「ンも〜…ただいま」
疲れ果てたように肩を落とし首を前に突き出し、猫背の姿勢で家の門をくぐるのは、"オモチ"。様々な世界を渡り歩くオモチは、この棲み家「マイハウス」へはそれぞれの世界での姿で帰ってくる。今日は頭の両横から見事な曲がり角を生やした筋肉隆々の人型牛、「ミノタウロス」の姿だ。
「おかえりニャあ〜…」
マイハウスで出迎えたのは"ナダレ"だった。こちらは猫の獣人姿。なにやらナダレも疲れ果てている。
ドサッ…
マイハウスに入るやいなや、大きな暖炉の横のソファーに倒れ込んだオモチ。突っ伏したままナダレに向けて愚痴をこぼしはじめた。
「ンも〜!モチリン大変だったね〜!」
鼻輪をつけた大きな牛の鼻の穴から荒く息を吐き出しオモチが言うと、ナダレも武具調整用の作業台にちょこんと猫の小さなお尻を乗っけながら同調してきた。
「それニャ!見た目モッチモチなのに、攻撃したらぜーんぜん違ってめちゃ硬いのニャ!」
それぞれの姿にあった話し方で、今日のファンタジー世界で戦ってきたのであろうモンスターに対する文句を口々に言っている。
「あのモチリン、季節ものの真っ白いお餅のモンスターだから、硬いのは当たり前ではあるんだけどニャ〜…」
ナダレが仕方ないという風にやれやれと首を振ると、オモチは納得いかないとソファーから上半身だけ勢いよく起き上がった。
「ンも〜!お餅ならモチモチの柔らかいはずでしょ!あんな硬いのはおかしいよぅ」
「お餅は焼かなきゃめちゃ硬いニャ」
「あっそか」
あっさり納得し黙るオモチ。大人しくソファーに牛の頭を戻すと、今度は何か閃いたように人差し指だけぴんと立てて天井を指すように挙げた。
「モ〜!モしかしたら、それじゃあモチリンはナダレが魔法使いに転職したら、火属性魔法のメテオストームで焼いて柔らかくできるんじゃない?」
名案であろう!とでも言いたげにオモチは自信ありげに鼻息を荒くしたが、ナダレは猫の短い前肢を左右に広げ、やれやれの姿勢をとった。
「んあ〜、それはもう試したニャ」
ダメだった、ということをジェスチャーで示す。
「ンも〜!毎年この季節我慢しなきゃならないンかなぁ!」
「ン〜…でも1つ気になる事があってニャあ…」
憤慨するオモチに対して、ナダレは机の上で頬杖をつきながらぼんやりとつぶやいた。モチリンというモンスターに対してまだ疑問があるようだ。
「確か、モチリンって…」
「モチリンて?」
オモチが思わずソファーから身を乗り出してナダレのほうを興味深げに見やる。ナダレは小首を傾げながら、記憶の奥底を掻き回しているようだった。数秒、静止してから口を開くと…
「モチリンって…お腹を鳴らすホルモンじゃなかったかニャあ…?」
…
なんともコメントしずらいナダレの博識さに、オモチはソファーの上で身を乗り出した姿勢のまま、固まっていた。
新作第一弾はラグナロクマスターズよりでした。
あらすじの通り、様々なファンタジー世界、つまり色んなゲームで体験してきた事をオモチやナダレがマイハウスでだべりあうという、こんな形でいきます。興味がわきましたら、続きも是非どうぞ
※謎のサブタイトルはワード検索してみると意味が分かります