コードギアス ~…とは何ぞや?~   作:ユキユキさん

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のんびり投稿。


閑話 ~マリアンヌから見たヴァルター。

ーマリアンヌー

 

ヴァルター・バーンシュタイン、この名を知らぬ皇族・それに準ずる者はこのブリタニアにはいない。幼き頃より頭角を出し始め、国の中枢にいる者達は彼に注目している。中枢にいる者達からの評価は以下の通り………。

 

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武を司ると言ってもいいナイトオブワン、帝国最強の騎士と称されるビスマルク・ヴァルトシュタインは、

 

「マリアンヌ様との組手を遠目で見たが、…末恐ろしいの一言。彼が青年と呼べる歳になった時、…その時には私をも越えているであろう。願うならば私も一つ手合わせをしたい、…だが流石に私が出てしまえばマリアンヌ様を認識せねばならなくなる。非常に残念ではあるが将来に期待しよう、私は彼…ヴァルター・バーンシュタインのラウンズ入りを心待ちにさせて頂く。」

 

と笑みを浮かべて言ったのよ。…彼を一番知っていると自負する私もそう思う、既に私を打ち負かしているのだから当然と言えるわね。まぁその時に一戦を交えれば流石のビスマルクも瞬殺されるだろうけれど、…ナイトオブワンでもヴァルター君には勝てないわ。何故ならビスマルクは私を完封出来ないでいる、能力(・・)を使わずに完封出来ない限りヴァルター君を倒すのは無理よ。

 

そういえばヴァルター君てばビスマルクに何処と無く似ているわね、性格が…と言うより強面な所とか特に。このまま成長したらたぶん…ラウンズ入りをする、…帝国の二大看板になるのは確実よね。仏頂面のビスマルクに狂気面のヴァルター君、………その中心にあのシャルルでしょ?

 

………この三人が目立つ神聖ブリタニア帝国、…どう考えても悪の帝国にしか見えないわ。…となればこれはアレよ、ヴァルター君のラウンズ入りの際には見目麗しい女子を数人入れなきゃ緩和されないわね。…まぁ彼の周囲には強い娘達がいるから何とかなる、…一人は庶民だけれど能力が高いから関係ないし。

 

ラウンズ入りをしたらヴァルター君、ルルーシュやナナリーの騎士になってくれないかしら? 彼がなってくれたら安心するし、私としても嬉しい。…でもそれを狙うのは現状難しいわね、何せ彼を狙っているのはあのギネヴィアなのだから。能力的に若手No.1で生粋のブリタニア人、優秀過ぎるが故に目を付けられた。平等を愛するヴァルター君と純血以外を認めないギネヴィア、水と油の関係だった筈なのに最近はちょっと…。あのギネヴィアが私と同じように身分を偽って会っている、…それはもう頻繁に。性格も多少は穏やかになったような? …ということは、彼女も知らぬ内に囚われてしまったのかしら?

 

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いずれ知を司ると言われている第二皇子、シュナイゼル・エル・ブリタニアは、

 

「身分を偽り二度、二度…彼とチェスで勝負をしたことがあるんだ。…認めたくはないが完敗したよ、もう…手足も出ずにね。あそこまで読めない表情と思考、素早く繰り出される手の前に翻弄され続けてしまってね。初めて人に恐怖し冷や汗というものを体験したよ、…彼とはもうチェスをやりたくはない。

 

私という存在が彼に侵される…ような気がしてね、…彼は本当に恐ろしい男だよ。………いずれは彼と私、…避けては通れぬナニカがあるような気がする。私としては、そのような未来が訪れないことを願うけれどもね。」

 

と言わせたのだから。…私もその場面に立ち会ったけど、引きつり笑いのシュナイゼルを見たのは初めてだったわ。

 

シュナイゼルの言った彼に侵される…という表現、わたしにも分かる気がするのよね。ヴァルター君に深く関わったら最後、何処までも見ていたくなるの。彼はこれからどう動くのか、どんな反応を見せてくれるのかなって。そして何より、自分自身の根本…と言えばいいのかしら? それが塗り替えられるのよね。以前の私は嘘を嫌っていたけれど、優しい嘘があるってことを知ってからは嘘も使いようだって。それに嫌われ者であることも然程気にならなくなったし、…ヴァルター君は私以上に嫌われているからね。それを見ているから気にならなくなったんだと思う、…彼は本当に強い子。…心の中までは分からないけれど、外面は…いつもの狂気面ポーカーフェイスだもの。

 

それにたぶんだけれど、彼は私の正体に気が付いている。…気が付いているのにあえて知らないふり、私のことを考えて…優しい嘘。だからこそあの時、私がいると気付きながらも私を称賛した。嘘を吐きながら彼なりの激励、皇室で嫌われている私に対しての。

 

知らないという嘘を吐きながら気遣ってくれている、…鬱憤とした気持ちを自分といる時ぐらいはって。私の正体を知っていながらも尚、この私に茶々を入れては絡んでくるのだと。…正直嬉しいのよね、そういうの。彼以外の人達も気遣ってはくれるんだけど、…結局は皇族扱い。ヴァルター君は貴重よ? 私を普通の女性として扱ってくれるんだから。

 

考えれば考える程、ヴァルター君をルルーシュとナナリーの騎士にしたい。…もしくはナナリーの許嫁っていうのもアリかな? …難しいかしら? ……ルルーシュが反対しそうね、…シスコンだし。いえ…その前に、ドロテアとモニカが噛み付いてきそうね。…まぁ二人以上にギネヴィアが口を挟んでくるかも、ヴァルター君は私にこそ相応しい…とね。シャーリーちゃんはまだ幼いからね、…自覚にはもう少し掛かると思う。

