衝撃波で吹っ飛ばされた双子が無事にハウスまで戻ってくると、彼ら諸共に吹き飛ばされた壁や室内の装飾品等は何事もなかったかのように健在であった。この場所はルシファーの魔力によって形成された空間であり、彼の意のままに作り替える事が可能である為、多少の損傷など在って無いようなものだった。
しかしそんな事など如何でもいいとばかりダンテは【魔剣ダンテ】を、バージルは【
「素敵な
「まさか、受け取り拒否などと言うまいな?
額に青筋を立てた双子はそう宣言して突撃の構えをみせる。
その姿に満足しながらルシファーは手に直接【
―― やはり
「纏めてかかって来い! 久しぶりに家族水入らずの
彼の余裕な発言に双子が即座に反応する。
「ほざけ! 俺一人でも貴様に勝つのは十分だ!」
「そうだぜ。優秀な弟の俺に
「貴様から切り殺されたいのか、
ルシファーと対峙していたと思いきや秒で
そんな彼等を懐かし気に感じながらも戦闘欲が溢れたルシファーは先制とばかり、自身の周囲に幻影剣を展開し敵に向けて一斉に発射する技【急襲幻影剣】をお見舞いする。
幻影剣が二人に殺到するが、彼等はそれらを
「何だこりゃあ? 俺等にお遊戯でも踊ってもらいたいのか、兄貴よ?」
「欠伸がでる遅さだな。年寄りの様に扱ってやってもいいんだぞ?」
まるで先程の口喧嘩がウソの様になくなり代わりにルシファーをコケにする連携をみせる始末。これには最愛のお兄ちゃんも青筋を浮かべながら
「ハッ! なら、兄より優れた弟など存在しない事を貴様等に教えてやろう!」
敗北フラグ染みた発言をしながら二人に向かって得意の【
―― それが勝負の
◇
「―― 実は、人間の
「えっ? 何? 事後報告なの? しかも唐突に?」
「子供も、もうすぐ生まれる。双子だそうだ」
「ねえ待って、話が急なんだけど?」
「もう名前もつけた。男の子の双子だそうだ。兄にバージル、弟にダンテ。どうだ?」
「いや、だから......」
「住まいもレッドグレイブにあるこじんまりとした屋敷を購入済みだ」
「―― 少し、待てッて言ッてんだろうがよォッ⁉」
そう言って、俺は辺りに群がっていた悪魔達を薙ぎ払った。
てか、
「なあ、
「ん? 何だ?」
俺の疑問に小首を傾げる
可愛くねぇから首傾げるな。気持ちわりぃ......じゃなくて。
「普通さぁ......そういう空気ってあるじゃん?」
「空気? はて? そこら中にあるな?」
イラついた俺は正常だよね? えっ? 何? 分かんないの?
「寒いボケかましてんじゃねーよ、クソ親父。雰囲気があるだろって言ってんだよ」
「......あぁ、そういう事か!」
やっと分かったらしい。最初に気付けよ、
「―― ご祝儀は、多めに入れといてくれよ?」
訂正、解らなかったらしい。殺そっかな、
現在、俺達は魔界の廃れた荒野地帯といった場所で悪魔狩りを行っている真っ最中だった。俺はミラージュエッジ、親父はリベリオンを手にして何時もの様に悪魔を軽快に狩る。
俺とスパーダが出会って、既に数百年以上の時が流れた。出会った頃に行った、修行という名のスパルタ地獄は凡そ100年の時間を要し、俺を上級悪魔など目じゃない位に強くした(俺は望んでなかった)。
定期的に行われるこの悪魔狩りも俺の腕が鈍っていないか確かめる意味合いと、親父との交流が目的の
流石に生存報告位はしなければと思った俺達は、10年に一回位は顔を見せ合おうと取り決めた。だが、会うだけじゃ少し面白みがないので、腕試しも兼て悪魔狩りも行う事にした。
実際、悪くないものだと思った。永い時を過ごす
―― 人間は、生きる為に働く。悪魔は、働かなくても生きていける
―― 人間は、食べないと生きていけない。悪魔は、物を食べずとも生存できる
―― 人間は、眠らないと身体を壊して死んでしまう。悪魔は、寝ずとも平気だ
人間にとって必要な行いも悪魔にとっては意味を成さない事の方が多い。時が無限にあっても、目的が無ければ何の意味も無いのだ。
その点、親父と結んだ決まり事は、一種の生きる糧になっていた。腕が鈍らないよう常に修業を怠らなかったし、再会した時に魔界最強クラスにどれ程近づけているか確かめられるいい機会でもあった。俺が勝って親父に膝を突かせた時は、素直に喜んだもんだ。
―― こうして永い時を過ごし、照れくさいが、絆なんてモノを育んでいった訳なのだが......
「コレは酷い」
「何故だ‼ パパーダのどこが悪かったというんだ⁉」
「はっ倒すぞ、この野郎。まずはその口を閉じてろ」
バカを視界に収めながら、重い溜息を吐いていた。
俺はめんどくさかったが一つづつ片付けていく事にした。
「まず一つ目は悪魔を狩ってる傍らで、そんな目出度い報告すな」
「だが、そういった事は早めに報告するものだろ?」
「限度があるわ! せめて狩り終わってから言いやがれ!」
「二つ目に、
「ん? どういう事だ?」
「いや、前会った時は、もっとこう威厳というか、厳格というか......」
俺の言葉に少しの間ばかり考え込む。
そしてあぁと合点が言った様に口を開く。
「明るい
「......さいですか」
まぁ、悪い事じゃないから良いか......でもなぁ。
「もうちょっと、威厳があった方が良いと思うぞ?」
「そうか? 親しめる父親になりたいのだが」
「いや、悪くないんだけどさぁ......ちょっとイメージが違うかな?」
「ん~~~まあ、お前が言うならもう少しシャキッとするか?」
「......そうしてくれ」
スマン。まだ見ぬ、
こんな
俺の心中など知らぬとばかりに、親父は話を続ける。
「俺が人間の女性と愛し合うなど、考えもしなかっただろう?」
「いや、親父が人間を好きなのは知ってたし。そん中の誰かと何時かは愛し合うだろうなー位には考えてたわ(原作知識込みで)」
「――――――」
「何でそこで意外そうな
スパーダが俺に呆けた顔を向けていたので苛立ち交じりに返答する。
するとハッと我に返る様に表情を戻す。
「お前が、そんな事を思っていたなんて俺は、気付かなかった」
「言ったことないからな、
「―― そうだな。何百年と顔を会わせていたのに、気づきもしなかった……」
そう言って彼は、表情を曇らせた。
俺は彼が何を言いたのか何となく分かった。
「―― 何も、言わなくていいぞ」
そう言った感情を込めて言葉を続けた。
「親父は不器用ながら俺に色々やってくれた。望んでいなかったのに、俺を息子と呼んでくれた。俺に力をくれた。これだけしてもらって、感謝してないなんて口が裂けても言わねーよ」
「ルシファー......」
親父が俺の名前を言っていたが、照れくさくて顔が見れなかった。
俺の想いが伝わっていると信じて言葉を続けた。
「―― だから、ありがとう。父さん。母さんと出会ってくれて ――」
俺の言葉に親父は無言で背を向けた。
本人じゃないから、この時どういった心境だったのか、俺には解らない。
ただ【
そう言って涙をみせた、
―― この出会いを最後に