狂いのストラトス Everlasting Infinite Stratos   作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定

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夏休み編第壱話

 

 

 

 

 

 

シャルロットの日記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み初日

 

 いろいろあった臨海学校も終わって、夏休みになりました。大けがを負った僕たちもすっかり回復。これからはじまるひと夏のアバンチュールを楽しもうと思っています。ちなみにこの夏はフランスに帰ったりしませんでした。別に大した理由もないけれど、今後のことを考えるとこっちで修行でもしようかなと。だからこそ、今こうして、日記を付けているわけで。年末には一回帰ろうと思うので、その時パパとママたちに話すためにまとめているわけです。

 

 とりあえず、書き始めだし普通のことから書いておこう思う。まずはルームメイトのラウラ・ボーデヴィッヒのことを少し。綺麗な銀髪にゾッとするような金眼赤眼のオッドアイ。筋金入りのガチガチの軍人の女の子。もっとも、確かに眼帯が怖いイメージを醸し出しているけど案外ユーモアが通じて話していておもしろかったする。

 

 そんな彼女に関して、よくクラスで聞かれるのだけれど。別にラウラは早起きというわけではない。なんだか軍人というイメージが先行して、皆彼女が毎朝四時とかから起きて訓練でもしていると思い込みがちだが、まったくそんなことは無い。寝れるときに寝るというのが彼女のスタンスだ。

 

 こんなことがあった。

 

 少し前の夜にラウラが明日は六時に起きるって言ってことがあった。別にそれ自体は大したことでもなかったけど、とりあえず、次の日僕自身は六時数分前に起きた。数分前といっても、寝ぼけ眼で見た時計の針はほとんど六時。数分どころか数秒で六時になるところだった。寝ているラウラに手を伸ばし、起こそうとした瞬間、時計の針が六時を指して、

 

 パッチリとラウラの目が開いた。

 

 六時〇〇分〇〇秒〇〇きっかりに両目をカッ!と開いた。

 

 ぶっちゃけるとちょっと怖かった。叫ばなかった自分はエライと思う。ニンジャとしての精神訓練の賜物だった。なまじお人形みたいな顔をしているので余計恐怖だった。

 

 思い出したら怖くなってきたからここで書くのを止めようと思う。初日にしてはそこそこ書いたと思うし。後はこれを毎日続ければいいのだ。

 

 

 

 追記

 ラウラといえば、もう一つ。毎朝毎昼毎夜ひたすら牛乳を飲んでいるのはなんなのだろうか。体の為とかじゃなくて異様な執着を感じる。なんでも織斑先生並みに尊敬する英雄に対するリスペクトだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み八日目

 

 

 

 

 

 

 いや、別にサボっていたわけじゃあなかった。ただ、この七日間書くに書けない理由があったんだよ。とはいうものの、初日に書いたラウラのこと。実は彼女も日記を付けていたんだよ。日記と言うか、日誌。というか……記録? なんというか、最近は電子媒体、パソコンとかが多いわけで、僕みたいな紙に書くのは減っていたりする。といってもまぁ半々くらいなわけだけど。

 なのにだ。ラウラ。あの子はホントにすごかった。

 文字通り紙。紙というかコピー用紙みたいな、始末書みたいな感じでその日あったことをズラーと書いてる。マジで始末書みたいなんだよ。いやほんとに。その日あったことを事細やかに正確に、分刻みで書いてるんだよ。だから、記録。なんなんだろうねあの子。ラウラ自身は真面目にやってるんだろうけど、机に向かって白紙に向かってものすごい速記で定規も使わずに細かい字を狂いなく書いてる絵は中々怖い。なるべく見ないように心がけたい。見てると書く気が失せるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み十日目

 

