また期間が空きましたね…。
なんだか記念とかにならないと筆が進まない病気にでもなってるんですかね…。
とまあ久しぶりの更新ですがしっかりと猫田さんを出せてたら良いなぁと思います。
一応前話見てからの方が楽しめると思いますので是非にご覧ください。
ではどうぞ!
「どうしたの?まーた残業?もう暗いのに熱心だねぇ」
今日も今日とてパソコンの明かりが目立つ時間帯までパソコンと向き合ってると音琴がいつの間にか隣の席に座って立て肘をついていた。
「あははは…。好きでやってる訳じゃないんだけどな…。まだかかそうだから気にしないで帰ってくれ」
「んー。でも流石に放って置いて帰れないしなぁ…。ほらほら、一回休憩しよ?キーボードから手を離して」
「まあ、確かにな。根を詰めすぎるのも良くないからなぁ。ここいらで休憩いれるか。っていうか本当に気にしないでいいから早く帰れって」
そう言って背筋をぐーっと伸ばす。
これは俺の仕事なんだから放って置いてさっさと帰ればいいのに。
もう暗いんだしさ。
「だから気にしないでって。これは上司命令、だから!」
「えー。どういう上司命令だよ…」
「いいからいいから。上司が部下より早く帰るなんてあり得ないからねー」
「あー、はいはい。そう言われたら仕方ないな」
そうして俺は白旗宣言するのであった。
まあそもそも勝ちも負けもないものだが。
「うん、よろしい。なら音琴さんが肩もみをしてしんぜよう」
「なんで!?」
「そりゃあ上司ですからね」
「普通は逆でしょ!?」
「そうとも言うね!」
「……まあ、やってくれるならお言葉に甘えるけど?」
「よし、それじゃあ失礼するねー。あらーお客さん、凝ってますねぇー。最近休んでます?……ふふっ。なんだかこんなやりとりも面白いね。まだ会社の中なのに誰もいないからか普段の君と話しているみたいだ」
優しく俺の肩に手を添えてぐっ…ぐっ…っと指圧かけたり肩をぐーっと揉んでくる。
学生時代から握力が弱い音琴だがこれぐらいが丁度いい。心地よい気持ちよさだ…。
「そうだな…。一緒にいるとついつい気が抜けてしまいそうになる。上司なのにな…」
「二人だけの時は別にいいよ。流石に回りに誰かいる時はダメだけどね。一応はさ、同い年だけど君の上司だから厳しいところもあるかも知れないけど、気にはかけてるんだよ?だって高校の時からの付き合いだしさ。それに君の事が…(小声)」
「ん?最後なにか言ったか?」
「ん!?な、なんでもないよ!でも本当に根を詰めすぎないでね…。君の上司ってのもあるけれど、やっぱり身近な人が苦労する姿は見たくないんだよね。だから何かあったら頼って欲しいな。上司としてでも良いし、なんなら友達として愚痴を吐き出してくれても良いんだよ?だからさ、言わなきゃいけないことあるんじゃない?」
肩を揉みながら囁くように優しく語りかけてくる彼女の言葉はまるで甘い密の様でついつい甘えたくなる。
子供に語りかけるような優しい声色でたまに音琴がママなんじゃ…なんて思ったり思わなかったりしなくもないがなんとか理性が勝ってる。…勝ってるよな?
ホント、こいつに頼ってばっかりだよなぁ。
「んー、まあそうなんだけどさ…。でも、本当にいいのか?」
「そんなのさっきから言ってるでしょ。君の上司であり友達でもあるんだから頼って欲しいって。だから手伝わさせて欲しいな」
「そっか…。なら手伝ってくれると助かるんだが、お願いできるか?」
「うん、それでいいの。よし!良い感じにほぐれたかな。手伝うから隣のパソコンにデータ送って」
「すまないな…」
「…もう、謝ってほしいんじゃないよ?こういう時言うべき言葉があるでしょ?」
「…そうだな。ありがとう、音琴」
「それが聞きたかったの。『ごめん』より『ありがとう』って言われた方がやる気も出るし!よーし!張り切るぞ!」
それから暫くはお互いに会話をかわすこともなく、カタカタとパソコンのキーボードを打つ音だけが響いた。
だが、この静寂も悪くないなと思う俺であった。
××××××××××××××××××××
「近くで見て分かったけどさ、音琴ってキーボード打つの早いな」
静寂を破ったのは俺の声であった。
別に静寂が嫌な訳じゃなかったが心地よいと思える音を奏でるキーボードを打つ音琴が気になったからだ。
「ん?まあね。日頃色んな業務や雑務に使ってたら慣れてくるもん。これでも上司ですから!」
そうして胸を張る音琴。
何がとは言わないがスーツの上からでも分かる起伏が素晴らしい。
眼福と心で拝んだ。
「で、何でそんな事言ったの?」
「まあ…なんだ。同時期に入ったのに俺はブラインドタッチ出来ないからな…。そのせいでパソコン業務が遅くてな。で、この有り様だ」
「なるほどねー。人には向き不向きがあるから、仕方ないよ。んー、よし!なら私と練習しよ!」
そう言って席から立り上がった音琴は俺の後ろに回って俺の手に自分の手を添える。
まるで抱き付かれてるような体勢になり、口元が俺の耳の近くに来て囁かれる様な状態になる。
「ね、音琴!?」
「ほらほら、やっていくよー。まず初期位置はここね。ここからテンキーの位置を覚えていくんだけど…。ここがこうでここが…って私が真面目に教えてるのに話聞いてる?」
真面目に聞いてるかって?
