笑ってはいけない「旅狼」24時 その0 プロローグ
「やぁやぁ諸君!──お前らやる気あんのかー!」
開口一喝ペンシルゴンが吼えた。
「私が王国掌握……げふん、王国の危機を救わんと(ニヤニヤ悪だくみして)頑張っているのに! はいそこの喪服半裸からここ最近のやってたこと!」
「俺? オルケストラ倒した後はぁ、レイ氏と一緒にドワーフの里いってた」
「ほぴゃあ!」
「はいあとでドワーフの里の位置情報と詳細を吐いてね! あとさっさとリスポーンして男に戻ってらっしゃい! 0ちゃんはもう大体わかったから次! 魚類!」
「英傑武器解放したからジョブとスキルの組み合わせ試してた」
「つまらん! そんなんだからユニーク自発できないマンなのよ! 次、京極ちゃん!」
「PKしてた」
「同じくつまらない! このほうれん草! 次、ルスモルコンビ!」
「リヴァイアサンの裏ステージでメカ獅子倒してた」&「同じく」
「え、なにそれこわい。さ、さぁてある意味一番怖い秋津茜ちゃん、最近何してた?」
「はい! ノワルリンドさんからのユニーク依頼やりながら、新大陸の西に行ってゴリラさんたちとバナナ食べてきました!」
「おぉう謎の情報ありがとう……あ、サンラク君おかえりーお土産はー?」
「はい水晶群蠍のフン」
「うわえんがちょ! なに、クソゲープレイヤーしてるとお下劣になるの? 近寄らないでイメージ傷つくから」
意外にマブダチ少なかったから手に入ったレアアイテムだぞ敬えよ! と叫ぶサンラクを無視してペンシルゴンはほか全員の顔を見ながら叫ぶ。
「改めて。やる気あんのか諸君! わたしはかなしい! 龍災大戦のときはあれほど一致団結して戦ったというのに気が付けばみんなバラバラ! クランリーダーとしてわたしはとてもかなしい! ほら涙が出てきた」
手には目薬。
「泣かないでくださいペンシルゴンさん! いつかみんなわかってくれます! 私の部活でも記録が出なくてみんながバラバラになっても、また大会の時には一致団結しましたから!」
「心温まるけど一番物理的に遠いところに行っていた君には言われたくないって気持ちを抑えながらおねーさんがんばっちゃう! というわけでみんなの親睦を深めるためにご用意しました晩餐会!」
あ、そのネタまだ生きてたんだ。と皆が思った。
「ですがただの晩餐会では面白くないので、ここに新ルールを決めたいと思います」
は? と思う間もなく、
「──ところでサンラク君、こないだオイカッツォ君全裸でレイドモンスターに焼かれてたらしいけど感想は?」
「は? そりゃカツオの丸焼きができてめでたいんじゃないのハッハッハ」
デデーン サンラク OUT
「は?」
ガタン! と音を立てて扉が乱暴に開き、全身ラバータイツ……「隔て刃の皮服」シリーズを着こんだ男たちが現れる。
一人がサンラクの両腕を拘束し、一人が腰を曲げ、一人がコモナの実(めっちゃ固い)を振りかぶって、ケツめがけて振り下ろした。
「アイッタァ!」
「……すまねぇツチノコさん……! これには已むに已まれぬわけがあるんだ!」
「き、貴様ら、着せ替え隊2軍(別名:旧大陸組)……! なぜ!?」
「いまだ仇討人になれない俺たちは、こうでもしないとウィンプちゃん写真集を買う金が貯められないんだ……!」
思ったよりくだらない理由だった。
「いやそれよりさっきの放送サイナァ! なにしてんだお前は!」
『心外(何って):それはもうアイドルとしての仕事ですがなにか』
ペンシルゴンの後ろを浮遊する別天津の隕鉄鏡から声がする。それはまさしくサンラクの契約した征服人形エルマ=317のものだった。
なんでも『判定役』を任されたらしい。
『解説(それでは):皆様、ルールを説明させていただきます』
〇ルールその1 これより先24時間(実際は企画終了まで)笑ってはいけない
〇ルールその2 食事中とログアウト時以外は笑いの刺客たちが襲ってくる
〇ルールその3 笑ったらケツコモナ 判定はサイナ
「いやちょっと質問。さっきのケツしばきリアル並みに痛かったんだけど」
「ユートピア社の全面協力でこの企画の間、許可されたダメージだけリアル並みの痛さにしてるんだなこれが」
「またお前か天地ィ!」
視聴者にだけ見えるワイプで『私が担当しました』というボードを抱えて立ってる継久理創世。
「しかし準備がまだ完了していないので、馬車でサードレマ観光して時間をつぶそうと思います。はい全員表出た出た」
ぞろぞろと外へ出る色物集団「旅狼」。しかし彼らはまだ知らない。自分たち以上の刺客(イロモノ)どもが、手ぐすね引いて待っていることを……!