中間管理職のオッサンが褐色美女な悪魔に憑依転生してしまった話 作:とんこつラーメン
原作に介入するかは不明ですが、仮に介入しても滅茶苦茶になる可能性が大です。
「…………ん?」
えっと……あれ?
なんか目が覚めると、いきなり全く見覚えのない天井が見えてるんですけど。
「……ここは何処よ?」
…ちょい待ち。今の綺麗な声って誰のだ?
なんか、めっちゃ近くから聞こえてきたような気が……。
「あー…あー…うん。間違いない。これ、私の声だわ」
うおっ!? 手が細くなってるっ!? しかも、肌の色も変わってるっ!?
褐色になってるけど凄い綺麗なんですけどッ!?
「私の肌って、こんなにもスベスベしてたっけ…?」
二十歳で実家を出てからこっち、ずっと働いてばかりで浮いた話なんて微塵も無かった私には女性の肌なんて滅多に見られるもんじゃない。
それこそ、レンタルで借りて見てるAVぐらいでしか見れないから、思わず自分のものだと分っていても夢中になって触ってしまった。
「いやいやいや…ちょっとまて自分。全く状況が分からないのに自分の肌を夢中になって触るとかバカか」
まずは、今の自分の姿を確認しなくては。
どこかに鏡とかはないかな~…っと。
「なによ、この部屋は……」
まるでテレビで見た一昔前の英国貴族とかが暮らしてそうな豪華で広い部屋。
私のような人種が最も嫌う、見るからに金持ちの部屋だ。
「お…落ち着かないな……」
上京してからずっと6畳一間のアパートで生活してきた独身中年男からすれば、こんな部屋は落ち着かない事この上ない。
今すぐにでも室内に仕切りを作ってから区切りたいとすら思ってしまう。
「お?」
キョロキョロと辺りを見渡していたら、壁際に化粧用と思わしき大きな鏡があった。
こーゆーのってなんていうんだっけ……忘れた。知らん。
「………マジで? 何の冗談だ?」
やたらと無駄にデカいベッドから這い出て鏡の傍まで行って自分の顔を見てみると、そこには今までに見た事も無いような褐色の美人(しかも、超グラマースタイル)が映っていた。
「よく見たら髪も長っ! 道理で視界の端にさっきからチラチラと何かが映ると思ったわ」
長い髪に憧れを抱かない訳じゃないが、ここまで長いと普通に鬱陶しいな…。
だからと言って切ろうとは思わないけど。
「…夢…だよな?」
じゃないとおかしすぎる。
いきなり中年のオッサンが、こんな美人に変身してるなんて有り得ない。
「今着てる、えっと…ネグリジェ? だったけ? これも肌が露出し過ぎだろ…。こんなんじゃ普通に風邪を引くだろうが。それ以前に、女性がみだりに肌を出すもんじゃない!」
全く…幾ら夢だからって、これは無いだろ!
一体どれだけ普段から性欲が溜まってるんだよ!
ちゃんと溜まりすぎないように発散はしてるつもりなんだが?
「……えい」
アニメとかでよくあるように、試しに自分の頬を強く引っ張ってみた。
すると、見事に摘まんだ感触と痛みが走る。
これ……本当に現実? 冗談だろ?
「……疲れてるのかな」
昨夜も終電ギリギリまで残業してたし、家に帰ってからも死んだように倒れて、そのまま……。
「……まさか……」
これって…少し前から流行り始めてる漫画とかのジャンルの『異世界転生』ってやつじゃ……。
思い出してみると、倒れた後の記憶って全く無いぞっ!?
もしかして、あのまま私は過労死でもしたのかっ!?
いや、確かに過労死してもおかしくないような仕事量だったけどさ!
「って、んなわけないでしょ! フィクションと現実を混同するとか、どんだけ疲れてんだよ私は!!」
思わず頭を抱えてその場に蹲ってしまう。
うぅぅ……もう本気で訳が分からない……。
こんな時は、綺麗な青空でも見て気分を落ち着かせよう……。
ほら、部屋のカーテンを開けば、そこには眩しい太陽と青空が見えて……。
「なんじゃこりゃあっ!? 空が紫になってるっ! 凄く毒々しいっ!」
…………体から感じる感触は紛れも無く本物で、空は見事に紫色。
冗談抜きで異世界に転生してる…?
「………胸…大きいな……」
さっきから動く度に揺れてる……。
美人で胸が大きくて、恐らくはお尻も大きくて……。
「…見た目だけなら絶対に勝ち組ね」
いや…何を現実逃避してるんだ私は。
まずはここがどこなのか、自分が…というか、この体の持ち主が誰なのかを調べないと!
「こんだけ広い家(屋敷という言葉が出てこない)なんだ! きっと、使用人の一人や二人ぐらいは必ずいる筈! その人達に聞けば!」
そうと決まれば善は急げだ! 誰かいませんか~!
