移動都市『龍門』
この世界、テラに存在する移動都市の中でも、トップ3に入る程の大型移動都市である。そして、その移動都市が保有する治安維持組織『龍門近衛局』のとある部屋にて、とある女性二人がゲンドウポーズで待ち構えていた。今にも壮大なBGM(エンペラーアレンジ)が流れそうである。
そして、その部屋の扉が勢いよく開かれ、2m近くの大柄の男入って来た。男は無骨な鎧を身に纏っており、身の丈以上の槍を肩に担いでいた。
一際目立つのは、槍と鎧がベッタリと赤色の液体に塗れており、槍の先っぽには黒いスーツの男が串刺しにされている所だろう。
率直に言おう、不審者である。
「………ふぅ」
ゲンドウポーズをしている青い髪の女性Cが、深く息を吐いた。後ろで仁王立ちしている女性は、この意味不明な状況を前にして微動だにしない。
鎧の男は、そのままズガズガと女性二人の元へ近づく。そして二人の目の前で止まると、顔を隠している兜を上に上げ、その凶悪な顔を二人に見せた。
「殿下!大殿!下らねぇ奴らブッ殺して来たぜ!」
腕を上げた瞬間、腕についていた血が机にポタポタと落ち、なんか凄く大事そうな本などに附着する。
それを見た青い髪の女性は、ゆっくりと立ち上がる。
「ナガヨシ……先ずはその汚れを落とせぇ!」
龍門近衛局の特別督察隊隊長であるチェンの怒号が、龍門全体に響き渡った。
「……矢張り無理だったか」
「すみません、チェン隊長…」
「いや、気にするな。予想出来ていた事だ」
チェンの言葉に、近衛局隊員が謝罪する。この近衛局隊員、さっきの不審者と共に任務を遂行していたのだが……
「最初よりはマシになりましたが、矢張りチェン隊長やホシグマ隊員でないと扱いきれません」
「はぁ……彼には私達以外にも従って貰いたいんですがね」
「あの大型犬め……」
チェン、ホシグマ、近衛局隊員は同時に溜息を吐きながら項垂れた。
あの不審者、皆からナガヨシと呼ばれる男は、龍門近衛局の厄介者として認識されている。そして、さっきの台詞からわかる通り、あの男は危ない人間である。
一応意思疎通自体は出来る奴だ、今はチェンの命令に従って床掃除してるし。だが、スイッチが入った瞬間、明らかに目と言動がヤバくなる。まぁスイッチが入っていなくてもヤバいが。
あの男は俗に言う外道の類い……いや、恐らく外道の枠組みに入り切らない程の異常者だろう。一度スイッチが入れば相手が死ぬか自分が死ぬまで暴れまわり、挙げ句の果てには無関係の女子供までゲーム感覚で殺戮しようとする。もはや異常そのものである。
「はぁ……アイツを見てると、龍門のマフィアがどれだけマシな存在かわかるな」
「全くです。彼に首輪がついてなければ、今頃龍門に死体の山が出来上がってる所でしょうね」
「ホント何なんですかアイツ?」
チェンがそう呟き、ホシグマがそれに同調する。近衛局隊員は改めてナガヨシの存在に疑問を抱いた。
因みに、彼は味方を殺しはしない。重傷にする時はあるが。それに彼はチェンとホシグマに対して強い忠誠心を見せている。彼女二人の言葉であれば、何でも聞く…それこそ、スイッチが入った彼がチェンかホシグマの言葉1つで静止する位には言う事を聞くのだ。まるで味方になったサルカズ魔剣士、または一時協力状態になったヴェンデッタみたいである。協力状態のヴェンデッタって頼もし過ぎるだろ。
まぁ一種の凶暴猟犬と言えばわかりやすい。
「大殿!掃除終わったぜオイ!」
噂をしてたらやって来た。勢いよく扉を開き、さっきの無骨な鎧とはまた違った、極東にあると言われる鎧を身に纏った彼がズガズガと入ってきた。
「ノックをしろと何度言えばわかる。それと大殿ではなく隊長と呼べ」
「おう!わかったぜ大殿!」
チェンが溜息を吐く。このバーサーカーっぷりである。その光景を見た近衛局隊員は苦笑いし、ホシグマは悟りを開いたかの様な表情でお茶を飲んだ。
「んじゃ、またなんかあれば呼べよな!直ぐにブッ殺してやっからよ!」
何故ブッ殺す前提なのだろうか。コレガワカラナイ。
うひゃははははは!と笑いながら、彼は部屋からズガズガと出て行った。
転生したらパーフェクトDQN・MORI・NAGAYOSHIだった件。誰が読むんだこんな巫山戯たタイトルの小説。
つまりどういう事かというと、俺は転生者という奴である。死因?えーそんな不吉なもん聞くの?別に轢かれそうになった子供助けて死んだとか、カミサマの手違いで死んでしまったとか夢みたいなもんじゃ無いよ?ただ新品のソファでポヨンポヨンしてたら勢い余って首折っただけだからね。
………人類の中でこんな無様な死に方したの俺だけだと思う。と言うか思いたい。
で、気がつけば何故か第三再臨のガチガチ鎧を着たDQNになった訳でさァ。意☆味☆不☆明☆
最初は夢か何かかと思っていたけどそんな甘い事は無かったよ。世界って無慈悲だわ。
で、俺はこの世界にFGOの森長可として生まれ変わった訳だけども。正直言って嬉しくない。
いやまぁ、FGOは好きだし、闇鍋ガチャをいっぱい回す位には好きだったさ。森長可もその尖った使い方とフルフェイスフルアーマーの格好良さに惚れた、一目惚れってヤツです。
でもね、本人になりたいとは言っていないんだよ!………まぁ少し嬉しいけど。でも余り喜べないのも事実だ。
だって死んだら味方に喜ばれる程のヤベー奴だぞ?俺ただでさえメンタル強くない方(個人の感想)なのに死んで喜ばれるとかどう言う死体撃ちだよ。新手のいじめか?
