火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す 作:Dice ROLL
試合後、何かあってはならないと黒子を病院に向かわせていた。もちろんリコも同伴である。診断結果は
「異常なし!」
グッドサインとともに、全員が待ち望んでいた答えが告げられた
「おお、良かった…」
「心配おかけしました」
「倒れた時はどうなるかと思ったぜ」
「じゃあ黒子も無事だったし、飯、いこうぜ?」
伊月が提案する。ちなみにただみんなでご飯を食べたいだけではなく、初めてできた後輩の前で先輩っぽいことをしたいという欲求が混じっていたりする
「おー、なんにする?」
そんなこととはつゆ知らず、乗っかる日向
「俺、金ねー」
戦力外の小金井
「ボクもです」
同じく黒子。2番目に名乗り出た。やはり影が薄い
「ちょいまち」
ここで監督相田リコ、悲惨な現実を察知した
「みんな、今所持金、交通費抜いていくら?」
「5」
「0」
「あ、ポッケから一円玉」
「ご縁がありますように」
「10円ありました」
「0」
「ごめんなさい」
「い、一応2000円あるっすけど」
「…火神以外役に立たないじゃねーか!!」
詰んだ。中学生の方がましな財布事情をしているのではないか。しかし、神は見ていたのかもしれない…。相田リコの視界を横切ったトラックには「ステーキ大食い!30分で完食すれば無料!」の文字
「みんな!寧ろガッツリいこうか!肉!!」
◆◇◆
「どうしたの?遠慮せずいっちゃって?」
(((((ガッツリいきすぎじゃね))))))
30分で食べなければならないステーキのサイズ、8ポンド。あわれ、ポンドが何キロかを知らなかった誠凛メンバーはのこのこ付いてきてしまった
「…火神、1ポンドって何グラムか分かるか?」
「大体450gっすね」
「てことは、8ポンドだと…3.6kg!?」
「しかも、食べきれなかったら1万円って書いてあるんだが」
「「「終わった」」」
「おい!食べきれなかったらどうすんだこれ!」
「ちょっと、何のために走り込みしてるの?」
「「「「バスケだよ!!」」」」
こうして地獄の戦いは始まり、15分が経過した。死屍累々、皆完全に手が止まっている。頑張った部類の土田や日向でも半分と少しと言ったところか。黒子に至ってはどう見積もっても1ポンドも食べていない。そこに、救世主現る
「…あれ、黒子以外の一年食べ終わってね?」
「火神が食べてくれました」
「いやー、うまいっすねこの肉!この赤身の感じ、ガッツリ肉の味が楽しめるし歯応えもある。アメリカのステーキハウスを思い出しましたよ」
「なあ、火神、俺たちの分も手伝ってもらえないか?」
「ああ、もうキツかったっすか?じゃあ貰っちゃいますね!」
「「「「「火神、ありがとおおお!!!!!」」」」」
こうして誠凛部員は救われた。一方その頃、早々に限界を迎えていた黒子は外の風を吸うべく店の外に出ようとしていた。そこに見慣れた顔を見つけたことで目的は変わったが
「黄瀬君?」
「ちょっと、話さないっすか?」
少しして
「あれ、黒子君は?」
「いつものことだろ、どうせ最後尾とかに…いない!?」
「俺、さがしてくるっす!」
「うん、お願い火神君」
こうして、火神が黒子を探しに走る
◆◇◆
「…こうして話すのも、久しぶりっすね」
「昔はよく、一緒に帰ってましたね」
「なつかしいっすね…怪我、大丈夫っすか?」
「はい、大丈夫でした…バスケットボール持ってるの珍しいですね」
「ははっ!そうっすね、練習したいなって、思ったんすよ」
黒子は思い出していた。青峰に勝つと、日々バスケに打ち込んでいたかつての彼の姿を
(変わった…というより、戻ったんですね、黄瀬君)
「まったく、黒子っちにも振られ、試合にもボロ負け。高校生活いきなり踏んだり蹴ったりっすわ。ダメ元でも、一応本気だったんすよ?」
「すみません…」
「冗談っすよ。…本当は今日、なんで決勝の後姿を消したのか、とか聞きたかったんすけど、もう分かったっすよ。黒子っち、本当にごめん」
「いいんです。黄瀬君。君がまた楽しそうにバスケをしてくれただけで、ボクは満足です」
お互い本心からの会話、天才と凡才と、光と影とでは分かり合えなかったであろうことも、より強い光が照らせば通じ合ったのだろう
「でも、一個教えて欲しいっす。やっぱり、スポーツは勝ってなんぼじゃないっすか、それより大事なことってあるんすか?」
「ボクもこの前までそう思ってました。だから、何がいけないかは、まだはっきりわからないです。ついこの間までバスケが嫌いになっていましたから。だから、火神君にあって、本当に凄いと思いました。あれだけの才能を持っていても、ただ真っ直ぐにバスケが好きで、努力し続けることができる、そんな人がいるんだなと」
「…それなら心配ないっすね。アイツがバスケを嫌いになるなんて想像できないっすよ」
「バーカ、そんな時もあったよ」
「っ!火神っち!」
彼には、聞き過ごせなかった。この世界では与えられている側の彼も、かつては凡才だった。才能に打ちのめされたことがあったのだ