…その前に、ちゃんと上着は着ていこうね。
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家の中を全部探し回ったが、自分以外には見事に誰もいなかった。
そのくせ、無駄に広かったりするし……。
肉体的よりも精神的に疲れた私は、リビングと思わしき広い場所にあるソファに横になって休憩していた。
「寂しいのには慣れてるけど……広い場所に一人でいるのは精神的にキツい……」
全く慣れない状況にストレスががががが……!
「しかも…見た事も聞いたことも無いような文字がいっぱいあるし……」
なんなんだよアレは……。
英語じゃないし、かといって他の言語でもないし……。
色々と調べたくても、文字が読めないんじゃそれすらも出来ない……。
「ちくしょー……外国人の取引先相手にも対応出来るようにと、頑張って通って身に付けた英会話も無駄になっちゃった……」
授業料…凄く高かったんだぞ……返せよ…クソ……。
もう二度と使わないような教材まで買わせやがって……。
「…腹減った」
チラっと壁掛け時計を見ると、朝の8時を指していた。
不幸中の幸いなのは、数字だけは同じだったという事。
それすらも違っていたら、完全にここで詰んでいた。
「…そういえば、さっきキッチンみたいな所があったわね」
何か食材でもあるだろうか。
あれば一人で勝手に作って食べるんだがな。
面倒くさい時はコンビニ弁当を食っているが、可能な限りは自炊をするように心掛けている。
流石に凝った料理は作れないが、それ相応の物は作れる…と思う。
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どうも。無駄に広いリビングにて自分の作ったハムエッグとトーストを一人で寂しく食べてる、以前は中間管理職をしていた元オッサンの美女です。
…異世界なのに食パンとかハムとかあるのが、中途半端に現実感あるんだよな。
やるなら徹底的に異世界っぽさを感じさせてくれよ…夢が壊れるだろうが。
「醤油が恋しい……」
私は目玉焼きにはソースでも塩でもなく醤油派なのだ。
けれど、こんな西洋一色の場所に日本伝統の醤油なんてあるわけも無く、仕方なく塩を掛けて味わっている。
これもこれで美味しいけど…やっぱり醤油がいい……。
「腹ごしらえを済ませたら、改めてこの中を調べないとな……」
全く情報が無いのは不安しかない。
文字を勉強するにも、まずは辞書的な物が必須だし……。
「せめて、英語訳の辞書でもあれば、なんとかなるんだけどな……」
さっきはパッとしか探ってないし、今度は細かな所まで徹底的に捜索してみるか。
資料探しは得意中の得意だからな。中間管理職を舐めんなよ?
あー…何もつけてないトースト美味しいなー(泣)
どうして、バターもマヨネーズも無いんだよ……しくしく……。
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「あった!! ダメ元で探してみたら本当にあった!!」
書庫と思わしき場所の片隅に、英語で書かれた辞書のような物があった。
中身を確認してみると、ちゃんと英語と謎の文字との比較が表記されている。
これでやっと事態が少しだけ進展する!
そう思った私は意気揚々と色んな場所を調べ始める。
そうして、ようやく様々な事が判明した。
まず、今の自分…というか、この体の持ち主の名前は『カテレア・レヴィアタン』といって、なんでも嘗ての魔王の血を引く継ぐ悪魔…らしい。
そういや、確かの今の私は魔性な妖艶さがあるよな……。
意識をしたら、背中から蝙蝠みたいな羽と、腰から尻尾が出てきたし。
これらを自分の意志で動かせるんだから、なんとも気味が悪い。
んで、今いる場所は『冥界』で、ここはその片隅にある屋敷らしい。
…屋敷って単語がすぐに出てこない辺り、なんとも悲しいなぁ……。
今は別の魔王さんが四人もいて、それぞれで協力し合って冥界を統治していて、前までの魔王の血を継ぐ私達は今の世には邪魔となるようで、今みたいに首都からも離れた場所に追いやられているようだ。
っていうか、冥界にも『都市』なんてあるんだな…。
だって、冥界ってあの世だろ? なんであの世に街があるんだよって話。
矛盾してないか?
一通りの事が分かってから、今度は自分の体についても調べてみることにした。
色々な文献を調べたら、レヴィアタンの家系に連なる者は、水や氷系の魔法が使えるようだ。
魔法…誰もが一度は憧れる言葉……。
よもや、この歳でそれが本当に使えるようになるとは……。
流石に家の中で魔法をぶっ放すわけにはいかないから、誰もいない裏庭にて試してみる事に。
「こうして手を翳して……どうすればいいのかしら?」
イメージでもすればいいのかな? えっと…ドラクエやFFの魔法でいいかな……。
「ヒャ…ヒャドッ!」
私が適当に叫ぶと、青白いオーラみたいのが放出されて、目の前にある岩を凍らせた。
わぉ……本当に出来たよ……。
「んじゃ……ブリザド?」
今度も強い冷気が放出され、別の岩を凍らせる。
…変に難しいイメージをせずに、適当に漫画やゲームの魔法や技を出す感じでいればいいのか?
