火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す   作:Dice ROLL

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沢山の感想と高評価ありがとうございます。特に感想ではアイデアをいただいたり預言者兄貴に戦慄したりと、楽しませてもらってます。


11話 奇策

3Q開始直前、海常高校の前に一台のリヤカーが到着した。

 

「信号待ちで交代ジャンケンなのに、なんでずっと俺なんだよ!」

 

「当然なのだよ。今日のおは朝の星座占い、一位は蟹座だったのだから」

 

「関係あんのそれ!?つーかわざわざ練習試合見に来んだから、相当やるんだろうな?」

 

「真似っこと影薄い子だね」

 

「やるのそれ!?」

 

緑間真太郎と高尾和成、東京都不動の三大王者「秀徳高校」の一年生レギュラーである。

 

◆◇◆

 

3Q序盤、徐々に海常が点差を詰めていく。チームオフェンスで確実に得点する海常に対し、誠凛はマンツーマンに戻ったことで火神の1on1以外の得点パターンが無くなっていた。火神の3P成功率が悪いわけでは無いのだが、森山、笠松、黄瀬と3Pを狙える選手が海常に揃っているため、その猛追を食い止めるには至らなかった。

 

「このままじゃいずれ追い付かれる…か。キャプテン!あれ、やりましょう」

 

「…だな、お前ら、集中しろ。『勝負どころ』だ」

 

クラッチシューター日向順平のスイッチが入る。伊月、小金井、水戸部もまた、顔つきが変わった。一年に任せっぱなしの現状から、少しでも役に立つんだという気概に満ちていた。そして、誠凛のオフェンス

 

「…なんすか、これ?」

 

「へっ、本邦初公開だ。とくと味わえ」

 

「なんだこりゃ、5アウト!?」

 

5アウト、5人の選手全員が外に広がるという一見インサイドをかなぐり捨てたかのような布陣。原作においては、霧崎第一戦で誠凛がとった4アウトですら異端扱いだったのだ。5アウトなど正気の沙汰では無いと思われるのが妥当だろう。…しかし、現在の試合展開において、絶大な効果を発揮する戦術だった。

 

「さあ、いくぜ黄瀬!」

 

(ドライブ!?でも、俺が時間をかけさせればヘルプが間に合う!ゴール下にはいかせない。…ヘルプ?しまった!!)

 

結果として、ヘルプは間に合わなかった。黄瀬を抜きさった火神がレイアップを沈める。

 

「…むしろ、インサイドを攻めるための戦術ってことっすか」

 

これには、海常武内監督も驚きを隠せない

 

「監督、今のは一体…」

 

「選手全員が外に出ることで、こちらのマークマンも外に釣り出される形になる。結果としてインサイドのスペースは確保され、ヘルプも十全には間に合わない…」

 

「なら、外に広がりすぎないようにすれば…」

 

「それは悪手だ」

 

「中村!」

 

全中ベスト8の経歴を持ち、守備力では海常でもトップクラス。中村真也が解説する

 

「8番以外は、3Pを見せている。ということは23番のドライブを警戒しすぎればオープンスリーの餌食だ。…あの8番も、ハイポスト付近からのフックシュートを見せている。スペースを与える訳にはいかないだろう…」

 

「…っ、じゃあ、ヘルプを急ぐしかないってことか?」

 

「だろうな、23番の突破力を最大限活用している…」

 

コート上の面々も、打開策を考案していた

 

「結局できることは変わらねえ、黄瀬!出来るだけ簡単に突破させるな。時間を使わせろ。小堀、早川、キツいとは思うが、なんとかヘルプに走ってくれ!アイツに中で争えるとしたらお前らしかいねえ。できるか?」

 

「「「おう!」」」

 

しかし、5アウトの恐ろしさはここでは終わらない。先ずは海常の攻撃、流れるようなボールムーブメントを展開し、誠凛を翻弄する。

 

(黄瀬のやろう、チーム練習なんざ、ろくすっぽやったことねえくせに…!)

 

時間をかけるごとに、想像を絶するスピードで、黄瀬は海常バスケに溶け込んでいった。最終的にはマークの乱れから、ゴール下の小堀が得点する。

 

(よしっ!点は取れた。あとはこのディフェンス、止める!)

 

黄瀬も、小堀も、早川も、気合は十分である。だが…

 

「よしっ!23番を囲った!…は?」

 

ノールックパス、まるで背中に目がついているかのようなコートビジョン。それが、完全にシュートにしか見えない体勢から繰り出された。

 

(目の前に誰もいない…こんなに気持ちよく打てるの初めてかも!)

 

小金井のスリーが決まった。オールレンジでシュートが打てるが成功率はそこそこ、そんな小金井だが、裏を返せば状況を整えればどんな場所からでもゴールを狙えるスナイパーの素質を持っていた

 

(クソッタレが!パスもあるのは分かっていたが、それはスコアラーにしてはのレベルだと思っていた…。…黄瀬だけじゃなかったんだ、コイツも真の意味で…!)

 

「オールラウンダー、その意味がやっと分かったっすよ。火神っち、本当に全ポジションこなせるんすね」

 

「まあな、その中でもPGは得意な部類だぜ」

 

そう、この5アウト戦術は、PGとしての火神の能力を最大化するものだった

 

「たっく、敵がいないとか、面白くないとか、そんな風に考えてたのがアホらしいっすわ」

 

それでも黄瀬は笑う。かつて、追い求めた、手も足もでないような凄いやつが、今目の前にいる

 

次回、影の帰還

 




今では浸透している5アウトですが、黒バス当時はまだ奇策の部類だったと思います。アンケート見たらバスケ知らない人も結構見てくださっていたので伝わっているかが心配ですが…

今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか

  • 原作初期通りの「幻の六人目」
  • 原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
  • あえて守備にブッパしたスティール王
  • それ以外(メッセージかTwitterで)
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