鬼滅の刃 if episode:悟空 【焔は絶えず】 作:暁を拝む者
今回は、原作要素はかなり省略している部分もありますのでご了承ください。
「十冠十郎ー!〇〇地方の森林内にて死亡を確認!」
「空柱様が…。」
鴉の電報に悟空が目を大きく見開きながら呟くように声を漏らす。
その場にいた炭治郎、善逸、伊之助は十冠十郎と呼ばれる人物に覚えがなく首を傾げる。
そんな雰囲気の中ある人物が飛び出してくる。
扉が勢いよく開かれ、大きな音が鳴り響く。
全員がそちらに顔を向けると、そこには蟲柱の胡蝶しのぶが立っていた。
「ご、悟空さん…。鴉からの電報はお聞きになりましたか!?」
「…あぁ。空柱様が、亡くなったみてえだ。」
しのぶと悟空は互いに複雑な感情が表情にわずかに現れる。
空柱は今のかまぼこ隊の彼らに接点はなく存在を知らない人物である。
彼はかつて、花柱の胡蝶カナエと共に上弦の弐の鬼と戦った。
その戦いで、カナエは再起不能の重傷を負い、冠十郎はカナエを戦線離脱させた後、行方不明となった。
その冠十郎は時を経てついに発見されたのだ。
命尽きた状態ではあるのだが…
「悟空さん。」
しのぶは悟空の元へとかけていき、直ぐ側による。
しのぶは煉獄の兄弟たちと深く関わりを持っていた。
故に彼が十と仲良くしていたことはよく知っていた、だからその心底心配になる。
「おらはお館様のところへ行く。」
蟲柱に対してタメ口を利く。
だがそれを咎めるものはここにはいなかった。
それだけ悟空が感情的になっていることは安易に分かる。
そんな中弱々しく聞き逃してしまいそうなほどか細い声が聞こえてくる。
「ワタシモ…、ツレテッテ。」
全員が振り返る。
特に、悟空としのぶは目を丸くして驚いたような表情を見せる。
その視線の先にいたのは、フラフラと壁に寄りかかりながらも立ち上がる胡蝶カナエの姿だった。
「姉さん!?」
しのぶはすぐさま、空手の下へと飛び出し、体を支える。
悟空も目を丸くしながらもすぐさまかなえの下へと駆け出す。
かまぼこ隊は連続した急展開に唖然とするしかなく、その光景をただただ見つめていた。
「カナエ姉さん!危ないわ!早く寝室へ戻って!」
「あぁ、しのぶ様の言うとおりです。カナエ様、いまあなた様は無理をするわけには行かないでしょう?」
二人はカナエが寝室へと戻るように促すが、カナエはそれを真っ向から否定し、悟空へとしがみつく。
「ワタシ…は、ツナシさん…に、タスケ…ラレタ。ドンナ…スガタ…でも…!会わなきゃ…いけない、わ…!」
声は小さく、掠れていた。
だがそれでも、彼女は自分の言葉を力強く、悟空としのぶに伝える。
しのぶはそれでもとカナエの言葉を否定しようと身を乗り出すが、悟空はそれを遮るように前に出るとカナエの身体を抱きかかえる。
しのぶはすぐさま視線を悟空へと向け、その肩を力強く掴む。
「どうするつもりですか?悟空さん。まさか、カナエ姉さんを外へ連れて行くつもりではないですよね?」
悟空はしのぶへと振り返る。
怒りだ。
しのぶは怒りの感情を露わにして悟空に対して詰め寄っていた。
悟空はその怒りの視線から視線を逸らすことはなく、真っ直ぐに答える。
「カナエ様がそう望んでるんだ。だったらおらはその願いを叶えたい。」
「ふざけないでください!悟空さんも知っての通り、姉さんの肺はあの【鬼】のせいで凍りついて、今も尚その後遺症が蝕んでいる状態です!姉さんは絶対安静なんですよ!」
しのぶは悟空に対して怒号にも似た声を上げると悟空の肩を掴む手にさらに力を込める。
悟空はそれを引き剥がそうとはせずに、それでもしのぶに向き合って答えを続ける。
「おらは…。もし杏寿郎兄上が同じことを言っても、同じことをします。」
しのぶと悟空の視線が交錯する。
互いの目には信念が籠もっており、お互いに譲らないであろうことは想像に難くはなかった。
その膠着状態を破ったのはやはりというべきか一人の女性だった。
「ゴクウ…くん。オネガイ、ね?」
その言葉にしのぶは何かを言おうとするもそれを口にすることなく大きなため息をつく。
