やはり俺の高校生活はまちがい続けている。 作:さっきのピラニア
本日も駄文ですが、お楽しみください。
放課後。ノックもせず扉が無遠慮に開かれる。いつもの平塚先生かと思い目を向ける。がそこにいたのは見知らぬ人物だった。
「こんにちは~♪」
現れたのは髪は肩口まで程よく切りそろえられたモデルの様な美人。服装もカジュアルながら育ちの良さを感じさせる。
「…誰?」
「ここの卒業生ですよ。静ちゃんからちょ~っと話を聞いて、何となく来ちゃっただけです♪…あ!」
彼女は唐突に驚いた声を出す。
「そんでそんで、今気づいちゃいました。覚えてます?林間学校。」
林間学校と聞き記憶を巡らせる。彼女を見て思い出したのはずっと昔の事。
高校時代に参加した林間学校の事だ。ボランティアと言うことで生徒会の一部が駆り出された。まとめ役ってことで俺はほぼ強制参加だったが。
彼女はその見た目と性格からずっと子供達の中心にいて目立っていた。快活な笑顔で皆と談笑していた。
ただ皆の視線が外れた時、一瞬だけ冷めた眼差しでどこかを見つめていた事を覚えている。
そして俺がその眼差しを見ていた事に気付いていた。彼女はすぐに表情を変えて皆の輪の中に戻っていた。笑顔という仮面を張り付けて。
その日の夜トイレに向かうと、彼女は何故かそこにいた。
「私のこと見てた?」
彼女は問う。その問いかけはあの笑顔を張り付けた普段の彼女、という意味ではないだろう。すぅっと冷たい、品定めをするような目が物語っていた。俺は彼女の質問に素直に答える事にした。
「そりゃあれだけ目立ってたら嫌でも目に付くさ。」
「…ふ~ん、ちゃんとは答えてはくれないんだ。」
彼女はその底冷えのする様な視線を俺に向け続ける。
「…そんな目しなくても何も言わないさ、お前に干渉するメリットは無いしな。そんな事より早く寝な。良い子はもう寝る時間だぞ。」
「ちゃんと答える気はいつも良い子にしてるんだから。今夜くらいは悪い子で良いでしょ。ケチ。」
そう言って口を尖らせている彼女は年相応の少女だった。
「ハハッ。」
「何?何が可笑しいの?」
彼女は怪訝そうな瞳でこっちを睨みつける。
「いや何でもないさ。ちゃんと子供らしい表情もするんだな、と思っただけだ。」
「貴方も子供でしょ。」
「そうだな。子供だな。何も知らない。何も分かってない子供だな。」
ちょっと不安そうな表情を滲ませながら問いかける。
「貴方は私を見てどう感じた?」
「…世間一般的には人気者って感じたな。」
「そうじゃなくて。そんなつまんない答えなんて求めてない。」
そう言って俺を見つめるその大きな瞳は、何故かやたら真剣だった。
「…そうだな…何かを少し諦めて、つまらなそうだと俺は感じたな。何も不満は感じない生活だろうに。」
彼女はキョトンとした表情で答える。
「貴方もそれは感じてるんじゃないの?それをどうして私に聞くの?」
何も答えられなかった。俺はたぶん苦い顔をしていたと思う。
「…面白い人。」
そう彼女はにっこりしてそう言った。
「またどこかで会えるといいな。こんな風に話せる人はいないから。」
「嫌だよ。俺とお前が関わるのは林間学校これっきりだ。」
じゃあな。早く寝ろよ。
そう言って俺は話を断ち切ってその場を去った。出来ればもう会いたくないな。心の中で思いながら。
現実に引き戻される。
確かに似ていた。あの時の少女に。ただ今の見た目は完全に大人の女性だった。
しかし今俺を見つめている彼女の、俺の何かを見透かしたような、あの底冷えする、品定めをするような瞳は変わらなかった。
「…変わらないな。」
俺は小さく呟いた。その言葉は彼女には聞こえていたらしい。
「変わったわよ。美人で妙齢の女性になったでしょ。…貴方も少し変わった。…ちょっとつまらなくなった。」
何が変わったというのだろう。何年も前にちょっとだけ会っただけだというのに。
「何も変わらないさ、ただ少年から年を食ったおっさんになっただけだ。」
「そんな事ないよ。私、人を見る目も人一倍あるんだよね~。」
そう彼女は自信ありげに語る。先程と違った快活な表情をケラケラと浮かべながら。
「じゃあ私はここでお暇します。また来ますね、先輩♪」
そう言って彼女は去っていった。…結局何だったのだろうか。そういえば名前聞くの忘れたなぁ、後で平塚先生に聞いておくとしようか。
お久しぶりです。さっきのピラニアです。
暫く離れていてすみません。生きてます。久々に書くと書けないもので苦労しました。
なんかいろいろうだうだと考えていると進まないので、より駄文になるかと思いますが、見切り発車で頻度上げて書き連ねていこうかと思います。
投稿頻度上げていけたら良いなぁ。