シャンフロ妄想集   作:TY

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サンラク争奪戦百ちゃん参戦ルートになります。

本当はプロット分を書き上げてから投稿しようと考えていたけど、シン・仮面ライダー発表によるテンション向上からの突発的投稿です。


斎賀姉参戦ルート
姉より優れた妹など(ry


「ねえ、百ちゃん?」

 

とある会社の、とあるカフェテラスにて。

今をときめく少女たちの憧れ、カリスマモデルの天音 永遠がティーカップを片手に誰もが見惚れるような笑顔を浮かべている。

 

彼女のファンが向けられたら黄色い悲鳴が飛び交い、それだけで雑誌の表紙を飾れそうなほど絵になっている情景を見せつけられながらも

「........なんだ?」

その向かいでコーヒーを飲んでいた人物、斎賀 百の眉間には皺がよっていた。

 

「嫌だなぁ、そんなに警戒しなくてもいいじゃない。長い付き合いでしょ?」

 

「私とお前の仲だから警戒してるんだ。今度は何を企んでる」

ころころと笑う永遠に対して百は眉間の皺をほぐしながらため息をつく。

 

「心外ね。そんな私がいつも悪巧みしてるみたいじゃない」

 

「してないとでも言うつもりか?まあいい....で?」

暖簾に腕押し、糠に釘。

何を言っても聞かないと諦めて話の続きを促す。

 

「いやー、次の連休、百ちゃん暇してるかなーって」

 

「次の....急ぎの仕事もないから暦通りの休みだが予定が....」

 

「うん、OK。ここ最近の百ちゃんの休みの行動は大体把握できてるから詳細はいいよ」

 

重度のシャンフロ廃人をしているという自覚があり、公の場でその事に触れたくない百が口を閉ざし胡乱げな眼を向けても気にせず永遠は続ける。

 

「実はちょっとした縁でGGCに行くことになってさ」

 

「GGCに?」

はて、そんな仕事が花形モデルの皮を被ったナマモノにあっただろうかと百は首をかしげる。

 

そんな様子を見て

「ちがうちがう。ていうか、そんな仕事はいってないって百ちゃんも知ってるでしょ?」

ぱたぱたと手を振りながら百の疑問を否定し、にこやかに言葉を続ける。

「お友達からちょーっとしたお手伝いを頼まれてね」

 

「お友達?」

思わず、いぶかしむ調子で言葉が漏れてしまう。

 

「そ。まあ、詳しくは言えないけど相手もこっちの業界には明るいからお顔を出してステージに上がったりとかはないから大丈夫です」

だから安心してね、とウィンクまで決めるサービスをしてから永遠は紅茶に口をつける。

 

いや、そんな心配はしていない。

どっちかといえばコイツがお友達という生物はどんなナマモノなのか....

いや、別に知りたくないか。

と、珍しく百面相をしている百を尻目に話は続く。

 

「うちの会社で確保してたGGCのチケット余っちゃったから希望者を募って抽選やるって話じゃん?」

 

「そんな内容の通知がきてたが....」

とりわけ興味もなかったから流し読みですませた社内メールとそれを見て騒いでいた一部の社員たちを思い出しながら答える。

 

「抽選応募してみて当たったら一緒に行かない?気分転換にもなるだろうし。まあ、私の用事次第ではほとんど別行動になりそうだけど....って、人とお話してるときにそれはどうかと思うよ百ちゃん」

永遠が邪気のない笑顔を浮かべて誘いをかけるが、それを無視して携帯端末を操作する百。

 

目当てのメールを見つけて内容を確認しても目の前の永遠の目的がわからない。

景品はGGCの3日間の通しチケット。

それに付随して今からではもう抑えられないであろう近隣の宿泊施設の旅券もオマケでついてくる。

ただし、当選者は社内報等で掲載予定の報告記事(写真付き)をあげなくてはならない。

正直そこまで魅力を感じないし、仮に当たったら面倒だ。

それに、腐れ縁が今回は何を考えてるやらと思案しているうちに

 

