火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す 作:Dice ROLL
(中学二年以来か…自信のないシュートを打つのは)
日向がスリーを決めて前半残り8秒、秀徳最後のオフェンス。高尾はいかにして大坪にボールを渡すかを考えていた
(真ちゃんには火神がべったりついてるか…、ちっ、大坪さんに通せるパスコースがねえ…!)
高さで勝つことを諦め、平面での守備に特化した誠凛のディフェンスを崩すのは並大抵のことではない。しかし、そんな状況を打開するのがエースであり、打開できるから天才なのである
「高尾!よこせ!!」
「真ちゃん!?…頼む!」
緑間はボールを受ける。視界の左端に火神が映る。普通に打ってはブロックの餌食だ。だから、ねじ伏せる。幾度となく繰り返してきた己のフォーム、体が覚えているその感覚を
笛が鳴る。2Q終了を知らせる笛だ。だが緑間にとってはスローモーションのように感じていた。普段は入ることを確信して守備に戻る彼だが、今回はそうはいかない。寧ろ失敗を知らない彼だからこそ、想像を絶するプレッシャーを感じていた。果たして、そのシュートは…決まった
「うおおおお!ブザービーター!!」
「ここで決めるか!緑間真太郎!」
「すっげえ…」
「まじっすか…」
「なんだ?そんなに凄い事か?」
「…緑間っちは、自分が入ると確信したシュートしか打たないんすよ。そのために引くほどシュート練するし、爪は整えるし、ラッキーアイテム持ち歩くくらいっすからね。でも、今のは違ったっす。本来のフォームじゃない、絶対に決めるためのシュートとは違う、ブロックされないためのシュート…」
「なるほどね、またアイツの手で天才が階段を登ったわけだ。それに、57-40か。20点差かそれ以内かってのはメンタル的にはデカイな」
緑間は無意識のうちにガッツポーズを作っていた。冷静沈着な彼にしては非常に珍しい
「やっぱできんじゃねえか」
「感謝するのだよ。俺はまだまだ上手くなれる!」
◆◇◆
ハーフタイム。誠凛高校は対策を練っていた
「最後の緑間のシュート、あれは何?」
「クイックリリースっすね。具体的にはワンモーションのジャンピングシュート、ジャンプの頂点に届く前に打つっていうシュートフォームっす」
「ええ、最後の緑間君のシュート、リリースまでの時間は約0,5秒だったわ」
「はっや!急にそんなに早くできるもんなの!?」
「普通は無理っすね。あんまりこの言葉で片付けるのは好きじゃないっすけど、『天才』ですよ」
「火神、どうする?」
「…完璧に止めるのはもう無理っすね。流石にあれで100%は維持できないと思うんで、こっからはリバウンドが重要になってくるっす」
「てことは土田君は外せないわね。それに水戸部君も欲しいか…。後半のスターターはスタメンから黒子君外して土田君入れたラインナップで行くわ!大丈夫?」
「うん。任せろ!」
一方、秀徳は
「この試合、クイックで打ちます。外れる機会も出てくると思うので、申し訳ないですがリバウンドお願いします」
「任せろ!むしろ今までなかったのがおかしいんだよ!!」
「木村の言う通りだ。そんなことは気にするな。リバウンドは俺たちで絶対に取る」
「…よろしくお願いします。監督、クイック以外にも色々試します。今日のワガママで手を打ってください」
「馬鹿を言うな。選手がより良くなろうと模索することを、ワガママなどと言うものか」
「うっし、真ちゃん。ガンガンパス入れっからな!バテんなよ!」
「そんなはずないのだよ…と言いたいところだが、正直わからんな。前半打たなかった分残弾数には余裕があるが、それでも新しいことにどれだけ体がついてくるか…」
「ま、当たって砕けろっことで」
「よし、いくぞ!」
「「「「「おうっ!!!!」」」」」
◆◇◆
「…いいね、やる気マンマンって面構えだ」
「久しく忘れていた、挑戦者の感情だ。感謝する火神」
コート上のボルテージが上がっていく。ギャラリーも当然思い思いの予想に盛り上がっていた
「『キセキの世代』がそう簡単に負けるか?こっからひっくり返すぜ」
「いや、火神大我の方が上だろ。なにせ既に黄瀬涼太がいる海常を倒してるんだから」
「…だってよ?黄瀬涼太君?」
「やめてくださいよ、笠松先輩〜」
「で、お前はどうなると思う?」
「ま、誠凛の勝ちじゃないっすか?緑間っちも間違いなく進化していくっすけど、火神の底は未だに見えないし、まだ至れるとは思えないっす」
そして、後半開始。黒子のいない分、正統派なバスケスタイルになると思われた誠凛高校。だが、奇策大好き誠凛高校が簡単に普通のバスケを展開するはずがなかった
「…火神、お前がPGか」
火神のPG起用。海常戦でも見せたが、基本的に190cmもあればCとして使われる日本のバスケにおいて、2mを超えるPGは異質でしかない。しかも、本職と遜色ないレベルで手際良くチームメイトに指示を出し、オフェンスを組み立てていた
(海常戦で見せていた5アウトではない…どうくる?)
