火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す 作:Dice ROLL
オールスターゲーム。即席チーム同士の対決になることもあるが、基本的には守備には力を入れることはない。公式戦でもない舞台で怪我でもしようものなら目も当てられないからである。逆に言えば、スター選手達のド派手な攻撃による殴り合いがオールスターの最大の見どころである。本場では、ある年に1チームが200点近い点数を上げたこともあるくらいだ。しかし、スポーツマンシップや全力のプレーを評価してきた日本の高校スポーツ界と、この雰囲気はマッチしていない。そこで、今回導入されたのが「ターゲットスコア方式」である。3Qまでは通常通りに試合を行うが、4Qが違う。3Qまでにリードしていたチームの総得点に24を足し、先にその点数に届いたチームが勝利となる。制限時間はない。例えば3Q終了時点で「100-95」だった場合、ターゲットスコアは「124」になるので、リードしていたチームは24点、追いかけるチームは29点を相手より先に上げれば勝利ということになる。これによって、少なくとも4Qは本気のぶつかり合いを見ることができる
◆◇◆
「赤司、よろしくな」
「ああ、いい試合をしよう。火神」
「今日は勝つっすよ。紫っち」
「うげー、ばちばちじゃん黄瀬ちん」
「…高校に入って、お前との初めての試合がこんな形になるとは思わなかったのだよ。青峰」
「あー?ま、俺もそうだな。まさかあんなやつがいるとは、半年前までは考えてもいなかったぜ」
「氷室さん、今日は勝ちます」
「黒子君か。いいね!俺も熱いのは好きだ」
「永ちゃん、せいぜい足引っ張んないように頑張れよ」
「誰に言ってんだ小太郎?」
「名前呼んだよね!?」
公式戦とは違う和やかな空間。しかし、ジャンプボールの準備が始まると、途端にスイッチが入る。この切り替えができる選手達だからこそ、今日ここに立っているのだ
「ジャンプボールやらないの久しぶりだな」
ジャンプボールは紫原対根武谷。ついに、試合が始まる
「相変わらず高っけえな!!」
「どうも〜」
チーム赤司ボールで試合開始。ボールを受け取った赤司はすぐさま速攻を仕掛ける。機動力のある葉山にボールを渡すが、すぐさま青峰がカバーに入る。葉山はたまらず赤司にボールを戻す
「いくぞ、黄瀬」
「かかってこいっす!…ってマジっすか!?」
しかし、1on1と見せかけて誰もいないスペースにノールックパス。そこに走り込んでいた黒子がゴールに向けてパスの軌道を変えると、赤司は両足で力強く地面を蹴った。ボスハンドのアリウープダンクが炸裂した
「嘘だろ!?173cmだぞ!!」
「凄すぎる!流石は西のキャプテンだ!!!」
「やっぱり『キセキの世代』は違うな…」
「…ダンク、できたのかよ」
「できないと言った覚えは無いよ。君たちとは違ってこの身長だからそう狙う機会はないけどね」
「赤司、案外お祭り男なのかもな」
「やられた〜。でも反撃開始っすよ!!」
「お、火神いるけど黄瀬がボール運ぶのか」
返すチーム火神の攻撃。ボールを運ぶ黄瀬には赤司が付く
(パスでもいいっすけど、黒子っちがいてマッチアップが赤司っちじゃそうそう通せないでしょ。ま、オールスターだしね!)
黄瀬は1on1を仕掛けた。4Qが重要な試合なので『完成』はまだ使わないが、それでも赤司と互角の勝負を繰り広げていた
「それでも抜けないんすね!!やっぱやめたっす」
「なんとか追いつくので精一杯だよ」
「ナイスパスだ黄瀬!!」
黄瀬は青峰へのパスを選んだ。かつての相棒であるこの男なら、黒子のスティールは躱しているだろうという判断である。マークは緑間、再び『キセキの世代』同士の1on1。だが、パスを受ける前にすでにスピードに乗っていた青峰を止めることは誰であろうと容易ではない。鮮やかなドリブルムーブで抜き去ると紫原のブロックすら追いつけないスピードでダンクを叩き込んだ
「黄瀬!やりゃあできんじゃねえか!!」
「どの立場の人間っすか!?あおみ…」
「やられっぱなしで終わると思ったか?」
「「あ…」」
緑間のスリーがゴールを射抜いた。青峰にやられた分を帳消しにしてお釣りをつけた
「うっわ、クソゲー」
「そんなことして面白いっすか?」
「なんでこんなに言われなければならないのだよ!?」
「ほら、集中しよう。取り返すよ」
氷室が場の空気をリセットする。そして続く攻撃においても、氷室がチームを引っ張る
「させない!」
「いや、これは敦でも止められない」
紫原のブロックは完璧に見えた。しかし、まるですり抜けるかのようにそのシュートはブロックを躱した
「うおおおお!?どうなってんだあれ!?」
「『
「もー、めんどいなぁ。黒ちーん俺にもパス〜」
「…紫原君にパスを要求されたのは初めてです」
「そうだっけ〜?」
元々黒子テツヤは全国屈指の司令塔とプレーしているが、今日の相方は司令塔としては同格の実力を持つばかりか、より長い付き合いのある男である
「なっ…!どっからパス通った!?」
黒子一人でも曲芸のようなプレーになる。しかし、赤司が絡めばもはや魔法の域に到達する。ビハインドザバックで黄瀬の股の間を抜いたパス、これを黒子が『加速するパス』で既に空中にいる紫原へ。根武谷もなんとか反応したが、ブロックに跳んだこと自体が悪手と言わざるを得ない
「またダンクだ!!しかも『無冠の五将』の根武谷を吹き飛ばしたぞ!!!」
「やっぱ『キセキの世代』は違うぜ」
「ぬう…次は俺の筋肉が勝つ!!」
「暑苦しいなぁ〜。あ、黒ちん、赤ちんナイスパス〜」
『キセキの世代』達が魅せる。個人技ではなくチームプレーで
「もう…。中学の時のあれはなんだったのよ。もう涙も出てこないじゃない」
試合開始直後にして会場のボルテージはマックスに近い。しかし、この夢のような試合はまだまだ終わらない
次回、負けてられない男達
昔のような頻度では難しいかもしれませんが投稿を止めるつもりはないです
今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか
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原作初期通りの「幻の六人目」
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原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
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あえて守備にブッパしたスティール王
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