瀬笈葉に憧れた少年が、運命を覆す為に奮闘するお話   作:雨宮祷

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弐話

 

 

 

 ――目が覚めると、そこは知らない天井でした。

 

 

 

 あれ、私、どうしたんだっけ?

 あ、あれだ。鬼を斬って気持ち悪くて倒れたんだ。ということは、ここは藤の家か蝶屋敷のどちらかだろう。

 迷惑かけて申し訳ないな。

 

 

「よっ、と」

 

 

 ベッドに手をつき起き上がる。

 

 探索といきますか。扉の取っ手に手をかけて、引く。あれ、なんか軽い?

 

 

「あ、起きたんですね」

 

「うわぁっ!」

 

 

 やばッ、体勢崩した!

 

 

「あら、大丈夫ですか?」

 

 

 手を引っ張って、引き戻してくれた。

 うわ、めっちゃいい匂いする!

 

 

「あ、ちょっとびっくりしただけで……、大丈夫です」

 

「なら、よかったわ」

 

 

 そう言って、手を放す。なんだか名残惜しい。

 とりあえず、詳しく話とかを聞かないとな。

 

 そう思って、顔を見ると、胡蝶カナエだった。

 

 

「んぐっ?! ぐッ! ゴホッゴホッ!」

 

「ちょっ、ちょっと?! 本当に大丈夫なの?!」

 

 

 唾が気道に入った……ッ!

 

 

「だ、大丈夫です……! 少し、むせただけ……ッ!」

 

「そ、そう? 大丈夫ならいいんだけど……」

 

 

 カナエさんが生きてる! ってことは、今はまだ原作より前ってことか! だとしたら、私も、出来るかもしれない。悲しく、死んでいったみんなを、救えるかもしれない。

 

 

「あ、あの!」

 

「どうしたの?」

 

 

 そのためには、強くならなきゃいけない。修業が厳しかろうが何だろうが、やりきる。好きな人たちが死んでいくのは耐えられない。

 

 

「私に、刀を教えてください。強く、なりたいんです」

 

「……」

 

 

 頭を下げる。それ以外に、今できることは無い。

 

 基礎だけでもつけないとどうしようもない。そして、その基礎を身につけるためには誰かに師事するほかないのだ。それなら、すでにそうであるかは分からないが、柱であるカナエさんに鍛えてもらうのが一番の近道だ。

 

 

「……理由を教えてもらってもいいかしら」

 

「……ええ」

 

 

 一泊置いて、呼吸を整える。

 

 

「私は、鬼に家族を殺されたわけではありません。家族は病死したので、独り身であることは変わりませんが。ですから、鬼に対して、復讐心などを持ち合わせているかと言われれば、それは間違いなく持っていません」

 

 

 家族のことなどは完全な嘘なので、少し申し訳ないが、カナエさんの目を見つめ、真剣な面持ちで話す。

 

 

「それなら、なぜ」

 

「理由は一つ。――守りたいものがあるからです」

 

 

 これは本心だ。

 原作知識があるから、彼女たちが、どんな未来を辿るのか、すべて把握している。けれど、原作知識だ、なんて言えるはずもないから、そんなものは理由になりはしない。

 

 それでも、あまり嘘は吐きたくない。家族の事とか、自分の出身地とか、分からないことは誤魔化すしかないから仕方ないとしても、出来る限り嘘は言いたくない。

 

 

「そう……。いいわ、あなたを見てあげる」

 

「ッ! ありがとうございます!」

 

「まだ、名乗っていなかったわね。……改めまして、私は胡蝶カナエ。鬼殺隊の「柱」と呼ばれる者よ」

 

「柱……」

 

「ええ、鬼殺隊にはいくつもの階級があるの。柱はそれの最高位に位置するわ。私は育手ではないから、あんまり教えるのは上手くないと思うけど、それでも大丈夫?」

 

「いえ、胡蝶さんにお願いしたいです。私は、強くなりたい。それなら、強い人を間近で見ていられる機会は絶対に経験になるはずですから」

 

「そう、分かったわ。では、今日は休みなさい。訓練は明日から始めます」

 

「わかりました」

 

「ああ、そういえば、まだ名前を聞いていませんでしたね。教えてくださいます?」

 

 

 言われてみれば、こちらもまだ名乗っていなかった。

 私は、前世の記憶はあるくせに、靄がかかったように一部が思い出せない。自分の名前は、その一部に含まれていた。

 

 なんと名乗ろうか。やはり、私が一番愛してやまない葉ーちゃんの名前を貰おう。

 

 

「私は、瀬笈双葉と言います。これから、よろしくお願いします」

 

 

 私、瀬笈双葉の新しい人生が始まった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、今日からここに住むことになった、瀬笈双葉君よ。仲良くしてあげて」

 

「瀬笈双葉です。よろしくお願いします」

 

 

 頭を下げ、上げる。

 そこには計5名の少女が立っている。

 

 

「神崎アオイです。よろしくお願いします」

 

「高田なほです!」

「寺内きよです!」

「中原すみです!」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

「……」

 

 

 そうだろうな、とは思ったけど、カナヲはまだ喋らないみたい。

 そう思っているとアオイさんが口を開いた。

 

 

「こっちは栗花落カナヲです。もともとこんな感じで、ほとんど喋らないのであまり気になさらなくても大丈夫ですよ」

 

 

 顔に出ていたのだろうか。こちらの内心を見抜くように、タイミング良くカナヲの紹介をしてくれた。アオイさんすげぇ。

 

 

「今は、街に薬の材料を買いに行っているから居ないけど、もう一人、私の妹のしのぶが居るのよ。しのぶはとっても可愛いのよ。仲良くしてね」

 

 

 知ってます。可愛いですよね、しのぶさん。

 

 

「もう一人いるんですか……。居ない間に勝手に決めて大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫よ。それに、あなたはここに居たいのでしょう?」

 

「まあ、それもそうですね」

 

 

 今日からここに住む……。女の子だらけの所に私一人だけ男かぁ……。嫉妬の嵐だろうなぁ……。やだなぁ……。はぁ……。

 

 

「じゃあ、双葉君は部屋に案内するからついてきて。アオイたちは業務の方に戻っていいわ。急に集めてごめんなさいね」

 

「分かりました」

 

「謝る必要はありませんよ。私たちも知らされておいた方が良いですから。では、失礼します」

 

 

 アオイのその言葉で5人は戻っていき、私はカナエさんについていく。

 

 

「ここを使っていいわ。空き部屋で、たまに掃除をするだけの部屋だったから」

 

「分かりました」

 

「疲れてと思うから、今日はしっかりと休みなさい。夕飯の時はまた呼びに来るわ」

 

 

 そう言って微笑み、部屋の外に出ようとする。それを引き留める。

 

 

「あの、胡蝶さん」

 

「何かしら?」

 

「えっと、いろいろと急で、何が何だかよくわかってないんですけど。あの、ありがとうございます」

 

 

 本当に、色々話の展開が早すぎて処理が追い付いていないが、この一言だけは絶対に言わなければならないと思った。

 

 

「ええ、どういたしまして。これから、よろしくね?」

 

「はい!」

 

 

 これから先に待ち受ける、悲しい未来を変えるために。

 私は、強くならなければならない――。

 

 

 

 




やはり、なんか展開早い……?

東方自然癒、また、瀬笈葉を知ってますか?

  • 知ってる。原作プレイしたし瀬笈葉大好き
  • 知ってる。名前出されたら顔が思い浮かぶ
  • 名前は聞いたことある。え、顔……?
  • んー……?どっかで聞いたことある気が……
  • 知らん
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