此処はロドス・アイランド。謎の大地テラに存在する製薬会社兼武装組織とか言う物騒な場所である。
そんな製薬会社のトップの一人であるドクターは、今日も事務仕事を消化していた。
「龍門弊が一枚……龍門弊が二枚……」
「ドクター、起きてくださいドクター」
「龍門弊が……ファッ?!」
「仕事が終わるまで休んじゃ駄目ですよ?」
「ヒェッ」
コレがロドストップの日常である。ドクターに休んじゃ駄目ですよと言ううさ耳少女、アーミヤと共に、ロドス・アイランドを支えているのだ。
因みにロドスのトップだけ24時間勤務である。黒い。
「ドクター、此処に公開求人の書類を置いときますね」
頼むから仕事増やさないでくれる?と思ったドクターであった。だが一概に文句は言えない。何故なら、アーミヤもちゃんと手伝ってくれているのだ。コレがドクター一人だけなら文句の言いようもあるのだが、ちゃんと手伝ってくれているおかげで文句を言えず、24時間勤務がいつまでも続いているのである。怖いな。
「今回も多いな……来てくれて嬉しいと喜ぶべきか、仕事が増えて悲しむべきか……」
「ドクター?早くしないと日が明けちゃいますよ?」
「畜生!もう本気出すからなオイ!」
そう言って、ドクターは公開求人にスタンプを押していく。それはもう目に見えない程の速さで押して行った。
手を抜いてる訳じゃ無い。ちゃんと求人に応募した人物のプロファイル、志望動機などを見て、確認スタンプを押しているのだ。自分の仕事が終わったのか、途中からアーミヤも参戦する。その瞬間、ドクターのスピードが更に速くなった。ソレに気づいたアーミヤもニコニコしながらスタンプを押していく。
このうさぎ、ドクターの扱い方を良く心得てらっしゃる。
「………ん?」
ふと、高速で動いていたドクターがピタッと止まった。
「どうしたんですかドクター?」
「いや、この人の出身地と元所属、聞いたこと無いものだったからな。アーミヤは知ってるかな?」
「えーっと……あぁその人ですね。実は私も良く……」
「えっ、知らないのに採用しちゃったの?!」
「試験での実力は合格範囲内でしたし、人柄もよく、出身地と元所属を除けば採用するべき人材でしたから」
「えぇ、そんなんで大丈夫………って言おうと思ったけど、既にそう言うの何人かいるわウチ」
「ですね。さぁ、仕事を終わらせますよドクター」
そう言って、アーミヤは書類にスタンプを押す。ドクターも書類に書かれている人物の写真と名前をもう一度見たあと、スタンプを押した。
「フェンサー……ねぇ」
これから来るであろう人物に、興味を抱くドクターであった。
時は結構遡り、1月初旬。
平和な世界は新年を迎え、初詣やお年玉、スマホゲームの新年イベントに狂気乱舞していた。
そう、平和な世界は。
この世界はそうでは無かった。新年早々に贈られてきたのはお年玉とかスマホゲームのイベントとかでは無く……
巨大生物!
歩行要塞!
マザーシップ!