悟空はそれに対して「もちろん」と笑って答えた。
しのぶも諦めたようで、小さく自身の姉と悟空のことを睨むが、すぐさまお館様の屋敷へと向かっていった。
悟空もカナエを抱えた状態でしのぶの後を追う。
悟空たちがお館様の屋敷に着くとそこにはすでに今代の柱たちが集まっていた。
柱たちは視線を向けるとしのぶだけでなく極旨で一緒に来ていることに驚きこそしたものの、すぐさまその腕に抱かれているかなえの姿を見たことでほぼ全員がその理由を理解する。
ほぼ全員が…
「おい、なんでてめえがここにいるんだ。」
風柱が悟空に詰め寄りながら睨みつける。
「おらも空柱様にはすげえお世話になりました。それに、カナエ様にも頼まれたんです。」
悟空は風柱に事情を説明した。
その後いくらかの問答を繰り返した後、事情を把握して、すぐに引く。
数分後にお館様が姿を見せ、柱の皆が来ることが分かっていたことを皆に伝える。
そして、冠十郎の話を始めた。
「冠十郎はどうやら最後まで戦ってくれたみたいだよ。近くに落ちていた刀は折れていたようだ。…あの子も、カナエを守り、みんなを守ってくれた。本当に勇敢で、人のために生きた素晴らしい子だったよ。」
そうみんなの前でそんな話をした。
だが、すぐにお館様は話を続けることはなく、すぐに館の中へと戻っていった。
そしてみんなの前には棺が現れる。
棺の蓋は悲鳴嶼が開けた。
その中には、すでに白骨化した冠十郎の死体が入っていた。
骨にはいくつもの傷があり、折れてしまっているものもあった。
全員がそれに黙祷を捧げる。
「…行こう。」
悲鳴嶼の一言で全員が棺から離れる。
かつてカナエが戦った上弦の弐の鬼。
その戦闘は既にカナエから全隊士に伝えられていた。
柱2人が戦っても勝てない上弦の鬼、その事実を改めて認識させられるが、その場にいる全員が戦意をそがれることなどはなかった。
むしろその逆だろう。
「蟲柱様、花柱様。」
悟空は花屋敷へと戻る道中に呟くように話しかける。
カナエとしのぶは視線を向ける。
そして、その場にいた炎柱も同様に視線を向ける。
「おら、必ず仇を取ります。花柱様の仇も、空柱様の仇も…!」
ここまで怒りをあらわにする悟空の姿を二人はおろか家族である杏寿郎ですら初めて見た。
だがそれを否定するものはいない。
おそらくカナエを除く言葉の全員がそれをやって見せようと考えていたであろう。
彼が上弦の弐と対峙するのは果たしていつになるのか?
それはまだまだ先の話であった。
炭治郎たちが回復機能訓練を行ってから長い時が過ぎた。
そんな修業を終えた炭治郎たちには無限列車の鬼を討伐する任務が与えられた。
しかもその任務の詳細を聞くに、どうやら柱との共同作戦になっているようであった。
炭治郎と伊之助は列車を見るのが初めてなようで、興奮したり何をどうすればいいかわからずに困惑している様子だった。
善逸はその二人を引っ張っていき列車の中に叩き込む。
「うっひょー!なんだこのでっかい怪物は!!」
「怪物じゃねぇから、首を窓から出すんじゃないっての!!」
「すごい。これだけのスピードで走れるのか…。」
かまぼこ隊のメンバーは各々の感情を浮かべながら列車が走り出したことに感動を感じていた。
列車が走り始めてすぐ、炭治郎たちは列車内にいるはずの柱を探し始める。
何両か移動した後に何やら大きな声が聞こえる車両へとたどり着く。
「うまい、うまい。うまい!うまい!!」
「うんめえ~!中々にうまい弁当だなあ〜!!」
大量の弁当箱が積まれた座席を発見する。
そこから大きな声で話す(?)声が聞こえてくる。
炭治郎がその席に近づき、席に座っている人物に目を向ける。
「うまい!!」「うめえ!!」
そこに座っていたのは満面の笑みで弁当を頬張る炎柱と煉獄悟空の姿があった。
炭治郎は煉獄兄弟に話しかけるも、帰って来る返事は「うまい」ばかりで会話が成り立つような様子ではなかった。
そのため、炭治郎は煉獄兄弟がご飯を食べ終わるのを待ってから会話をすることにした。
