等液体と呼べるものを操作する能力だ。
系統は水。電気とは相性は最悪で、御坂美琴という電撃びりびり中学生に能力は効かないんだ。
「うーん(心理掌握が効かない? どういうことなのかしら?)」
「そういえば金髪さんの名前なに? 私はインデックス」
「私は食蜂操祈よ」
「電話番号交換しましょう。ぜひお友達になりたいな」
「ええ、いいわよ(不思議な子ねぇ)」
なおインデックスに、能力による介入はわかってたようだ。
操作される前に、ヨハネのペンがそれらの波長をうまく受け流したようだ。
「操祈さんの好きな人って誰?」
「私? 私は……あの人ね」
指をさした先に見える人物。
それはつんつん頭の特徴的な髪型の彼、上条当麻だ。
「おーい、インデックス! って、食蜂!?」
「あ、えと、久しぶり」
「おー、あの時以来だな! 元気そうで何よりだ。しっかし、インデックスと知り合いだったとは。見ていてくれて、ありがとな」
「う、うん、さっきしりあったのよ」
「そっか。インデックス、先生が呼んでいるんだ。帰るぞ」
「わかりました」
食蜂操祈は視線を合わせづらそうにしながら、髪の毛を指で遊ぶ。
中々の恥じらいに、インデックスは光の無い闇の瞳で見やる。
当然上条はそんなこと知らない。むしろ知っていた方がおかしいまである。
「当麻さんは、先に帰っていてください」
「ん? おう、先に行ってるから、早くくるんだぞ?」
そう言って去っていったのを見届けると、くるりと食蜂に向き合う。
空気が重いなぁ。
「上条当麻さんは、私のモノにしますので」
「なぁに言ってるのかしらぁ? ヒロイン力は、私の方が軍配が上がるってもんよ?」
「先に当麻さんを射止めた方が勝ちで、一生色目を使わないように」
「それは、インデックスちゃんにも言えることよねぇ?
この豊満な魅力的な身体を使えば、当麻君はイチコロだゾ☆」
「身体でつなぎ留める恋程、脆いものはありません。
それに、あなたのは恋に恋してるだけでは?」
「あらあら、この小童は人生力が足りないようね?」
「ほざいていてください。では、また。失礼します」
「ええ、また会いましょう」
お互いに譲れぬ戦がある! これが漢をめぐる女の陰湿な戦いの始まりだった!
なお、遠くから見ていたアウレオルスは、胃のあたりを痛めていた。
「この先大丈夫なのか?」
ため息しか出ない状況だが、結びつきが強くなるならそれもありなのか?
と思いながら、上条宅へ足を運ぶことになった。
今から勉強させておかないと、彼の単位が足りなくなるかもしれないからだ。
まだまだその時ではない。それでも、できることはやっておいた方がよかったりする。
3:注意、これはただの添い寝です
(ま、まずい。非常にまずい。上条さん的に、人生最大のピンチでございます。
父さん、母さん。不肖な息子を許してください)
「んん、当麻ぁ」
はい。やってきました。インデックスさんのターンです。
いや、いつもそうなんだけどさ。
以前の愛とか恋敵のせいで、エンジンがついてしまったインデックスさんは
上条君に猛烈アタックをしかけている。
寝る前に先生やイギリス清教から、念入りに、念入りに、念 入 り に、
口酸っぱく耳に胼胝ができるくらい注意されている。
”てをだすな。(法律と体裁的に)”
アッハイ。
現在、インデックスさんは上条と密着して寝ております。
初夏であるから、薄着でもいけることが災いを呼んでしまった。
洗濯と乾燥が楽だからと選ばれた短パンとシャツを着たインデックスは、
今まさに成長期。
それでも女性的な柔らかさと甘い匂い(美人臭)、最近出てきた胸が薄い布を
介して腕に伝えられるのだ。
しかも、全幅の信頼を寄せられるが故の無防備。
更に前日の求婚といういくらか過程をぶっ飛ばした行動により、色々な【雄】の部分が刺激されている。
(手を出しちゃだめだ、手を出しちゃだめだ、手を出しちゃだめだ、手を出しちゃだめだ)
「当麻ぁ、ほしいよぉ」
だからと言って、腕を太ももで挟み込むのはよくないと思います。
上条は決して子供が嫌いというわけではない。
しかし女性の面でいうならば、むしろお姉さんという年上というか性徴しきった人がストライクゾーンなのだ。
普段からいろんな事件に首を突っ込み、事件の中心にいる彼。
上条は率先して動くから、いろんな人に頼られる存在になってしまっていた。
だからこそこの頼られるということに疲れた時、癒してくれる【頼ってもいい】女性がいいんだ。
(柔らかい、いいにおい……今更なんだけど、インデックスってすっげぇ美人なんだよな。ほんと、今更なんだけど)
腰に届くほどの銀髪と翠碧の瞳とか、すでに外見で優遇されている。
更に特殊な人生と特殊な教育で、身体は程よく肉が付き性徴もしていっている。
甘えたがりだが、そこがいいのかもしれない。
(鼻筋も通っていて、唇もきれいだ。まつげ長いなぁ、月下の銀髪もきれいだし……
あれ、これ、普通に美少女では?)