聞いてられるかぁー!!
そりゃそうでしょ!?近いわいい匂いするわなんか柔らかいわいい匂いするわで集中出来ん!
とまあそのままこれを言えない訳で…。
「な、なんというかな…。近いし当たってる…」
「え…。あっ………」
自分の距離の近さに気づかされた音琴。
現実に引き戻されたかの様にバッっと俺から離れる。
それに何がが当たってると言われて赤面し狼狽えている。
多分俺も赤くなっている事だろう。
「あっと…えっと…。あ!…ご、ごめん…。ま、まだ時間かかりそうだからコーヒー淹れてくる!」
そうして脱兎のごとく走り去る音琴。
少しして落ち着いたであろう音琴が二人分のコーヒーを持って帰ってくる。
俺のところにコーヒーを置いて席に再び座った音琴。
作業は進んでるがちょっとだけ気まずい雰囲気が流れキーボードの打つ音だけが空間に響く。
先程とはなんだか違った静寂であったが、その静寂を破ったのはぺぺーろであった。
「ねぇ、仕事楽しい?私は楽しい…かな」
「仕事…ねぇ。音琴が言った手前あんまり言うのを憚るが、そこまで楽しくはないかなぁ」
「そう…だよね。大変だろうなって分かるよ。やりがいのある仕事はやってて楽しいけど、上司としては君も楽しんでくれてると嬉しいなって。仕事は楽しまなきゃ損…というかそうじゃないとモチベーションも持たないしね。まあ実際楽しいから嘘じゃないよ。」
真面目な人もいるだろうが全てが上手くいかないのが仕事だ。
生意気な後輩、自己中心的な上司に無理難題を告げてくる取引相手。
色んな苦労や苦悩を積み上げていくのがストレスになり辞めていくのが絶えないが、まあそれも含めての仕事なんだろうと割りきっていくしかない。
それが社会というものだ。
だがまあ…。
「だがまあ、音琴とやる仕事は楽しい…かな」
俺の言葉で少し落ち込んでいるように見えた音琴が急に表情を変えて此方に向き直り、にこにことした表情となって此方を見据えてきた。
やはり音琴には笑顔が似合う。
グ◯◯◯アだとか◯パーだとか自分で言ってたりするがやはり音琴は笑顔が一番だ。
「そっか…そうなんだ。うん、それなら良かった…」
そう言った音琴の表情は本当に安心しきった顔をしていた。
××××××××××××××××××××
「そういやさ日付変わっちゃったけど。今日は何の日か…分かる?」
作業をしながら勿体ぶった言い方で音琴は切り出してきた。
何の日か…か…。
「分かんねぇなぁ…。教えてくれよ」
「簡単に教えたら面白くないよ。ヒントあげるから考えてみて!ヒントは、今日で周年って事!」
「まあ…何の日って言ってるくらいだから何かの周年であるんだろうけどなぁ…。ヒントになってるか、それ?」
そう言ったが一応は考えてみる。
周年…周年かぁ…。何か今日と同じ日にめでたい事なんてあったか?
「誕生日…はまだだしな、そこは覚えてる。うーん出会った日?いや、そんな甘酸っぱいような事を記念日になんてする奴じゃ…」
「おっとぉー?なんだか聞き捨てならない言葉を聞いたような気がするぞー?」
いつの間にか背後に移動していたのであろう。背後から音琴の声が聞こえる。
ぜってぇ後ろを振り向きたくねぇ…。
「き、気のせいじゃないかなー?」
「気のせいかー。これを突っ込まれるのも気のせいかもねぇ…?」
そう言って頬にひんやりとした柔らかい無機物らしきものか当たる。
恐る恐る横目で見ると…。
「!?!?す、すみませんでしたぁ!!!」
そう、それはおディ◯ド様であった。
しかも極太の。
そんなの突っ込まれた日にゃお嫁にいけませんよ…トホホ…。
「よろしい」
そうして背後から移動してカバンにナニを仕舞う。
というか、え!?
