俺の目の前を馬車が横切っていく。
「……ついたのか?」
目の前に、レンガの家が立ち並ぶ、中世ヨーロッパのような光景が広がっている。
周りを見渡せば獣耳をした人が歩いていたりと、自分が今までいた世界とは違う世界というのがわかる。
中には剣を背負って、遠くにある門を目指して歩いている人たちもいた。
異世界に来たという事実に胸が踊るが、ここでふとあることに気づく。
(……こっからどうすればいいんだ?)
しまった。思い返してみれば、この世界について聞いておくべきことが山ほどあった。
(まじでどうしよう……。女神様の説明的には、ギルドとか冒険者組合みたいなのがあるのだろうか?)
とりあえず、この街について通りすがりのおばあさんに話を聞いてみる。
さっきチラッと見えた、冒険者のような人たちに話を聞くのが最善なのだろうが、ガラが悪いというイメージが強いためやめておいた。
「あのー、すいません。この街にギルドってありますかね」
「ギルド? それなら、この道を突き当たりまで進んで、右に曲がれば見えてきますよ」
「どうも、ありがとうございます」
施設の総称がギルドで助かった。もし違ったら、田舎から来たということにしようとしたけど、その必要もなさそうだ。
おばあさんに礼を言い、教えてもらった道を進んでいく。
冒険者ギルドか……。荒くれ者がいたり、新参者に絡んでくるようなひとがいるんだろうか。
色々と覚悟を決めて扉を開ける。
「あ、いらっしゃいませー。お食事なら空いているお席へ、お仕事案内なら奥のカウンターへどうぞー!」
ウェイトレスのお姉さんが、出迎えてくれた。
店内は少々薄暗いが、ガラの悪そうな人は見当たらない。
新参者だからか、視線を向けられるがその程度で安心した。
チラチラと見られるが、ひとまず視線は無視して奥のカウンターへ向かう。
ひとまず、今日は冒険者になって、泊まれるところの確保のために、今日中に稼ぐ手段を教えてもらおう。
もしかしたら、初心者が利用できる宿泊施設があるかもしれないが、あまり期待しすぎるのはやめておいた。
カウンターには受付の人が4人いたので、適当に空いてるところに行く。
「はい、今日はどうされましたか?」
「えっと、冒険者になりたいんですけど、ここでいいですか?」
この世界についてまだ何も理解できていないから、はっきりとものを言えなかったが、受付の人は明るく答えてくれた。
「はい、大丈夫ですよ。では、登録手数料をいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
…………登録手数料?
とりあえずポッケを弄ってみる。すると、硬貨が入っていた。
「えっと……、これで足りますか?」
見たことのない硬貨だったので、この世界のお金だと思いカウンターに出した。
「はい、ちょうどいただきますね。それでは冒険者の説明に移らせていただきます」
とりあえず、問題はなさそうなのでひとまず安心した。
「冒険者になりたいとおっしゃっているのですから、ある程度知識はあると思いますが説明は、必要でしょうか?」
「えっと、レベルとスキルポイントぐらいしかわかってないです」
「そうですか。では、それ以外についてのことを簡単に説明しますね。……まず、冒険者とは人に害を与えるモンスターの討伐を請け負う人のことです。といっても、今の冒険者はなんでも屋みたいなものです。冒険者とは、それらの仕事を生業とする人の総称。そして、冒険者には、職業というものがあります」
「戦士とか、魔法使いとかですか?」
「はい、そうです」
ふむ、まさにゲームといった感じだ。
「では、こちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴等の記入をお願いします」
受付のお姉さんが出した書類に、自分の特徴を書いていく。
身長174cm、体重65kg、年は16、特徴はとりあえず黒髪と書いておいた。
「はい、結構です。では、こちらのカードに触れてください。これで、あなたのステータスがわかります。ステータスに応じて、なりたい職業をお選びください。職業によって取得できるスキルが変わりますので注意してください」
もとの世界にはないシステムだからか、内心緊張しながらカードに触れた。
「ありがとうございます。スズキジョウジさん、ですね。えっと……筋力、生命力、敏捷性がほんの少し高いですね。あ、魔力が高いです。知力は普通……あれ? 幸運が非常に低いですね。まあ、そこまで重要なステータスでなないので、安心してください。
では、職業の選択を………………あれ?」
「どうかしましたか?」
受付のお姉さんが不思議そうにカードを見つめている。
「いえ、選択可能な職業の欄に、 スタンド使い という見たことのない職業があったので」
「その職業でお願いします!」
「えっ! でも、大丈夫ですか? もしかしたら、全く新しい職業かもしれないので、ギルドの人間もアドバイスができないかもしれないのですが……」
お姉さんが心配そうにこちらを見ている。
しかし、その職業が特典なのだろう。
「大丈夫ですよ、実はその職業についての知識を少し持っているので」
「そ、そうですか? では、スタンド使い…………っと。よし、ではジョウジさん、ようこそ冒険者ギルドへ」
お姉さんはそう言って、にこやかな笑みを浮かべカードを渡してくれた。
「そのカードは、冒険者カードと言ってモンスター討伐の証明や、身分証にも使えます。大切に扱ってくださいね」
カードを見てみるとスキルポイントの欄に5ポイント、習得可能なスキルの欄にスタンド発現5ポイントと表示されていた。
「すいません、スキルの習得はどうすればいいですか?」
「それなら、カードの習得可能なスキルの欄から、取得したいスキルを選んで触るだけで大丈夫ですよ」
なるほど、なら今は1体のスタンドを発現させることができるのか。
早速スキルの取得をすることにした。
カードのスタンド発現の部分を触ってみると、5ポイントあったスキルポイントが消費され、残りスキルポイントが0になる。
すると、スキルの欄に少しずつ文字が浮かび上がってきた。
…………本当に奇妙な体験だ。ついさっきまでは普通の高校生だったのに、今となってはスタンド使いになっている。
これから、多くのモンスターと戦うことになるんだ。
これから、たくさんの仲間に出会うんだ。
…………これから始まるんだ。異世界での冒険者生活が!
スキル
《 クヌム神 》
「くそったりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」
俺はカードを床に叩きつけた。
第2話、読んで下さりありがとうございます!
チート無双を期待していた方、申し訳ありません!
今後もこんな感じです!