瀬笈葉に憧れた少年が、運命を覆す為に奮闘するお話   作:雨宮祷

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前回、データ保存するの忘れたって言ってたけど、自動保存とかいう超便利機能があるって事に気が付きました。

泣いた。







漆話

 ――その夜は、月が綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の前に現れたのは、血を被ったように頭の頂点が紅く染まった鬼だった。

 その、笑っているのに何の感情も映さない、虹色の瞳には、絶望以外に言い様のない『上弦の弐』という文字が見えた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――山を、疾走する。

 

 ただ、ただ速く、目的地への最速を目指す。

 

 さっき、ジョギング程度の軽さだが、走っておいて良かった。歩いていたら、今の段階でここまでの速度は出ていなかっただろうから。

 

 

 しかし、だ。

 まさか、こんな早い段階でカナエが童磨と遭遇するとは思わなかった。原作前の時系列は、語られていないため、対策のしようがない。それにしたって、これは無いんじゃないだろうかと、愚痴をこぼしたくなる。

 

 何とか真菰と同時期に最終選別を受けることが出来たため、真菰は助けられた訳だが、もう一つ後の選別に参加をしようとしていたら、真菰は今頃居ないというわけだ。そう考えると、めちゃくちゃギリギリである。

 

 とはいえ、今は童磨だ。とにかく早く駆け付け、カナエを助けなければならない。何があっても、必ず助ける。これでも、カナエの弟子だ。師匠の助けにならないと、恩返しができない。

 

 

 

 それに、最推しであるしのぶの死に直結するのだから、死んでもカナエを守らなければならない。

 

 

 決意をより一層固め、全力で足を踏み込んだ――。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ、まだ立つんだ。すごいね、君。もう呼吸も使えないのにねぇ」

 

「はぁ……ッ! はぁ……ッ」

 

 

 言われたとおりだった。彼の血鬼術を吸い込んでしまって、私の肺はほとんど機能していないも同然だった。

 鬼殺隊が使う「呼吸」が彼の血鬼術の前では儘ならない。

 

 

 ――それでも。それでもなお、立ち続けなければいけない。

 

 

 彼は、最終選別なんて軽く突破してくる。彼を、屋敷のみんなで迎え入れてあげないといけないのだから、こんな所で死ぬわけにはいかない。

 

 

「苦しいよね、つらいよね。もう楽になっていいんだよ。だから、俺が救ってあげる。俺が君を食べて救済してあげる」

 

 

 彼は、扇を振りかざす。

 

 

 ――避けようと、息を思い切り吸い込んでしまった。

 

 

 やってしまった。肺を、鋭い痛みが襲い、まともに動けない。思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 ――死ぬ。

 

 

 

 

 反射的に、目を瞑る。

 ああ、ごめんなさい。私は、帰れないみたい。

 お願い、みんな、復讐なんかに囚われないで。人の、普通の幸せを掴んで……。

 

 

 ただ、祈ることしか出来なくて。

 

 それが、許せなくて。

 

 

 それでも、何も出来なくて。

 

 

 

 

 ――開いた目から、涙が零れた。

 

 

「双葉……君……?」

 

「無事……とは言えないけど、まだ生きてるな……。よかった」

 

 

 どうして、どうしてなのだろう。

 

 彼には、普通の生活を送ってもらいたいと思うのに。

 それなら、鬼と戦うなんてしなくていいのに。

 危険な目にあうこともしなくていいのに。

 

 

 それなのに、どうしてこんなに嬉しいのだろう。

 

 

 

 どうしてか、彼が来て、ひどく安心した私が居た――。

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

 間一髪だった。

 

 私が到着したとき、童磨がカナエに扇を振り下ろそうとしたところだった。

 いや、危なすぎ。参ノ型作ってなかったら死んでた。

 

 

「きみは誰だい? せっかく俺が救ってあげようとしてたのに」

 

「は? 私には殺そうとしてるようにしか見えなかったんだけど?」

 

「俺は、苦しんでいる彼女を楽にしてあげようとしたんだよ。それに、俺が喰ってあげれば、俺の血肉となって、永遠に生きていられる。――これは、救済だよ」

 

 

 うん、知ってた。こういうやつだよね、童磨って。

 ま、嫌いじゃないんだけど、しのぶのためにも最終的には殺さなくちゃならない。

 

 それにだ、カナエを傷つけたからには、絶対八つ裂きにする。

 

 けど、それは今じゃない。今は、力が足りてなさすぎる。幸いにも、夜明けまではあと僅か。ここからは耐久戦だ。

 

 

「あいにくと、分かりかねる、なッ!」

 

 ――葉の呼吸 参ノ型 葉閃光穿

 

 

 まずは懐に入らなければ、どうしようもない。踏み込んで、首を狙いつつ近づく。

 

 

「!」

 

 

 私が放った斬撃は、腕を斬り飛ばすだけに収まる。さすがに反射神経がすごい。

 追撃をしようと構えを取るが、

 

 

 ――血鬼術 凍て曇

 

 

 ノーモーションで扇を扇ぐ。そこからは強烈な冷気が放出され、回避を余儀なくされる。

 

 

「ちっ」

 

「すごいねぇ、君。君は男だけど結構美形だし、少し興味が出てきたなぁ。名前はなんて言うの? 君も柱なのかな?」

 

