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短いとは思いますが面白ければ幸いです。
プロローグ1
俺の人生は灰色だった。
これといっての趣味は無く、仕事から帰ってはご飯を食べて寝る。偶々の休みでも何もせずただテレビを見ながらゴロゴロする日々。そんな同じ様な日々を繰り返していた。
別に仕事がブラックで精神が病んでいたという訳ではない。残業もあるが、別に法外な時間働かされている訳でもなく残業代が無いという事でもない。普通に定時に帰れる時もある。
今の会社には満足している。休みも多分にあるし給料もそこそこにある。有休休暇を取るときも気兼ねなく取れるそんな会社だ。
これだけ見ると何でと思うだろうが、俺はただ無趣味でする事がなかっただけだ。
昔からそうだった。
小学生の時も友達に誘われたら一緒に鬼ごっこだので遊んだが、自分からは誘わず友達と遊ばない時はもっぱら家にいた。
中学生時は特に酷かった。中二病を変に拗らせて人間強度が下がると言って友達を作らず孤高の俺カッケー的な事をしていた。今更ながら恥ずかしい黒歴史である。
高校生になってからはようやく落ち着き、それなりの友達もまあまあ出来て高校生活を満喫していた。
だからといって、自分の深いところは変わらなかった。
社会人になってからはそこそこ交遊関係を持つようになり、仲のいい友達や後輩も出来た。
どこかに出掛けたり、御飯を食べに行ったり呑みに行ったりしたが心の底から楽しめてるか分からない状態だった。
感情を表に表すのが乏しい訳ではないので別に表面上では周りの人達にはバレてはいないが、仲良くしていくに連れてバレるのも時間の問題だろう。学生とは違い、長い付き合いになるだろうから。
そんな心配をしていると、仲の良い友達が行きたい所があると行ってきた。
そいつが言うには初めての所で一人では行く勇気が無いから一緒に着いてきて欲しいとの事だった。
それはどういう所なんだと聞いてもその時は教えてくれなかった。当日のお楽しみだと一向に口を割らなかった。
まあいい、いつも世話になっているしそれぐらいは良いぞと俺は答えてその場は終わった。
その時、俺は考えもつかなかった。
その日行く場所が俺の人生を変える事になる事に…。
×××××××××××××××
そして当日、その行く場所の最寄りの駅にて集合との事だったので着いたは良いものの…
「あいつ、まだ来てないのか…」
確かにまだ集合時間の10分前だが、10分前行動は社会人の基本だぞ…。
そう心の中でぼやいた俺は立っているのもなんだし、ベンチでも探して座るかぁと思い周りを散策し始めた。
少し歩くとちょうど良いベンチが目に止まりあそこに座ろうと足を向けたとき、女性と男性が喋っている声が聞こえた。
そちらの方に目を向けると楽しそうにお喋りしているという風には見えず、女の子が男性に絡まれている様に見えた。
「ああいう輩って本当にいるんだな…」
そんな呑気な事を考えている内に女の子が男性に引っ張られ、何処かへ連れていかれそうになっていた。
「流石にあれを放置は目覚めが悪いし、目の前で起きているのに助けないのは無いな」
そう口にすると、行動は早かった。
問題の二人の所へ駆け寄り、男性が女の子の腕を掴んでいる方の腕を掴んだ。
「おじさん、何してるんですか?」
俺が男性の腕を掴むと此方を見て驚いた顔になり、咄嗟に女の子から手を離した。
「何もしてない。そっちこそ私の手を離しなさい。」
と、傲慢不遜に男性は俺に言ってきた。
こいつ、自分の事を棚に上げて何を言っているんだ…。
「貴方が今、何をしていたかを理解して言っています?その言葉。」
「何の事だか。私はこの子が出ていった娘だと思って連れて帰ろうとしただけだ。どうやら別人みたいだがな。」