出会ってかれこれ一か月は経過している筈だ。
最近の好き好きアピールで、言葉だけで見てきただろうが細部まで見れば断る理由なんざないのだ。
(やっべぇ、これ、土御門のこと言えねぇな)
「当麻……来て?」
はーい、いかがわしい行為は検閲しまーす。なお、強靭な精神力と共に、ぼーっとしてたら
爆睡かつ寝落ちしていたようだ。
「二人ともおはよう。ごはんを作りに来たんだが……大丈夫か?」
「先生」
「なんだい?」
「これを後二年耐えろと?」
「私が何とかするから、あと半年は持ってくれ。そしたら、好きにしていいから」
起きているのは上条だけだが、その目はとても黒く寝不足な感じしかしなかった。
爆睡できても気絶みたいなものだし、精神的疲労は蓄積しているのだろうな。
一応先生も上条の立場を確立するための行動をしているが、なかなか実を結ばない。
手ごたえはあるのだが、反対勢力は一定以上いるというね。
「当麻君。消音とロックしておくから、トイレで解消しておいで」
「すみません」
「大丈夫だ。私も年頃の子にそうされたらそうなる自信がある」
先生は懐も器も広く、困っている若者を放っておくことはしないんだ。
流石にこれ以上はまずいので、迅速な対応をするしかないだろうなと結論付けたようだ。
ただ彼らを別居にするわけにはいかない。
普通にコストもそうなんだが、インデックスを学園都市に留学させる条件は
上条のところに預けるという条件があった。
ここは色んな策略があるらしいが、そんなことはつゆ知らずアウレオルスは二つ返事で引き受けたのだ。
そしてここで過ごさせてから色々あった。
その色々は濃すぎて、語るには少し時間がかかる。
「ほれ、できたぞ。ベーコンエッグと食パン、サラダに牛乳だ。
インデックスには、新商品のムサシノ豆乳だったな」
「「いただきまーす」」
「はい、いただきます」
三人でごはんを食べたら、インデックスと当麻は自室でアウレオルスは真下の階に降りて身支度をする。
そして三人は1階で合流して、そのまま一緒にとある高校へ通学するんだ。
上条やアウレオルスはともかく、インデックスも通学する理由。
それは英国まみれのインデックスを、日本の常識に浸して日本人に帰化できるようにするためだ。
幸い彼女は成長して、心身ともに落ち着いている為その明晰な頭脳をもって
数か月で習得できるだろう。しかし、体得して会得に至るには数年かかる見込みだ。
「今日は能力検査か?」
「そうなんですよ。無能力者しかいない高校でやったってなぁ」
「パーソナルリアリティは、常に変動していると聞く。勉強すれば、能力がつくかもしれないぞ?」
「すでに幻想殺しっていう能力があるんですが」
「そこは可能性を描くんだ。私の能力も、可能性を描くものだからな」
アウレオルスの黄金錬成(アルス=マグナ)は、可能性よりも現実をゆがめる魔術。
なおこの転生者、人生が結構濃かったので不可能なことはむしろ面白いと思ってしまうようになっている。おかげで、本来の彼がもつ”現実にならないという不安”は消えている。
だがせっかくの鍼という要素があったのだから、と鍼治療の免許まで習得する勤勉さをもっている。
不安や不可能は未来を楽しくする味付けにすぎない。
そんなアウレオルスは、今も可能性を追っている。
「なんでもできるって思わないと、何もできないぞ?
まだ君は若い。貪欲に結果を手繰り寄せないと」
「そうなんですかねぇ」
「当麻さん、掴める可能性を逃してしまうと今後絶対に、不可能を挽回することは
できませんよ」
「なるほどなぁ」
白いランドセルを背負うインデックスを横目に見つつ、とある高校へ到着する。
ここで紡がれるは、平穏と人情である。
そして未来のための布石の為でもあるのだ。