 早くも日記というものが面倒臭くなってきた。とはいうものの、ここ最近は修行で忙しい。先日の福音との戦闘で圧倒的な格差をみせつけられて不甲斐ない思いをしたのは記憶に新しい。さすがにあれは悔しかった、だからこそ、僕たちは誰も故郷に帰ったりせずに、修業三味だ。やることはただひたすらに模擬戦。勿論模擬戦といっても命掛けで、下手したら死ぬレベル。致命傷はわりかし当り前のレベルだ。それくらいしないと足りない。幸い、ほとんどの怪我は本音が治療してくれるから、無理はしやすい。腕の一本くらいならすぐにくっつけられるのはすごい。特に一夏や箒はすぐに腕とか足とか斬り飛ばすから止めてほしい。代わりに全身苦無でハチの巣にしてやるけど。ここ最近の一夏と鈴、そして箒には間を開けられているから悔しいものがある。それは僕だけじゃなく、ラウラやセシリア、蘭ちゃんも同じらしい。結構皆で突っかかったりする。ただ、あの殺し愛夫婦がタッグ組むとやたら強いから余計に腹立たしい。

 

 そういえば、模擬戦でISアリーナボロクソにしてるのに、次の日には治ってるから不思議な今日この頃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み十八日目。

 

 夜、大浴場からの帰りに変な物体を見つけた。とりあえず、気配を消して天井から観察してみた。水色と白の物体。というか簪だった。どういうわけか、寮の廊下にぶっ倒れていたのだ。その、なんというか、彼女の名誉の為にあえて表現をぼかすけど、……少し、臭ったのだ。確か、簪は夏休み始まってから即引きこもっていたような。本音がそんなことをぼやいていた。模擬戦の時は自室からの映像オンリーだったし。よく見れば、髪は枝毛だらけのぼさぼさで、肌も潤いがない。女の子としてどうかと思う様子だ。正直どう扱うか迷った。ぶっちゃけ、めんどくさいのだ。たまになに言ってるかよくわからないし。忍術に関してなら一緒に熱く語れるんだけど。関係ない話に飛ぶと付いていけない。

 

 困っていたら本音が表れた。

 

 仕方なさそうに溜息をつきながら、大浴場の方向へ引きずって行った。文字通りに足掴んで引きずっているので、簪が変なうめき声を上げていた。扱いが何気に酷い。

 

 ついでに言えば、物影でこっそりその様子を覗き見していたのはだれだったのだろうか。簪に良く似てたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み二十三日目

 

 簪に遊びに誘われた。

 コミケ、というのに行った。

 

 真のヴァルハラがそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み二十九日目

 

 いい加減書くことがなくなってきた。修行しかしてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み三十日目

 

 そんなことを思っていたのは僕だけじゃなかったらしく、皆でプールに行くことにした。それはよかったのだけど人ごみに出るのを嫌がった簪と箒、そして簪に味方についた本音とプール行きたい組で軽く戦争になった。ヒートアップしかけたら織斑先生が現れて、やむなく、大富豪による戦いとなったんだけど、そこからが大変だった。

 

 中立の立場のラウラが一番最初の負けて、むくれちゃったのだ。なので、もう一回と続けていたら、そこは負けず嫌いが多い面子だから、気付けば大ゲーム大会になってた。

 UNO、スピード、ババ抜き、ジジ抜き、神経衰弱。名前もよく知らないゲームとかいろいろ。

 楽しかった。こういうのもありだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み最終日

 

 

 明日から学校だ。結構楽しみ。夏休みが終われば、文化祭はすぐ。ものすごく楽しみ。ウチのクラスは何をやるんだろうか。わくわくがとまらなかったりする。

 

 振り返ってみれば夏休みはほんと有意義なものだった。

 日記に書いた通り、ほとんど修行だったけどたまに遊んだりしたし。

 勿論、ここに書いていないこともいろいろあった。それを語るのは別の機会、あるいは別の口から語られると思う。

 

 

 だから、今この瞬間。この守りたい日常。皆でいろいろ馬鹿やってると言う刹那。それを何よりも大事にしたと思う。

 

 以上、シャルロットの夏休みでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追記

 

 僕は後にこの夏休みのことを何よりも大事な記憶として忘れないこととなる。

 

 何故ならば、この夏休み、そしてそれからの文化祭を始まりとして。

 

 

 

 

 

 

 

 僕たちは------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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