ーヴァルターー
俺が設計したKMF『サムライ』の開発は順調である、…というかほぼ完成している。後は色々なテストを経て完成、…という判が押せるんだがな。どうにも白兵武装…格闘武器の出来がね、…納得いかんのですよ。
『超硬度大太刀』の斬れ味が悪い、それを改善するには見本となる刀が必要不可欠。我らがブリタニアには良い刀の現物がない、あるのは武器というより美術品といったなまくらのみ。…となればどうするか? 日本から取り寄せるのは簡単だ。現物を参考にすれば確かに斬れ味は上がるだろう、しかしそれでは何かが違う。少々真似ただけの紛い物、ほぼなまくらと言ってもいい程の物しか作れない。…う~ん、…ではどうすればいい?
………思い悩んだ末にティンッ! ときた。日本に行って刀を鍛錬する様を見れば良いのでは?…と。そうすればきっと、『超硬度大太刀』の斬れ味がハンパないことに。完全にとまでいかなくとも、現物の刀に寄せることが出来る筈。
『超硬度大太刀』の完成度を高める為に日本へ行きたい、ダメ元で黒髪美人さんへ訴えてみれば簡単にOKが出た。黒髪美人さんの旦那さんが俺に期待しているとかで、旅費等の費用を全て負担すると申し出てくれたとか。……何と太っ腹で素晴らしいお方だろうか!これはもうお礼を言わねばならない! …と思ったんだけど、忙しいお方のようでそれは叶わないと言われました。……お礼の一つも言えないとは、…無念だぜ!
日本へ行くことになった俺だが、案の定…シャーリーちゃん達も行きたいと言ってきた。だが残念なことにシャーリーちゃんは親からダメだの一言で撃沈、ドロテア&モニカは学校があるからダメってことで轟沈。
…俺一人で行くことになったんだけど気になることが一つ、…学校って何? と言えばドロテア&モニカの二人が視線を逸らした。両親にそのことを聞いてみれば、
「ヴァルターは学校へ行かなくとも優秀だからと免除になっているんだよ、…親としては鼻が高いね♪」
と父が言い、
「そうよね、何せヴァー君は色んな方々の期待を背負ったエリートなんだから♪」
と母が父の言葉に同意する。…まぁそうであるのなら嬉しいよ? 常々期待を裏切らないよう努力しているし。
…でもさ、俺だって学校へ行きたいわけよ。学ぶことが無くとも友達は出来るかもしれないじゃん、…未だに同性の友達はなしどころか嫌われているんだぜ? どうにか接触して悪評を何とかしたいのにその機会がない、故に男友達がががががっ!!? …同い年ぐらいの友達が欲しいんだよ!!
…………という切実なる魂の叫びは黙殺された。俺には男友達も青春も必要ないみたい、…機械いじりだけをしていろってか?
…ふん、…いいもんね! 特派の年上技術者達や黒髪美人さん、セシルさん達新人技術者の方々と合間に仲良くするから。…というか仲良しだし、…学校なんかクソ食らえだ!!
………くそぅ、…くそぅっ!!
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青春を奪われた俺は黙々とKMFの開発に勤しむ、…所々でそれなりのイベントがあったりしたけれどもね。…例えばセシルさんの手料理で地獄を見たり、金髪イケメンの兄ちゃんをチェスでボコボコにしたりした。高飛車傲慢美人さんにも絡まれたなぁ~…、上から目線がムカついたから泣かせたけれど。…初めて女性を泣かせたが後悔はない、…どころかその高飛車傲慢美人さんがそれ以降頻繁に顔を出してくる。………ドM?
青春とは程遠いことをしながら過ごしていく日々、家族やシャーリーちゃん達に見送られながら日本へと旅立つ。数日前に、高飛車傲慢美人さんからも無事に帰ってくるようにと強めに言われていたりする。…そのことが若干嬉しかったり、…何て思いながら自分の座席へ。
そしてその時に出会いが一つ、
「…お前が噂のヴァルターか? ………っとなかなかの面構えだな? …この私を怯ませるとはやるな、…うん。」
と隣席の人物が話し掛けてきました。…何かゴスロリっての? そんな格好をした緑髪の美少女が隣席にいてね、俺のことを知っているみたいなんだけど…ビビってない? …俺の顔だとしたら久々だね、………どう対応すべきかね?
いつも通りの対応にしよう、…とのことで隣の美少女を無視することにした俺。多少でも恐れがあるのなら関わらない方がいい、今までの経験上それが一番良いと思うからね。その方が面倒事に発展しにくい、こんな面でも平和主義者よ? …つーわけで俺は一眠りします。日本に着いたら即行動だからな、刀のヒントを得る為の短期旅行が待っている。
…………目を閉じて暫く、隣のゴスロリ美少女に起こされた。何なんですかね? 君が俺にビビっているから気を利かせて寝ようとしていたのに。怪訝に思っていると美少女が、
「先程の私の態度は謝る、…謝るから無視をするのだけはやめてくれ。お前…ヴァルターと私は日本で共に行動するんだぞ? …よってこのまま無視をされたら、…日本での行動が地獄になる。…だからその、…日本へ着くまでの話し相手になってはくれないだろうか?」
とか言うじゃないですか。謝るも何も俺が勝手に対応しているだけだし、そこまで必死にならなくても…。
…………………というか待てゴスロリ美少女よ。共に行動するとはどういうことだ? 俺はこれから一人旅をする予定なのだが? と問えば、
「…お前の名はヴァルターなのだろう? …であれば間違いない。お前と旧知である黒髪美人さんだったか? 彼女にお前を紹介されたのだ。そして共に気晴らしでもしてこいとな、…理解したか?」
とか言ってくるじゃないか。
………初耳だよ!! 何一つ聞いてないんですけど!? 驚愕する俺に、
「彼女が言っていたよ、お前は女に対して鈍感が過ぎると。…よって経験豊富な私が女の何たるかをお前に教える、…それはもう色々とな。」
とかってドヤ顔をしてくる、…同世代っぽい癖に何を言っているんだ? コイツは。
…だがまぁ考えようによっては良いことなのか? 見知らぬ者とはいえ美少女、経験豊富には…見えないけれどもな。とにかく青春青春騒いでいた俺に対し、旅行で青春を感じろという黒髪美人さんの配慮になるのか? …俺としては仕事で日本に行くわけで、そこへ美少女が加わり二人旅となれば? 同い年っぽいしな彼女、………修学旅行っぽい?
………………と考えれば何か良いかもしれないな、一人寂しく日本を廻るよりも。例えKMF関連の為とはいえ、一人よりも二人か?
大いに悩んだ結果受け入れた、…というか拒めないだろ。俺も彼女も既に大空の上、拒んで彼女を日本に捨て置くのは外道だし。…彼女は俺に対して苦手意識があるっぽいが、俺は大海が如き深い懐で受け入れようじゃないか。…どうなるか分からんけど今回はよろしく! …名前は? …シーツー? …変わった名前なんだな、うん。
高飛車傲慢美人さんとは誰なんだ!?