「えい」

 

「あ」

背後から延びてきた手が百の端末に表示されていたメール上の応募ボタンを押してしまった。

いつの間にやら後ろに回り込んでいた下手人を睨むが、まったく悪怯れる様子もなく向かいの席に戻っていく。

 

「別にいいじゃない。怪しいリンクとかじゃないんだし」

 

「そもそも人のを勝手に弄るのは....」

と、一般常識を説きかけてこいつは知っててもそれを踏みつけていい笑顔を浮かべるタイプだと思い直した途端に何もかも馬鹿らしくなってため息にかわった。

 

「当たったらいこうねー、百ちゃん?」

 

「もうそれでいい....」

かなりの倍率になりそうだしどうせ当たらないだろ、と投げ槍に答えると永遠はにっこりと笑顔を浮かべた。

 

 

数日後、無事当選メールを受け取り愕然とする百と隣でマジで当てるとかと笑う永遠がいたとかいないとか。

 

 

「いやー、物欲センサーって怖いねぇ」

 

「いい加減しつこいぞ....」

宿泊先のホテルに向かいながらけらけらと笑う永遠に百はため息混じりに言葉を返す。

 

「まさか宿泊先まで一緒とは....」

 

「ホテルグランドスプリームとかいいとことってくれてたんだね」

 

「それはそっちもだろ。わざわざ宿代に交通費まで持ってくれるとか」

いったい何をやってやらかすつもりなんだと、問いかけそうになって言葉を飲み込む。

余計な詮索をしてはこちらを巻き込みにかかるのがコイツだ。

 

「酷いわねー。今回の私達はお願いされた側なのです。依頼主が諸経費を持つのは当然よね」

 

「....私達?」

 

「あ、今の私達っていうのは私と百ちゃんのことじゃないからね。まあ、少しくらいなら言ってもいいか」

目付きが鋭くなったのを見て永遠は訂正をしながら自分の事情を話はじめる。

 

「今回の依頼主が二日目のイベントに出るんですって。だけど、ちょーっと人手が足りないからって私と共通の友達のもう一人に助けを求めてきたのよ」

 

「友達....ねぇ」

永遠が珍しく裏表なく楽しそうに話す友達というのがどんな面子なのか気にならないこともないが....

十中八九どころか皆中でまともな人間のはずかない。

友達の友達との関係なんて赤の他人。

私には関係ないと結論付けて思考を打ち切った。

 

「ま、顔合わせさせようとか思ってないし。詳しい要件聞いてないからわかんないけど、3日目くらいは一緒に回れればくらいに考えててよ」

 

「....そうだといいがな」

そんなやり取りをしながらホテルの正面玄関から入りカウンターへと向かう二人であった。

 

 

なんだこれ、と天音 永遠は目の前の光景に絶句する。

 

「永遠!早く従業員に連絡を!!」

 

「ぐぉおおぉ....鉛筆戦士てめぇ....」

 

親友がガスマスクを被った不審者と取っ組み合いをしながら通報を促してくる展開など映画くらいでしかないのだろうか。

そして百ちゃんに圧されているガスマスクを被った不審者....推定サンラクくんからは恨みがましい視線(マスク越しで目は見えないけど)を感じる。

 

「えぇ....なんだこれ」

さしものカリスマモデルでも捌けない状況もある。

あ、ガスマスク剥がされた。

 

 

「えーっと....とりあえず鉛筆戦士です。よろしくね?」

 

「え?この状態で挨拶から始めるの?俺、今押し倒されてるよね?」

 

「そうだぞ、永遠。状況を考えろ」

 

「なんで私がくんずほぐれつしてる2人からダメ出しされないといけないのかわからない」

片や腕を捻りあげられうつ伏せに拘束されている少年と馬乗りの状態でそれを行っている女性。

近くに転がっているのは剥がされたガスマスク。

そして、それらを見下ろす自分。

客観的に見なくてもカオスが過ぎる。

 