「何を惚けて…」
「良いから離しなさい!」
俺が言葉を続けようとしたら、男性が思い切り腕を振って俺の手が振りほどかれてしまった。
「私はこの後用事があるのでね、これで失礼するよ。」
「おい、こら。待ちやがれ!」
立ち去る男性を追いかけようとすると、不意に手を引かれた。
その方向を見ると、女の子が俺の手を両手で握りしめていた。
「もう、良いですから…。私は大丈夫です」
「大丈夫って…。そんなはずないだろ?」
「本当に大丈夫です。追い払ってくれただけでも助かってますから」
そう女の子は言いつつも、握ってる手は小刻みに震えていた。
こんな状態の女の子、一人にしてられないよなぁ。
「ならさ、落ち着くまで一緒に…って言ってもさっき男に怖い目に遭わされたのに一緒になんて居られないよな」
「いえ、そんな事ないです!助けてくれた貴方ならその…大丈夫だと思ってますから」
「そうか。なら落ち着くまであそこのベンチで休もうか?」
「はい!」
俺は自嘲気味に提案したのだが女の子に提案を受けられて内心驚いた。
だが、当初の予定と結びつけなんとか持ち直して事を進める事が出来た。
×××××××××××××××××
「どう?落ち着いた?」
俺達は最寄りのベンチに隣り合わせで座ってから少し時間が経った。
震えが止まるまでは手を握っていたが、震えが止まると手を離した。
少し名残惜しかったが、ずっと握っているのも変なので諦めた。
「はい。そういえば、まだお礼を言えてませんでしたね。さっきはありがとうございました。本当に助かりました。」
「いやいや、お礼なんて良いよ。あれは俺の自己満足で見殺しにすると後味が悪くなるってだけで手を出しただけだからさ」
「それでも、です!その行動で私が助かったんですから素直にお礼を受け取ってください!」
あどけない見た目からは想像もつかない強い意思を感じる言葉に少し驚いた。
さっきは天使の様な笑顔でお礼を言ってくれたと思いきやの言葉なので少し面を食らったが直ぐに立ち直り、仕方ないなぁという顔で「どういたしまして」とお礼を頂戴した。
「ところでお兄さん。お兄さんはこの後用事とかあります?何も無ければお礼を…」
と彼女が話していると彼女の方から着信音が鳴り響いた。
スマホをバッグから取り出して画面を見た彼女は目に見えて落胆し、此方に目を向けた。
「すみません。ちょっと電話に出てきますね」
「分かった。構わないよ」
彼女は少し俺から離れて話しだした。
なんだろう?親からの呼び出しの電話だろうか?
ただの電話ならあんなに落ち込む事ないだろうし…と色々考えてると話し終わったのか彼女がトテトテと帰ってきた。
「すみません…今からアルバイトのヘルプに行かなきゃいけなくなってしまって…。このお礼はまたいつか…」
「別に良いよ。お礼言ってくれるんだけで俺は満足だから」
「そうですか?貴方がそういうのなら…。だったら、また会うことがあればどこかでお茶でもしましょう!」
「分かったよ。そんな偶然そうそう起こらないけどさ」
「そうとも限らないかもしれませんよ?案外、偶然はそこら辺に転がってるかも?」
そう言って彼女はにへへとはにかんだ笑いを見せてくれて彼女の笑顔に俺はドキッとした。
「それでは失礼しますね。また何処かで会いましょう」
そう言う彼女にさっきの笑顔で放心状態の俺は手を振るぐらいしか出来なかった。
彼女が見えなくなってからやっと元に戻り、ハッとしてスマホを見た。
「やべぇ…約束の時間から30分過ぎてんじゃねぇか…。よく見るとラインも入ってるし…」
はぁ…とため息をつきベンチから立ち上がると待ち合わせ場所に足を進めた。
「まあでも、女の子を助けられたなら野郎を待たせて怒られるぐらい安いもんだな」
ちょっと長めになりましたので切りのいいところで二つに切りました。
次回に続きます。