瀬笈葉に憧れた少年が、運命を覆す為に奮闘するお話   作:雨宮祷

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伍話

 私は、山の中を駆け巡り鬼を狩っていた。手鬼は早く見つけたいが、焦りは禁物だ。

 

 

「うわああぁぁぁっ!!」

 

 

 ほかの参加者であろう悲鳴を聞き、声のする方へ足を急がせる。

 

 ――見えた。

 

 

「葉の呼吸 参ノ型 葉閃光穿――」

 

 

 今にも食い掛かろうとしていた鬼の首を刎ねる。

 

 

「大丈夫か」

 

「あ、ありがとう!」

 

「恐怖に負けるな。育ての下で十分に鍛錬しただろう。しっかりと呼吸が使えればそうそう負けることはない。気張れよ」

 

「わ、分かった! ほんとにありがとう」

 

 

 私の言葉で、呼吸を整え始める。これなら大丈夫だろう。

 出来るだけ、死人は出したくない。

 

 私に、全てが救えるとは思っていないが、出来る限りその手は伸ばしたいものだ。

 

 その為に、出来るだけ多くの鬼を狩る。鬼と対峙しないことは危険だが、死ぬよりマシなはずだ。

 私は、助けた人に背を向け、もう一度山の中を駆け始めた。

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

 あれから、三日が経過した。

 未だに、手鬼は見つけられていない。

 

 どうやら、相当分かりづらい所にいるようで、未だに情報が入ってこない。

 

 

 今日も鬼を狩りつつ、情報を待っていた時だった。

 

 

『見つけたぞ』

 

「ッ! 本当かッ! どこだ!」

 

『ここから北、一時の方向だ。狐の面をつけた少女が戦闘している。急いだ方が良い』

 

「情報サンキューッ!」

 

 

 木に話しかけられ、重要な情報を貰う。

 私は、この山に入ってから、大きな手を何本もはやした、奇怪な鬼が居たら情報を伝えてくれるように頼んでいたのだ。

 

 

「しかし、マズいな。狐の面は鱗滝一門である証拠……。確実に真菰だろうな……。急がねば」

 

 

 やはり、原作を辿るのだろうか。真菰は、手鬼に出会ってしまった。もし、このまま何もしなければ、本当に死んでしまうのだろう。

 だが、それをさせないために私が居て、鍛錬を積んだのだ。

 

 

「大きな怪我がなければいいが……。間に合ってくれよ……ッ!」

 

 

 出来る限りの速度で駆け抜ける。

 

 時間にして、おそらく一分にも満たない。けれど、その時間が数時間にも感じられた。

 こういうものってあるものなんだなと、場違いかもしれないがそう感じた。

 

 

「あっ、あああアァァぁああァっっ!!」

 

「ッ! 真菰っ!!」

 

 

 そうして、目に入ったのは、足を手鬼に取られ、逆さ吊りになっている真菰の姿だった。

 

 

「葉の呼吸 参ノ型 葉閃光穿――ッ!!」

 

 

 大きく踏み込み、真菰を掴んでいる腕を切り落とす。

 

 

「ついでだ! 葉の呼吸 参ノ型 葉閃光穿――!」

 

 

 進行方向を変え、手鬼の胴に向かって斬撃を放つ。

 そうして、手鬼を吹き飛ばし、落ちてきた真菰をキャッチする。

 

 

「真菰! 大丈夫か!」

 

「双葉君……。大丈夫だけど、足が……。」

 

 

 真菰にそう言われ、足の方を見ると、青紫色に鬱血している。

 強く握られたせいだろう。

 

 

「あの野郎……」

 

「……ねぇ、双葉君。無理なお願いかもしれないんだけど、いい……?」

 

「何でも言ってみろ。ある程度なら聞くぞ」

 

 

 この先のセリフはある程度なら予想がつく。

 

 

「あの鬼、私たちの育手、鱗滝さんの仇なの。本当は私が、あの鬼の首を刎ねたかった。けど、この足じゃ、もう無理だから」

 

 

 私の服を掴み、すがるように言葉を重ねる。

 

 

「だから、だからお願い……。私の代わりに、あの鬼の首を」

 

