火神に憑依したっぽいのでバスケの「王様」目指す 作:Dice ROLL
『君みたいに体格良ければ多分直ぐに…』
今更気にしても、何にもならないことは分かっていても、あの時女子マネージャーとおぼしき人物からかけられた言葉が、どうしても頭の中から離れなかった。
「とりあえず体育館行くか…久しぶりのチームだ、楽しんでかなきゃな」
気づけば放課後、今日が初めての部活であり、体育館に集合するようにと言われていた。新しいチームでのバスケに胸を躍らせながら体育館に向かった…のだが
「時間になったわね。じゃあまずは、シャツを脱げ」
頭が痛くなりそうだった。そもそもマネージャーだと思っていた人が監督だったことでも驚きなのだが、その後の要求はまるで意味がわからない。しかし、すぐにその疑念は晴れることになった。
「君、瞬発力弱いね。反復横跳び50回くらいでしょ?バスケやるならもうちょい欲しいかな」
(驚いた、体を見ただけでそこまで見抜くか)
そしてとうとう火神の前まで来て足が止まった。相田リコは震えが止まらなかった。
(なんなのこれ…日本人離れとかそんなレベルじゃない…。本当に人間?)
正史の火神に比べても高かった目標とモチベーション。それに裏打ちされた健康管理やトレーニングによってそれを遥かに上回る肉体を得ていた。
身長201cm
体重108kg
これだけ体を大きくしても彼の天賦の才であるジャンプ力は一切損なわれていない。高校一年生どころか世界中を見渡しても間違いなくトップクラスの身体を、彼はすでに持っていた。
「カントク!いつまでボーっとしてんだよ」
日向が声をかけるまで、彼女は動くことができなかった。
「あぁ!ごめんごめん、えっと…」
「全員見たっしょ、火神でラスト」
「あっ…そう。…あれ?…黒子君ってこの中にいる?」
彼女が覚えたひっかかりの正体はもう一人いるはずの逸材とおぼしき肉体を見ないまま最後を迎えたことである。
(あれー?帝光出身なら見ればすぐに分かると思ったけど…)
「今日は休みみたいね。いーよ、じゃあ練習初め…」
「あの、スミマセン」
「黒子はボクです」
「きゃぁあ!?」
「うおっ!?誰?」
「いつからいたの?」
「最初からいました」
「ウソォ!?」
「まさかレギュラーじゃ…」
「いや流石にそれは…」
「試合には出てましたけど」
「だよなー…うん?」
「えぇえぇえええ!?」
「「「「しんじらんねえ!!!」」」」
(へぇ…面白いな。こんな選手は見たことない)
周りの喧騒を余所に火神は彼に何か感じるところがあるようだった。
(なんで俺はコイツのことがこんなに気になるんだ?)
その答えはもうしばらく出ない。
◆◇◆
帰り道、相田リコは考える
(どういうこと?とても強豪校でレギュラーを取れる資質じゃない。能力値が低すぎる…全てが平均以下、しかも既にほぼ限界値なんて…一体、彼に何が…)
一方、当の本人はと言うと…
「驚きました。それだけの体を持っていて、ロングシュートも入るんですね」
「おっ、見てたのか。家、この辺なのか?」
「この近くのマジバのシェイクが好きなんです」
「なるほどね、ジャンクフードはほどほどにしとけよ」
そして火神はまたシュート練習に戻った。近所にストバスのコートがあったのは彼にとってはかなり大きいことだった。そしてシュートを打ちながら黒子に語りかける
「なあ、お前は何ができるんだ?」
「何が、といいますと?」
「なんかあるんだろ?そんくらいは分かるよ」
「何もないですよ。ボク一人では」
「?」
「ボクは影だ」
「へぇ」
(まあ今後の部活でわかり合っていけばいいか)
火神は黒子の言葉を理解できたわけではなかったが、なぜか彼には信頼を寄せるべき何かがあると確信していた。
「うっし、ちょっと休憩だ。ボール触るか?」
「火神君に見せられようなものはないですよ」
「んなもん関係ねーよ。バスケ、好きなんだろ?」
「!!」
無表情な彼にしては珍しく驚いたような顔をすると、少し微笑んだように見えた。
「じゃあ、失礼します」
こうしてボールを突き始めた彼のバスケはどう見ても素人に毛が生えた程度だったが、それでも二人はそれは楽しそうにその時間を過ごした。
次回ミニゲーム
今後の黒子はどうしていくべきだと思いますか
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原作初期通りの「幻の六人目」
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原作終盤の自力で攻めれる攻撃フォルム
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あえて守備にブッパしたスティール王
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