まぁそんなこんなでマフィアに入ったり人殺しして気を紛らわしていたが(精神汚染(兇))、しばらくしてからここが俺が元いた様な世界ではない事に気がついた。だって明らかに別のソシャゲで見覚えのある風景や同僚、黒く半透明な結晶やらなんやらを発見したから。
そこで気がついた、ここアークナイツの世界じゃん。
はーん、ほーん………いや最高か?(掌クルルヤック)
だってこの世界には森長可は存在しない。つまりは俺がちゃんとしていれば、死んだ時に喜ばれる程嫌われる事が無なくなるかもしれないと言う事!よっしゃ任せろ!
後日、この世界もこの世界でブラッドボーンかよってくらいに劇物な世界だと思い出し、俺の所属しているマフィアの俺への印象が手遅れなのを知って結局項垂れたのであった。
取り敢えず、名誉挽回とか色々の為に生きようと決意した。
先ずは自分に首輪をつけて置かなければならない。森長可と言う体の性質上、何処かの組織の下に入らなければ虐殺しまくるだろうと俺自身がわかっていたからな。そうして過ごして数カ月……ある事に気がついたらZE☆なんと俺が所属してるマフィアの上司が、アークナイツで一番最初の星6だったホシグマ姉貴だったのだよ!
…………コラそこ、最初から気づけよとか言わない。しょうがないじゃん、なんか髪の色カラフルだったし。雰囲気が違ったんだもん。と言うかホシグマ姉貴マフィアにいたのね。なんか新鮮である。
だがコレは好機である。森長可の体は上司には逆らえない。その上司がホシグマ姉貴ならば俺は是が非でも仕えたいですねハイ(真顔)。推しでは無いが、お気に入りではあるのだ。ホームもホシグマ姉貴にしてたし。
と言う訳で、ホシグマ姉貴に仕えながら更に長い月日が経った。割とホシグマ姉貴に迷惑をかけてしまったのは本当にすまないと思っている。
今はホシグマ姉貴と一緒に龍門近衛局で隊員として働いております。最近は虐殺衝動をコントロール出来て来たから、ホシグマ姉貴や隊長Cに迷惑かける事は少なくなりつつある。因みに、龍門近衛局に入った時に鎧が第三再臨から第一再臨の鎧になった。この鎧アークナイツにもあるのね(第三再臨の鎧はクリーニングに出されました)。
う〜ん、どうせアークナイツに転生するなら、キャラ達を安全な所から眺められる所が良かったなぁ〜と、ちょっと思ってきた今日この頃………まぁコレもコレでアリだがね。
だがまぁ、欲を言うならば、もう少しキャラ同士の絡みを見てみたいかな〜。
「ゲェ?!ナガヨシだ!」
近衛局にある演習室に入ると、そこにいた隊員達が俺から遠ざかった。辞めてくれよ……俺は傷つくしこう言う場合の森長可の体は確定でキレるんだからさぁ。圧倒的悪循環である。
「チッ……」
おや、キレなかった…だと?珍しい事もあるもんだな。
そんな事を思いながら、俺はとある練習用ダミーの前に立つ。ダミーには色々種類があって、猟犬型、軽装兵型、重装兵型にわかれている。今俺の間の前にあるのは重装型だ。俺はいっつもコイツを練習台にしている。理由は硬さと大きさが丁度いいから。
「なます斬りにしてやるぜぇ………」
俺は重装兵型のダミーを人間無骨で2回斬り裂き、腹のど真ん中に深く突き刺して持ち上げる。
そういや、俺は虐殺衝動のコントロールの他にもう一つマスターしたい事があるのだ。
「オオォォラ嗤えェ!!人間無コォォォォォォォォォォツッ!!!」(掠れ声)
人間無骨を掠れずに叫ぶ事です。
串刺しにされていたマフィア君は無事救助されました。