○○○1話○○○
目が覚めると、「私」は椅子に座っていた。
「ここは……」
何も思い出せない記憶に軽い戸惑いを覚えながら辺りを見回した。
まず目につくのは前方にある小さめのドア。
あとは上に大きな照明と、部屋の上の隅っこにある監視カメラだけだった。
○○○2話○○○
今は何を考えようと、この灰色の壁に囲まれた小部屋から外へ出ないと意味が無い。
そう思って目の前のドアを開けると、そこには前の部屋に似た部屋が続いていた。
大きな違いといえば椅子がないくらいだ。
○○○3話○○○
2つ目の部屋のドアを開けると、これまでとやはり同じ部屋だった。
二度あることは三度ある。
ただ大きく違う点は、右側に姿見がある事だ。
何故ここにあるかは知りようがないが、初めて自分の姿を確認することが出来た。
○○○4話○○○
血を流し込んだような真っ紅な右目と、透き通るような蒼い左目。
そしてロングウェーブで腰より長い薄ピンクの髪。
それが「私」の姿だった。
自分の姿を確認しても記憶はまだ覚めない。
○○○5話○○○
自分の幼い姿を確認し終えたところで、次のドアを開けた。
ドアを開け4つ目の部屋を覗いてみると、
前にはドアが、左には怪しいボタンが、右には壁際に机と椅子がそれぞれあった
「私」はおそるおそるボタンを押した。
○○○6話○○○
後ろ……つまり机側を確認してみると、壁が開き奥からハンバーグプレートが出てきた。
いい匂いが辺り一面に充満し、食欲が湧いてきた。
そして「私」はその食欲に抗えずハンバーグを食べた。
「おいしい……」
○○○7話○○○
「ごちそう…さまでした……」
ハンバーグを食べ終わり席を離れると、壁が食器類を取り込んだ。
満腹になり休める場所にいることで、心理的余裕が生まれたのか。
「私」はなぜここにいるのか。
それを考え始めた。
○○○8話○○○
1つだけ思い出した。
どんな理由か、何があったかは忘れてしまったけど。
謝らなければいけない人がいたはずだ。
家族かもしれない。
大切な人かもしれない。
関係ない人かもしれない。
謝罪しないといけない。
ただそれだけを思い出した。
○○○9話○○○
謝らなければいけない人に出会うため、「私」は4つ目のドアを開けた。
ドアの先は相変わらず灰色の壁の部屋だが、
右側にはユニットバスが、左側には着替えとメモが置いてあった。
メモには
「ダメダメお姉ちゃんとりあえず風呂入れ」
と書いてあった。
○○○10話○○○
風呂に入りさっぱりして、着替えに袖を通す。
髪も整えようとするが、薄ピンクのくせっ毛はなかなか治らない。
髪は諦め次のドアを開ける。
するとようやく灰色以外の部屋に出た。
白い壁で右と左にやけに長い。
ここは廊下だった。