「そいつよ! そいつが、私のお腹を刺したの!」
神代の声で正気に戻る俺。見た目は可愛らしいが、手に持っている血塗れの包丁と放たれている尋常じゃない殺気が神代の言葉を裏付ける。
しかし俺は人形が出てきた襖の奥に、光っているものがあるのを見つける。
もしかしてあれは……?
「イッショニアソボウヨ! タノシイヨ!」
「「鬼道(君)!!」」
二人の声が聞こえてはっとする俺。気づけば、人形が近づいて来ていた。
そして人形は俺の心臓目掛けて包丁を突き出して飛んでくる。
「っち!」
俺は咄嗟に横回避する。人形は突き出した包丁が床に刺さってしまい、抜くのに苦戦していた。俺は直ぐに人形が出てきた押入れに向かい、光っていたものを手に取る。
(やはり鍵だったか……!)
俺が手にしたのは鍵だった。持ち手部分には『西部屋』と書かれている。
(これがさっきの部屋の鍵ならいいが……)
俺は鍵をポケットに入れ、二人の方へ向かい叫んだ。
「逃げるぞ!」
二人はすぐに俺の言葉に頷く。そして俺達は、和室を出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あいつ、どこまで追ってくるのよ……!」
「もう限界だよ……!」
和室から逃げ出せた、まではよかったが、あの人形は追いかけてきた。しかもさっきから廊下を5周はしているのに、諦めず追ってきている。俺はまだいけるが、体力のない女子である二人は限界が近いようで、息が荒くなっている。
逃げ切るのは不可能と判断した俺は、撃退する方法をあれこれ考える。すると、ある案を思い付いた。
(何か堅くて重いものを思い切りぶつけてやればどうだ?)
「神代、お前の部屋に何か堅くて重いものはないか?」
「勉強するときに使ってる椅子ならあるけど……まさか!」
「そのまさかだ」
俺達は通りかかろうとしていた神代の部屋に入る。そこには、勉強机とセットであろう車輪の付いた椅子が置いてあった。
「これか……」
俺は椅子を掴んで持ち上げる。かなり重く、当てれば効果が期待できそうだ。俺は椅子を抱えながら部屋の隅に移動する。
その時、神代の部屋の扉が開かれる。人形が追い付いてきたのだ。
「ネェ、アソボウ……?」
「「ひっ!」」
神代と姫野の方を向いて人形が言う。人形は無表情だが、嗤っているように見えた。二人は互いに抱き合って、目に涙を浮かべながら怯えている。
俺は咄嗟に飛び出した。
「悪いがお断りだッ!」
「エ!?」
俺は人形が振り向く前に、椅子で思い切り殴った。ガン! と人形を殴った音とは思えないような音が人形からし、人形はうつ伏せに倒れる。投げなかったのは、当たらなかった時のリスクを考えたためである。
「おい何してる! 早く逃げるぞ!」
二人は震えている足でなんとか立ち上がる。そして俺達は神代の部屋を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神代の部屋を後にした俺達は、一階の廊下へ来ていた。
「はぁ……ここまで離れれば、奴も追っては来ないだろう」
「怖かった……」
「もう走れないわ……」
やっと一息つけると神代と姫野は座り込む。この二人には無理をさせてしまったな、と軽く反省する。
「そういえば、和室で人形が出てきたところに行ったのはどうしてなの?」
姫野が聞いてくる。
「あの時奴が出てきたところを見たら、光っている物があってな。何かと見に行ったら、鍵が落ちてたってわけだ」
俺は鍵を見せる。それを見て神代が反応する。
「これ……お父さんの部屋の鍵だ!」
どうやら当たりだったようだ。あの時危険を冒してでもこれを取りに行ってよかった。
俺達はあの部屋に戻り、拾った鍵を使った。
そこには、俺達の探していたものであるパソコンが置かれていた。
「電源が点いて……おっと、休止モードだったのか」
マウスを少し動かすと、画面が映る。
そこには、ひとりかくれんぼの手順が細かく書かれていた。神代はこのページを見て準備をしたのだろう。
そのページの中から、俺はひとりかくれんぼの『終わり方』を探す。
「あ、あった!」
姫野が声をあげる。画面には、『ひとりかくれんぼの終わり方』という文字が大きく映し出されている。
『その1。コップに塩水を入れ、半分口に含む。準備ができたら、ぬいぐるみを探す。
その2。ぬいぐるみを見つけたら、口の中の塩水とコップの残りの塩水を吹き掛ける。
その3。ぬいぐるみに向かって「私の勝ち」と三回言う。
これで「ひとりかくれんぼ」は終了です。その後、必ずぬいぐるみは燃やしてください』
「何よこれ……こんなの……ただの遊びじゃない!! 今起こってることは……ここに書いてあることとは全然違う……。なんの解決法にもならないよ……」
全員読み終えると、姫野が机を思いっきり叩く。神代は、普段大声を出さない姫野が珍しく大声を出したことに驚いている。
「落ち着け姫野。これ以外に奴をどうにかする手掛かりはないんだ」
「そうみたいだけど、これで本当に終わるのか信じられないよ……」
姫野は信じていないようだ。確かにこれがひとりかくれんぼを終わらせるための手順と言われても、あんなことがあった後ではすぐに信じることなどできない。
だが、相手は人形という無機物である以上、体力という概念が存在しない。このまま永遠に逃げ続けるなんてことは不可能だ。いつかやられる。どっちにしろ、これを頼りにするしかないのだ。
「とりあえず、塩水がいるな。それとそのまま吹き掛けるのは危険だから、奴を拘束するための道具も必要だろう」
少し気まずい雰囲気のまま、俺達は部屋を後にした。
アンケートの内容を書き直しました。原作未プレイの方には意味が分からない選択肢が入っていたので……。
主人公のヒロインは誰?
-
美琴ちゃん
-
由香ちゃん
-
どっちもだねどっちも
-
ひとみこが正義や!(ヒロインなし)