この不運な俺に祝福を(切実)   作:キャド

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この不運な俺に転生を!

「ようこそ死後の世界へ。鈴木丈士(すずきじょうじ)さん、あなたは先程、不幸にも亡くなりました。非常に悲しいことですが、あなたの人生は終わったのです」

 

 気が付くと俺は真っ白な世界で木製の椅子に腰をかけて、

 何の前触れもなくそんな事を告げられた。

 

 普通に考えれば随分と突拍子もない事だが、

 この非現実的な空間にいるせいかすんなりと理解できた。

 

「私はあなたに新たな道を案内する、女神アクアです」

 

 俺の死を告げた目の前の女性は、この世で最も美しいといっても過言ではなかった。

 美しい青髪をした、だれもが見ほれるであろう美貌を持っていて、今まで見てきた女性が見劣りしてしまうほどであった。

 

「……あの…………ちょっといいすか」

 

「はい、何でしょう?」

 

 本来であれば、このような美女と会話できたことに感激するところだが、確認しておきたいことがあった。

 

「……俺の……死因て何ですか?」

 

「……えっと…………階段から滑って落ちて、頭を打ったのが死因だけど……」

 

 あぁ、うん。俺の記憶通りだ。

 

「………………まっっじか~……」

 

 自身の死因を聞いて頭を抱える。

 今更嘆いたところでしょうがないが、

 健康な男子高校生の死因としては少々情けなく感じてしまう……。

 

「まぁ、そんなに落ち込むことないわよ。転落による死亡なんてよくある話だし。むしろありきたりすぎて、もっと変な理由で死ぬ人出てこないかなぁって思ったくらいだわ」

 

 ……この人、口調が砕けたとたん先ほどまで感じていた女神らしさがなくったな。

 てか、女神という立場でなんてことを言うのだろう。

 

「ま、あんまりくよくよしないことね。まだ、予定だけどお葬式も結構な人数よ。

 家族、友人、親戚、先生。あなたの死を聞いてみんな涙を流してるわ。きっと立派なお葬式よ。

 あなた、かなりいい人生を送れたんじゃない?」

 

 彼女は微笑んで俺に問いかける。

 

 ……確かに、昔から周りと比べて運が悪かったが、それ抜きで考えれば幸せだった。

 やさしい両親に恵まれ、ごく普通の家で暮らし、

 彼女ができたことはなかったが、高校も第一志望の学校に入学できたし、

 好きな漫画のことで語り合える友人もいたし、

 振り返ってみると確かに幸せな人生だった。

 

 ……………………そんな人生の最後が…………。

 

「…………こんな親不孝者のためにわざわざそこまでしてくれたと考えると……」

 

「ああ! もう! くよくよしない! 死んじゃったもんはしょうがないでしょ! 

 こっからは、この先のことを考えなさい! ほら! シャキッとしなさい!」

 

 そういっている彼女は身を乗り出していて、本気で俺を励まそうとしているのが窺える。

 ……先程はだいぶ女神らしからぬことを言っていたが案外立派な女神なのかもしれない。

 

「ありがとうございます、女神様……。といっても、この先って言っても何があるんです? 俺、死んでるわけだし」

 

「……そういえば、まだ説明できてなかったわね。

 ──―改めまして、鈴木丈士さん。私の名前はアクア。

 日本において、若くして死んだ若者たちに新たな道を導く女神よ! 

