火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す 作:Dice ROLL
一回戦を突破した誠凛高校だったが、続く二回戦は過去最高の相手。すぐさま対策を確認すべく集まっていた
「さーて、洛山高校の情報をおさらいするわよ。まずはPG赤司征十郎、身長は173cm、だけど卓越したコートビジョンにスピードとパススキルを併せ持つ完成されたPGよ。彼に関しては黒子君の方が詳しいわね、お願いしていい?」
「はい。赤司君は当然普通のバスケットボールもトップクラスに上手いです。ですが、彼は『天帝の眼』と呼ばれる未来が見える能力を持っています」
「何回聞いても意味わかんねえな…」
「ようは癖読みとか観察眼とかの一歩先の世界なんだろうな」
「続いてSG実渕礼央、鉄平と同じ『無冠の五将』の一人ね。4点プレーを狙って取ったり、フェイダウェイでスリー打ったりかなり器用なシューターね」
「実渕か…フォームめちゃくちゃ綺麗なんだよな」
「日向も参考にしてたもんな」
「三人目、またしても『無冠の五将』SF葉山小太郎。ドリブルの名手で尋常じゃない突破力を持ってるわ。シュートはそこまでだけどダブルクラッチとかゴール下まで来れば結構小技も利くわね」
「ドリブル音うるせえんだよこいつ」
「そして四人目、根武谷永吉。こいつも『無冠の五将』よ。彼のウリはとにかくフィジカル。とてつもないパワーでゴール下を制覇するわ。ポジションを変えて今はCをやってるわね」
「おー、根武谷か。懐かしいな」
「木吉はやったことあるのか」
「そんでもって五人目はぶっちゃけわからん!予選を通して流動的…というか赤司君もほとんど出てないしね。誰が来るかはさっぱりよ」
そう、誠凛と洛山の最大の違いは層の厚さ。ただでさえスタメンの力の差が歴然だと言うのに、ベンチメンバー全員がそこらの高校に行けば即エースである。それに対して誠凛はほぼ戦力にならない一年生三人と木吉までベンチに入っている始末。他の選手も一芸は持っていても弱点はある。間違いなく洛山に対抗できると言い切れる選手は火神しかいないのが現状である
「未来が見えようが、それだけで勝てる訳じゃねえってこと教えてやるか」
◆◇◆
試合当日、この日がインターハイ初戦の洛山に対して二試合目の誠凛、一見不利に見えるが、誠凛メンバーの顔から疲労は感じられなかった
(大仁田だって全国区の超強豪なんだがな…。火神だけじゃない、皆強くなってる。いけるぜ誠凛)
全国ベスト4経験者、木吉鉄平も太鼓判を押す
「テツヤ、最初に当たるのが君になるとはね」
「…赤司君、今日は勝ちます」
「それは無意味な決意だ」
「やってみないとわかんねえだろうが。勝手に決めつけんなよ」
「火神君か…まあ、言いたいことがあるなら試合で語るといい」
「はっ!吐いたツバは飲めねえぞ!」
この試合の行方を、観客が、他チームが、『キセキの世代』が見守っていた。そしてついに試合が始まる
「なんだコイツ!?高すぎんだろオイ!」
ジャンプボールは当然のように火神の勝ち。誠凛のファーストアタックは、火神の1on1を選んだ
「ほう、僕と1on1か」
「ま、とりあえずな。いくぜ…っと、まじかよ」
トリプルスレッド。バスケットボールの基本姿勢であり、ドリブル、パス、シュート、全てに移行できる構えである。しかし、その瞬間を完璧に読まれれば、スティールは免れない
「火神が止められた!?」
洛山の速攻、先頭を赤司が走るが、火神はこれに追いついた
「やはり追いつくか。大輝を止めるだけのことはあるね」
しかし、流石は赤司征十郎。ブロックを読んでいたかの如くダブルクラッチ…しかし、黙ってやられる火神では無かった
「…浮いてる?」
かわされたのは右手でのブロック、しかし並外れた対空時間から左手でブロックショットを決め、先制点を阻止した
「へえ、あそこから反応できるか。火神大我」
「ヒヤッとしたぜまったく」
(なるほどな、未来が見えるってのは想像以上に厄介だ。じゃあ、こっちにしかない武器を使わせてもらおうか)
返す誠凛の攻撃、火神は身長差を活かして赤司の守備範囲外からパスを出す
「あら?パスミス?緊張してるのかしら…っ!しまった、やっぱり来るわね」
『幻の六人目』黒子テツヤを使った変幻自在のパスワーク。エルボー付近で待機していた伊月にパスが通り、そのままシュート