「というか何とものを会社に持ってきてるの!?」
「あー、これね。部下の女の子が持ってたの、それでね…」
音琴の言葉を遮り、はっ…!と大袈裟に何かに気づいたようなリアクションをしてからもしかして…と前置きを付けてから言葉にする。
「バラされたくなかったら抱かせろって迫ったんじゃ…」
「それ、脅迫だから!?そこまで女に飢えてないよ!?」
「ま、そうとは思ってないけどな」
「…もう、からかわないでよ…」
反撃したいあまりにからかったが軽く拗ねた音琴の破壊力…。なんというかやばいな。
「んっん!!で、答えは何だ?」
咳払いで取り敢えず今の空気感を変える。
少し強引だが気になるのは確かだしな。
「む~、何だか強引だなぁ。まあいっか。そんなに色気があるものでもないし」
「そうなのか?」
「まあね。それに君が覚えてなくても無理はないしねー」
そう言って椅子の向きを変えてこちらに向き直るとにへらっと笑って宣った。
「今日はね、あの日から◯◯年なんだ」
「あの日?」
「そう、君が私の行為を見た日」
「ぶふぉ!?な、何だよそれ!?いや、意味はわかるけどね!?」
本当なんだよ!?
「アレを覚えてるって、黒歴史にでもなったか?それの責任を取れって言うんじゃないだろうな?というか今までの付き合いで今年になって言うのか?」
「そんな事言わないよー。確かに行為を見られるのは軽く黒歴史になりかねないけど、あの事がなければ君とはここまでの関係にならなかったから。恥ずかしいけれども嫌いになったり責任追及なんてしないよ」
そっか…。
というか結構真面目な話だった…。
俺にもそうだけど結構音琴にとってもターニングポイントだったのかもな。
まあ暫くたった今でも日を覚えてるくらいだもんな。
「確かに色気はないな。ある意味色気というか下の話だけどな。よくもまあ覚えてたもんだ。俺の場合見られたらトラウマ物ですぐにでも忘れたくなるからな」
「なんでもポジティブに考えるのが私だから!」
「流石メンタルゴリラ…」
「ゴリラとはなんだゴリラとはー!こちとら乙女だぞ!」
「乙女(笑)」
「笑ったなー!!もう手伝ってやんないぞ?」
「ごめんなさい」
即落ち2コマでした。
「とまあ冗談は兎も角としてこの後どうする?明日は休みだし飲みに行くか?」
「おおー、いいねぇ。いつものところは…もう閉まってるか…どうしようかなぁ」
「まあ飲み屋街巡ってたらどこかは空いてるだろ。最悪はどっちかの家で宅飲みしようぜ」
「ほほう?宅飲みなら潰しても構わんだろう?」
「仕返しのつもりかぁ?というか女の言うセリフじゃねぇ…。それに俺が酒が強くないの知ってるだろ?」
「ほらほらー、上司の酒が飲めないのか~!って?」
「あー!またアルハラだー!」
こうお互いに冗談を言いつつも仕事を進めて、なんとか日を跨いで半刻程で終わらせることが出来た。
本当に音琴様々だ。良い友達持ったな…。
「よし、終わったね!」
「ああ、ありがとうな音琴」
「いいんだよー、上司だし友達だから」
そうして体をほぐすように二人共にぐーっと背筋を伸ばす。
あー、やっと帰れる…。
「終わったし飲みに行くか!」
「え、本当に飲みに行くの!?」
「え?音琴は嫌か?」
「嫌じゃないけど…というかむしろ行きたい。でもいいの?疲れてない?」
そう言ってナチュラルに気遣われるのは心にくる。
まま…。
ゲフン!
「それなら行くか!それに今日が音琴にとって記念日なら俺の奢りだ!」
「良いの!?」
「ああ!」
「やったぁ!人の金で飲む酒は旨い!」
「台無しだなぁ!?」
そうして俺達は飲み屋街に繰り出すのであった。
行ったは良いもののどこも閉まってて宅飲みになるのはまた別のお話。
どうでしたでしょうか?
記念話とは?と思うような話でしたね…。
なんだか無理矢理感も否めないですが記念話としてだけでなく普通に楽しんでくれてたなら幸いです。
ではまた次のお話でお会いしましょう。