「俺も、一回絶望しきったことがある。どんなことをしてもうまくいかない。周りにわかってもらえない。体はついてこない…そんで、バスケが嫌いになった」
「…火神っちは、どうやってそれを乗り越えたんすか?」
「…たまたまだ。恵まれただけだよ。だから、俺なんかよりコイツの方がよっぽど凄えよ。才能の壁にぶつかっても、努力で自分の生きる道を見つけ、才能の塊に打ちのめされても、自分の力で前を向こうとしてるんだ。…おい黒子、帰るぞ。みんな心配してるぜ」
「…はい」
このまま、何事もなく二人は帰り、黄瀬は自主連に励む。そのはずだったのだが…普段とは違う神奈川のストリートコートで、事件が起きる
「オラ!もう十分遊んだろ?代われよ」
「俺たちだって来たばかりだよ」
明らかに不良然とした出立ちの集団が、バスケを練習していた学生たちから場所を奪おうとしていた。
「じゃあさ、ここはホラ、バスケで決めるとかどう?」
「…なんだあいつら?ガラ悪いな」
これには火神も訝しんだような態度である。そして、彼の勘はよく当たる。最初は、もともと練習していた学生達が押していた。しかし、フリーのレイアップを決めるはずの場面で、横から明らかにファウルのブロックを受ける
「痛っ!‥なんだよ今の!3on3だろ!」
しかも、四人目
「は?誰がそんなこと言ったよ?『バスケで』としか言ってないぜ?」
「なんだよそれ!卑怯だぞ!」
ここで、不良は学生に向けて蹴りを放った…が、間に火神が割ってはいる
「テメーら、バスケットコートの上で、つまんねーことしてんじゃねーよ!!」
完全に怒髪天である
「あーなんだてめ…でかっ!…文句あんのかよ、『バスケ』でなら聞いてやってもいいぜ?」
人々はこれを死亡フラグと呼ぶ
「じゃあ、交ざっていいっすか?」
「そんな卑怯なバスケはないと思います」
「な、なんだぁ、こいつら…」
この二人の助太刀を、火神はどこか確信していたのだろう
「5対3でいいぜ、かかってこいよ」
試合展開は言うまでもない。そして、この思いがけない共闘は、黄瀬の進化を加速させる
(すっげえ、火神っちのパス…。派手なプレーを狙ってノールックをやってるんじゃない。一瞬見ただけで次にどこに行くか予想してるんだ。それだけじゃない、パスを受け取った後の展開がめちゃくちゃいい。昔の赤司っちの一番やりたい動きをさせてくれるパスとはまた違う、一番やりやすい状況を作ってくれるパス!まだまだ、遠いっすね)
「黄瀬!」
火神が宙にボールを置いていく、それを黄瀬が掻っ攫ってゴールに叩き込んだ
「すっげえ…」
思わぬところで最高峰のプレーを目撃した学生達は、後に彼らが有名になったらテレビで話そうと思ったという、「二人だけで助けてくれたんです」と。…哀れ黒子。ついでにカントクにこってり絞られ卍固めを決められることになる
◆◇◆
翌日、誠凛バスケ部二年生達は一年生にあるイベントを企画していた。それが、毎月27日限定で販売される誠凛購買名物「イベリコ豚カツサンド〜三代珍味のせ〜」を一年生に購入させるというもの。しかし、ある人物によって、このイベントに波乱が起きる。
「ちょっとパン買ってきて!」
「は?」
「実は誠凛高校は毎月27日限定で…」
「27日!?」
「っと、どうしたの火神君?」
「今日って、…27日っすか?」
「そうだけど…」
「っ、しまった!こうしちゃいられねえ!」
「ちょ、ちょっと!急にどうしたのよ火神君?」
「今月27日は火曜日…タコチューズデイだっ!!!」
「た、たこ?」
「なんだそれ?タコが安いのか」
「あっ、火神!」
火神は購買に全力疾走していった。ちなみに火神の全力疾走とは100mを10秒台で走る速度と、バスケコートを9歩で渡り切る歩幅をフル活用するものである。当然誰も追いつけず、ついでに学校中で話題になった。
「…これ、タコス?」
「はい!向こうでは火曜日にタコスを食べるんすよ。そんでもって『タコチューズデイ』って叫ぶんす」
「…世界は広いなあ」
ちなみにここでいう「向こう」はこの世界のアメリカのことではない。日本語は難しい
「ほらみんなの分も買ってきましたよ。お代はいらないんで。さあ、やりましょう!タッコ、チュウウウズデエエエエイ!!!!!」
「…世界は広いなあ」
この日以降、誠凛バスケ部の間で火曜日の飯時は火神に近づかないという暗黙のルールができた
次回、彼らの夏が始まる
今まで一番文字数多いです。…内容は置いといて
今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか
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原作初期通りの「幻の六人目」
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原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
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あえて守備にブッパしたスティール王
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