…とある場所の屋内、そこで二足歩行の兵器が縦横無尽に動き回っている。『ランドスピナー』と呼ばれる脚部のホイールによって地を滑るように移動、時折『スラッシュハーケン』と名付けられたワイヤー式のアンカーを壁に突き刺し、巻き取ることで高速移動をしている。
それを見守る兵器の技術者達は、『ファクトスフィア』という情報収集用カメラから送られる映像を見ては頷き、『ナイトメアフレーム』という呼称の兵器が次の段階へと進んだことに喜んだ。
データの収集を終え、『ナイトメアフレーム』のコクピット部から一人の女性が出てくる。その女性に対し技術者の一人が、
「マリアンヌ様。『
自信に満ちた声でそう尋ねた。マリアンヌと呼ばれた女性は満面の笑みで、
「最高も最高、ご機嫌よ♪」
と弾んだ声でそう返した。
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…彼等、…特派と呼ばれる技術者集団は崖っぷちの一歩手前だった。最初は良かった、世界初のコクピットシステムを開発したのだから。戦車等の搭乗員を安全且つ速やかに脱出させる為のシステム、搭乗員のことを考えたこのシステムに軍人達は技術者達に感謝した。
そこから色々と試行錯誤を繰り返し、コクピットに足を付けただけのモノを作ったりと迷走した。この時期のモノを『ナイトメアフレーム』始まりの世代、第一世代KMFと呼称している。
画期的なモノから足付きと迷走し、それらを越え兵器として開発されることになった。これもまた初めてのこと故に全てが試行錯誤、第一世代時の迷走が意外にも役立ったりした。『マニピュレーター』『ランドスピナー』『ファクトスフィア』と呼ばれるシステムを試験的に搭載、十分な性能は発揮されなかったがこの世代が後の大きな飛躍の足掛かりとなる。
特派と呼ばれる彼等が軍事目的で開発している『ナイトメア』と、アッシュフォード財団が福祉目的で開発している『フレーム』を統合し、『ナイトメアフレーム』という名称が付いたのもこの世代である。飛躍の為の一歩を踏み出した世代、この時期のモノを第二世代KMFと呼称されることに。
第二世代を発展させ、本格的に戦闘用として開発され始めるのがこの世代。この時に彼等、…特派は後おくれを取った。全てにおいて何処よりも勝っていると思っていた、しかし動力源にて大きな差があった。何処でそれを知り入手したのか? 『サクラダイト』と呼ばれるモノの有無が明暗を別けたのだった。
アッシュフォード財団の実験機『ガニメデ』の前に、彼等…特派は窮地に立たされた。『サクラダイト』を動力源にした『ガニメデ』の性能は凄まじく、『ガニメデ』本来の機体性能を超え、特派の実験機の全てを超えたのだ。
『サクラダイト』を入手して改装、改めて開発に着手するのは簡単だ。だが二番煎じ、アッシュフォード財団に助けられた特派という烙印が押されるのは明白。故に先ずは動力源よりも、元となる実験機だけで『ガニメデ』を超えなくてはならない。故に焦っている、…それらの理由で特派は崖っぷちなのだ。
そんな時に、マリアンヌからもたらされた設計図。『士魂号』と呼ばれる人型兵器の細部にまで書き込まれた設計図により特派の実験機はその性能を高めていく。
重要とされる人工筋肉という未知の生体部品の代用品は見付からず、設計者の意見通りにソレを使用する箇所は自分達の技術で何とかした。人工筋肉と呼ばれるモノに刺激を受けた技術者達は、現物が無いにも関わらず設計図とマリアンヌの話だけでソレに代わる技術を作り上げたのだ。
…がしかし、そうして作り上げた技術は代用品でしかない。設計図通りの完成された『士魂号』を作り上げるには、やはり人工筋肉という生体部品が必須である。マリアンヌが聞き出した設計者からの提案、生物学を専門とする技術者を集めて人工筋肉を開発する。専門チームを立ち上げ開発に向けて研究し、それらと共に他の分野にも力を注いで高みを目指す。それが『士魂号』を作り上げた我々のやるべきこと、特派の新たな指針であると。言うならば設計者に対しての感謝、リスペクトであるとし特派に生物学の他に様々な分野の技術者を召集することに決めた。
それらを抜きにしても現在の特派が持ちうる全ての技術を『士魂号』に注ぎ、出来上がったのが『ガニメデ』を全てにおいて凌駕する実験機。『サクラダイト』を動力源にしたあの『ガニメデ』を超えた、技術者達はその現実に歓喜し、『士魂号』の設計者に感謝した。勿論、その設計図をもたらしてくれたマリアンヌに対しての感謝も忘れはしない。
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データの収集を終え、マリアンヌと共に『士魂号』を見上げる技術者達。次は動力部を『サクラダイト』に変えて…、と言いたいが少々不安がある。自分達にはそれ相応の技術力があるけれど、『士魂号』に対しての技術は無いに等しい。設計図があったからこそ作れたわけで、その後の技術開発から整備についてはほぼ白紙に近いのだ。そんな中で、危険な『サクラダイト』を動力源とする改装を施しても大丈夫なのか? と考えるのは自然なことである。
それを正直にマリアンヌへと告げる技術者達に、…少しだけ考える素振りを見せてから、
「…なら設計者を連れてきちゃいましょう♪ 現物を見ながらの話も聞きたいし。…それ以上にあの子の反応が見たいわ♪」
設計者を連れてくると技術者達に約束した。それを聞いた技術者達は喜び、『士魂号』の設計者とはどのような人物なのか? と思いを馳せる。そんな彼等を見てニヤつくマリアンヌ、
(設計者が十代のヴァルター君だと知ったら、貴方達はどのような反応を見せてくれるのかしら?)
なんて思っていたり。
…こうしてヴァルターは、マリアンヌの手により拐われることが決まったのだ。
この物語は色々と世界観が微妙に違います。
マリアンヌは『ガニメデ』の開発に関わらず、特派もシュナイゼルの管轄ではありません。
『ガニメデ』の開発に関わってはいないが、ヴァルターとの交流により能力が上がった。それにより他のことで功績を残して騎士候を、そしてシャルルに嫁ぎました。
語られてはいないが、ヴァルターが七歳ぐらいの頃にマリアンヌと出会い交流している。この時はまだ皇妃ではなく庶民、ヴァルターに出会ったことで成り上がった。
その自覚がありヴァルターを可愛がる、彼女的に恩返しのつもり。
因みにルルーシュは生まれている。
時系列が合わないとかは知らん、そんなもんだと気にしないで下さい。
基本ガバガバなんで、…適当だもの。