眼前で笑む輩は敵だ。ネロは理解する。
そう判断した事に然したる疑問を挟まなかったのは何故と問われれば”直感だ”、と答える。
但しその直感はこの場に於いて間違っていないと断言できる程信頼出来た。其れは
『ハアァァァァッ‼』
「ッ!」
奥の手である【
敵は不意を突いてきたのだ、戸惑っていたら此方が更に窮地に立たされる。腹部の回復も含めてネロは最適解を選び出す。
魔人化。悪魔化と呼んでもいいそれは読んで字の如く、通常の人間体から異形である悪魔体へと変身するモノ。ネロの魔人化はルシファーやダンテ・バージルと異なり全体的に人間に近い
強力な一撃を放てる魔力の腕が眼前で嗤うルシファーへ振るわれる。彼は握っていた剣から手を放し大きく後退。ネロは持ち手がいなくなった魔力の剣を自身で引き抜き、地面へと叩き付ける。ガラスが割れる如く消え去った剣に視線を送るが、意識は依然ルシファーへと向けられていた。
『テメェ、何者だ』
殺気に値する怒気を含ませネロは問い掛ける。事ここに至って彼は眼前のルシファーを偽物だと判断した。少なくとも理由なく襲い掛かる輩ではない事位、付き合いが短い彼でも理解している。
ネロの問いにルシファーの姿をした偽物は答える。
「―― 何だよ、ネロ坊。この顔をもう忘れたのか?」
ネロが覚えている口調で、知っている声で、見た事のある顔で、偽物は喋りかける。
沸々と怒りの感情が芽生えたが、至って冷静に彼は言う。
『気色悪い芝居は止めろ。其れともその薄汚い面の皮を剥いで、醜悪な面を晒してほしいのか』
冷静に告げているつもりのネロだが言葉の中に抑えきれない感情が発露する。共に戦った戦友であり、恩人の一人でもある彼の姿で現れたのだ。気持ちを抑えろという方が無理な話だろう。
ネロの態度に偽物は溜息をつきながらオールバックの右前髪だけを下ろし、先程までの雰囲気を取り払う。姿は一緒だが今は別人に見える男――サタンが話し出す。
「やはり、私如きが
ネロが騙されない事を理解したのか、サタンは親し気な口調から丁寧な言葉遣いへと変化する。ルシファーの姿で言われる言葉に身の毛がよだつネロ。
『ふざけた野郎だ。俺はその姿を止めろって言ったんだよ』
「それは無理な相談です。何せこの身体は正真正銘、この私サタンのモノですから」
「......何だと?」
ネロは魔人化を解除し、サタンと名乗る男に鋭い視線を送る。
サタンは自身の手を空に翳しながら見惚れる様に話す。
「美しいでしょう? 永き歴史に刻まれた魔剣士スパーダの実子。世界の救世主。その御身を我が手中に収める事に漸く成功したのです」
幼子が親に玩具を貰った時の様な無邪気さで喜ぶ。しかし語っている内容はネロにとって、到底信じられるモノではなかった。彼は疑わし気に問う。
「つまり何か。お前はルシファーを
「正確には、身体を譲り受けたと言えましょうか」
「ハッ! 物は言いようだな」
この状況をどうするか、ネロは頭を働かせる。
「お前は
「結果を見ればそうなりますね」
「―― なら、俺がやるべき事は決まったな」
現状を鑑みて、眼前の敵を倒す事に迷う必要はない。
ネロは背負っている愛剣レッドクイーンを抜き放ち地面へと突き立てる。
ドゥルン!ドゥルン!
