火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す   作:Dice ROLL

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最近誤字報告がだいぶ多くなってしまいまして。なんとか気をつけます。少し短めなんですが、前話が意図していない受け取られ方をしてしまう可能性があったので大急ぎで書きました。次回予告とかもう少しガッツリ書いたほうがいいかもしれませんね


24話 勝利

ハーフタイム、桐皇学園の控え室は重苦しい空気に包まれていた。青峰大輝が負けたという事実、当然アップはしておらず万全な状態だったとは言えないかもしれない。だが、あのときの青峰は間違いなくその時出せる全力を出していた…が、負けた

 

(青峰が負けた!?未だに信じられへん…。火神大我、大型の司令塔タイプと聞いとったが、本当はスコアラーっちゅうことか…)

 

「…さつき、どう思う?」

 

「多分、秀徳戦では本気を出していなかったか、あえて異なるスタイルで戦っていたか、どっちかだと思う。見たと思うけど、最高到達点は間違いなく高校ナンバーワン。スピードも…青峰君より速いかもしれない」

 

「…ちょっと外出てくる。適当に話しといてくれ」

 

「っ!青峰、てめえ!!」

 

「若松、ええんや。まだ、青峰は底は見せてない」

 

◆◇◆

 

誠凛高校の控え室も、大差で勝っている高校とは思えない空気に包まれていた

 

(凄い…凄すぎる。火神君がスコアラーに徹したらこんなことになるなんて。…でも、これでいいの?これが本当に彼がやりたいバスケなの?)

 

「凄えじゃん!凄すぎるよ火神!!下手しなくてもこのまま…」

 

「後半もボール集めてください」

 

「ちょ、火神君?」

 

「ノコノコ遅れてきやがったあの馬鹿に、試合でも、個人でも、全部勝って見せつけなきゃなんねぇ…だから、後半も俺が…」

 

火神の声はここで止まった。周りも唖然としていた。殴った。黒子テツヤが火神を

 

「…っ!黒…子…?」

 

最初は怒りを滲ませていた火神だが、徐々にその顔は冷静さを取り戻していった

 

「バスケは一人でやるものじゃないでしょう。一人で勝っても意味なんかないだろ。青峰君を倒そうっていうのに、青峰君と同じことをしてどうすんだ」

 

火神は気づいたのだ。自分がしていたことの意味のなさを。青峰のバスケを否定する為により強い『個』として打ちのめしたところで、彼は結局『個』の信奉者のままだ

 

(昔、どれだけ欲しくても手に入らなかった『モノ』を持ってる奴が、バスケに本気じゃないことが許せなかったんだ…。ちくしょう…さっきまでの俺は手に入った『モノ』を振りかざしてた、ただのガキじゃねえか)

 

「すまん!黒子…目が覚めた」

 

「良かったです」

 

「なあ、一個だけ聞いていいか?」

 

「なんですか?」

 

「勝利って、なんだと思う?」

 

黒子テツヤは、かつての自分が成れたはずの姿である。彼からすれば、黒子に抱いている感情は『羨望』だ。そんな彼がこの問いにどんな答えを返すのか、気になったのだ

 

「…試合が終了した時、どれだけ相手より点を取っていても、嬉しくなければそれは勝利じゃないと思っています。でも、具体的に勝利が何かは、まだ分かりません」

 

「…だよな」

 

『バガァアン!!』

 

「きゃあ!」

 

火神がロッカーに頭を叩きつけた

 

「先輩、カントク、本当にすいませんでした。気持ち入れ替えます」

 

バスケは気に入らない相手を黙らせる道具じゃない。火神はそれを学んだ

 

◆◇◆

 

後半が始まろうとしていた。桐皇の空気は相変わらず重い。監督、桃井、今吉と本人だけが知っている青峰の『切り札』。しかし、いつでも使えるというわけではない。故に、彼らを包んでいるのは緊張感。それを知らない他のメンバーを包んでいるのは…絶望

 

(頼むで、青峰。まだ希望はある、アレにさえ入れれば、お前は最強や)

 

諦めかけているメンバーと違うように見えるが、実態は縋り付いているだけ。誠凛の変化に気づくことすらできていない。相手の分析に長けた彼女を除いて

 

(前半と、誠凛の雰囲気が全然違う…。まるで、さっきまでのは本当の誠凛じゃなかったみたい…)

 

「…火神、感謝するぜ」

 

「青峰…。俺もだ、大事なことに気づけた。こっから先は恨みっこなしだぜ」

 

3Qが始まる

 

次回、ゾーン

 




黒子の勝利感は個人的にリスペクトしてます。

今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか

  • 原作初期通りの「幻の六人目」
  • 原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
  • あえて守備にブッパしたスティール王
  • それ以外(メッセージかTwitterで)

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