「くっ、まさか自分の手を汚さずに事を成すための戦力まで連れてくるとは思わなかったぞ」

 

「一連の動きがらしくないとは思っていたが....それが目的だったのか?」

 

毒気が抜かれたのか百が拘束を解いて立ち上がると、自由になった楽郎も身を起こしながら結託して言いがかりをつけてくる。

 

「どうして君たちはそんなに連携して私を貶めようとしてくるのかな?初対面だよね?」

 

「仕方ないな....はじめまして、陽務 楽郎です」

 

「ん?ああ、こちらこそはじめまして。斎賀 百だ」

 

「うーん、仲良きことはいいことだけど納得がいかない」

本当に何事もなかったかのように挨拶をしている二人に永遠の頬がひきつる。

 

「永遠からゲーム友達に会うと聞いていたが、顔を会わせるつもりはなかったんだ。だだ、中々ないシチュエーションに錯乱してしまってな....怪我はないかな?」

 

「あー....痛むところもないし、これ(ガスマスク)も含めて壊れてるのもないんで大丈夫です」

 

「そうか。不幸な行き違い(あいつの企て)とはいえ申し訳ないことをした」

 

「いえいえ、お気になさらず」

 

「同じホテルにいるので顔を会わせることもあるだろうからその時はよろしくお願いするよ。じゃあ、私は今度こそ自分の部屋に行くよ」

 

「あ、うん」

 

ごく自然な流れで永遠の横を通り部屋から出ていく百を見送る二人。

後ろ手に扉を閉めて今度こそ自分の部屋を目指していく。

 

「って、勘違いが恥ずかしかったからって全部私のせいにしていかないでよ!!そしてそっちもなんでガスマスク被り直すの!?」

 

背後から永遠の声なんて聞こえない。

聞こえないったら聞こえない。

 

想定外のことで少し疲れたし、出歩くのは後にしようかと考えてふと気が付く。

 

天音 永遠のゲーム友達という彼とは終始視線があっていたことに。

大抵、自分は初対面の人とはすぐに目が合わない。

望んで得たわけではないが、自分からしたら邪魔でしかないものに性別を問わず目線を吸われている。

....今、ちょうどすれ違った男女のように。

 

視線以外にも思い返してみれば、気になるところが増えてくる。

 

例えば彼の身のこなし。

経験者のそれではないにしてもどこか慣れを感じさせる動きだった。

嗜んでいるのが剣道だが、困らない程度には無手でも戦える自分に抗って見せた。

本気だったわけでないにしろ、真面目に拘束するつもりで組かかってだ。

それでも別段、強かったわけではない。

 

諸々から今までの人生で見たことのないタイプの人間であったからか

 

「また顔を合わせることがあったら、話をしてみてもいいかもな」

 

少しだけ、陽務 楽郎という人物に興味が湧いた。




更新が無いにもかかわらず閲覧及びお気に入り登録ありがとうございます。
じわじわと上がっていく閲覧数とお気に入り数に嬉しさ半分更新せなあかんという責任感半分でした。

百ちゃんを原作時間内でヒロインレースに参戦させる方法を考えてできた内容です。
プロットをまとめて書き出したのがシャニ◯ス1st舞浜の物販待機列だったのを覚えてるから、どんだけ寝かせてたのかって話になるやつ。
永遠×楽郎続きとか、ごめ玲シリーズとか書いてるけど、難航中です。
映画監督の舞台挨拶とかどうすればそれっぽくなるんですかね。


以下、蛇足

蛇足その1
すれ違った男女の一幕
「痛い痛い!?メグ!?なにいきなり!?」

「今すれ違った女の人のどこみてたの?」

「あっ....いや、その....ごめん」

「なんで謝るのよ!!」

「ごめんなさい!?」

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