 

 今貴方には、2つの選択肢があります。1つ目は、このまま天国に行くこと。

 もう1つは、再び地球に赤ちゃんとして生まれ変わること。どちらにしますか?」

 

「天国って、あれっすか。雲の上にあって天使いるみたいな」

 

「それ、あなたたちが想像している天国ね。本当の天国っていうのは、

 本っ当に何もない場所よ。そのうえ魂になったら寝ることすらできないから、

 ただひたすらぼーっとして過ごす場所。それが天国よ」

「却下で」

 

 冗談じゃあない。そんなの地獄と変わらないだろ。

 

「で、もう一つの生まれ変わりなんだけど、当然元の記憶は消すわけだから、

 あなたの今の人格も消えることになるわね」

 

 畜生……さっきはこれからのことについてとか言ってたくせに、

 結局、俺という存在はもう完全に消えることになるじゃねえか……。

 

 うなだれる俺に女神様は、にこにこと笑いながら話しかけてきた。

 

「やっぱりそうよね。今の話を聞いて天国に行こうなんて思うわけないわよね。

 かといってまた赤ちゃんからやり直しっていうのも、あなたという存在が消えることには変わりないんだから気乗りしないわよね!」

 

 何だろう……この女神様、随分とぐいぐい来るな。

 気分的には、押し売りにあっているようだ。

 

「だけど、その2つしか選択肢ないんですよね?」

 

「それがね!! いい話があるのよー! 

 ねぇあなた、RPGゲーム好き?」

 

「ん? えっと……まぁ人並み程度には好きですよ」

 

「そう! ならちょうどいいわ! 実はね、あなた達が生活している世界とは別の世界、

 つまり異世界ではね、まさにRPGゲームみたいに剣と魔法を使ってモンスターと戦っているの! 

 そんな世界に、なんと行くことができるのよ!」

 

 ……。なぜだろう、非常に魅力的な話なのにいまいちピンとこない。

 

「あの、それって許されるんです? 輪廻転生とかいろいろとおかしくなりません?」

 

「えっと……実はね、その世界にはいわゆる魔王軍ってのがいて、人間も何とかその魔王軍を

 倒そうと必死になってはいるんだけど逆にかなりやられている状態でね。

 しかも、魔王軍にやられる人たちはかなり悲惨な最期を迎えるもんだから、

 みんなもうあんな世界はごめんだって言って、生まれ変わりを拒否しちゃっているのよ。

 で、ならほかの世界から人間を送り込んじゃおうっていう話になったのよ。

 しかも、肉体と記憶もそのままで」

 

「いや、そこはありがたいんだけど、そんな世界なら俺、どーせすぐ死ぬと思いますよ。

 てか、たぶん俺じゃなくても、トップレベルのスポーツ選手でも無理です」

 

 俺がそういうと、女神様は鼻でフフンと笑って続けた。

 

「そこで? 異世界に行く人に特典を付けることになったのよ! 

 強力な装備! とんでもない才能! 唯一無二の無敵のスキル! 

 これなら、あっちの世界にとっても即戦力になるし、

 転生する人も特典の力で安全に第二の人生を送ることができる。

 いい話だと思わない!」

 

 なるほど、確かに記憶もそのままで新たな土地で再スタートできるんだ。

 さっきの2つの選択肢を選ぶよりかは、断然こっちだな。

 自然と期待で笑みがこぼれていたのか、俺の反応を見て得意げな顔をした女神様がカタログを渡してくる。

 

「さあ! その中にきっとあなたの気に入るものが見つかるはずよ! 

 あとはそれを特典として選ぶだけ!」

 

 まだ何も言っていないのだが、女神様の中では俺は異世界行き決定らしい。

 しかし、俺自身すでにこのような展開になったことに興奮している。

 もはや異世界行き関しては、決定でいいだろう。

 

 しかし……。

 

 適当にカタログを開いてみる。

≪超魔力≫……≪魔剣・ムラマサ≫……………………≪透明化≫………………。

 

 う~~~ん……。

 なんだろう、どれもあまり惹かれない。

 

「あの……女神様」

 

「特典が決まったかしら!」

 

「あっいえ、質問いいですか?」

 

「なにかしら、できれば早くすましてほしいのだけど」

 

 この女神様、さっきからそうだが本性をあまり隠そうとしないな。

 なんかもう、威厳とかだいぶなくなってる気がする。

 かなりめんどくさそうにしているけど、これだけは聞いておきたい。

 

「特典ってカタログに載ってないやつでもいいですか?」

 

