TS転生した先は女同士で子供が作れる世界だった 作:6万点差でもなんとかしてしまいますよー
俺の未来は俺が決める!
長野編よ、幼少期編よ!
我がしもべのために、生贄となれ!
読者、貴様に見せてやる。
俺のプライド、俺の魂を受け継ぎししもべの姿を!
出でよ、JC編!!
読者、貴様の見た未来とやらに、佐賀は登場したか!
フン、いなかったようだな。
時間が飛んで舞台も移ります。間の話は回想でまた戻って来ます。
あと、佐賀弁は全て翻訳サイトに頼りました。
中国麻雀の暗槓は全部伏せる
「なあ姫子、知っとーか? 『絶対に振り込まん女』の話」
「何ですかとそれ」
全国八地方の最南端、九州。
その中では北部に位置する佐賀という地の喫茶店にて、二人の少女が話し合っていた。
奇妙な話を切り出してきた、リボンで後ろ髪を纏めている少女の名は白水哩。
それに対し、怪訝そうな顔で返す下まつ毛が特徴的な少女は鶴田姫子。
この二人の女子中学生は共に、全国でもトップクラスの打ち手である。
「最近、こん辺の雀荘で荒稼ぎしとー女がいるらしい。で、そん女なんやけど……ぜっったいに振り込まんっちゅう話なんや。まるで、人ん手牌が見えとーごと」
「はぁ」
少し興奮した様子で話す白水に対し、大して興味を示さない姫子。
それもそのはず、一度も振り込み*1をしないなど絶対に有り得ないのだ。それこそ白水の言う通り、人の手牌が見えてでもいない限り。
「む。信じとらんか」
「いや、そりゃあ有り得ん話ですばい。どれだけん支配力が……いや、支配力は必要じゃなかなあ。それに特化した能力があれば……」
話の女の能力について考え始めた姫子を見て、己の望む方向へ行っていることに白水はほくそ笑む。
「まあ、ハッキリ言うてそん能力が本当かどうかはどがんでんよか。それより私が気になったんは、そん女が生立ヶ里の制服ば着とったちゅう話や」
「!」
生立ヶ里中学校というのは、この二人が現在通っている中学校である。
そして、この年の夏に行われたインターミドルにて生立ヶ里は惜しくも全国準々決勝で敗退し、ベスト8の座を逃していた。
というのも、二人の実力は確実に全国トップクラスではあるが、他の三人がついて行けていないというのが現状なのだ。
「先輩たちにこがんこと言いとねえけど……もう一人、私ら並とは言わんが強か人がおったらなあちゅうのが本音や」
「……」
それは姫子も少なからず共感するところがあった。
先鋒、次鋒の自分たちが稼いだ点棒が少しずつ減っていくのを控え室で眺めていた時の心情は言葉に表せないものがある。
自分たちが稼ぎ過ぎた結果、狙い撃ちされたというのもあるが……良いように毟られていく先輩たちの様子に少しばかり不甲斐なさを感じたのもまた事実である。
「そこで、や! そん女がほんなこつ生立ヶ里ん生徒やっちゅうないば、勧誘に行こうって話や。
火んなかところに煙は立たん。振り込まんちゅう話が本当かは知らんばってん、そん女ん強さは確かじゃ」
「な、なるほど」
「確かに私らが頑張れば今年も全国には行けるじゃろうけど、そん後に勝ち上がるっかはわからん。ばってん、そん女がおれば話は別や!」
「そ、そうですね」
段々とヒートアップしていく白水に思わず身を引く姫子。半年近くずっと共に過ごしてきた先輩ではあるが、改めて白水の麻雀に懸ける熱意を感じ取る。
「よし! 姫子も賛成なら善は急げ、や! 最近はそこん『ま~じゃんさろん』に出没しとーちゅう話じゃ、早速行くぞ!」
「え、えっ」
適当に相槌を打っていたらいつの間にか席を立っていた白水。あっという間に勘定を済ませてしまった彼女を姫子は慌てて追いかけるのであった。
◇◇
そして、探し求めていた女は案外あっさりと、目的地に辿り着くことすらなく見つかった。
「あちゃー、流石に千点百円の高レートで全員トビ*2はやり過ぎたか。まーた出禁かよ。でもこんな超絶美少女の俺が笑顔になるんだからそのくらい軽く払ってくれたって良いのに……」
目的地であった『ま~じゃんさろん』の店前で項垂れる少女。頬を膨らませながら文句を口に出すその姿は非常に幼く、制服を着ていなければ小学生と見間違えるほどであった。
「腰下まで伸びた銀髪に、低身長……。間違いなか、『振り込まん女』や」
「……って、木村 桜じゃなかと」
目的の人物を見つけて喜ぶ白水に対し、驚きの感情を示す姫子。
「何だ姫子、知っとーんか」
