火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す   作:Dice ROLL

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ちゃくちゃくとストックがなくなっていますね。それはさておき沢山の感想と評価ありがとうございます。何度目だって話ですが1番のモチベーションになってるので。


8話 世界

「…流石にアレはギャフンっすわ」

 

体育館の隅にオブジェのように鎮座している元バスケリングを指さして黄瀬は呟いた

 

「人を舐めてるからだっつっとけ!」

 

「はは…、大丈夫なんじゃないっすか?監督のあんな顔初めて見たっすよ。…てか、あれ弁償になったらどうするんすか?」

 

「は?お前、アメリカのプロバスケットのマックス契約が幾らか知ってるか?年俸40億だ。ゴールが欲しけりゃいくらでも買ってやるよ」

 

「…!。アメリカっすか。ちょっと気になってたんすよ。火神っち中学どこっすか?そんだけ強くて一度も見たことないなんてあり得ないっしょ」

 

「お察しの通り、アメリカだ。お陰様で才能に自惚れずにバスケができたよ」

 

「だと思ったっす。…でも、俺にもプライドがあるんすよ。かけてきた時間は違えど、勝たせて貰うっすよ」

 

「たりめーだ。時間が関係あるかよ。結局強い奴が最後までコートに立つんだ」

 

(それを俺は嫌というほど味わった)

 

◆◇◆

 

「それでは、試合を再開します!」

 

黄瀬涼太は、この感覚を知らない。負けるかもしれないと心のどこかで思いながら試合に入る感覚を。天才が未知に出会った時、進化は加速する。

 

「お待たせ」

 

「待ってました、黄瀬君」

 

「「「「「キャーーーーーー!!!!!」」」」」

 

「うおっ!?なんだありゃ」

 

「あー、すまん。こいつが出るといつもこうなんだ」

 

(…しかし、普段なら手でもふり返してやがるところなんだがな)

 

「黄瀬、あんだけ盛大な挨拶貰ったんだ、きっちりお返ししてやれ」

 

「はいっす!…って言いたいんすけど、ちょっとそんな余裕あるか分からないっす」

 

「…黄瀬?」

 

試合再開、海常ボール。ハンドラーは笠松

 

(黄瀬のやつ…どうしたんだ?とはいえエースが試合に入ってきたんだ。一発目…行かない手はないだろ!)

 

鋭いバウンスパスがコートを切り裂き黄瀬の手に渡る。そのままダンク…には行かなかった。

 

「そりゃ、間に合うよね、火神っちなら!」

 

エース対決、黄瀬はドリブルを開始、後ろに下がりつつ出方を伺う。黄瀬とて、出し惜しみをするつもりはない。3P、ドライブ両方警戒させることができる位置。なおかつ両チーム完全にアイソレーション。ならばスペースは広いほうがいい。

 

(やっべ、本当に隙がない…青峰っちを相手してるみたいだ)

 

さっきまでの、頭に血が上っていた火神はどこにもいない。完全に試合に入っていた。それでも、黄瀬の天才的な感覚は突破口を見出した。

 

「スリー!?」

 

なんの変哲もないプルアップスリー。しかし、これを火神は見送った。ボールがネットを揺らす。

 

「…なるほどね、重心のフェイクか」

 

体感した火神以外で、今のプレーを理解できたのは黒子だけだった

 

「俺たちの一個上に『無冠の五将』って割とやる人達がいたんすよ。その一人の技っす」

 

そう、『夜叉』実渕玲央の3種のシュートの中でも、もっとも攻略が難しいシュート「虚空」。火神とのマッチアップの中で、黄瀬は自らのバスケ人生の全てを総動員する覚悟を決めていた。

 

「…面白え。伊月先輩….」

 

ボールを伊月から受け取ると、そのまま火神がプッシュし始めた。

 

「…!ハンドラーまでこなすんすか!」

 

「驚くには早いぜ?」

 

ハーフコートと3Pラインのちょうど真ん中付近で、火神はシュートフォームを取った。

 

「…は?」

 

誰も予想できるはずがないロングレンジスリー。その放物線はリングにかすりすらしない。

 

「まじっすか…」

 

なんとか切り替え始めている黄瀬と違い、海常の他のメンバーは混乱を隠さずにいた

 

(あんなガタイのやつにハンドリングとシュートレンジまであるだと!?どうしろってんだ…)

 

動揺する笠松を、『影』が襲う。

 

「…なっ!?」

 

黒子のスティール、そのまま前線に残っていた水戸部へパスが通り2点を得た。

 

(しまった!黒子っち…火神だけでも厳しいのに…)

 

これには海常高校、タイムアウトをとるしかない

 

「黄瀬、火神はお前に任せるしかない。頼むぞ」

 

「うっす!」

 

(とは言ったものの…、多分、技の引き出しなら火神に勝ってる。でも、一つ一つの完成度じゃ正直足元にも及ばない…ジリ貧だ)

 

「黄瀬、あの10番はなんだ?」

 

「あー、黒子っちっすか。彼は…

 

黄瀬が黒子についてチームに伝えている中、誠凛ベンチは

 

「いい調子ね、完全に奇襲がハマってる」

 

ランアンドガン、速攻バスケが信条の誠凛にとって、文句のつけようがない立ち上がり…のはずだった

 

「すみません。ミスディレクションは1試合は持たないんです」

 

「は!?」

 

曰く、慣れ。相手に慣れられれば慣れられるほど、『影』の効力は弱まる。

 

(そりゃそうだ!あんなチート技、ノーリスクなはずがなかった…)

 

「今は完全に流れはうちだ。しかも向こうは黒子を警戒するはず。いつも通りの動きはできなくなる。なら引っ込めてやるにしてもここじゃないだろ」

 

「そうね…。主将の言う通りだわ。このQは続投!いける?」

 

「はい」

 

タイムアウトが開けると、誠凛が完全に流れを掴み取った。ミニゲームの時の二年生と同じく、火神の存在感と黒子のパスによる連携を止められない。更には尋常ならざる火神の守備範囲の前に、タフショットが増える。確率の悪いシュートしか打てないようでは話にならない。そもそもリバウンド争いでも火神に圧倒されているのだ。1Q終盤、森山が執念の3Pを沈めるも、焼け石に水。

 

39-17

 

大差をつけてこのQを終えることに成功した。

 

次回、負けず嫌いの覚醒

 

 

 

 




1Qに2話使ったのでこのペースで行っても1試合に8話ですか

今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか

  • 原作初期通りの「幻の六人目」
  • 原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
  • あえて守備にブッパしたスティール王
  • それ以外(メッセージかTwitterで)

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