「大丈夫だ。任せておけ。私は、約束は破らない。言っただろ? 『死にそうになってたら、私が助ける』ってさ。だから、任せておけ」

 

「うん……。ありがと」

 

 

 そう言って、真菰は服を握る力を弱めた。私は、ツタにお願いして、真菰をそこに寝かせる。

 

 そうして、私は手鬼の方へと歩を進める。

 

 

「何だぁ、テメェは……。俺の邪魔をするな!!」

 

「悪いが、とことん邪魔をさせてもらおう。これ以上、将来有望な剣士たちを食われてはかなわない。鱗滝さんに恨みを持つのは勝手だが、こちらがお前を斬るのもこちらの勝手だ。――ここで、悲しみの連鎖を断ち切らせてもらおう」

 

 

 刀を構える。手鬼は首が固い。首がというか、首を手で固めているのだ。まずは首を守る手を斬り、その上で首を斬らなければならない。煉獄さんとかなら、そのまま切れそうではあるが。私はそこまでの力はない。

 

 

「ッ!」

 

 

 下から気配を感じ、飛びのく。

 地面から無数の手が生えてくる。

 

 

「いきなりなご挨拶だなぁおい!」

 

「初見でこれを見切ったのは、貴様が初めてだ!」

 

 

 後方の木の幹を足場に、踏み込む。

 

 

「はああぁぁぁッ!」

 

「その程度のはやs……ッ!!」

 

 

 一度、地面に足を着き、加速する。初速を緩め、一瞬で加速する。

 一度目の速さに合わせようとすれば、間に合わない。

 

 大きく、息を吸い込む。

 

 

「葉の呼吸 陸ノ型 全ては儚き人間のため――」

 

 

 十一連撃。手を、切り刻む。

 

 

「バカなッ?!」

 

「安らかに眠るといい。葉の呼吸 壱ノ型 深緑の温もり――」

 

 

 峰で首を刎ねる。

 

 水の呼吸の使い手。鱗滝一門を数々食ってきたことは許せない。けれど、彼もまた鬼舞辻無残の被害者なのだ。せめてもの情けだ。痛み無く、死んでほしい。

 

 

「お兄ちゃんの下に行きな。きっと、待ってくれているから」

 

 

 彼らは、過去を抱えている。鬼と化し、狂った部分も大きいだろうが、それでも、元々人間であるのだ。

 

 彼らを斬ることは、何になるのだと、思うこともある。

 けれど、私は斬らなければならない。それが彼らにとっての救いであると信じて。私の大切な人たちを、残酷な運命から救うために。

 

 

 

 

 

 




呼吸解説。

葉の呼吸 壱ノ型 深緑の温もり(しんりょくのぬくもり)

スペルカード「深緑の温もり」参照

痛みを感じさせず首を刎ねる。水の呼吸の伍ノ型「干天の慈雨」とほぼ一緒。

ただし、この呼吸は少々特殊で、「葉の呼吸 深緑の温もり」というものがある。これは、簡単に言えば回復特化の呼吸で、この呼吸を行っている間、治癒能力が上がる。

この呼吸は周囲にも少しだけ効果があるとか。



葉の呼吸 陸ノ型 全ては儚き人間のため(すべてははかなきにんげんのため)

東方自然癒、第6節から名前をいただきました。

十一連撃。様々な方向から対象を切り刻む。花の呼吸「徒の芍薬」の様なイメージ。





大正コソコソ噂話

どうやら双葉くん、訓練及び鍛錬の中で体質が瀬笈葉にとことん近づいてきたらしいぞ!
具体的には、植物と会話、土から栄養補給、血液が甘い、などがある。
ただ、天然ではないし、方向音痴でもないので、引き継いでいる部分とそうでない部分があるようだ。

「植物の声が聴けるようになってから、蝶屋敷の花々に声を掛けながら水やりをしていたら、アオイにしのぶを呼ばれて熱まで測られた。解せぬ」


東方自然癒、また、瀬笈葉を知ってますか?

  • 知ってる。原作プレイしたし瀬笈葉大好き
  • 知ってる。名前出されたら顔が思い浮かぶ
  • 名前は聞いたことある。え、顔……?
  • んー……?どっかで聞いたことある気が……
  • 知らん
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