火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す   作:Dice ROLL

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緑マシン太郎さんがついにきてしまった


17話 長距離砲

「結局、こうなるっすよね。決勝のカード」

 

「だな、『キセキの世代』がいる秀徳が負けることはそうそうないだろうし、誠凛に至っては既にその『キセキの世代』様を倒してるんだからな」

 

「なんか当たりキツイっすね!?…俺らのこととか抜きにして、笠松先輩的にどうっすか?火神大我は」

 

「…俺は正直、お前が初めてうちに来た時、こんなやつが同世代にいるのかと思った」

 

「どうもっす」

 

「だが、あんなやつがこの世にいるとは想像もしてなかったぜ。オフェンスからディフェンスまで、ありとあらゆる項目でスペックが高え」

 

「ま、ありとあらゆる項目でってのも間違いないっすけど、アイツの一番ヤバいところって、あのガタイで尋常じゃないコートビジョンとパススキルを持ってることだと思うんすよね」

 

「…たしかに、デカさとか、身体能力とかに目が行きがちだが、アイツの支配力の根源はそこかもな」

 

「支配者っすよ。俺たちが『キセキ』なら、あいつは…

 

 

   『王様』ってところじゃないっすか?

 

 

この日以降、火神大我を指して使われるようになる二つ名が生まれた瞬間だった

 

◆◇◆

 

「よう、やっとやれるな」

 

「こっちのセリフなのだよ。黄瀬と一緒だと思うなよ」

 

両雄、火花を散らす。試合開始のジャンプボール、大坪対火神

 

(分かってはいたが…高すぎるなこれは!)

 

全国的に有名なビッグマンの大坪だが、相手が悪かった。伊月が拾って誠凛ボールになった

 

(戻りが速い…速攻は無理か)

 

「分かってるわね?伊月君。のんびり付き合うより、まずは挨拶がてら強襲ゴー!」

 

黒子がミスディレクションでマークの木村をかわす。そこに伊月がドンピシャのパス。そして黒子はボールをゴールに向かって弾いた

 

「アリウープ!」

 

これに火神が反応する。だが、もう一人…

 

「心外なのだよ、その程度で出し抜いたつもりか」

 

「緑間!?」

 

身長195cm、ただのシューターではない。緑間真太郎はディフェンダーとしても超高校生級である。しかし、この場合は相手が悪い

 

「出し抜けなくても関係ねえよ。空は俺の場所だ」

 

結果、ブロックに跳んだ緑間は吹き飛ばされた。開戦を告げる、ワンハンドアリウープダンクの豪砲

 

「うおおおおお!?」

「まじか、『キセキの世代』緑間真太郎をぶっ飛ばしたぞ!」

「凄いとは思ってたけど、誠凛23番…『キセキの世代』級なのか!?」

 

沸き立つギャラリー。それもそうだろう、過去三年間無敗だった『キセキの世代』。その一人を倒し、そして今もう一人を吹き飛ばしたのだから。人々は新たな才能の発見に酔いしれていた

 

「一発目は俺の勝ちだな」

 

「…ぬかせ。次は俺が勝つのだよ」

 

続く秀徳の攻撃、高尾から宮地、宮地から木村へパスが通る。木村がゴールを狙うが日向がこれをブロック。しかし、こぼれ球を高尾が拾って攻撃続行

 

(ま、エースが勝つっつってんだ。ここで渡さない手はねえだろ)

 

高尾は得意のノールックパスで緑間に託す。迷うことなく放たれたスリーをブロックすることはできなかった。行方を確認することなく自陣に戻り始める緑間。たが…

 

「火神君、走っててください」

 

緑間のシュートが突き刺さった刹那、黒子が遠心力を使ってコートの端から端へレーザービームのようなパス

 

「ちっ、サイクロンパス…!」

 

緑間のさらにその後ろで火神がパスを受けとった

 

「ナイスパスだ!黒子!!」

 

そのままガラ空きのゴールにトマホークダンクをお見舞いし、逆転

 

「そう簡単にはやらせません」

 

これには二人の元チームメイトも唸る

 

「いやー、さすがっすね黒子っち」

 

「ああ、これで緑間のスリーにリスクをつけられる。タダでホイホイ打たれないってだけで相当大きいぜ」

 

「…うーん、それはどうっすかね」

 

そう、緑間真太郎の恐ろしさはこんなものではない。彼のシュートのユニークポイントは精度ではない、射程距離だ

 

「真ちゃん!」

 

「は?」

 

緑間のスリーがゴールを打ち抜く。その射出点はハーフライン上であった

 

(ふざけやがって、ハーフコート全域でフリーにしたら終わりってことかよ)

 

かの王朝の主すらも凌駕するシュートレンジと精度。加えてハーフコートからのシュートともなれば、その後ろを突く速攻も難しい

 

「やってくれるな、緑間!」

 

「こっちのセリフなのだよ。俺をポスタライズするとはな」

 

エース対決は現状五分、この状況を生んでいる理由はお互いの武器が噛み合っているからだろう。選手としての力は火神の方が上かもしれないが、純粋な長距離砲としての緑間を完封しようとすれば大坪が止められない。対する緑間も、火神を止める手立てはない。火神は純粋な矛の力で、緑間は一点を磨き上げたその唯一性で殴り合っていた

 

(2点差か…向こうは3点ずつ決めてきやがるが、スリーの撃ち合いはまず勝てない…。なら、止めるしかねえな。あのオフェンスを)

 

「火神!」

 

誠凛のオフェンス。今回は緑間に加えて大坪がついている

 

「へえ、いいのか?ゴール下空けて」

 

「構わん。お前以外が撃つのなら追いつける」

 

「それは、どうかな!」

 

火神の選択は、パス。大坪が動いたことでマークが甘くなっていた水戸部に託した

 

「言ったはずだ、追いつくと」

 

しかし、流石は緑間。言葉通り追いついてみせた

 

「いや、そんな体勢で追いついたって意味ねえよ」

 

火神が告げる。すると、水戸部は大きなストライドでゴールの前を横に移動しながらフックシュートを放った。これが見事に決まる

 

「…ランニングフックか。色々仕込んできているな」

 

「そうっすね。緑間っちも凄いっすけど、あの人パス出さないからな〜。それじゃあ、火神っちには勝てないっすよ」

 

「こないだまでお前も似たようなもんだったろうが…」

 

周囲が思っている以上に、誠凛のメンバーは成長していた

 

(水戸部先輩のフックも通じた。小金井先輩は調子がよけりゃいい戦力になるし、土田先輩も1番から4番まで付けるようなってる。いける、このチームなら勝てる!!)

 

だが、理不尽の権化がそこにはいた

 

「君らなりのいいシュートなのだよ…、だが」

 

「は?」

 

自陣ゴールの少し前からのシュート。これが意味することは…

 

「てめえ…ハーフコートじゃなかったってことかよ」

 

「いつ、俺のシュートレンジがコート半分だと言った?俺のシュートレンジはコート全てだ」

 

「無茶苦茶しやがって…、先輩!こっからは俺が緑間にガッツリ付きます!インサイドお願いします!」

 

ようやく、試合が動き出す。お互いの攻撃を封殺すべく、カードを切る

 

次回、セカンドオプション




書いてて思う。なんやこいつ

今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか

  • 原作初期通りの「幻の六人目」
  • 原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
  • あえて守備にブッパしたスティール王
  • それ以外(メッセージかTwitterで)

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