ちゃんと制御を出来るようにしなくちゃと思って頑張る気でいたが、なんかその心配はなさそうだな……。
不思議と身体が覚えている感じだ。
このカテレアという人物は凄い人…じゃなくて、悪魔だったんだな。
それと、どうでもいい事だけど、私がどれだけ男口調で話そうとしても、なんでか強制的に中性的、もしくは女性口調に変換されてしまう。
特に『俺』と言おうとすると『私』に変えられる。
さっきからずっと一人称が『私』だった部分は、本当は『俺』と言おうとしていたのだ。
「…こんな落ち着かない場所には一分一秒も居たくは無いけど、その前に知識を身に着けないといけないわね……」
まずは冥界の言語をマスターしないと。
全てはそれからだ。
後、現在の自分の資産とかも調べておかないと。
何をするにしても、先立つものが無いと話にならないからな。
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私が転生(?)をしてから、早くも数週間が経過した。
嘗ての英会話習得時の感覚がまだ残っていたお蔭で、冥界の言語は思ったよりも早く最低限は習得出来た。
食料も思ったよりも沢山あったので、買い物とか行かなくてもなんとかなった。
そして、最も大事な現在の我が家の財政状況を調べてみた結果、驚くべき事が判明した。
なんと、円に換算すると軽く一生は遊んで暮らせる程の金があった。
魔王の血筋ってのは伊達じゃないみたいだな……。
以前の私が一生働いても稼げない程の資産を持ってやがる……。
でも、幾ら金を持っていても私自身は完全な庶民派だ。
こんな場所でこれからも暮らすなんて絶対に御免被る。
腕を伸ばして物に手が届く。それぐらいが一番いいんだよ。
だから、私はある一大決心をした。
「…ここで合ってる…わよね?」
今、私の目の前にあるのは、地上に行く為の電車がある駅みたいな場所。
こんな所まで妙に現代チックなのが、またげんなりする。
ここから特別製の電車に乗って、人間達の住む世界へと行けるらしい。
事実、私の他にもちらほらと悪魔たちが構内にいた。
そう…あの家を捨て、私は人間達が住む世界…私の本来のホームである日本に戻るのだ!
最低限の荷物は全て鞄やアタッシュケースとかに入れてきたし、資産の方は根性で発見した銀行にて全て日本円に両替して、向こうでも使用出来る御都合主義全開な万能な通帳に入れた。
調べたところによると、今の人間世界は21世紀初頭ぐらいで、私が人間として生きていた頃と同じぐらいみたい。
それなら、住むには何の支障も無い。日本語は完璧だしね。
名前とかは…そのまんまでいいかな。
偽名なんてそう簡単に思う付かないし、仮に使っても簡単にバレるだろうしね。
でも、国籍とかはどうしよう? まぁ…行ってから考えますか。
ちゃんと市役所とかに行って身分を証明する物を作らないといけないしな~。
私に合った部屋も借りないといけないし、家電とかも買い揃えないといけないし。
はぁ…やることが一杯だ。けど、これもまた自分自身の未来の為だと思えば辛くは無い。
国家公務員を甘く見ちゃいけない。
寧ろ、この手の仕事は得意分野を通り越してルーチンワークになってるから。
完全に頭と体が覚えてるんだよな~……悲しい……。
「…今の格好…変じゃない…よね?」
念には念を入れて、Tシャツにデニムのジャケット、ジーパンとラフな格好に加え、髪型をポニーテールにしてから帽子を被って、サングラスのおまけ付き。
仮にも魔王の血筋って事で有名人なんじゃないかという懸念を感じ、半ば有名人の変装染みた格好で出てきたけど、今のところは問題無いみたい。
「あ…来た」
電車ってよりは汽車って感じだな……。
別にこれに乗らなくても魔方陣的なもので転移も出来るらしいが、私的にはこっちの方が性に合っている。
あの頃は朝はギュウギュウ詰めで、帰りは疲れ果てて殆ど寝てたけど。
正直、いい思い出は殆どありはしないが、それでも人間だった頃の感覚だけは失いたくない。
車内は思っている以上に空いていて、好きな所に座る事が出来た。
途中で車掌さんに妙な機械でスキャニングされた時は驚いたな。
ハイテクなのかレトロなのか、どっちだよって感じで。
私の事を見てめっちゃ驚いてたけど、すぐに表情を戻してスルーしてくれた。
職務に忠実な男は好感が持てるよ。
そうして、次元の壁とやらを越えて辿り着いた場所は……。
気紛れに更新していきます。
次回から憑依転生カテレアの金にものをいわせたグータラ生活が幕を開ける?
カテレアとブッキーの筆下し…見たい?
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見たい!!!
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別に?
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ブッキー! 俺だ! 結婚してくれ~!
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カテレアお姉さまは俺の嫁!!
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一夫多妻で二人とも俺の嫁ですけど何か?