怪異症候群 鬼の名を持つ少年   作:fruit侍

10 / 11
遅くなって申し訳ありません。大学と新しく始めた趣味が色々と重なって全然時間が取れなかったのと、話の構成を考えるのが難しくて先延ばしにしてた結果ここまで更新が遅れてしまいました。

サブタイトルの人は一瞬しか出ないほど短いですが、失踪回避のため投稿しておきます。


謎の老人

「なんとか助かった……」

 

「にしても何で急に逃げていったのかしら……?」

 

「もしや大きな音に弱いのか……?」

 

あの後、突然お爺さんの家に現れた奴から逃げきった俺達は、ここに来た途中に寄った自販機の近くで息を整えていた。なぜここにいるのかは、ちゃんとした理由がある。

 

お爺さんの家から外に出た俺達は、できるだけ大回りをしないように草地から車道に出ていくようにして逃げていたのだが、途中俺が自販機の横を通ったときにゴミ箱にぶつかって倒してしまった。

 

だがゴミ箱が倒れて大きな音が鳴った瞬間、奴が身を翻して逃げるように去っていったのだ。その時他に奴が逃げていきそうな要因も見当たらなかったことから、奴は大きな音に弱いのではと推測した。

 

だが確定したわけではない。確信するためには、もう一度奴が大きな音で逃げていくのを見る必要がある。推測だけで行動するのは大変危険だ。

 

「それより、今はこれからどうするかを考えないと」

 

姫野が言う。確かに氷室さんと連絡は取ることができたが、氷室さんが到着するまでここで突っ立ってるわけにもいかない。いつ到着するのかすら分からないからな。

 

「そうだな……俺達が今閉じ込められているこの場所を歩き回るのはどうだ? どこまで行けば戻されるかとか、奴を撒ける場所とか、知っておくといいことは色々あると思うぞ」

 

そこで俺はこう提案した。危険なのは間違いないが、得られるものも大きいはずだ。

 

「そうね。ここでただボーッと突っ立ってるよりはいいわ」

 

神代が賛同してくれた。姫野も口には出さないが頷いてくれたので、賛同してくれたのだろう。

 

そして俺達は、試しに俺ができるだけ西に行き神代が東側を、姫野が西側に向かう俺を見てどこまで行けば戻されてしまうのかを調査することにした。

 

先程倒してしまったゴミ箱と自販機の辺りをスタート地点として、俺は西に西に進んでいく。

 

(少し進んだが……ここには荷車と黄色のコンテナ、そしてお爺さんの家に続く道があるだけだな)

 

特徴を把握したあと、俺はさらに西に進んだ。

 

(まあまあ進んだが……この辺りには立て札があるだけだな。一応、読んでみるか)

 

先程通りかかった時にはスルーした立て札を読むため、俺は立て札に近づく。

 

 

『菊川市は自然溢れるいいところです!

 

ゆっくりお散歩 よい健康!

市長 永田 昭彦』

 

 

(……まあ、有益なことは書いてないよな)

 

ありふれた文言しか書いていないどこにでもある立て札だ。立て札を読み終えた俺は、すぐに西へ進んだ。

 

(奥の方まで来たが……ここにはコンビニがあるのか)

 

先程ここを通ってきたはずなのに、ここにコンビニがあったという記憶がない。それほどまでに俺達には余裕がなかったのか? まああんなことがあった後だから、回りの景色を気にする余裕なんてなかったんだろうが。

 

(少し気になるが、今は先を急ごう)

 

今の俺に寄り道している暇はない。俺はコンビニを通りすぎて、更に西へ進んだ。

 

(かなり奥の方まで来たな。……水飲み場と公園があるだけか)

 

ここには、割りと広めな公園に続く道があった。ここから見た感じだと、公園には隠れられそうなドーム型の遊具がある。使えるかどうかは正直分からないが、一応覚えておこう。

 

そして俺は、更に西に進んだ。

 

(もう姫野達が見えないところまで来たな。ここには……神社?)

 

姫野達が見えないほど西に進んだ場所には、神社があった。ここは明らかに通ったことがない場所だ。先程のコンビニならまだしも、神社ほどの規模の大きい建物ならいくら余裕がなかったとしても見落とすことはない。

 

(もしや、行けるようになってる範囲が広くなってるのか?)

 

先程のコンビニといい、神社といい、見覚えがないものばかりだった。となると、先程よりも行動できる範囲が広がったということになる。これが吉と出るか凶と出るか、俺にはまだ分からない。

 

(もしかしたら、神社にこの状況をなんとかしてくれる人がいるかもしれないな)

 

俺は神社に入ってみることにした。怪異だとか、そういう非科学的なものに関することなら、氷室さん達には悪いが警察よりも頼りになりそうな気がした。

 

(この神社……なんだか落ち着くな)

 

神社の境内に入ってから、先程まで微かに感じていた嫌な雰囲気を全く感じなくなった。この神社が奉っている神様か何かが守っているのだろうか。

 

「珍しいの……こんな真昼から人が来るとは」

 

「!」

 

反射的にその声の方を向いた俺の目線の先には、かなりご高齢のお爺さんがいた。見た感じ、奴に狂わせられてしまった先程のお爺さんよりも、歳を取っていると思われる。

 

「しかも……お主、中々とんでもないものを秘めておる」

 

「……?」

 

お爺さんはこちらの反応を気にすることなく、独り言のように一方的に話しかけてくる。

 

「あの、さっきから何を……」

 

「まぁまぁ慌てるでない……連れがおるじゃろう。二人を連れてここに来なさい」

 

俺がお爺さんに話しかけようとすると、お爺さんはそれを遮って言ってきた。驚くことに、お爺さんはここにはいないが姫野と神代がいることまで知っている。

 

このお爺さん、何者だ……?

主人公のヒロインは誰?

  • 美琴ちゃん
  • 由香ちゃん
  • どっちもだねどっちも
  • ひとみこが正義や!(ヒロインなし)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。