「お久しぶりです、悟空さん。」
「おう、久しぶりだな、竈門。訓練は順調か?」
「はい!その節は本当にありがとうございます。」
炭治郎は悟空に教えてもらった内容を振り返り深々とお礼を言う。
悟空は軽く返事を返すと、視線をすぐに杏寿郎の方へと向けた。
炭治郎も炎柱へと視線を向ける。
まっすぐな瞳で情熱の香りが感じられた。
「き、杏寿郎さん。【ヒノカミ神楽】という言葉に聞き覚えはありませんか?」
炭治郎へ煉獄兄弟、特に杏寿郎に対して質問を投げかける。
が、杏寿郎も悟空もそのヒノカミ神楽という言葉には聞き覚えがなく、ヒノ呼吸についても知り得るものはなかった。
炭治郎は期待していた解答を得ることができずに肩を落とす。
「俺の承子になれば!鍛えてやるぞ!!」
「ど、どこを見ているんですか!?」
いきなりの発言と、自分を見ずに話していることに驚きを隠せずにツッコミを入れる。
だが杏寿郎は冗談を言っているようではなく、本気で勧誘をしているようだった。
杏寿郎は炭治郎に刀の色を聞く。
鬼殺隊が持つ日輪刀は色が変わる。
その色によって自身が何の呼吸に適性を持っているのかがわかるのだが…
「ふむ、黒か!それは厳しいな!」
杏寿郎ははっきりとそう伝える。
「黒?そういえば兄上、黒っていったい何の呼吸の適性なんですか?」
悟空もそれが気になったようで杏寿郎に質問をする。
「黒は何の呼吸を極めればいいのかわからないんだ!ゆえに、柱や甲などに昇進するものがほとんどおらず、昇進の難しい色だと言われている!!」
黒の日輪刀は、適正とするべき呼吸がわからない。
それ故に、強くなれない隊士が多いとのことだった。
炭治郎はその事実に若干気を落とすもそんな事を気にせずに大きな声が響いてくる。
「俺の承子になれ!そうすれば強くなれるぞ!!」
杏寿郎は先ほどと同じ言葉を放つ。
炭治郎はその圧倒的な明るさに、ついつい表情が和らぐ。
そんな炭治郎をよそに、杏寿郎と悟空はすぐさま同じ方向へと視線を向ける。
かまぼこ隊のメンバーもそれに続いて視線を向けると、その先には大きな鬼の姿があった。
巨大な鬼が大きな口を開いて人に襲いかかろうと動き始めていた。
炭治郎たちも目を見開き、刀を取ろうとするがそれを杏寿郎が出で制する。
悟空も刀を握りながら炭治郎たちに視線を向けて微笑みかける。
鬼が杏寿郎たちに襲いかかろうと突撃しだした瞬間に杏寿郎も鬼に飛びかかる。
【炎の呼吸 壱ノ型:不知火】
すれ違いざまに杏寿郎は鬼の首を切り落とす。
一撃でいとも容易くその鬼は意識を手放すことになった。
しかし、その攻撃を放った後隙を狙って二匹目の鬼が杏寿郎に向かって襲いかかる。
杏寿郎は鬼を睨みつけるが動こうとはしなかった。
次の瞬間杏寿郎を一つの影が追い越す。
悟空だった。
【炎の呼吸 弍ノ型:昇り炎天】
鋭い一撃が鬼の首を切り落とし、攻撃を受けた鬼は力なく崩れ去っていく。
煉獄兄弟が2匹の鬼を倒すまでにかかった時間はまさしく刹那と呼ぶにふさわしい時間だった。
そのあまりにも一瞬だが、綺麗な鬼の討伐にかまぼこ隊の3人は見惚れることしかできなかった。
「「「兄貴ー!ぜひとも継ぐ子にしてくだせえ!!!」」」
3人は杏寿郎に詰め寄り、自分たちからぜひとも継ぐ子にしてほしいと言いよる。
杏寿郎はもちろんだとそれを断ることはなく、悟空もそれを笑いながら見つめていた。
やがて時間が立つ。
その場にいる鬼殺隊たちはどの程度の時間が経っているのか認識すらできないでいた。
なぜならそれは…
【全員が深い眠りに身を落としていたのだ。】
杏寿郎、悟空、炭治郎、善逸、伊之助の全員は人が近くに来ても全く気づく素振りを見せることすらなかった。
近くに寄ってきた少年少女は、彼らの腕に紐を巻きつけ始める。
そしてその逆端を自分たちに結びつける。
そして、少年少女たちは、目の前の男たちとともに意識を闇の中へと運ぶのであった。
彼ら、彼女らは彼らの精神世界の中に入り込む。
あたりを見回すと、それは日常の風景のような世界が広がっていた。
