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プロローグ
「少年!」
男は、青いガンダムに乗っているであろう少年にむかって叫ぶ。
彼、グラハム・エーカーの乗る機体はその大部分を金属異星体に覆われ、グラハム自身もその体を浸食されていた。
「未来への水先案内人は! この、グラハム・エーカーが引き受けた!!」
赤い流星のような軌跡を描きながら、己のMSを、少年が大型金属異星体に付けた裂傷へとわき目も振らず飛翔させる。
「これは、死ではない!」
そう、断じてこれは無駄死になどではない。
彼はその言葉を血にまみれさせながら吐き、唯一動く右腕で機体のTRANS-AMのリミッターを解除する。
「人類が生きるための――!」
MSの四肢が吹き飛ぶ。
胴体のみとなった機体が閉じゆく裂傷の中に滑り込む。
GN粒子の光に包まれた彼の口元は笑っていた。
―生きて、未来を切り開け、
直後、莫大な粒子を放ちブレイヴは光と消えた。
だが、それが本来機体の生成できる量をはるかに超えていたことに気付いた者はいなかった。
そして、グラハム・エーカーが爆発に巻き込まれていなかったことも……