狂いのストラトス Everlasting Infinite Stratos   作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定

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推奨BGM:神州愛國烈士之神楽

微熱で書いたのでいつも以上にアレな内容になってますはい。


第拾話

 

 爆炎の華が空に咲く。

 大気を震わし、焦がしながら砲撃されるのは大型機竜二機の主砲を除いた全砲門から一斉射撃だ。主砲を除いたとはいえ、肩部の副砲二門に全身の機関銃や流体砲、迫撃砲等大きい物から小さい物まで合わせて数百門にも及ぶ。

 それら全てが学園島に落とされれば、まず間違いなく表層部は焼け野原であり、地下のシェルターといえど無事では済まされない。

 それ故に、

 

「加減が出来ん、上手く避けろよ」

 

 それらを防ぐのは魔刃(ベリアル)たるラウラの役目だ。

 今の彼女の無価値の炎は神格を除いたありとあらゆるものを消滅させる負の奔流だ。それは彼女の戦友達に対しても平等に作用する。

 だが、それでも

 

「――――」

 

 渇望を深め、己の異能を発動する。

 そう、渇望。

 彼女のそれは言うまでもない。

 かつての己は織斑一夏と相対することで乗り越えた。それにより過去は清算されたとラウラは認識した。それゆえに今の彼女が望むことは一つだ。

 

 師に認められたい。

 

 織斑千冬に、あの白銀の女騎士に認められたいと彼女は渇望する。導きを本懐とする彼女が認めてくれるような、彼女が誇ってくれるような教え子に、英雄(エインフェリア)になりたいと。

 そう、ラウラ・ボーデヴィッヒは現実を否定する領域で狂信している。

 魔人の領域へと身を落としたが故に、彼の存在が未だ遥か遠いことを認識させられる。だが、もうそのことに落胆したりなどしない。むしろ、届けと、追いつけと、渇望を強化していく。 

 

「ヘメンエタン・エルアティ・ティエイプ・アジア・ハイン・テウ・ミノセル・アカドン

 

 ヴァイヴァー・エイエ・エクセ・エルアー・ハイヴァー・カヴァフォット」

 

 その渇望と狂信を以って詠唱を完了させた。

 

 そして生じるのは黒炎の壁だ。

 学園全体を覆うほどの直系数キロメートルは越えるであろう障壁。

 魔刃の炎は万象燃やし尽くす冥府の業火だ。だからこそ、壁として展開すれば絶対的な防壁となる。

 機竜の全砲撃が黒炎の降り注ぎ、

 

 欠片も残さず消え去る。

 

「――――」

 

 防衛は為した。だが、勿論これで当り前では無い。

 大型機竜二体は依然と宙に存在している。

 空、というのは厄介だ。空中を飛べるのは本音のみであり、跳躍や遠距離攻撃で届くのは蘭とセシリアのみ。他は遠距離攻撃手段が無いわけではないが、それでも本来の威力よりも著しく劣化する。そして機竜二機はその程度で打倒できるほど生易しい相手ではない。

 だからこそ、

 

「形成せ――血痕たる爪牙」

 

 蘭の足の魔法陣が轟きのそれから形と位置が変わる。大きめの歯車のそれぞれの歯が鋭いのがつま先と踵に一つづつ。両足のソレらが超速回転させるが、一度脱力し、

 

「シッーーーー!」

 

 舜発させた。こと瞬発力や加速力ならば益荒男内で最上位を誇る蘭のソレは一瞬で音の壁をぶち破り、音速の十数倍までに加速する。初速から全速力で放ち、振り抜いた直後には完璧に脱力する。

 (ゼロ)100(マックス)(ゼロ)

 それらの運動差を付けて放たれるのは巨大な真空の牙だ。

 二撃放たれたそれが黒炎が消え去った空を昇っていく。

 それは攻撃手段ではなく、

 

「日陰の女になったわけじゃないですからねーー!」

 

 牙に一夏、鈴、箒、シャルロットが乗っていた。 

 黒へと向かったのが一夏と鈴であり、白へと向かったのが箒とシャルロットだ。

 

「梵天王魔王自在大自在、除其衰患令得安穏、諸余怨敵皆悉摧滅」

 

「唵・摩利支曳娑婆訶」

 

「―――篠ノ之の巫女たる高神の剣巫が願い奉る。破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え」

 

「デュノア流忍法、秘伝」

 

 静かに、厳かに、目の前の大質量の鋼の竜を前にして四人は揺らぐことない。先にラウラとセシリア、蘭がその力量を跳ねあげた事に対し、四人が無反応だった訳が無い。追い抜かされる訳にはいかぬとばかりに四人もまた全霊を以って力を振う。

 殺意が鞘に集束していく。

 莫大な気が拳に集い、輪郭が歪んでいく。

 刀身に朱の光が纏い、周囲を符が乱舞する。

 鎖に繋がれた三メートル近い手裏剣がそれぞれ、火、水、風、雷を纏い、一つは他の数十倍の硬度を得る。

 放たれる。

 

「首飛ばしの颶風――蠅声!!」

 

「陀羅尼孔雀王!!」

 

「舞威姫――雪霞狼!!」

 

「天魔覆滅・五行五葉刃!!」

 

 殺意の大斬撃。陽炎の大拳撃。破魔の大閃光。五行の大乱閃。

 蘭の牙から跳び上がり、至近距離で炸裂させる。一撃一撃が絶大な威力を誇る言うならば必殺技。

 一夏と鈴のは二人の代名詞的な技だが、それまで以上に渇望を深めた一撃であり、『朱斗』の破魔の性質を高めた箒の閃光、シャルロットに五行を以って互いに威力を高め合ったそれらの必殺技は、二機の機竜を穿ち、断ち切り、ぶち抜き、蹂躙する。

