準備の為かクラス中が少し慌しくなり、それが治まって少しした所でチャイムが鳴り真耶ちゃん先生が入って来た。
そして一限目は滞りなく授業が行われ、特に問題なく終了した。
…一夏は既に疲れ気味だったが。
そんな一夏を元気付けその後話しに行こうと思っていたら、先に箒の方が傍にやって来た。
「少し良い…ですか」
「ん? えーと…あ! お前もしかして箒か?」
声を掛けられた後その相手の顔をじーっと見てやっと箒だと気付く一夏、いや遅くないかな?
「もしかしなくてもそう、幼馴染の顔くらい覚えておきなさい」
「やはり気付いてなかったか、師匠は教室に入ってすぐ目を合わせて頷いてくれたのに」
「いやだって、大分雰囲気変わってたし。でも久し振りだな、っていうかこれだけ綺麗になってりゃ気付かないって」
「き、綺麗!? それは本当か?」
「ああ、綺麗になったよ箒」
一夏の言葉に顔を赤らめる箒、確かに綺麗になったけどこういう可愛い所は変わらないね。
「確かにね、感じで気付いたとはいえ本当に見違える程だったし」
「あ、ありがとうございます師匠」
「…久し振りの再会だから緊張しているのは解るけれど、そう畏まられると幼馴染その二としては少し寂しいなーと」
「えー…すみません師匠、確かに少し緊張していました。…うん、もう落ち着いてきたので大丈夫だ」
私の言葉に答え軽く深呼吸をする箒、すると直ぐに硬い感じは抜けて慣れた雰囲気になってくれた。
「なら良かった。後もうその師匠ってやめないかな、それ意外と恥ずかしいんだよ?」
「だが私にとって父に次ぐ尊敬する師なのだ、そう簡単にやめられない」
「大した事は教えてないんだけど、心構えとか効率的な鍛錬法とかくらいだし」
「教える方には普通の事でも、教わる方には大きな意味が在る場合もある。それで不躾な頼みだが、また指導をしてくれるだろうか?」
「それは構わないとも、ただ一夏と一緒にだけれど問題ないかな?」
「大丈夫です…むしろありがたい」
今さらっと漏れたね、後半の呟きは聞かなかった事にしてあげよう。
「そういえば家の者の報告で聞いたけど、剣道全国大会優勝おめでとう」
「そういやユーリ兄が話してくれたな、おめでとう箒」
「あ…その、ありがとう」
ん?何故か箒は少し俯いて小さく答えた、その表情はどこか浮かない様な複雑な感じに見える。
全国大会優勝なんて誇れる事だと思うんだけど、何かあったのだろうか?
「っと。もうすぐチャイムが鳴るな、席に戻った方が良いんじゃないか箒」
「ああ、そうだな。また昼にでもゆっくり話そう二人共」
「おう」
「うん」
その後授業の準備を終わらせた所でチャイムが鳴り、次の授業が開始された。
――――――
それから十数分して、授業は(当然だけど)何事もなく進んでいた。
「――――この様にISは国際条約で兵器運用が禁止され更に―――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法により罰せられる事になります」
私は復習として内容を整理しながらノートに書き込んでいく、のだけど目の前の一夏が時々唸ったりするのが軽く心配で若干集中出来ない。
まぁ誤差程度だし一夏も集中してるからこそ偶に唸ってるみたいだから、近くの娘達の邪魔にならないと信じて大目に見ておこう。
「さて、ここまでで何か解らない所が在る人は居ますか?…えーと、織斑君達は大丈夫ですか?」
真耶ちゃん先生が男子だから解らない所が在るかも知れないと気遣ってくれたのか、私と一夏にそう聞いてきた。
「私は大丈夫ですよ、元々ISに関わっていましたし」
「あ、そうでしたね。では一夏君はどうですか?」
「えーと…何とかついて行ってます」
「なら良かったです。でも解らない所が在ったら遠慮せず言って下さいね、何せ私は先生ですから!」
そう言って胸を張る真耶ちゃん先生の一部分の主張が激し過ぎるんですが、もうね…跳び込みたい。
そんなアホな事を考えつつ、二限目も問題なく終わりを迎えた。