「知っとーも何も、クラスメートですたい。ちゅうか、哩先輩こそ知らんですかと? えらい有名人ですたい。あがん見た目して、1学期中間、期末共に全教科満点で堂々の1位。天才やて言われとーます」
その言葉に、白水も驚きの感情を示す。中学1年の定期テストなど、基礎が問われるものばかりで大したことはないが、それでも全教科満点というのは凄まじい。まあ仮に、
「まあ、自分んことを“俺”とか言うたりえらい男勝りなところがあったり変な所もあるけど、あの可愛い見た目しとるけん、人気者ですたい。あ、長野出身とか言いよりました」
言われてみれば、そんな話を聞いたことがある気がする。とことん自分は麻雀以外に興味が無いということを実感させられるものだ。
「まあ、知り合いなら話は早か。そこん人、ちょっと良か?」
まだ項垂れてブツブツ言っている桜に白水が声を掛けると、彼女はようやく顔を上げた。
近くで見てみるとその小ささがより目に付く。サラサラとした銀髪や、小ぢんまりとした可愛らしさも相まって、まるで人形のようだ。
「あー、えーっと、何か用? 道案内なら駅はあっち。ナンパなら大歓迎。アイドルのスカウトとかはノーセンキュー……って、後ろにいるのは姫子?」
「あー、うん。何ていうか、麻雀部としてちょっと話……みたいな?」
その言葉を聞いて、全く何の用かわからない、と言わんばかりに首を傾げる姿がひどく印象的であった。
◇
「……ふーん。麻雀部、ねえ」
「うん。練習は……まぁ多か。ばってん、麻雀が好きなら、きっと楽しか」
ストローでオレンジジュースをちびちびと飲む対面の桜を見つめながら勧誘の答えを待つ姫子。
ちなみに、話の場は先程の喫茶店である。姫子は先輩にだけ『ま~じゃんさろん』に行かせれば良かった、と後輩にあるまじき発想をしていた。
その一方、白水は少しばかり歯がゆい思いをしていた。クラスメートならば、と姫子に勧誘を任せて余り口を出していないが、どうにも件の彼女は乗り気じゃないようである。
雀荘から出て来たところを見るに、麻雀を打つのは確実なようだが……単純に、部活というものに縛られたくないのだろうか?
桜が渋る原因を推測していたが、当の本人が口を開いたことで一旦考えを打ち切る。
「インターミドル、か。昔は目指してたなあ……」
「……それは、一度挫折した、ちゅうことか?」
気になる言葉が飛び出してきたことで思わず口を挟んでしまう。昔は目指していた、ということは何かあって全国への道を諦めた、ということなのだろう。
相当強い雀士に心を折られたか、スランプにでも嵌まったか……諦めた原因を知れば、勧誘の糸口にもなる。
「うん? ああいや、何て言うの? 行く必要が無くなったって言うか、どうでも良くなったって言うか……」
「?」
いまいち言っていることがわからないが、大会に挑戦する程の熱量が無くなったということだろうか。
しかし、麻雀から離れたという訳じゃないならば幾らでも入部へと漕ぎつけられる。勧誘の言葉を重ねようと口を開いたところで、またもや桜が口を開く。
「ああでも、確かに衣以外にも俺を負かしてくれる人がいるんなら出てもいいかな……」
「本当か!」
「おっ、おう」
思わず立ち上がる白水に引いてしまう桜。ちなみに姫子も引いていた。
「す、すまん」
「いや、まあいいけど。それより、白水先輩と姫子はどんぐらい強いワケ? 強い人と当たるには全国に行かなきゃいけないだろーからさ……まあ、俺が全員トバし続けても良いんだけど」
その余りの大口に驚く白水だったが、むしろ頼もしいと考え直す。
「まあ、知っとーとは思うけど、今年、去年と全国に行ったし……。自分で言うんもおかしかが、私ら二人は全国でもトップクラスや」
そう少しばかり姫子の自慢の気持ちも混ぜて誇らしげに言うと、桜は目を輝かせて立ち上がった。
「そうなのか! なら、決めた! 今から打とうぜ。俺が負けたら入部するからよ。アンタらが俺以下なら、全国に行っても無駄ってことだろ? 行く必要があるかどうか、ここでわかるわけだ」
先程から続くあまりの大言壮語に思わず面食らう。
しかし、言っていることはよくわからないものの、彼女の実力を把握する良い機会が出来た。
どれだけ強いのかは知らないが、こちらにも全国で勝ち抜いてきた自負がある。そんなに舐められた言動を取られてしまえば、勝負を受けるしかないだろう。
「それでよか」
自信タップリと、満面の笑みを浮かべる白水に対し、姫子は不安げな表情を浮かべていた。
そして、その不安はすぐに的中することとなる。