 

………こうして考えてみると、ヴァルター君てばモテモテよねぇ~。逆に男友達が一人もいないってことには泣けてくる、…特派の技術者達は男友達とは言わないもんねぇ。…まぁその内運命の出会いがあるでしょう、男友達と巡り会う為に使うような言葉じゃないけれどもね。

 

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ブリタニア帝国皇帝であり愛する夫シャルル・ジ・ブリタニア、彼もまたヴァルター君を気に入っている。

 

「ヴァルター・バーンシュタインという強烈な個を持つ男は他を圧倒する、彼の者の存在により競争と進化が加速する! くだらぬ嫉妬や陰口だけを吐く者は無価値、逆にその存在で奮起する者こそが価値ある者! 目指すも良し、競うも良し、打倒せんとするも良し! それこそがワシの望む展開、…その個はワシをも飲み込むか? …久々に滾るぞヴァルター・バーンシュタイン! さぁ…、ワシの下まで駆け抜けて見せよ!!」

 

と大絶賛したのには驚いたわ、…顔を合わせたこともないのに。

 

彼に関わった者達からの話、そして噂のみで彼をそう絶賛したのだからシャルルは規格外よね。現にシャルルの発言以降にシュナイゼルは負けた。更にあのギネヴィアまでもが少しだけ丸くなった、…というか純血だけで見ることがなくなった。ヴァルター君に負け陰で口汚く罵倒する純血派が多く、奮起する者があまりにも少ないことを知ったから。無能っぷりを見せられたらね、…流石の彼女も考え方を少しだけ変えざるを得ない。

 

そしてKMF開発においても特派を若くして引っ張っている、停滞していたKMFを進化させている。先見の明がありすぎよシャルルは、…そして彼に対する評価が嬉しくもある。何せ私が一番先に見出だしたんだから!

 

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…とまぁ以上がヴァルター君の評価、途中私の願望とかが入っているけれど予想通りの高評価ね。それ故に私を含めたブリタニアの中枢に注目されるなんて、…御愁傷様としか言えないわ。自重なしにやらかすヴァルター君が悪いと言えるし、気に入ったからと彼にちょっかいを出し続けた私も悪い。

 

 

 

 

 

 

そういえば話が変わるけど、ヴァルター君…日本へ行きたいとかって言ってきてたわね。KMF武装の刀を更に研き上げる為だとか言っているけど、方便…と見るべきね。聞く所によると日本人は武人気質の者が多いらしい、一庶民でも磨き上げれば一級品になると彼のメモに書いてあった。故に本当の目的は人材の確保、青田買いをする為ね。

 

何故そんなことをするのか? と考えれば簡単なことだ。ヴァルター君に興味を持つ者は多いけど、味方と言える人は? と考えれば少ない。バーンシュタイン家に連なる者、三人娘に特派、そして私ぐらいしかいない。ギネヴィアは現状…まだ判断しかねるし、ビスマルクは立場上難しい。…ほら、少ない。庶民と軍人には人気があるようだけど、…力があるわけではないからね。基本的に貴族、特に同世代と年上世代の同性に嫌われている。その強さと共に三人娘を侍らすいけ好かない奴、多くの嫉妬をその身で受け止めている。…全く気にしている素振りがないけれど、…メンタル強すぎ。

 

ヴァルター君は純血でありながら他人種を重用しようとしている、そんなことをすれば純血派の貴族達は…。ギネヴィアも複雑でしょうね、声を上げるは純血派の無能達なのだから。それらを考えながら気付いてしまった、彼は今回のことを機に国内の名誉ブリタニア人を取り込む気だと。どんなに能力があろうとも重用されない名誉ブリタニア人、燻っている彼等を取り込んで新たな派閥を作ろうと? 言うならば混血派。

 

純血に重きを置くこの神聖ブリタニア帝国にて、まさか混血派を作ろうと考えるなんて何という反骨精神。確実に敵が増えるわね、…けれどそれはシャルルの望むこと。彼を中心に争いが始まる、そして勝ち上がった者だけが先へ進み全てを手に入れる。弱肉強食こそが全て、…ヴァルター君はシャルルの下を目指していると見えるかな。即ちラウンズ入り、圧倒的な個を持って堂々と。…であるとすればシャルルが気に入る筈だわ、それを嗅ぎ取る嗅覚は流石ね。

 

 

 

 

 

 

そうであるのなら私も協力…しない方がいいか、下手に手を出して邪魔をしちゃ悪いもの。そこら辺の分別はあるのよ? 私にだって。とりあえずOKを出して旅費ぐらいは出してあげよう、名義は旦那様でいいわね。…後はいいかな? って思ったんだけど、耳に届いた『青春したい!』という言葉。そういえば私が彼の学校入りを免除、無くしたんだっけ?

 

そういうことで、毎日暇そうにしていたあの娘を送り込んでみたけど大丈夫よね? あの娘自身もヴァルター君に興味を持っていたし。まぁ彼のことだからあの娘と仲良く出来るでしょう、…これがきっかけであの娘も少しは笑うようになればいいんだけど。

 

彼女を送ったせいで、

 

「…ヴァルターの下へ女を送り込んだと聞きました。何処の下女を送り込んだかは知りませんが、…余計なことをしてくれましたね?」

 

ギネヴィアに物凄く絡まれた。…私への好感度がまた下がった、元からそんなものなんてないけれど。…まぁ自業自得かな? …なんて。




…高飛車傲慢美人さんはギネヴィアでした。

彼女はリメイク前だと名前だけの登場でしたね。

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