「世界のバランスを大きく崩さないものなら大丈夫よ」

 

「なら! ≪ジョジョの奇妙な冒険≫に出てくる≪スタンド≫って大丈夫ですか?」

 

 ジョジョの奇妙な冒険は俺が子供のころからずっと読んでいた漫画だ。

 もし選べるのであればぜひとも使ってみたい。

 

 しかし、ジョジョに出てくるスタンド能力はどれも強力なものばかりだ。自分で聞いておいてなんだが、あまり期待はしていない。

 

「できなくはないけど「できるんですか!!!!」ちょっと、落ち着きなさい!」

 

 女神様の言葉についつい前のめりになってしまう。

 

「まったく、びっくりしたじゃない。それから、本当ならあっちの世界で受けるはずの説明をこの私が直々にしてあげるんだからその辺もしっかりと感謝することね!」

 

 女神様が胸張り説明をしてくる。少々、態度がでかい気もするがしなくていい仕事をしてくれるようなので感謝しておこう。

 

「ありがとうございます!」

 

「よろしい! じゃあさっそく説明をしていくわね。

 

 さっきも言った通りあなたがこれから行く世界は、まるでゲームのような世界なの。その世界ではレベルっていう生物の強さの目安みたいなものがあってね、そのレベルが上がるとステータスが上がったり、スキルポイントっていうのがもらえるの。

 

 本来ならそのスキルポイントを使って剣を扱えるようになるスキルや、魔法を習得したりできるんだけど、あなたの場合、そのスキルポイントを使ってスタンドを発現させられるっていう特典をあげるわ。しかも、そのスキルポイントがたまれば何回でもスタンドを発現させられるし、一度発現させたスタンドが消えることもないわ」

 

 おぉ! 俺的にはどれか1つ選べればと思っていたが、まさか複数のスタンドを持てるなんて! 

 

 しかし……。

 

「あの……いくらなんでも強すぎません? さっき言ってた世界のバランス崩す力っていうのに該当しそうなんですけど?」

 

「もちろんいくつか制限をつけるわ。

 

 1つ、発現させられるスタンドはランダムよ。強いスタンドが出るかどうかは、あなたの運次第ね。

 

 2つ、同時に複数体のスタンドを使うことも禁止よ。

 

 3つ、世界に影響を及ぼすスタンドはそもそも発現しないわ。

 

 最後に、これは制限というよりも処置といった感じね。使い手のデメリットにしかならないスタンドも発現しないわ」

 

 ふむ……聞く限りだとそこまできつい制限でもない。3つ目の説明的には≪メイド・イン・ヘブン≫とか≪ボヘミアン・ラプソディー≫あたりだろう。正直、自分に使いこなせる気がしないのでむしろありがたいぐらいだ。

 

 最後の説明については、当然感謝しかない。≪チープ・トリック≫とか≪スーパーフライ≫が発現したらと考えるとゾッとする。

 

 どのスタンドが出るか運次第というのが気になるが……まぁ、そう悲惨なことにはならないだろう。

 

「女神様、ありがとうございます。どうかその特典でよろしくお願いします!」

 

 その言葉を聞いて女神様は、満足そうに首を縦に振るとそのまま立ち上がった。

 すると、突然俺の体が宙に浮かび始めた。光が降り注いでいるのを感じ上を見上げると、大きな魔法陣のようなものが光り輝いていた。

 

「さぁ、行きなさい、新たな勇者よ! 魔王を討伐した暁には、どんな願いでも1つだけ叶えてあげましょう! どうかあなたのこれから進む道に、幸多からんことを!」

 

 女神様が言葉を言い終わると俺は魔法陣に吸い込まれていった。

 これからの世界に期待を胸を膨らませ俺は光に包まれた。




第1話、読んでくださり誠にありがとうございます!
ここまでジョジョ要素皆無で大変申し訳ありません!
!次回からスタンド発現しますので何卒宜しくお願い致します!
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