 

「----!」

 

 全身を削られ、機竜が空中にて身をよじる。ダメージを負い、全身を蹂躙されてからの動きは巨体故にわずかの身じろぎでも周囲に水蒸気爆発を生みだす。

  

 だが、それでも機竜は落ちない。

 

 四人の攻撃に半身を砕かせながらも、顎の流体は未だに健在だ。むしろ、その身を顧みることがなくなり、自身の身体への負荷を無視して、

 

「!!」

 

 竜砲を放った。その威力はこれまでの中型や小型の威力とは比べ物にならない。その二条はまず間違いなくシェルターすらも破壊し尽くすだろう。

 

「アクセス―――我がシン

 

 イザヘル・アヴォン・アヴォタヴ・エル・アドナイ・ヴェハタット・イモー・アルティマフ……

 

 イフユー・ネゲット・アドナイ・タミード・ヴェヤフレット・メエレツ・ズィフラム 」

 

「ATEH MALKUTH VE-GEBURAH VE-GEDULAH LE-OLAM AMEN

 

 BEFORE ME FLAMES THE PENTAGRAM BEHIND ME SHINES THE SIX-RAYED SATER 

 我が前に五芒星は燃え上がり、我が後ろに六芒星が輝きたり―――

 

 ATEM MALKTH VE-GEBURAH VE-GEDULAH LE-OLAM

 されば神意をもって此処に主の聖印を顕現せしめん―――」

 

 

 朗々と響く歌はセシリアと本音の詠唱だ。

 セシリアは蒼銃を竜砲へと掲げ、本音もまた空中から機竜の顎に手を向ける。

 

 

「おお、グロオリア。我らいざ征き征きて王冠の座へ駆け上がり、愚昧な神を引きずり下ろさん

 

 主が彼の祖父の悪をお忘れにならぬように。母の罪も消されることのないように

 

 その悪と罪は常に主の御前に留められ、その名は地上から断たれるように

 

 彼は慈しみの業を行うことを心に留めず、貧しく乏しい人々、心の挫けた人々を死に追いやった」

 

 

「虚空より、陸空海の透明なる天使たちをここへ呼ばわん

 Huc per inane advoco angelos sanctos terrarum aepisque,

 

 この円陣にて我を保護し、暖め、防御したる火を灯せ 

 marisque et liquidi simul ignis qui me custoriant foveant protegant et defendant in hoc circulo

 

 幸いなれ、義の天使。 大地の全ての生き物は、汝の支配をいと喜びたるものなり

 Slave Uriel, nam tellus et omnia viva regno tuo pergaudent

 

 さればありとあらゆる災い、我に近付かざるべし

 Non accedet ad me malum cuiuscemodin

 

 我何処に居れど、聖なる天使に守護される者ゆえに 

 quoniam angeli sancti custodiunt me ubicumeque sum 」

 

 響く詠唱による生み出される力は彼女たちのオリジナルには程遠い。

 魔群(ベルゼバブ)中傷者(クリミナトレス)は単独にて神格を打倒しうる可能性を持った存在だ。本来ならば機竜如きは片手間で十分なのだ。

 今詠唱を行ってまで二人が己の力を高めているのはそういうことだ。二人そのものの位階が術式に届いていない。

 セシリアはまず第一に()が整っていないし、本音もまた■と“愛の狂兎”とのリンクが弱い。

 だから、二人が放つ一撃は恐ろしく劣化している。

 

 セシリアの拳銃の銃身が肥大化する。ただの拳銃サイズだったのが銃身一メートル程度のライフル並みの大きさに。同時に周囲の大気が銃身に集まっていく。常人ならば呼吸困難になるほどに周囲の大気を喰らっていき、銃身の中で集束されていく。

 

 本音の手に平の中に小さな火の玉が生まれる。それは即座に周囲にある瓦礫や機竜の残骸を取り込み肥大化し、五メートルほどになって固定化し、周囲の大気を焦がす。

 

「彼は呪うことを好んだのだから、呪いは彼自身に返るように

 

 祝福することを望まなかったのだから、祝福は彼を遠ざかるように

 

 呪いを衣として身に纏え。呪いが水のように腑へ、油のように骨髄へ、纏いし呪いは、汝を縊る帯となれ

 

 ゾット・ペウラット・ソテナイ・メエット・アドナイ・ヴェハドヴェリーム・ラア・アル・ナフシー」

 

「斑の衣を纏う者よ、AGLA―――来たれ太陽の統率者。

 

 モード”パラダイスロスト”より、ウリエル実行――― 」

 

 詠唱の完了と共にそれぞれの必殺の一撃を放った。

 それは暴食の罪によって生み出されたプラズマの砲撃。

 それは太陽の化身の概念を宿した核熱の炎球。

 地上と天空から竜砲へと放たれ、

 

「!!」

 

 一瞬でぶち抜いた。

 IS学園上空の大型機竜二体がプラズマ弾と核熱の炎弾にぶち抜かれ崩壊していき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーケーオーケー、認めてやるぜ、テメェらは私自ら喰らってやる。こっからは私たちのターンだぜ」

 

 そう、オータムが、己の神気を解放すると共に白と黒の石弩をその手に出現させ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念、私たちのターンは終わっていないんだよねコレが」

 

 更識簪が戦場に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦争開始
機竜増殖
変態出陣
変態乱舞
悪魔覚醒
変態フィーバー機竜フルボッコ編
中二病始動←今ここ

インフレはまだまだですねー

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