炭治郎は雪景色の中で目を覚ます。
なぜか自分が先ほどまで何かをしていたはずなのに、その何かが不透明になっていた。
だがこの状況には確かな違和感を感じ取る。
その答えを模索しているうちに彼の視界には信じられないものが映り込んでくる。
それは、妹と弟の姿であった。
見間違えるはずもない。
正真正銘彼の妹と弟の姿がそこにはあった。
炭治郎はその衝撃に、すべての思考が消し飛ぶ。
目を見開き、手にしていた刀を落とす。
フラフラと歩き出し、徐々にその速度を上げていく。
そしてその2人に飛びつくように抱きしめる。
炭治郎はその温もりが嘘でないことがわかると、大粒の涙を流しながら二人のことを力いっぱい抱きしめるのであった。
すでに、炭治郎の記憶は兄弟も姉妹もいる頃のものにまで戻ってしまっていることを認識するものはこの場にはいなかった。
善逸は禰豆子と共にデートをする夢を、伊之助は子分の三人とともに洞窟の探索をする夢を見ていた。
煉 獄兄弟はそれぞれ内容の違う夢を見ていた。
杏寿郎は柱となった日の夢を、悟空はある日の記憶ではなく全く新しい出来事を夢に見ていた。
「あり?ここはどこだっけか?」
悟空は辺りを見回すも、今の状況を整理できずにいる。
先ほどまで何をしていたのか全く思い出せない。
そんな事を考えていると背後から声をかけられる。
その声に反応して振り返ると、そこには十の姿があった。
「よぉ。そんなところで突っ立ってどうした?飯食いに行くんだろ?早く行こう。」
そう言いながら悟空の肩を軽く叩く。
悟空はまるで幽霊でも見るかのような目を十に向ける。
だが、肝心の相手はそんな悟空のことにむしろ疑念を抱きながらも「早く行くぞ」と簡単に声をかけて先に歩いていった。
悟空もその後に続くと、十はどんどん先へと進んでいく。
やがて彼が立ち止まると、そこは胡蝶の屋敷であった。
「胡蝶の屋敷でこうやって食事会をするのも何回目だろうな?」
そんな会話をしながら、十は屋敷の中へと上がる。
悟空もその後に続き、屋敷の中へと入ると出迎えてくれたのは胡蝶家の3人だった。
カナエとしのぶ、そしてカナヲの3人が2人を広間へと連れて行く。
カナヲはカナエとしのぶの後ろに隠れながらも悟空に「いらっしゃい」と声をかけてくれた。
それには悟空も思わずニッコリとして言葉を返す。
そして食事場へと着くと、そこには杏寿郎と千寿郎が先に着いていた。
「お、ようやく着たか!悟空、十。」
「兄上!ささ、こちらにお座りください。」
2人に招かれて、悟空と十も席につき、その後に胡蝶姉妹も食卓へと付く。
「いただきます。」
全員が、食事のあいさつをすると早速食事に手を伸ばす。
煮物のじゃがいもを箸でつかみ、口へと運ぶ。
やけどしそうなほど熱々のじゃがいもを冷ましながらも、ゆっくりと噛み締める。
じゃがいも本来の甘みと、煮物のしょっぱさが口に広がり幸せが全身を包み込むかのような感覚を味わう。
胡蝶の料理はとても美味かった。
それをわかっていた悟空はその旨味をしっかりと味わいながらも次々と料理に手を伸ばす。
その食べっぷりを周りは、にこやかに眺めていた。
「悟空さん、おいしい?」
カナヲが悟空の食べっぷりを見ながら問いかける。
悟空は食べる手を一瞬止める。
「あぁ!すっごくおいしいぞ!」
そう端的に答えると、再びすごい速さでご飯を食べ始めた。
「実は、今回はカナヲも作るのを手伝ってくれたのよ。」
「え?そうなんか?」
カナエの説明に悟空は目を丸くして問いかける。
するとカナヲは少し恥ずかしがりながら、小さく頷いた。
悟空は、カナヲの頭を撫でながら
「そっか。すげぇなカナヲ。メッチャクチャおいしいぞ!」
そう言いながら、どんどん食を進めていった。
そんな幸せの時間を過ごしている彼らは、すでに本来の目的など忘れ去っていた。
そんな中、彼らと紐で繋がった少年少女がついに動き始める。
杏寿郎を見つけた少女は、彼に見つからないように離れていく。
百数mくらい離れた頃だろうか?