「新年早々地球防衛じゃこの野郎ー!」
今日も今日とて、この世界は地球外生命体からの侵略に反逆していた。これにはスパルタクスもニッコリである。
この世界は、ある日突然現れた地球外生命体『フォーリナー』の侵攻に幾度と無く晒されているヤバい世界である。
一度は撃退に成功し、7年間の平穏を手に入れたのも束の間、フォーリナー達はまた攻めてきたのだ。まぁそれも撃退したにはしたのだが、それからと言うもの、一定周期で攻めてくるようになり、対フォーリナー専門軍隊であるEDFのみんなはそろそろ慣れて来ていた。
「俺はそろそろ疲れてきたよパトラッシュ」
「隊長、頑張ってくださいよ。俺も疲れてるんですから」
戦場のど真ん中で、巨大な蟻をガトリング砲で蹴散らしながら軽口を叩く、ガチガチ装備の男達がいた。
彼らはEDF隊員。その中のフェンサーと呼ばれる兵科の部隊だ。彼らの武器はガトリング砲やミサイルランチャー、その他にもハンマーやソードなどの常人が扱えないデカくてロマン溢れる武器達を扱っている。
「あぁクソッ!コイツらがいない世界とか行きてぇなぁぁぁ!」
「口動かす前に手を動かしてくださいよ」
「つってもよぉ……ってうぉぉぉ?!」
突如地面が揺れだし、盛り上がる。そうして出てきたのは、巨大生物の巣穴の出口だ。ゲームだと良く全自動アーマー稼ぎによく使われるアレである。
「やっべ態勢が…って落ちるぅぅぅぅぅぅ!!!」
「ちょっ、隊長ー?!」
こうして、色々と疲れていたフェンサー隊長は、巨大生物の巣穴へと落ちて行ったのであった。
龍門、スラム街にて。スラム街に存在するとある空き家に、何かが着弾した。
「痛ってぇ!装甲のお陰で助かったけど痛ってぇ!つかめっちゃ落ちたのに無傷ってスゲェなオイ!フェンサー最高かよ」
瓦礫の山から出てきたフェンサー隊長。巨大生物の巣穴に落ちたという割には気楽である。
「つか此処は何処だ?巨大生物の巣穴にしちゃなんか……こう、アレじゃね?」
辺りを見回すフェンサー隊長。彼は一度巣穴に侵入しているので知っているが、巨大生物の巣穴はこんな如何にも建物の中ですよと言う感じのものでは無い。と言うか玄関があるので家の中なのは間違い無いだろう。
もしかしたら地下にフォーリナー共の町が………ある訳無いと否定した。そんなだったら今頃地球はBADENDである。
「まぁ考えててもしょうがねぇ。本部との通信は……繋がらないよね!武装よし!目的よし!(確認猫)それじゃあ、探索開始じゃあ!」
UT3ハンドガトリングとFGX高高度強襲ミサイルをバックパックに取り付け、ブラストホールスピアMSとマスターシールドを手に持ち、玄関を足で勢いよく蹴り開けた。
「やれやれ、最近の若者はマナーがわかっておらんのう」
目の前に、黒いスーツの上に白いコートを羽織った、二足歩行の鼠が杖をついて立っていた。
「ギャアァァァァ!?!?ね、ねね鼠が喋ったァァァ?!」
フェンサー隊長、びっくり仰天である。そりゃ扉開けた先に立派な服を着た二足歩行の鼠が立っていて、その鼠が突然喋ったのだ。例え巨大生物相手に長い程戦ってきたEDF隊員でもびっくり仰天するだろう。
「なんじゃ、人を小動物呼ばわりか?」
「いや、姿が姿ですし……」
「お主は人を見た目で判断するのか?」
「イヤ流石にそんなバカみたいな事しませんよ……ん?人?」
ここで漸く鼠人間と意思疎通が図れている事を理解するフェンサー隊長。そして、矢張り此処は地球では無いのでは?と思った。
なんせ二足歩行の鼠なんて聞いた事も無いし、意思疎通出来る所を見ればフォーリナー共が寄越してくる巨大生物とかとも別だろう。と言うかフォーリナーは虫フェチだから多分違う(偏見)。
それに、地下に落ちた筈なのに綺麗な晴天が見える。太陽もガヴェイン卿が喜びそうな程ギラギラと照りつけてる。つーか暑い。確か今は1月の筈だぞ?と思うフェンサー隊長。
「おじいちゃん、一つ質問なんだが、此処は何処だ?」
「龍門じゃよ」
「ロンメン………?え?何処ココ?」
フェンサー隊長は辺りを見回す。辺りはボロいアパートや一軒屋、道はゴミだらけだ。そしてアパートなどの隙間の奥に、きらびやかな建造物が見える。どう見てもスラム街である。
「その様子だと、自分がどうして此処におるかも聞きたいんじゃろ?」
「あ、ハイ」
と言うか、色々と察しはつく。EDFに入る前はサブカルチャーに手を出していたフェンサー隊長である為、この結論に至るのは少し早かったと言えるだろう。
「降ってきたんじゃよ。この空の上からな」
「デスよねーハハハハ…………マジかよどないしよ」
杖で上を指しながら降ってきた事を伝える鼠おじいちゃんこと、貧民窟の鼠王『林』。彼の言葉を聞いたフェンサー隊長は、ブラストホールスピアMSを地面に落とし、フルフェイスヘルメットに手を当て、空を仰いだ。
恐らく続きません