やはり俺の高校生活はまちがい続けている。 作:さっきのピラニア
とある放課後。
「邪魔するぞ。」
「あぁ。」
お互い語るわけでなく、煙草に火を点す。特に何を語るわけでなく準備室の中には静寂が満ちていく。
遠くから聞こえる部活の音。擦れ合う木の葉。そして隣の女子生徒の話し声。
俺は声のする方へ目をやった。とはいってもそこは壁しかないのだけれど。
「…少し似ているか?彼女は。」
「まぁな。」
平塚先生は口を開く。
「春とはもう会っていないのか?」
「まぁな…」
「一度もか?」
「…そうだな。」
「何度でもやり直す機会はあったはずなのにか?」
「そうだ。」
彼女が言うとおりやり直すチャンスはあったのだろう。残念だったねと有耶無耶にして、もう一度積み上げて、そしてきっかけを見つけて踏み出す事が。
けどもう時間が経ちすぎた。バラバラになったあの関係を、今更積み上げ直すなんてもう出来るとは思えなかった。
余りにもコスパが悪すぎる。苦労が多すぎる。心のハードルが高すぎる。そうやって気持ちに区切りを付けて、付けたと思い込んで今までやってきた。今更俺にどうしろというのだろうか。
「お前は会っているのか?」
「偶にな。相変わらず元気でこっちが疲れる位だ。」
「いいや。幾度か考えた事はあったが、私の領分じゃない。ただ…」
彼女は少し言葉を詰まらせて続ける。
私を見たとき凄く悲しい表情をするよ。私になるべく見せないようにな。
俺たちの関係は既に崩壊している。時間が経って風化して。今となっては只の思い出の一ページ。思い出、という言葉はとても綺麗な言葉だ。そして残酷だ。どんなに神様に願っても大金を出しても戻ってくることはない。今とのギャップに絶望し、未来に思いを馳せ、そしてまたページを刻んでその残酷さを再認識するのだ。
「楽しかったな、あの頃は。」
「そうか?雑務に振り回されっぱなしだった気がするな。」
「そうか?少なくとも私は楽しかった。」
そう言って彼女は二本目に火を点ける。
俺は壁を眺めながら呟く。
「あいつらはどうだろうな。どんな終わりを迎えて、どう受け入れるんだろうな。」
「さぁな。それはあいつらは次第だろうに。ただ…」
彼女は俺を悲しく眺めながら続ける。
「私達みたいな、一番糞ったれな、そんな悲しい終わり方をを私は絶対に許さないしさせないさ。」
そう言って大きく紫煙を吐き出した。
その言葉は俺達の事情を全て知っている彼女の、昔、隣を歩き寄り添い合っていた三人の、そして俺の、俺達の選択を咎めているようだった。
「俺はあの時折れちまったんだよ。何でだろうな。何で間違っちまったんだろうな。お前もそうだろ?」
「…そう…かもな。でも私にはどうすることも出来なかった。…あの時の私も間違ったんだろうな。」
「…」
「だからこそ、あいつらはには間違ってほしくない。そしてお前にも。まだ取り返せると、私は思っているよ。」
「…」
既に間違った自分に間違うな、とは酷すぎる要求だ。過去に戻れと言うのか?今から踏み出せというのか?勿論後者だろう。
取り返しの付かない事はきっとある。そしてこれは関係者が納得してしまえば、心で折り合いを付ければ済む話ではないのか?
でもその関係者である彼女は未だに納得していない。二つの線が再び交わった、この学校、この状況だからこそ、何とかなると楽観視しているのではいかと疑ってしまう。もう一つの線を、彼女が交わらせようとしている作為を感じさせる。今更何が変わるというのか。全員の状況も違う。立場も違う。大人になった、社会人になった、もう学生気分ではいられない、何かを皆でやる理由も時間も無い。無い無い尽くしで全部違う3人で何が変わるというのだろう。ピースを揃えても今更彼女の思い描くパズルは完成しない。またその交わりはすれ違って、また心に消えないタールの様な、どす暗い諦めを増やす位なら。俺は何もしたくない。俺はもう間違えたくない。
思考が上手くまとまらないまま。消えかけていた煙草の火をいつもより強く磨り潰した。
見切り発車で中身もあやふやなまま突っ走っております、どうも無計画な馬鹿野郎は私です。
とか言いながら原作をしこしこ読み直して、シーンは乱雑に書き溜められているのが今の救いでしょうか。
少しずつ原作キャラと絡ませていこうとは思いますが、これが中々に難しい…多分偏ります。ご承知おきください。
感想お待ちしてます。励みになります。