火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す   作:Dice ROLL

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黄瀬君って能力のわりに原作であんまり技見せてないですよね。中学時代に模倣した技とか一切使わないし。


10話 繋ぐ

タイムアウト明け、海常は黄瀬がハンドラーを務めていた

 

「へえ、器用だこと」

 

「オールラウンダーって言ったのは火神っちの方っすよ」

 

(雰囲気が違う、海常、何か仕掛けようとしてんな。しかもこの感じは多分ぶっつけ本番…さあ、何が出てくる?)

 

火神も最大限警戒を高めていた。そして、黄瀬が仕掛ける。先程の『雷轟のドリブル』とは違い細かいステップを踏みながら左右に細かく揺さぶりを仕掛けていく、そして右側にドライブ。火神も当然シュートコースを塞ぎにかかる、さらに伊月がヘルプに走る。完全にコースは潰れた。…今までの黄瀬ならば。目線のフェイクを一瞬使うと、フリーになった笠松にノールックでパスを送った。パスを送った、黄瀬涼太が。

 

「ったく。初めてよこしたくせに、ナイスパスだ!黄瀬!」

 

笠松の3Pが決まった。これに一番驚いたのはベンチの黒子だった

 

「黄瀬君…君が…」

 

「驚いたわね。彼がパスを出すなんて…」

 

「それにあれは、帝光中で僕たちの一つ上の代でキャプテンを務めていた虹村先輩が得意としていたムーブです」

 

「…中学生最強プレイヤー、虹村修造…!」

 

火神もこれは予想していなかった。

 

「なんだ、パスも出せんのかよ。自分で行くしかできないエゴイストかと思ってたぜ」

 

「さっきまではそうだったすよ。でも誰かさんのパス見て気づいたんすよ。パスがあるだけで選択肢は無限に増える」

 

「気づくの遅えよ。何年バスケやってんだ」

 

「もうすぐ2年っす」

 

(これでオフェンスはどうにかなる。でもディフェンスはまだ解決してないまま…。でも、これしかないっすよね)

 

黄瀬はタイムアウト中の会話を思い出す。

 

「小堀先輩、ダブルチームはもういいっす」

 

「黄瀬、大丈夫か?」

 

「やらせてください。それしかないっすよね?」

 

「…分かった、やらせて見ろ」

 

(監督も、先輩達もこんな俺に託してくれた。止めてみせる!)

 

「おっ、俺がオフェンスで1on1するのは初めてか?」

 

「さっきはスリー打ち逃げされたっすからね!」

 

「そうだったな…いくぜ!」

 

火神はノーフェイクのドライブで突っ込む。彼の最高速度は黄瀬を持ってしてもファウルにいくことすらできなかった。ゴール下の小堀では相手にならない。悠々とレイアップを沈めた。

 

(速いっ…速すぎる!本気出した青峰っちとどっこい…下手すりゃもっと…)

 

「切り替えろ!黄瀬!」

 

そう。そもそもオフェンスを決めない限り点差はまた開く。しかし、黄瀬がパスに参加したことで流動性が高まった海常のオフェンスは簡単には止められない。パスフェイクからフェイダウェイ、今度は黄瀬自身が得点を奪った。

 

「なるほど…。海常は作戦というよりポジションを変更してきたのね」

 

「どういうことですか?」

 

「笠松君はゲームメイクも上手いけど、最大の武器はドライブと3P。それを活かすためにSFにしてスコアリングに集中させる。そして、その才能のおかげで全ポジションをこなせる黄瀬君は、PGをやることで、基本的に自分より背が低い選手とのマッチアップになる。…黄瀬君が慣れれば、むしろこっちがそれぞれの強みを最大限に活かせるフォーメーションなのかもしれない…。優秀なシューターはそれだけでプレッシャーになるしね」

 

「な、なるほど」

 

(残り12秒、前半最後のプレーか…。でも、ここで逃げる訳にはいかないっすよね!)

 

再び1on1。先程のドライブを警戒して後ろに下がりたいところだが、1Qに見せられた3Pがある以上、そうもいかない。そもそも10cm以上身長差がある上にジャンプ力もパワーも負けているのだ。絶対的な不利は揺るがない。

 

(…でも、一度抜かれたらはっきり言って勝ち目は無い。それに、格上相手に全部止めるなんて、そんな虫のいい考えが通るわけないっすよね。なら!)

 

黄瀬は3Pを捨てる選択をとった。一歩後ろに下がりドライブインだけは許さない姿勢を取る。これに火神は迷わず3Pを放った。ボールの行方は…リングに弾かれた。

 

(やっぱり、緑間っちみたいに100%とはいかないっすよね!)

 

このリバウンドをダブルチームから離れたことで余裕ができた小堀が奪取。そして、前半戦終了を告げる笛がなった。60-45。大差をつけて誠凛がリードしていた。しかし…

 

(…よしっ、いける。これならアイツに通用する!)

 

黄瀬は確かな手応えを得た。一方、誠凛ベンチは…

 

「すんません!パス出した方がよかったっす」

 

「気にすんな、俺らが打ったって決まってたとは限らないんだ」

 

「そうよ、それにここまでは完全に押してる。切り替えていきましょう」

 

(とはいえ…火神君に頼りっきりのオフェンスじゃ限界が来る…。何か考えておいた方がいいわね)

 

「後半、このまま火神君の3Pを捨てられるようなら、やってみて欲しい作戦があるの…」

 

両軍、頭脳戦でも火花を散らす。

 

次回、誠凛の奇策

 

 

 

 

 




なんか黄瀬が主人公みたいになってきた

今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか

  • 原作初期通りの「幻の六人目」
  • 原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
  • あえて守備にブッパしたスティール王
  • それ以外(メッセージかTwitterで)

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