剣のグリップを捻り噴射口から火を噴かせる。
正常に稼働する相棒へ視線を送りながらサタンを睨む。
「さっさと始めようぜ。これ以上、キリエを心配させる訳にもいかねぇしな」
ルシファーから身体を奪ったというが、ネロは具体的な解決方法が思いつかなかった。しかし、騒動の元凶が何なのか理解できているならやる事は変わらない。
「ふむ、状況判断能力が高いと言うべきか。それ程深く考える思考を持ち合わせない脳筋なのか。まあ、貴方がその気になってくれた事に今は感謝します」
ネロの切り替えの速さにサタンはミラージュエッジを生成しながら思案するが、然したる興味もなかったのか軽く流す。今はそんな事より、当初の目論見通りの展開に笑みを浮かべる。
「この身体に引っ張られているのか私自身も戦う事に異論がなくなっている様ですね。以前の私であれば切って捨てていた感情ですが、今は実力を試したくてウズウズしていますよ」
「ハッ! 人様の身体を奪っておきながら中々言うじゃねぇか」
言いたい事を告げた両者は無言で剣を構える。
先に仕掛けたのはネロだった。
「ハァッ!」
地を滑る様に移動しながらの
左手一本で自在に剣を振るい急所となる頭部や心臓、行動に必要な腕や足、人体で狙える箇所を満遍なく狙っていく。
大剣と思えない速度で繰り出される攻撃を、サタンは難なく捌いていく。剣で弾き、薄皮一枚で回避する。剣だけじゃ埒が明かない判断し、懐から拳銃ブルーローズを取り出し近距離に位置するサタンに弾丸をぶち込む。
「喰らっとけッ!」
放たれた弾丸の数は装填数最大の六発。構造上、引き金を三度引けば全弾撃てる。頭部に一回、胴体に二回。狙いは上々、剣戟の合間を縫ってそれは放たれた。
「遠慮しますよッ!」
サタンは剣を前方へ投げ、魔力剣に内包した魔力を爆破させる。衝撃で弾丸を防ぎ自身の身体も爆風を利用して後退。煙でネロの視界を塞ぎつつ生成した幻影剣を数本射出。それと同時にネロへ
「ふぅ、
肉を貫いた感触はなく、硬質なモノに幻影剣と
魔人化の際に発現させた
理解していても実践で学んだ事に価値はあると判断するサタン。
「―― 今の俺に、そんなに近づいて大丈夫か?」
「ッ⁈」
ネロの呟きと同時に、サタンに圧迫感が発生する。彼が防御を止めた
「あ、あ......あぁ......」
「苦しいか? 不意打ちでやられた分はこれで返せたか」
「いけね、あの身体自体はルシファーのモンだったか......」
やってしまった後に思い出すが、”まぁ大丈夫だろう”と開き直る。
事実、サタンは吹き飛ばれた場所からゆっくりと戻ってきた。無傷ではないが、全く効いている様子がない姿にネロは溜息を吐く。
「そりゃあ、アイツの身体なんだから耐久性は高いわなぁ......」
「ですね。これ程の攻撃を受ければ何かしらの損傷が出る筈ですが、全く痛くないですよ」
「......恨むぞ、こんな面倒くさい事に巻き込みやがって」
悪態をつきながらネロはレッドクイーンを構え直す。
そんな彼の姿を見てサタンは一つ提案する。
「此処は一つ、互いに力を出し切るというのはどうでしょうか?」
「あ?」
質問の意図が読めずネロは疑問を呈する。
サタンは申し訳なさそうに言葉を選ぶ。
「いえ、私も次の力を使いたいのですが、今のままだと簡単に決着がついてしまいそうで......」
言葉を選んだが、挑発しないとは言っていない。
明らかな煽りにネロは苛立ちを隠さず応える。
「まるでアンタが勝つみたいな言い草だな?」
「えぇ、まぁ、負けはしませんよ」
「......いいぜ、その挑発に乗ってやる」
ネロの周囲を魔力が渦巻く。そして先程解いた魔人化を再度発動。
『アンタも早く実力を見せてみろよ』
「そうですね。では私も、一段階上げさせてもらいます」
今度はサタンを中心に魔力が立ち昇る。しかしネロの魔人化と違いサタンの身体に異形の変化は見受けられなかった。代わりに帯電しているかのように全身に電撃を纏わせていた。
「あの御方はこの姿に名を付けませんでしたが敢えて付けるなら【雷化】とでも呼びましょうか。安直ですが、そちらの方が分かり易いでしょう?」
互いに強力な力を引き出せる形態へ移行。第二ラウンド開始はもう間もなくだ。
投稿が遅くなるなら出来上がった所までを順次出していけばいい、とアホ丸出しで投稿
すいません許して下さい!何でもはしないので!
【雷化】の
『HUNTER×HUNTER』キルア【
等を連想してもらえれば良いかと思います。あくまで
多分、一番連想しやすいのはDMC4で登場したブリッツかな?
技の段階的な位置を国民的漫画の
・ 雷化 → 界王拳
・ 魔人化 → 超サイヤ人
・ 真魔人化 → 超サイヤ人2
これが一番分かり易いと思います