チームメイトに指示を出す火神の仕草に集中する緑間。しかし、次の瞬間、利き手の右手で指示を出していた火神が左手一本でノールックパス。ゴール下の水戸部に繋がりイージーショットを生んだ
「っ!忘れていた。高尾達と同じ系統の『目』を持っているんだったな。しかし、左手であそこまで正確なパスを繰り出すか…」
「悪いな、元々左利きなんだ。憧れてた選手が右手でシュート打ってたもんでシュートは右打ちになったんだけどな」
◆◇◆
「火神っち、俺のことを技のデパートって呼んでたっすけど、アイツは技術の宝石箱みたいっすね」
「ああ、引き出しの数が尋常じゃねえ。しかも、それを対戦相手にも惜しみなく披露しやがる…。今のプレーだって逆手でのパス以外にもどんだけのことをやってたか」
「『王様の目』っすか…。なんか似合わないっすねぇ〜…。あっ、常時発動って訳じゃないみたいだし、任意で発動できてコートを支配するんだからこんなのはどうっすか?
『
◆◇◆
だが、前半とは違い秀徳も追い縋る。緑間のスリーが入り出したのだ。前半のブザービーターで見せたクイックリリースに留まらず
「こんにゃろ、フェイダウェイか!」
「実渕礼央…感謝するのだよ」
フェイダウェイジャンパー。後方に跳びながら放つシュートで非常に難易度が高い。その上ほぼ上半身の力でシュートを打つ都合上3Pシュートで使うには相応の技術と筋力が要求される。さらに
「今度は落ち際で打ちやがったな。タツヤみたいな事しやがって」
「…誰なのだよ」
「兄貴!」
基本的なシュートのリリースタイミングは、ジャンプの頂点で放つジャンプシュートとジャンプしながら放つジャンピングシュートの二種類である。しかし、対空時間や体幹に優れた選手がフェイクとして頂点から落ち始めてからシュートを放つことがある。言わずもがな3Pシュートとして使うにはかなりの難易度である。これにもうワンフェイク加えたものが氷室辰也の『蜃気楼のシュート』である
「後半に入って緑間君のスリーは4/5か…。あんな無茶苦茶な打ち方してるのに凄まじい成功率ね」
「外した一本もあとちょっとって感じだったもんな」
当然、黙って見ている火神ではない。緑間のスーパーシュートの数々に流れを持っていかれそうになったまさにその時。ハーフラインよりやや前、スリーポイントラインから見れば遥か後方。その位置からシュートを決めた
「…つくづく楽しませてくれるな!火神大我」
「そうか、海常相手に決めた時は、まだお前来てなかったもんな」
これだけでは終わらない。続く秀徳の攻撃、高尾は大坪にボールを通そうとするも…
「ふざけんな、あそこから届くのかよ!?」
規格外のスピードとリーチ。この間まで中学生だった高尾には信じられない位置からのスティールだった。そして毎度のことながら、こうなってしまっては火神に追いつける選手などいない
(この試合、派手なのはあんましやってなかったからな…一発かましとくか!)
両手でボールを持ったまま跳躍すると、空中で反時計回りに腕ごとボールを一周させながらダンクを叩き込んだ
「おーう、ボスハンドウィンドミルっすか」
「あんな体して空中でどんだけ動くんだよ」
既に目の前で火神のインゲームダンクコンテストを見ている海常の二人はある程度耐性があるが、積極的に偵察に向かっていた一年二人以外の秀徳のメンバーはそうもいかない
「どうなってやがるんだ、あの23番…っ!」
「本当に同じ人間とは思えねえな…」
3Q終盤、緑間も魅せる。シュートフェイクを一回挟むと、釣られた火神に体をぶつけながらスリーを沈め4点プレーを成立させる
「たっく、前半と同じ選手とは思えねえな。最初っからやれよ、そんだけできんなら」
「やらざるを得ない状況を作ったのはどこのどいつだと思っているのだよ…」
フリースローを緑間が外す訳がない。4点プレー成立。最後の誠凛のアタックは及ばず3Qは終了。76-64、点差は12点。十分とは言えないまでも射程圏内まで来ていた
「絶対ミスんない精密機械よりも、今の方がよっぽどキツいぜ。『天才』様よ」
「『天才』…お前がそれを言うか。俺が『天才』ならお前はなんなのだよ」
「さあな、ただのバスケ馬鹿だよ」
「フッ、かもしれないな。4Q、必ず逆転するのだよ」
「させねえよ。俺たちには『影』がいる」
3Q丸々休んだ、誠凛にとっての『切り札』。近づいてくる試合終了に向けて、両軍死力を尽くす
次回、真の『王者』
魔改造みどりんがバグチート無双すぎてやばい(語彙力崩壊)
今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか
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原作初期通りの「幻の六人目」
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原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
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あえて守備にブッパしたスティール王
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