「名前を聞くときは自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ。あと、私は柱じゃない」

 

「それもそうだね。俺は上弦の弐、童磨だ」

 

「私は、柱なんかじゃないただの一般隊士、瀬笈双葉」

 

「双葉君か」

 

「いきなり君付けか」

 

 

 やはりというかなんというか、結構お喋りに付き合ってくれるのでありがたい。

 

 

「嫌だったかな?」

 

「鬼が、馴れ馴れしい」

 

「うわぁ、ひどいなぁ。俺、今のですごく傷付いたよ」

 

 

 さて、しかしだ。

 このまま何もしないと童磨の出す冷気によって、次第に体が冷える。そうなってくると、咄嗟に動けなくなるかもしれないため、結局闘わなければならない。

 

 

「やっぱり、再生が早いな」

 

「これでも、俺は上弦だからね」

 

「知ってる、よッ!」

 

 ――葉の呼吸 陸ノ型 すべては儚き人間のため

 

 

 飛び込め、恐れるな、殺す気で刀を振るうのだ。

 

 

「君、本当に柱じゃないのかなぁ」

 

 ――血鬼術 散り蓮華

 

 

 振るう刀は、相殺される。けれど、これでいい。私の呼吸は、繋がるのだから。

 

 

「おおおおぉぉぉッッ!」

 

 ――葉の呼吸 肆ノ型 緑葉乱諷刃

 

 

 ここが森の中でよかった。私の力が存分に振るえる。

 落ち葉が、草花が、巻き起こった風に呑まれ、その一つ一つが鋭利な刃となって童磨を襲う。

 

 

「これほどとは……。俺も、負けていられないな」

 

 ――血鬼術 結晶ノ御子

 

 

 瞬間、氷でできた像が五体出現する。

 

 ――そして、その全てが血鬼術を行使する。

 

 

 

「血鬼術 蓮葉氷」

 

 ――血鬼術 凍て曇

 

 ――血鬼術 蔓蓮華

 

 ――血鬼術 寒烈の白姫

 

 ――血鬼術 冬ざれ氷柱

 

 ――血鬼術 散り蓮華

 

 

 

 本体を含め、計六つの血鬼術が同時に行使される。

 

 逃げ場は、無い。

 回避という概念が、この世から消えてしまったのかと思う程に。

 

 だが、死ぬなんて思わない。

 

 

 使えばいいのだ。

 作ったは良いものの、危険で今まで使ってこなかったものを。

 

 

「あああああぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 ――葉の呼吸 伍ノ型 爽快血符

 

 

 脳が覚醒し、つま先から、頭のてっぺんどころか、髪先に至るまで。その全ての神経が、呼び起こされる。

 毛細血管がパンクし、流れる血が、緑掛かった髪を、赤く、茶に似た色に染め上げていく。

 

 

 脳から溢れ出る、ドーパミンやらアドレナリン等の脳内麻薬が痛みを麻痺させる。

 

 

「ああああっぁぁぁああぁぁッッ!!!!」

 

 ――葉の呼吸 漆ノ型 深緑結界

 

 

 きっと体は悲鳴を上げている。それでも、感じないから問題ない。

 自身の周囲を、切り刻むことで、全方位から襲い掛かる血鬼術を全て相殺する。

 

 そして、右足を前に出し、踏み込む。

 

 

 

 

 ――力が抜けて、前に崩れ落ちた。

 

 

「おや、終わりッ?!」

 

 

 童磨が何かを言おうとした瞬間に、日が差し込んで、顔の半分が焼ける。

 

 

「うーん、これ以上は無理だね。今回はここで帰らせてもらうよ。また遊ぼうね。そして、今度こそ俺が救ってあげるよ、双葉君」

 

 

 そう言って、童磨はどこかへ去っていった。

 けど、今はそんなことはどうでもいい。童磨が去る朝まで、何とか時間を稼ぐことが出来たのだ。

 

 その証拠に、カナエがツタに包まれ、守られるかのように眠っている。

 

 

「今は、それだけ、で、じゅう……ぶん……だ」

 

 

 奴の首を刎ねるのは、またいつかだ。それまでに、もっと強くなっていればいい。

 

 

 

 だから今は、温かく、気持ちのいい日の光を、存分に浴びていればいいのだ。

 遠くで、誰かが私を呼ぶ声が聞こえた気がしたが、それを確認する前に、意識は途絶えた。

 

 

 

 





呼吸解説


葉の呼吸 伍ノ型 爽快血符(そうかいちふ)


スペルカード「爽快血符」参照

脳のリミッターを外し、潜在能力を無理やり引き出す。
髪が血で赤く染まり、その状態で戦闘を続けていると、服も赤く染まる。



葉の呼吸 漆ノ型 深緑結界(しんりょくけっかい)


東方自然癒で、瀬笈葉が張る結界。
全方位を切り刻み、間合いに入ったものは斬撃の嵐に見舞われる。
ほぼ富岡さんの「凪」と一緒。




戦闘時間、約二十分









東方自然癒、また、瀬笈葉を知ってますか?

  • 知ってる。原作プレイしたし瀬笈葉大好き
  • 知ってる。名前出されたら顔が思い浮かぶ
  • 名前は聞いたことある。え、顔……?
  • んー……?どっかで聞いたことある気が……
  • 知らん
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