少女は、触れられるが認識できない壁のようなものを見つける。
そして、その壁を手に持っていたアイスピックで突き刺し、こじ開ける。
するとそこには炎が燃え盛る、不思議な空間が広がっていた。
その空間は、無意識領域と呼ばれる場所であり、少女たちはその空間内にある精神の核を破壊するためにやっていたのだ。
そんな燃えたぎる荒野を歩いていると、赤く丸い球体を見つけ出す。
「あった!…赤い核は、初めて見た。」
そうつぶやきながら、手に持つアイスピックを構える。
そして、目の前の球体に向かって突き刺そうと振りかぶった。
次の瞬間、杏寿郎の寝ているはずの体が動き出し、少女の首を片腕で掴みかかり、持ち上げる。
本来血鬼術で眠りに誘われた人間が動けるはずなどはなかった。
だが、この人間は動いたのだ。
(…な、なんて人間!?こんな人間ありてない、なんて生への執念…っ!!)
現実世界で起きた影響はもちろん精神世界でも反映される。
杏寿郎は凄まじいまでの精神力で自らその危機を防ぐ。
他の子どもたちも術にかかった者たちの精神を破壊しようと動き出していた。
が、恐ろしい人間の深層心理に追い回されて破壊できないものが大勢いた。
それは悟空も同じだった。
悟空の無意識に入り込んだ少年は、月明かりのみが頼りな暗い世界を歩いていた。
「無意識の世界が2重になっている人なんて初めてだ。一枚目を切り捨てたときは、太陽のような世界だったけど、もう一枚破ったら今度は夜の世界?よく分からない無意識だ。」
少年は不信感を感じながら、辺りを散策する。
そんなときであった。
「………ォォ…ォ…。」
「?なんかの声?」
なにか小さな声のようなものが聞こえてきた。
少年は疑問に思いながらも、自分の願いをかなえるために再び散策を始める。
だが、散策を続けるほどその声ははっきりとしていき、それが声ではなく咆哮と呼ぶほうがふさわしいものであることがだんだんと理解できてくる。
少年は冷や汗を描き始める。
一体何がこの世界にいるのか、不安でたまらなくなってくる。
そして、ついに彼は白く光る球体を見つけた。
だが、それと同時に見つけたそれに恐怖を感じざるを得なかった。
「グギャオオォォォォォォオオオ!!!」
人間などよりもはるかに大きな大猿の化け物が激しい怒号を響かせながら、こちらを睨みつけていた。
少年はその現実離れした光景に目を見開くことしかできなかった。
腰を抜かしてへたり込む。
巨大な大猿の怪物は、地鳴りのような足音を響かせながら少年に向かってくる。
少年はもはや行動を起こす余裕すらない。
恐怖に目を見開き、すでに自分の運命を悟る。
大猿は少年の身体を片手で簡単に持ち上げると、少年の身体を覆い隠すには十分すぎるその大きな手のひらで少年を包み込み…
【握りつぶした】
改めてお久しぶりです。
劇場版鬼滅の刃:無限城編の公開が始まりましたね。
私は早速見に行きましたが、冨岡さんが非常にかっこよく、魅入ってしまいました。
鬼滅の刃が好きな人にはぜひともおすすめいたします。
モチベも復活したため、あと何話かは頑張りたいところです。
次回もよろしくお願いします。