「決まった!先制点は誠凛だ!!」
「てか今のパス何?空中で曲がらなかったか?」
洛山の攻撃はセットオフェンス。赤司はゴール下の根武谷にボールを入れる
「ぬおおおお!マッスルダンク!!」
水戸部ではなす術がない。あっさり同点に追いつかれた
(まずいわね…。他はまだ可能性があるかもしれないけど、水戸部君は露骨にパワーが足りてない)
リコの不安は的中する。火神が身長のミスマッチを活かしてパスを捌き、黒子を使って得点を生むが、洛山の攻撃は至ってシンプル。根武谷に入れれば二点確定。赤司にスリーがある以上、火神がヘルプに間に合う距離を維持することができない。さらに…
「しまっ…」
緑間や青峰を除き、シュートを確実に決めることができる選手など存在しない。ダンクやレイアップならともかく、スリーやミドルレンジシュートは半分も入れば超一流の部類なのだ。加えて、洛山の攻撃を止めることができていない現状、シュートを打つ選手にかかるプレッシャーは想像を絶する
「どうする?火神大我?まさかこれで終わりか?」
「んな訳ねーだろ」
「…なるほどね」
まず誠凛が取った行動は、根武谷へのパスコースを塞ぐことだった。自らがドリブルで切り込む能力を持たない根武谷にしてみれば、パスを貰えなければその力は発揮できない。しかし
「ナイスパス、征ちゃん」
「くっそ、『天』のシュート…!」
実渕礼央のフェイダウェイによるスリー、『天』。日向はこれを止めることができなかった…が
「うっそ!あそこから間に合うの!?」
火神がかろうじて指先を当てる
(ダメだ…このままじゃリバウンドの展開になるが、それじゃあ根武谷の独壇場だ…。なら!)
何も特別なことはしていない。ただ全力で腕を振り抜いただけ。しかし、火神の腕力にかかれば、それだけでも指先に引っかかったボールの推進力を大幅に削ぐことができる。結果としてボールはほぼ真上に上がった
「これなら、俺の勝ちだろ!」
跳び直した火神がガッチリとボールをキャッチする。まずは誠凛の勝ち…かに見えた。火神が着地した瞬間何処からともなく現れた背番号5が、そのボールをスティールしていた
「今のは黒子の…!?てことはまさか、コイツもかよ」
「ああ、彼は黛千尋。新式の『幻の六人目』だ」
そして、弾かれたボールは赤司の手元に転がった。そのままスリーを決め点差を広げる。13-8
「黒子のパスのリアクションがおかしいと思ったぜ。あれはタネまで知ってるやつの反応だ」
「彼は黒子のミスディレクションを完璧に再現している。つまり、僕たちには程なくしてミスディレクションが通じなくなる」
この赤司の言葉は1Q終盤に的中する
「…っ、黒子のパスがカットされた…」
じわじわと離れていく点差に、失われていく得点手段。誠凛高校に訪れたかつてないほどの危機
(まずいな…こうなったら黒子は一旦引っ込めるしかねえが…どうやって点を取る?それ以上に深刻なのはディフェンスだ。黒子抜きじゃあ根武谷へのパスコースを制限しきれねえ。俺と伊月先輩がいる分5番に好き放題やられる展開は阻止できるはずだが…)
「…窮地っすね」
「ああ、これはかなりきついぜ誠凛。赤司と勝負できるのは火神だけってことは、火神がインサイドに入れねえ…。これじゃあひたすらインサイド攻められて終わりだぞ」
笠松の目には打開策は見えなかった。1Q終了25-14。誠凛にとって、今年初めてビハインドでQを折り返すことになった
次回、活路
木吉パイセンがいないとこうなってしまいますよね
今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか
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原作初期通りの「幻の六人目」
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原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
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あえて守備にブッパしたスティール王
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